11.27〜12.3日記

11.27月
昼から榎本さんがうちに来て、12月8日の下北沢レテでのワンマンの練習。今回、榎本さんが北村の代表曲ともいえるとある曲をアレンジしてくれて、特別バージョンで演奏します! とても可愛くて淋しくていい感じ。この曲は色んな人バージョンがあるんだけど、どれとも違う感じ。季節感も取り入れております。でも榎本さんのアレンジしてくれたトイピアノの伴奏が結構むつかしくてわたし間違えまくり。当日まで練習しよ。全体の曲もおさらいして練習して、あとは夜までお菓子をたべながらおしゃべりした。榎本さんが持ってきてくれた「食べっ子動物水族館」のホワイトチョコ味が超おいしかった。でもこれ、お菓子売り場は結構パトロールしてるわたしですが、はじめてみた! もしかしたら足立区には流通してないのかもしれない! まちおかで買ったってゆっていたけど、まちおか自体が足立区にはありません、わたしの知る限り。都内といえど所詮は川向こうの特別区やからかな。

11.28火
いよいよこの日がやってきました。親知らずを抜く日でござる! びびっていた、非常にびびっていた。わたしは持病で常用してる薬の影響で、麻酔が効きにくいかもしれないといわれていて、しかし、今回は大学病院で、先生二人がかりで歯茎を切開して、砕いて、抜いて、そして縫合するという恐ろしいことをやるわけです。術後10日間くらいは口がちゃんと開くかわからないからライブが入ってないときにしてくださいって、先週の日記に登場した神様先生がおっしゃっていたので、レテワンマンまでの10日前である今日しかない、しかし今日抜いて、どれくらい腫れるかとか痛いのとか未知なる領域。わたし病気持ちですが手術的なことはしたことがないので、初切開となるわけです。ちなみに縫ったことはあります。5年くらい前に雨の日に滑って転んで顎の肉がびろーんとなってね。しばらく顔洗えないし化粧も出来ないし難義やった。緊張して予約の時間の30分前には大学病院についていた。しかし、前の手術が押してるとかで、結果的に1時間半くらい待った。待っている間、花房観音さんのエッセイを読んで気を紛らわせていた。京都タワーはおちんちんにしか見えないな〜って昔から思ってたわたしですが、官能小説家の花房観音さんもそうはっきりとお書きになっていたので、やっぱりあれは屹立するおちんちんで間違いないようであります。だって東京タワーもスカイツリー通天閣もちんこ感はないもんね。京都タワー作った人、あれは狙ってるとしか思えません。雁みたいなのもあるし。そんな風に気を紛らわせつつ、いつ呼ばれるかわからない緊張感。とはいえ待ちすぎて呼ばれたときには、もう、はいはいやっとですね、くらいの落ち着きを取り戻しておった。メガネ人の方ならわかると思うんですけど、メガネってどのタイミングで外したらいいのかね? 歯医者さんに行くといつも思います。処置中は邪魔になるから外すけど、突然座席起こされて、レントゲンとか見ながら説明タイム入るけど視力0.05の人間にはなんにも見えないので、ちょちょちょまって、てなるし、再び処置ってなるときの次の外すタイミングも難しい。でも今回はやることはわかってたので、最初からメガネ置き場に置きっぱなしやった。だから、最終的に三分割にカチ割って取った血みどろの歯を見損ねた! やっぱ自分から出てきたものて、わたしどれもちゃんと見送ってやりたいので、変な話、うんこちゃんとかもちゃんと流す前に2秒くらい観察してから流すもんね。それを見損ねたのが残念でなりません。手術は無事に終わって、ただメインの方の女医さんが独り言? をいうタイプの人で、「まだちょっと残ってるわね」とかいちいち口に出すんだけど、もう一人の先生は答えない、ということはわたしに話しかけてるの? いや、残ってるかどうか全くわかりませんし、だいたい全くしゃべれません今この状態。ま、そんな一幕もありましたが無事に麻酔も効いて無事に切開、粉砕、抜歯、縫合、すべて順調におわり、すごいそっけないくらい適当に「お風呂は今日はやめといてくださいね。お大事に」って女医さんにいわれただけで、今日は食べたり飲んだりしていいものなのか、なんにもいわれず。あんなに独り言はゆってたのにー大事なことはゆわへんのかい。そんなこんなで、痛み止めはわたしの常用してる薬にも含まれてるから処方されず、化膿止めだけ処方された。お会計は意外と安くて4000円弱やった。でもまあ、こんなもんなのか? わたしの持病の医療費がめっちゃ高いので、医療費感覚が麻痺してるのかもねわたし。院外処方調剤薬局の本棚が、絵本以外は深見東洲氏の本だらけで思想強! と思った。麻酔が切れても特に痛みは出ず。腫れてるのかどうかも、わたしもともと丸顔だから、あんまりわからず。

11.29水
お昼に飯田さんと駅のホームで待ち合わせして、はるばる川崎へ。若林美保さんのストリップを見るべく、川崎ロック座へ行った。東京の土地勘が全くないのですが、川崎は東京を縦断して行く形なんだけど、1時間ちょっとで着いた。高円寺や阿佐ヶ谷に行くのと同じくらいの距離なのかな。川崎ロック座は外観がまず古びたネオン感満載で素敵やった。ストリップ劇場へ来るの、これで三か所目だったけどここがいちばん広いかな? 客席もたくさんあって座ってしっかり見れた。勘違いかもしれないけど、前に横浜ロック座に行ったときにおった禿げ頭のおじいさんがまたいた。みんなにチップを渡していて、いいお客さんやな〜と思った。壁には「上演中の自慰行為は禁止です」とでかでかと貼ってて、当たり前のことかもしれんけど、そうか、ムラムラしてきちゃうわよね。手の届く距離で美しい女性が御開帳してくれるわけだもんね。今回は出番中に歌をうたうストリッパーさんが多くて、最初の方は別に脱がないし、歌ってる歌もアニソンで何かのコスプレ的な衣装をお召しになって歌って踊るので、この人は本当はアイドルになりたかったのかなあ、とか思ったらちょっと切ない。だけど踊り子さんはやっぱり踊りとポージングが見せ場じゃね? と思ったりした。わたしの尊敬している若林美保さんは、一切声は出さず、しかも今回は自吊りの部分もなく、純粋に踊りに徹しておられてそれがやっぱりめちゃんこかっこよくって惚れ惚れだった。ストリップを見始めるまで知らなかったのだけど、ストリップって基本、選曲も構成も衣装も踊りも、全部ストリッパーさんが自分で考えておられるのやってね。これってすごいことですよ。ものすごいクリエイティブなことをやっておられるのに、出し惜しんだり気取っちゃったりしないで、景気よく丸裸になって、おまたまでご開帳して、すばらしいエンタテインメントだと思った。これは日本が誇るべき文化や! ぬ? ストリップって外国から来た文化やっけ? それっぽい性風俗はどこの国にもあるのか。飯田さんと、感想を語らいながらまた1時間かけて足立区へ帰宅。ちょっと飲みたい気分だったけど(どうせ飲むのはウーロン茶だけど)飯田さんは帰ってやるべき仕事があられるようでまっすぐ帰宅。わたしも昨日親知らず抜いたばっかだしね。

11.30木
朝から普通に労働へ。特筆すべきことはない。色んな人に親知らずエピソードを聞く。そしたら同僚に元歯科助手をやっていたという子がいて、その子に質問ぜめする。「うわ〜口臭がくっせ!」とかそういう患者さんて結構おるの? などなど。みんなマスクしてるから臭いが気になることはほぼないらしー、それに、治療中は患者さんも鼻呼吸に自然となってるから、胃から息とともに上がってくる口臭はほぼないらしー。そして歯科助手は資格とかいらない職種だけどかなりお給料がよかったそうである。その子は鈴木あみに似た美人さんなのやけど、確かに歯が綺麗で笑顔が可愛い。歯医者におったらモテモテなことでしょう。労働帰り、紀伊國屋本橋信宏さんの新刊『新橋アンダーグラウンド』を購入して帰宅。

新橋アンダーグラウンド

新橋アンダーグラウンド

12.1金
朝から普通に労働。職場に着いたら、赤いお気に入りの鞄に鳩糞がべちょっとついていた!! 出勤中いつの間にか鳩に糞落とされていたようである。12月、最低なすべりだし。でも濡れティッシュでごしごししたら取れたから、ま、許そう。ちなみに、過去に顔面&メガネにぼとっと鳩糞の襲撃を受けたことがあります。わざわざ顔に命中させることないやろ! でもわたしは当時インコをアパートの部屋で放し飼いしていて、よく懐いていたチーコちゃんは常にわたしの頭か肩の上で生活していたので、必然的に常にインコの糞が身体のどこかしらについていた。だから鳩さんも便所と間違えたのかな? だけどインコの糞はゆうてもちっさいから全然嫌じゃなかったけど、鳩ぽっぽのウンコはデカいからね。それに黴菌がすごい入ってると聞いたことがあります。労働は特筆すべきこともなく終わり、夜は再び、渋谷のヒューマントラストシネマで『全員死刑』を見た。鈴木智彦さんの原作をもう一回読み返して、小林監督の「実録・不良映画術」も読んだ上でももう一回見たかったのである。それに今日は映画の日で安いし。ほんとはテアトル新宿のデカいスクリーンで見たかったんやけど、今日一日だけテアトル新宿全員死刑おやすみって書いてあったので、またしてもヒューマントラストシネマ。封切当日はくれなかったのに、今日は高橋ヨシキさんデザインのチラシを縮めたポストカードを無料でくださった。ラッキー。二回目見ると、結構新たな発見もいくつかあって、それにこれは原作にかなり忠実に作られており、セリフなんかもそのまま使われてたりするのやけど、でもやっぱりフィクションで最高のエンターテインメントになっていて、小林監督おそるべしという感じがした。でも原作に忠実にやるなら、これ犯人一家ほんとは全員デブで、長男次男は元力士(次男に至っては今話題の日馬富士と対戦したこともあるらしー)なんやけど、間宮祥太朗も毎熊克哉もしゅっとした男前やから、やっぱりフィクション感が強くなるよね。鳥居みゆき演じるパトラもほんとはデブで、死体が重すぎて車に移し替えるのがめっちゃ大変やったって書いてたから、なんか、やっぱり役者さんやらゲーノー人はみんな基本シュッとして整った人ばっかりやねんな〜とか思いながら見た。原作を読み返してたら、これ結構かなり切ない事件で、とりあえず兄貴がどこまでもずるくて腰抜けなのはそのままなのやけど、次男の北村孝紘が家族思いすぎるために兄貴や父親に言われるがままに手を汚しほぼ一人4人分殺してて、やってるうちに殺人兵器になっていく様が、映画はアッパーでキャッチ―に作られてるからそこに切なさは感じなかったけど、原作を読んでたら、次男の手記部分と鈴木智彦さんによる分析が交互に出てくるので、うわ〜切ない話やないか〜と思ってしまう。ちなみにこの切ない次男は2013年に獄中結婚しているらしいのだけど、その相手は映画の中にも出てくるカオリちゃん役の人なのやろうか。もしそうなら、余計に色々切ないね。ってわたしは基本殺人鬼ビイキというのか、殺人鬼に何かしらの切なさを感じてしまいがちな人間だからこんなこと考えちゃうんやろね。普通に映画だけ見たら、そんなん思わんであろう。でもさーしつこいけど、次男の北村孝紘くんめっちゃ切ないねんてー。そもそも最初に組の(家族の)ためのしりぬぐいで関係ない事件に出頭させられて2年服役してさー、それまでこの北村組のシノギの概ねを、兄貴はアホやから孝紘くんが、おシャブ売ったり女売ったりしてまとめてて、それまではこの北村組もそんなやばくなかったわけですよ。それが2年服役して出てきたら、他にシノギをやれる人が誰もおらんかったから借金まみれの貧乏ヤクザ組になっちゃってて、今度はそのための尻ぬぐいをやらされていく過程がこの事件なわけです。斜陽一家の没落過程を描いている、ん? いや描いてるというか実録なわけですが、切ない、切なすぎるじょ。とかってわたしが感情移入してしまうのは、どんなけ凶悪な殺しをやってても、方言が可愛くて、謎の愛嬌が生まれてしまってるのですね。原作は完全に福岡の方言で書かれてて、「○○しちょるネ」とか語尾がいちいち可愛い。そして映画はこれは福岡弁なのか静岡弁なのかわからんのだけど、「○○じゃんネ」ていう、やっぱり語尾が可愛いんだもん! 方言っていいよね。わたしは関西人やから、関西弁は柄が悪いだけで可愛いとは感じへんけど、それ以外の方言は全部可愛いと思います。

12.2土
突然、ひさしぶりに小説を書き始める。書き始めたら楽しくなってきて、原稿用紙20枚分くらい一気に書いた。まだ全然書き終わってないし、どこにどうなる予定もない小説ですが、ひさしぶりに小説書くのたのしーってなっている。夜は山梨の合宿でお世話になったI島さんが足立区で飲みたいとおっしゃってわざわざいらしてくれたので、某ホルモン屋へご案内。まだ5時すぎなのにもう満席で二組待ってようやく入れたけど、待った甲斐があったとI島さんにもよろこんでいただけてよかった。ここのホルモン焼きは臭くなくておいしいのでわたしも好き。アブラという珍しい部位が、ここの名物というか、荒川のあちら側ではあんまり出回っていない部位らしいのだけど、飯田さんが好きで、でもいつも売り切れのことが多いのだけど、今日は残り2本だけあるとのことで注文。わたしは初アブラだって、ひと串のうちのひとかけらだけ食べてみたけど、ものすごくアブラ、アブラとしか言いようがないお味でした。足立区に住んでいるというと、バンドマンや中央線沿線を聖域と思ってらっしゃるサブカル人には、えっなんでそんなとこに…的な顔をされることが多いけれど、こうやって足立区をたのしんでよろこんでくださるとうれしいものです。ごちそうになって、そしてIKAZUGOKEのCDまで買ってくれて、I島さんええ人や〜ありがとうございました!

12.3日
月の砂漠のオルゴールを流しながらやってくる灯油屋さんの巡回販売はわたしの家の前にはだいたい日曜日のおひるにくるのだけど、毎週その時間家にいるかっちゅうたらいないのでなかなかお目にかかれなく、灯油を買い逃していたのやけど、やっとこさ灯油をゲッツ。去年より高くなった? 気がするけどでもこれで年内はもつかしら。とにかく我が家は寒い。家の中より外の方があったかかったりするぐらい。なのでお布団と毛布だけでは暖がとれないのかここのところ布団で全く眠れない。一応湯たんぽも仕込んで布団で寝ようと試みるのやけど、全然眠れない。わたしの身体は自分の体温すら保温できないらしい。なので毎日こたつにもぐってちょびちょび寝てるくらいで、もともと不眠症なのもあるけど本当に眠れなくって困っている。こたつで寝ると風邪ひくというけど風邪はひかないけど電気代かかるし、あと電気がずっと身体に当たってるからよくないという噂も聞きますが、そんなことゆうておれん。わたしはエアコンの暖房だけは乾燥して喉がびがびなるから嫌いなので絶対使いたくなく、よってこたつと石油ストーブで越冬するのがここ数年のスタイル。石油ストーブは上で色々出来るしね。芋焼いたり餅焼いたり、おでん炊いたりみそ汁炊いたり、缶コーヒーを湯煎したりもできるしね。って、全部ほぼしないけど、やかんは常に沸かしている。無事灯油を買ってから、今日は飯田さんちへ行って、色々の精算とツアーの打ち合わせ、あと謎の曲の録音をしたり、罵倒の新展開を作ったりした。どっちもすごくおもしろくなったけど、我ながらなんて意味わからんことやってるんやろうねって笑った。相当下品なことばっかり言いあっていた。これでIKAZUGOKE冬のミニツアーもおもしろくなりそうであります。打ち合わせ終わった後は飯田さんちで飲んだ。ひさしぶりにだらだらモードでくつろぎながら飲んで楽しかった。持つべきものは友達だ、なあんて言ってしまうわたし、どうかしてるけど切実にそう思う。12月中旬に出る某誌のゲラが来た。かっこよくページを作ってくださって、憧れのライターさんが文字を寄せてくださって、それも正直に書いてくださって、ありがたや〜と噛みしめる。