7.3〜9日記

7.3月
朝から普通に労働。終わって、もうすぐ辞めてしまう、唯一の友達だったAちゃんとジョナサン。ドリンクバーだけで6時間くらい喋り尽くした。理不尽なことやシャレにならんくらい腹立つことなどを、ギャグと捉えて笑いあえる人って、この職場にはAちゃんくらいしかおらんかったので、すごくたのしく6時間笑い尽くしたけど、今後のことを思うと先が思いやられる。それから文化的なことを分かち合える唯一の同僚やったのでそれも淋しい。しかしなんでこの職場は、こんなに文化人が集うお店なのに、全然違う畑の、文化のブの字も興味ない子ばっかり入ってくるのやろう。。。

7.4火
朝から普通に労働。後、マッハで高円寺へ行き、円盤でT口さんに上納金を納め、新たに10冊「裸の村」を物販用に買い取って、急いで某大衆酒場へ。ひさしぶりにK井さんと飲んだ。お誕生日プレゼントも渡せた。K井さんに、今回の春公演が本当に最高におもしろかった旨をあらためて伝え、しかし代理座長としては色々思うところが多々あられたみたいで、それにまだ旅公演から帰って1週間しか経っていなく、だいぶお身体お疲れなのやろうなあと勝手に心配になった。やはし、大きな歴史や伝統を背負っていらっしゃるその背中は、すごくすごく大変そうやけれどかっこいいなあと思った。ひさしぶりにふたりで楽しく飲んでいたのやけど、台風がどんどん迫ってて、大雨が降ってきたので、そろそろ帰った方がいいよと言われ、泣く泣く帰路。台風のバカたれ。そういえば去年も今時期K井さんとしょんべん横丁でたのしく飲んでいたのに台風に邪魔された。台風ちょっとは空気読め。そもそもお前は空気の塊やろ。

7.5水
今日はIKAZUGOKEレコーディング後半戦。ここ数日ふたりで練りに練った台本の物語をしゃべって録音。文章ではおもしろいかどうか不安やった部分も、声にだして掛け合ってしゃべってみるとおもしろく、このIKAZUGOKEアルバムは、すごく面白い代物になったのではないでしょうか!と自画自賛モードですが、本当に最高で、今までになかった新感覚のアルバムが出来た気がしています! 飯田さんは夜はザギンへホステス仕事へ出かけていくのでまたわたしはクーラーの効いた部屋で、金太(猫)を触りながら、飯田さんがシャワーを浴び、髪を乾かし、お化粧をばっちりして、ドレスも着て、綺麗なおねえさんになっていく様をゴロゴロしながらみとどけ、ひとときのヒモのよな心地を味わわせていただく。こう見ると、飯田さんはやっぱり美人でオトナのおねえさんや。かつかつ鳴らすヒールは実は中身が破けているけど、そんなの微塵も感じさせない貫禄。出勤する飯田さんと一緒に家を出て、わたしは自転車をころがして帰宅。明日はこのIKAZUGOKEアルバムをプレゼンしに流通会社のB社さんに行くので、その紙資料を作る。今回IKAZUGOKEリリースに当たり、ひさしぶりにわたしの自主レーベル、わらびすこ舎を動かすので、ちょっと張り切りモードになっている!(そうは見えないかもしれませんが……)夜、今日が締め切りだった原稿を一個、仕上げて送った、

7.6木
朝、プレゼン資料をコピーしにコンビニへ行こうと家を出たら、ちょうど扉の前にコピー用紙に昔の活版印刷のような文字で「みっこくやろうをやっつけれ」という怪文書が落ちていた。これは、なんや!? 一瞬、わたし個人が誰かさんの恨みを買ってしまって、このような攻撃を受けているのか怖くなったけど、近所を見回すとあらゆるところにこの怪文書が落ちている。玄関前や、自転車の籠なんかに片っ端から入れて行ってる様子。うひゃっ! わたしのカルト心くすぐられまくるこの怪文書。まず、全く何を訴えているのかがわからない。そして「やっつけれ」っていうカタコト感のニュアンスが可愛い。そして、活版印刷ぽく細工してあるのやけどちっちゃい「っ」だけは作れなかったからか、よくみるとマジックで「っ」だけ入れている。と、いうようなかわいらしさと危なさを兼ね備えた犯人は一体……?て思うと、たぶん、年の頃合いは60代70代、パソコンは使えない世代の仕業と推測できる。おじいちゃんが朝方ひっそりこうやって近辺の家じゅうに怪文書を撒くというささやかなテロを行っている、という絵を思い浮かべるだけでなんてときめくのでしょうか! んん? 普通は気持ち悪いこんな怪文書、見て見ぬふりか無言で捨てるのが正しやり方なのかな? わたしはすごくおもしろいもの見つけた気持ちになって、るんるんで近所にまき散らしてあった怪文書を拾い集めて楽しんでしまった! けど犯人からしたらせっかく撒き散らした怪文書を回収されて、さぞ不本意やったことでしょう。さて、そんな怪文書を拾い集めながら、駅へ行き、飯田さんと待ち合わせして、ふたりでいざ学芸大学。今日は学芸大にある流通会社のB社さんへ、IKAZUGOKEアルバムのプレゼンをしにいくのであーる。B社さんにはわらびすこ舎でかなり前からお世話になっているので、わたしはわりと馴染みの会社で、みなさんアットホーミーな感じでギョーカイ臭を一切出してこられないのでわたしはあんまり緊張せずに訪問。わらびすこ舎営業担当のY田さんにおひさしぶりですのご挨拶をしつつ、飯田さんを紹介する。そして出来たばっかりでまだマスタリング前のアルバムを聴いてもらいながら、昨夜作った紙資料を見ていただく。しかし今回のアルバムは一言でいうとコンセプトアルバム? というやつなので、たぶんなんの前情報もなく突然聞いたら、一体なんじゃろうこれはっとなることでしょう。紙資料を見てもらいながら、色々裏設定などを説明説明。Y田さんは営業担当の方なので、これをどうやって売っていきましょうかという話になる。そら、当然なる。わたしがいちばん考えるのが苦手な分野である。いちばんありがちな手法は、大物の誰かにコメントをもらって、それを全面に押し出して宣伝、というやつやのやけど、今回の場合、誰にコメントをもらうのがいいのかすごく難しい。IKAZUGOKEはヒップホップユニットやけど、たぶんいちばんの売りはそこではないし、悩む。悩みながらも今後のざっくりとした情報出しなどのスケジュールを決めていく。と、わりとあっという間に発売日がきてしまいそうなので、若干焦る。途中からプレス担当のN瀬さんもいらしてくれて、N瀬さんは今でこそプレス担当になっておられるけれど、もともとわたしがチューバディスクから『聴心器』でデビューしたときの営業担当さんやったので、なんだか懐かしい気持ちに。和気あいあいとジャケットの形や紙の相談をし、納期などを調べてもらい、打ち合わせは終了。終わりくらいに入れ替わりでM尾さんが帰っていらしたのでM尾さんにもサンプルをお渡し。我らの次に打ち合わせでいらしてたいかついめのお二方、アナーキーのTシャツとか着てはったからもしかしたらアナーキーのメンバーさん?とか思ってたら、後々S肌M殊さんやったということがツイッターで発覚。ご挨拶したけばよかった。飯田さんとB社を出て、せっかくはるばる学芸大なんかに来たからこの辺で、ちょっと今後のぷらんを練りながら飲もうとなり、しかし足立区と違ってこの辺はたぶんお高いのよ、とびびって、懐にやさしそうな養老乃瀧へ。そこで今後のプランを打ち合わせしてたらいつのまにか10時くらいになっており、忘れてたけどここは目黒区。足立区へ帰るには1時間以上かかるんやった!と思い出して帰路。しかし今日はちゃんとプレゼンも出来たし、飯田さんとゆっくり飲めたし、充実した日やった。

7.7金
朝、某溺死ジャーナルの原稿の決定稿をK吉さんに送る。これは溺ジャ以外では絶対書けない、いや、普通の倫理観念がある人間なら、墓場までもっていくような内容なのかもしれないけど、K吉さんから「溺ジャでしか書けないことをお願いします」とのオッファーやったので、これはもう、書くしかないでしょうって感じのやつを書いて送った。飯田さんが14時に我が家にやってきて、ライブの練習。そう、今日はIKAZUGOKEで秋葉原グッドマンでライブなのであーる。一応七夕イベントなので、七夕コントを考えて飯田さんが天の川や織姫彦星を段ボールで作ってきてくれたので、それで七夕コントの練習。楽しい。そこからラップへ流れる練習や、ひさしぶりのネタの練習などもして、ふたりでいざ秋葉原秋葉原はこちら足立区からぎりぎり近い範疇に入るので比較的行きやすい。普段、わたしはもう最近はワンマンとか、ツーマンとかしか出てないので、こういうザライブハウスで対バンがたくさん長丁場のイベントに出ることがひさしぶりだったので、音の大きさや、若者率の多さに若干やられる。イベント自体はわたしの大バンドのベース、ゆっきー主催だったので、決してアウェーではないはずなのに、やっぱり我らはそもそもバンドじゃないからアウェーというか、なんか気を抜いたら居たたまれない気持ちに負けそうになる感じ。という個人的な性格上の問題点のせいで、知らない人が話しかけてくれてもわりと愛想悪く対応してしまい、人見知りが結構出てしまって後々ちょっと反省した。今日は、秋にやりたいと思っているIKAZUGOKEのレコ発にゲストでお呼びする予定のM崎T夢さん、K井K夫さん、あとそのお友達の放送作家Hさんなどがいらしてくれてて、我らを見たあとは近くで飲んで待ってくれている状況やったので、色々気が気じゃない感じもあり、最後片付けや物販を飯田さんに託してわたしだけグッドマンを先に出て、みなさんと合流。そこで、どんな感じでしょう、出ていただけますでしょうか?という相談をしつつ、色々楽しく恐ろしい演劇業界の裏話に花が咲いた。しかしお三方みなさんわたしらなんかからしたら立派な大御所というか、名のある方々なのに全然威張らない寧ろすごく低姿勢で接しやすくおはなししてくださって、そしたらT夢さんはおもむろに秘密ノートを取り出して、年下と仕事するときの三ヵ条、みたいなのを見せてくれて、威張らない、愚痴らない、見下さない、みたいなのをすごい普段からご自分に言い聞かせてらっしゃるそうで、なんて、なんて誠実な、そして可愛らしい方なのやろう!となった。途中で飯田さんも合流して、レコ発にどんな形で絡んでいただくかなどの具体的な相談なども一応できたので、というかもう普通に時間が終電くらいになってしまっていたのでお開きに。いや〜本物の方は業界臭を絶対出してこないし寛大で、わたしらみたいなぺーぺーにも同じ目線で話してくださるんやねって飯田さんと言い合いながら足立区へ帰還。今日の反省や今後のことなども相談したかったので、結局いつもの和民へ流れる。そこで、ちょっと今直面している我らの結構まじでしんどい悩みについて話し合って、具体的な解決策を試案しあい、なんとかうまいこと、なあなあにもならず、こじれもせずいい方向へもっていけるように考えに考え、朝方やっとこさ光が見えた! ということで、3時半くらいに店を出たらもう明るくなりだしており、今日も今日で、山あり谷ありやったけど充実したいい日やった。

7.8土
さすがに朝帰りしたし、今日は寝れるやろ〜寝よ、だらだらしよ、と思ってたけど、眠り薬飲んでも結局1時間で目覚めてしまい、なんやかやパソコンへ向かって、昨夜の悩み案件のメールを考えに考えながら書く。わたしは、文章になるとわりとソリッドに人を傷つけたり不快にさせることをやってしまう傾向がある人間なので(既にこの日記をお読みの方はご存知だとおもいますが)なるべくそれをやらないように、しかし感情は伝えた方がいいので、感情も伝えつつ、しかし冷静に大人に、なかなかの長文を書いて送信。ひと仕事終えたらちょっと気が抜けて、ぼんやりしてたら気づいたら眠ってたりして、夜はまた飯田さんと駅で待ち合わせ、しかし今日は遊び。赤犬のライブを代官山ユニットに見に行った。代官山ユニット、中に入ったのははじめてやったのやけど、すんごい地下なんやね! ものすごい地底まで階段を下りると、ザ・クラブ的な雰囲気で既にDJさんがぶいぶいに盛り上げておられて、たぶん総勢500人くらいはおるんじゃないってくらいの大人数が湧いていた。飯田さんとふたり、ちょっとびびる。しかし、赤犬のライブは最高やった。これぞエンターテインメントというか、お客さんの心を確実につかんで楽しませ、そしてご本人たちも全員楽しんでおられる感が漲ってて、ほんとにすごくすごく楽しいライブやった。でも人を楽しませるというのは実は簡単ではないのは、わたしもよーくわかっているので、あれは当然の如く全員演奏力が抜群で余裕のよっちゃんな上に、実はしっかり構成を決めて、ナイトサパーズとイトウタカアキさんのバランスも絶妙やし、ショウとして完成度がすごい! ってわたしったら何様ですかって感じやけど、楽しませるプロってすごいなあと感銘を受けたのでした。そして、ナイトサパーズの踊りを見て、わたしらももっと踊りを研究しよう! っと飯田さんと帰り道誓いあった。あと、レオタードかわいいね、ナイトサパーズは全員おっさんやけど、おっさんレオタードって可愛い。ユニットを出て、駅までの道、クリーム色のレトロなベンツやBMが当然のように止まってて、やっぱ代官山てすごいなあって、ちょうど不動産屋があったから外から部屋の間取り図とか見てたら、ワンルームで15万とかで、足立区と違い過ぎて笑っちゃった。足立区に帰り、貧乏なので今日はふたりで日高屋。足立区の日高屋は毎回、なんかしら怖い人が隣の席に来ちゃうのやけど、今回は見た目普通のにいちゃんが、野菜たっぷりタンメンに、ラー油をひと瓶全部かけて食べていて引いた。そんなのを横目に、わりと真面目に、IKAZUGOKEジャケットの相談をした。来週は撮影であーる。飯田さんは連日の飲酒により、アルコール筋症とゆうのになってるそうなので、今日は深酒はせず、早めに午前様寸前に帰宅。

7.9日
お昼に家を出て、下北で取材。大阪のアンダーグラウンドシーン、特にベアーズ近辺のことを本にしようとしてらっしゃるMCBOOさんという方と、ライターの方とカメラマンの方で下北のザックという喫茶店で取材&撮影をした。はじめましての方とちゃんと喋れるかちょっと不安やったけど、色んな共通の話題がありすぎて、結構かなり盛り上がり、あっという間に1時間が経っていた。ベアーズに出ていた頃のことを思い出したり、H山さん界隈の愉快なみんなのことを思い出した。当時のわたしはもっと暗かったけど、今思うとすごい色んな愉快な人に囲まれてたわけやから、もっとエンジョイできてればよかったなあ。でも、そしたら大阪が好きなままで東京なんかに出てきてなかったかー。取材がおわり、渋谷に出て、今日はその後、C子せんせいと花代さんとの劇の練習。今日はダンスの先生が来て、最初ちょっと後ろ歩き後ろしゃべり?なんかの動きを教わった。そうこうしていたら今回の4人目の役者さん、というかたぶんキモとなるであろう、奇病のおじいさん役をやってくださるA屋N水さんがいらっしゃり、一瞬にして只者やない空気を発せられていらっしゃる方で、おお…となった。しかしご本人はすごく温厚で話しやすくていい方やった。Kちゃんとい10歳の娘さんを連れてきていて、というかたぶんKちゃんはこうしてそとにお父さんが出るときはいつも着いてきているんだろうなあというのがわかる関係性、お父さんのことがすごく好きで、そして絶対的な存在であるということをすでに知っている、だから常にお父さんを気にかけていて、10歳の少女らしくはしゃぐのだけど、まずお父さんの顔色を気にしていて、ちょうどお父さん、調子悪そうでおでこに冷えピタを貼っていらしたので、本当に具合悪かって単純に心配してるだけなのかもだけど、「大丈夫? 横になる?」とかまるでおかあさんのように振舞って、頭をよしよし撫でたりしていて、すごくきゅんとした。そして、子どもには懐かれないことで有名な北村さんなのに、なぜかKちゃんは会うなり「声がやさしいからわたしあなたが好き」と超ストレートに言ってくれて、それでこっそり耳元で「遊んでもいい時間になったら教えて、わたしあなたと遊びたい」ってゆってくれて、そして気づけばわたしは、Kちゃんと屋根の上に泥んこになりながら登ってはしゃいでいた。ふしぎ。でも、今思うと、彼女はもう立派な大人で、10歳だけど既に大人達と一緒に何本も舞台に出ている女優さんでもあるので、ただの子どもでは絶対になくってすごく聡明で相手を見つめる力のある子で、だけど、だから、すごくオトナな面と、そうとはいえ10歳の少女の面がどっちもあって、ものすごく神秘的な奇跡の存在に思えた。そんな少女がわたしを気にってくれるなんて!とありがたい気持ちで、一緒に屋根に登ったりしてたけど、その屋根の上でする会話もまるでオトナと話してるような感覚になる感じで、終始わたしは負けていた。いや、勝ち負けではない。また遊ぼうねって言ってお父さんに連れられて帰って行かれました。だけど、よーし!お芝居もこれで役者がそろったー!という感じで、しかもいよいよ楽しみな面々。どんなものになるのかは未知やけど、10月27、28、29日は今からあけといてください。