7.10〜16日記

7.10月
朝から普通に労働。IKAZUGOKEアルバムを出すことに決めて結構脳みそが忙しい。一応、わらびすこ舎からのリリースということになるので、舎長はわたしなので、そして今回はひとりで完結するものではなくって、飯田さんというパートナーがいなければ作れないものやし、それから色々な人の助けを借りて作って行かねばなので、方々へ連絡を取って考えないといけないことがたくさん。とはいえ、飯田さんがわたしの苦手分野はすごく助けてくれるのでありがたい。今日も急遽レコ発の企画書なるものを作らないといけなくなったのだけど、それも緊急で、わたしはとりあえず夕方までは労働なので動けず、という相談を飯田さんに朝連絡したら、夕方までの間に概ねを考えてくれてめちゃんこ助かった。そっちの件はなんとかなりそうと光が見えだしたのやけど、今度はレコ発会場の件で急遽予想外のことが起きたので、夜、飯田さんと近所のベローチェで緊急会議。そこでまた方々へ連絡をとるも徒労に終わる。お金のことを考えるのがとても苦手なふたりなのだけど、赤字になっては何の意味もないので、最良の策を考える。これが最良の策かどうかはわからんけど、一応方向性が決まって会議は終了。先週から連日ふたりで飲酒(いやわたしは飲んでないけど)してるので、今日は飲まずにコーヒーだけで健全に解散。

7.11火
朝から普通に労働。コーヒー運んだり高速皿洗いしたりしながら、休憩時間に企画書も送る。わたしったらよく働くやーんとしばし自分をほめる。夕方労働上がったら、休憩室に今日は仕事休みのはずの若人たちが集まってきていて、なんなん?今日なんかあるん? と聞くと、来週のAちゃん送別会のビンゴ大会の景品をみんなで買いに行くというので、他の人やったらわたしは今までどちらかというと送別会すら欠席する付き合いの悪い人間やのやけど、Aちゃんというのならって感じで、わたしもついていくことに。というのも、若人たちに任せていた結果、半年くらい前に辞めたわたしが2番目に好きやったKさんは女の子なのにビンゴでオナホールが当たるという可哀想な最後を迎えることになったらしく、また若人たちに任せてたらそんなことになるから、「わたしもついていくわ!」と勇んでドンキについて行く。しかしH田くんという、わたしとタッグを組めばいつも下ネタを言い合って遊んでくれる24歳の青年とわたしは、ドンキのアダルトグッズコーナーで盛り上がってしまい、結局大人のオモチャを2個もカゴに入れてしまった。しかし、今は色んな気の利いたデザインの可愛い大人のオモチャがあるのやね。100均でラッピングの包装紙なんかも買って、みんなでラッピング大会。こういうのも意外にたのしい。その後、みんなで飲みに行くというので、たまにはこういうのもいいかと思ってついて行く。鳥貴族のバッタもんのような、鳥貴族より更に安くてしょぼい居酒屋へ。ここで、わたしはCCレモンを注文したのやけど、一口飲んで、あれっ?と思ったので、これお酒とちゃう? と心配になって若人たちに飲んでみてもらうも、完全にCCレモンですよ〜とみんなゆうので、そうゆうもんかな〜とびびりながらちょびちょび飲んでたのやけど、やっぱりみるみるわたしの体調も変になってきて、店員呼んだらわたしがさっきから飲んでたのはレモンサワーやった! がーん! ホレ見たことか! もう誰も信じない! しかしちょっと前にもウーロン茶頼んだらウーロンハイが来ててぐびっといってしまってひっくり返りかけたことがあったから、用心して舐めるくらいしか飲んでなくて助かった。でも一応店員の前では「水を! 早く! 水を!」と渾身の演技をしてみたけど、普通に伝票はつけられたままやった。まあそんな事件もあったけど、男2人女3人、わたし以外全員20代前半という面々やのやけど、たまにはそういう、同僚というだけで別段なんの趣味もあわない若人たちと交流するのも悪くないなあと思った。若くても意外と大人やな〜と思う子や、やっぱりピュアやな〜と思う子もいて、こういう機会でもないと、どうしても偏った人としかわたしは会わないしプライベートでも接触しないので、外を見渡すという意味でも人付き合いって大事やなあと思って勉強になった。

7.12水
洗濯ものがたまりにたまっていて、気づけばパンティが引き出しにゼロ。しょうがないので全部洗って、今日はノーパンで過ごそう。別におでかけの用事はないし。もちろんノーブラです。というかわたしは申し訳程度にしかお乳がないので、基本家ではノーブラやし、いや、足立区内ではほぼノーブラである。一人暮らしの女の子は意外に家では全裸ですという子が多かったりするのやけど、わたしは一応ちゃんと服は着ています。裸族ではありません。でも、意外とノーパンで過ごせることがわかってしまったので、これからちょいちょいノーパンの日が増えるかもしれません。といっても一応仕事やお出かけの時はちゃんと履きますよって、公序良俗には反しませんのでご安心を☆ 昨夜帰ったらポストにMTから月亭可朝さんの33年ぶりの新曲「いってる北朝鮮」というCDが入っていたので、朝イチから6時間ぐらいずっと聴いていた。このCDは歌は1曲だけやけど、あとは可朝師匠のお噺と、去年のベアーズライブの模様が42分も入ってるお得なCDで、やはし可朝師匠は噺家さんやからか、ものすごくおしゃべりがおもしろく、そして何回聴いても飽きない。音楽ですらわたしは何回もは聴けない人間なので、6時間も聴いちゃうなんてやっぱりすごい。可朝師匠は、結構色んなスキャンダラスな歴史もあられるけど、話をきいてたらものすごくやさしい人なんやとしみじみ感じて、こういうおっさん(いや、もうおじいちゃん?)は必要やと痛感。あの有名なボインの歌かって、なんか一般認識的にただのスケベソングのような扱いになってるけど、実はあれはすごく女の子にやさしい歌なんである! 女の子はつらいことや苦しいことを、男みたいに酒やギャンブルで飛ばさずにじっと胸に溜めてるから、おっぱいが膨らんでるんやで、という歌なのらしい! 今までそんなこと知らんかったので目から鱗やった。6時間も聴き続けていたら、だんだん可朝師匠にときめいてきている自分に気づいて焦る。いや、あれはモテるでしょ。モテるよ。おっさん好きにはたまりません。そうやって可朝師匠にときめきながら、今日は家で原稿と、わらびすこ舎の仕事。某文芸誌へのみじかめの単発エッセイを書いて編集さんに送信して、その後はワードを駆使してわらびすこ舎資料をつくったり、情報収集してプロモーションのやり方を考えたり、明日のジャケ写&アー写撮影用の衣装を縫ったり。一日ノーパンノーブラやけど、それなりに仕事した気分の日。

7.13木
昼から、衣装を色々もって自転車ころがして飯田さんちへ。今日は撮影。といってもカメラマンはいないので、お互いがお互いを撮影しあうスタイル。飯田さんちについたら、白い布をバックに貼って、漫画や本をたくさん積み上げた上にライトを挟んでスタジオのようになっていた。すごい! まだ秘密ですが、今までにない色んな恰好の写真を二人分で合計246枚も撮った! すごい楽しかった! すごい楽しく撮影を終えて、データをデザイナーのU崎さんに送り、ふたりで乾杯しようとスーパーへ買い出ししにいって、部屋に帰ってきて乾杯しながら、今後の相談などもしていたところへ、また問題点が勃発。そこから折角の乾杯モードが一変し、2時間ほどふたりで狼狽える。いや、実のところわたしはそんなに狼狽えてはいなく、というと恰好つけてるみたいやけど、俯瞰で見て冷めた気持ちで、うーわって思いつつ、でもそう冷めてても話は好転しない、そこからふたりで1時間半くらいお相手と電話で話し合う。話をするときに、超素直に感情をぶつけることができる人と、そうでない人がいて、わたしも飯田さんも後者で、お相手は完全に前者の方やったので、すんごいストレートに怒りの感情をぶつけておられて、どうしたもんやろうかと、とりあえず怒りを鎮めて冷静になっていただかないとおはなしはできないので、ふたりで平謝り。そう、こうなったとき、後者側の人間は必要以上に遜って謝り倒してしまう、これも本当はたぶん、あかんのやろうとおもうけれど、確かにこちらに非があったは認めるけれど、そんな逆鱗に触れることか? そして、そこまで言われないとあかんことでしょうか? と、改めて問題が起きた最初の文脈を読み返しても、そこまでのことには思えないし、でもお相手がこうなってしまった以上は、無理やり仕事をお願いするわけにもいかないから、無礼を詫びたおした上で、引き下がって、もうこちらでやります、と伝えたのだけど、たぶんそういう態度をとると前者側の方は余計に腹が立つのか、怒り心頭しながらもどうしてもやると言いだして、もーどうしたもんかな〜と飯田さんと代わりばんこに電話口に立っておはなしする。お相手はすごくいい仕事をしてくださる方なのは間違いなく、しかしわたしたちとは当然状況も違えば、生活も性格も全然違うくて、お相手は超ド級の情熱家さんであり、感情はすべてぶつけ合うことが美徳やと信じていらっしゃり、だけど、わたしは正反対の冷めた人間なので、感情のぶつけ合いが必ずしもいい結果を生むとは思っていない。というかどうやったらそんなに情熱をもてるのか、感情を相手に思うがままに叩きつけられるのかが不思議でたまらなくて、出来るものならわたしかってそうやってみたいのかもしれない、でも、その回路がない。ひとつわかることは、この前者と後者の間にはどうしようもない溝があるので、それは埋まらない、わからないままわからない上で、自分とは違う人種なんやと思った上で、お付き合いしなければいけない、ということで、とはいえ大人なので、しかも仕事なので、わたしも少し公私混同しかけた部分もあったけれど、仕事の出来栄えの面では、お相手とわたしたちは一緒におもしろいものが作れる、という自信はあるので、ここはお互い我慢しながらもやっていかないといけないのでしょう。せやけど、もういい大人なのに、色んな人間がおるのやで〜ということを前提に生きておられない方もいらっしゃるというのは、これまでも経験してきたとはいえ、またかーという感じ。感情をぶつけるということで、相手が喜ぶとおもってぶつけるのやろうか。負の感情をストレートにぶつけられると、相手は傷つくということを考えたりしないのやろうか。謎は深まるばかり。しかし、一応今回の件は話はついたので、電話を切って改めて飯田さんと飲みなおし。だけど、人と関わるというのは本当に疲れることだね、出来れば自分ひとりでやれないものかって思っちゃうよね、と語り合った。わたしも飯田さんも基本、自分ひとりで10年以上やってきた人間なので、多くの人を巻き込んでなんかをするというのが大変苦手である。とはいえ、自分以外の人とやるからこそ発見しておもしろくなるという経験もしてはいるので、最初から排除してしまうのはなるべく避けたい。しかし似ているところは多々あるわたしと飯田さんやけど、飯田さんの方が圧倒的に心が広く、ちゃんと負の意見も聞き入れる、そして真面目だからそれによって悩んだりしている、でもわたしはまず人からあまり意見を言われることがない。もしかしたら、聞き逃してるだけなのかもしれないけど、批判というものをたくさん受けた経験があまりない。し、たぶん批判されたところで、ふーんて感じで別に悩まない=聞き入れないでありましょう。なんかすごく今回の件でつかれたけど勉強にもなったわ、と1時半頃にお暇して自転車ころがして帰った。

7.14金
昨日あんなに揉めに揉めたにも関わらず、U崎さんは最速でいい仕事をしてくれて、早速仮のアー写がきたので、ありがたく頂戴し、資料にハメ込んで印刷。うむ、良い感じや! なんやかんやでいい仕事をしてくださるので、やっぱりU崎さんはこのプロジェクトには必要な人やと改めて思った。我らの心が折れてしまわない限りは。昼間は原稿の直しをして送ったり在宅業務をして、夜はポレポレ東中野へ。今日は堀禎一監督の映画『夏の娘たち〜ひめごと〜』のアフタートークゲストで呼ばれていて、主演の西山真来ちゃんとトークした。映画もあらかじめDVDで拝見してたけど、改めて映画館で見るとやはし全然迫力が違うくて、特に音がすごくよかった。音楽は、音楽というか録音から整音まで全部、虹釜太郎さんがやってらして、虹釜さんとはわたし、円盤で出会って、その後もイベントに来てくださったり、映画の音楽も、ちょうどわたしが『息衝く』や『チョコレートデリンジャー』の劇伴音楽作りで悩んでいた頃に、虹釜さんはこの映画の音楽を作ってらしたので、お互い裏話なんかを交換したりしてたのやけど、しかし、あの虹釜さんがこんなに素晴らしいちゃんとした映画音楽を作る方やったなんて!?と、わたしはびっくりしてしまった。虹釜さんといえば、カレー野獣館という、普通には読めない謎めきすぎてる本を書かれていたり、一か月ひとつの食材だけ食べて生きるという謎のストイックな暮らしを趣味で何年も続けておられて、結果体調を崩しまくっておられたり、そういう変人奇人枠の方(←褒めてる)と思っていた。だけど、今回の映画音楽を聴いて、すごーと改めて見直した! 映画のストーリーは、とある山村に戻ってきた32歳の女(西山さん)と、そのまわりの家族、親戚、ご近所さんなどの、一見のほほんとした肌触りの映画なのやけど、実はかなりえげつないことが行われまくっていて、ネタバレになってしまいますが、田舎では喧嘩とセックスしかやることがない、という田舎ヤンキーあるあるを彷彿するような内容で、とにかく誰彼構わず見境なく、みんなセックスをしまくる。それが兄弟姉妹、親族であろうと見境ない。でも閉鎖された村の中では別段、おかしいことにもなっていなくて、みんなのほほんと暮らしている。わたしは勝手に自分の小説『裸の村』と繋がる! と思ってしまったんやけど、田舎の村の閉鎖感とその内側でさも当たり前に行われているタブーが重なって、うわーっと思いながら拝見した。そんな内容やったので、アフタートークでは壇上でセックスセックスと連呼してしまいましたが、ほんとにそういう映画やったし、でも西山さんが「わたしたちも夏の娘たちが他人事やないじゃないですか」といわれ、確かに、32歳(西山さんとわたしは同い年)、しばらく都会で生きてみたけれど、恋愛もうまくいかず田舎に出戻るという選択をした友人知人は多々いるし、わたしたちやって明日は我が身な話でもあった。堀監督ともお会いしておはなししてみたかったけど、今日は体調を崩されたそうで会えず。でもまた会えるかな。映画は異例の人気作につき延長が決まったらしく8月4日?くらいまでポレポレ東中野でやってるらしいです。この夏、ぜひ見た方がいいです!

7.15土
朝、昨日こさえた第一陣のIKAZUGOKE売り込み資料を投函して、今日はブス会*を御徒町へ見に行く日! いきしな電車の中、日比谷線で、お向かいに座ったおっさんが金魚を持ってて、しかも完全に金魚すくいで取ったであろうビニール袋にはいったやつ。なんかほっこりした。御徒町、せっかくなので近くの純喫茶丘に行こうと早い目に家を出る。上野とかこの近辺は実はいい喫茶店がたくさんあるのであーる。丘は中でも別格の、わたしの中で五つ星の喫茶店。年季もんのシャンデリアやステンドグラスは当然のことながら、ちゃんと文春やミナミの帝王なんかの漫画も充実してるのが信用できるポイント。そして値段も新宿渋谷の喫茶店と違って全体的にお手頃。ナポリタンもおいしそうやったけど、おなかは空いてなかったのでコーヒーフロートを注文。外があまりにも猛暑やったので調子こいて冷たいのたのんでしまったけど、中は冷房ぎんぎんなのですぐ寒くなってちょっと後悔。でもカーディガンもってたので助かった。しばらく読書。

いい時間になってきたので歩いて会場へ。今回は12月にやる男女逆転版「痴人の愛」のリーディング公演とのことやったけど、リーディングではじめてわたし、面白いと思った! 唐組の若手看板役者福本さんがナオミ役なのやけど、唐組での汗水涎の滴る熱烈な芝居とは真逆の、冷めた冷徹なお芝居がすごくよかった。もちろん話をひっぱっていく安藤玉恵さんも素晴らしかった。みなさんうまいなあ〜っと思った。12月の本公演が今から楽しみ。

7.16日
特選小説連載の取材で某M駅にあるダンススナックボンソワールというお店へ飯田さんと潜入。ここは飯田さんのザギンの同僚が紹介してくれたお店なのやけど、スナックのような形でありながら真ん中にはかなり広いダンスホールがあって、そこでみんな飲みながら手をとり腰を合わせ社交ダンスを踊るのである。わたし、社交ダンスなんて当然初体験やったのやけど、社交ダンスというのは基本男性がリードしてくれるから、女子はめちゃくちゃでもついて行けば乗っていけるもので、いや決してちゃんとは踊れてないのやけど、男性にリードされてクルクル回してもらったりするとやはり心踊るもので、取材のはずが普通に楽しんでしまった。客層の年齢が60代〜80代って感じで、男性も女性も、だからもうみんなおじいさんおばあさんなんやけど、そんなおじいさんおばあさんが楽しそうに踊っているだけで絵になるし、おじいさんにクルクル回してもらうのはなかなか楽しいものやった。詳しくは特選小説の連載で書くのでこの辺までにしときますが、おじいさんとおばあさんが手をとりあって腰をあわせて踊るというのはなかなかロマンチックで絵になる光景ですっかり取材を忘れてたのしんで、また行こうという気になっている。いや〜想像通りと言えば想像通りやったけど、良いところやったね、と近所の居酒屋で飯田さんと言い合って終電で別れた。