わたしの住んでいるマンションは誰でも上がれる屋上があって、週に一回そこにシーツを干していたのだけど、今週、同じフロアのおばさんに「あそこは昔からうちが洗濯干してる場所だからやめてもらえる?」と言われてしまった。すれ違うときとかいつも感じよく挨拶してくれるおばさんだったからちょっと怖かった。引っ越してきて1年も経ってないわたしはこのマンションで一番の新入りなので、まだまだ屋上を使える身分ではないようです。
和歌山に来て、要所要所で、うわ〜これが村社会ってやつか〜みたいに感じることがある。そういう意味では東京はある意味健全で全員が平等で、全員があまり他人に関心がないので楽チンではあった。地方は謎に監視社会なところがあって、お互いがお互いを見張っていて、ちょっと変な行動をすればすぐさま村全体に広がるらしい。ターゲットになってしまうとテキメン村八分にあって住みづらくなってしまうので、変なことしないように気よつけよう。
お彼岸が過ぎて、たぶん金木犀の季節なんだけど、まだ今年は金木犀の匂いを嗅げていない。我が家の付近に金木犀の木がどうやらなさそう。あの甘くてまろやかな匂いのする、ちっちゃな粒々のお星様を愛でたい。でないと秋を始められない。秋といえば、和歌山はトンボがすごくたくさん飛んでいる。夕方トンボの大群にわりとよく出くわす。
シルバーウィークはずっとおうちに引きこもっていた。ひるまはずっとパソコンとにらめっこして、ひとつ小説を仕上げた。200ページ超えのまあまあ長いやつ。勝手に書いてただけのものなので出版予定は特にないです。誰にも読んでもらってないけれど、まあまあおもしろいと思っている。いつかちゃんと形に出来たらいいな。そして既にもう新しいやつを書き始めている。こっちは短編の予定なのでそんなに大作ではない。発表できるかはさておき、小説を書くのは好きなのでたのしいし没入できる。書くだけならお金もほぼかからないし。

最近はキッチンのこの風景が気に入ってて、大体キッチンにいる。ちょっとポトフを煮ながら読書したり、小説もこの机でぱちぱちしたりしている。ちょっと前までは家だと色々集中できなくて、わざわざスタバとか図書館の自習室とか行ってたけど、今はおうちが快適なので一日家から一歩も出ないこともある。その場合、一日パジャマなのでこれはちょっとあかんかもしれない。みんな家から出ない日でもちゃんと着替えるもの?
今週は近所の喫茶店にも行かず、あまりにも自宅警備員しすぎだったので、日曜日は大阪におでかけしました。ずっと行きたくて、でも金土日しか営業されてないのでなかなかタイミングあわず伺えてなかった【喫茶グリル幸の屋】さん。東部市場前駅とゆうはじめて降り立つ駅からあること10分ちょい。扉をあけると夢のような空間がひろがっていました。決して大きなお店じゃないんだけれど、ゴージャスなシャンデリア、綺麗な空色の壁紙にカーテン、乳白色のテーブルにゴブラン柄のソファ。隅々まで美しい店内にしばしうっとり。やさしいママさんが気さくに話しかけてくださり、ナポリタンとアイスコーヒーを注文。

鉄板のあつあつナポリタンはしっかり炒められてるのでケチャップがちゃんと絡まってておいしい。アイスコーヒーのグラスもかわいい。遠くまで来た甲斐があった。ママさんが来客ノートと色ペン色鉛筆セットを渡してくれて、開くとお客さんたちの思い思いのメッセージに全部スタッフさんがお返事も書いておられて交換日記みたいになっていて、わたしも書かせていただいた。みんなに愛されているのがとてもよくわかる、素晴らしい喫茶店でした。
その後、市バスで難波で出て、アメ村まで歩く。難波は相変わらず外人さんだらけで真っ直ぐ歩けないほどの人混みだったけど、アメ村の寂れっぷりにびっくりした。日曜日なのにガラガラで殆ど人が歩いていない。今こんな感じなんですね。まあ歩きやすくて助かった。
BIG CATの中にあるキノシネマ心斎橋へ、評判の映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』を見に行った。チケット取った朝の段階では空席だらけだったのに、結果的に満席だった。ベトナム戦争から帰ってきたネルソンさんは、戦争PTSDでたびたび人を殺してしまったフラッシュバックに襲われてカウンセリングに通っているんだけど、カウンセラーのおっさんがスパルタすぎて「あなたはなぜ人を殺したんですか?」と何回も何回もネルソンさんに問い詰めてて驚いた。あのカウンセリングは正しいんだろうか。ある種のショック療法なんだろうか。兵士は加害者なのか被害者なのか、というのがこの映画の主題なんだろうけれど、カウンセリングで最終的にネルソンさんは「わたしは人を殺したくて殺しました」と泣きながら何度も口走る。それがカウンセリングのゴールのように描かれていた。なんじゃこれ、と思ってしまった。ネルソンさんはとても心のやさしい青年で、戦場でも最初は遺体を目の当たりにしてゲボを吐いてしまうくらい繊細だって、しかし上官に「相手を人間だと思うな」「問答無用に殺せ」と教育され、ライフルを撃つしかなかった。それでもこっそりベトナム人側の軍医に薬や食べ物を横流ししたり、ベトナム人の子どもたちとサッカーしたり。防空壕のなかでベトナム人の出産を目の当たりにした際も、赤ちゃんにもお母さんにもライフルは向けられなかった。とても人を殺したくて殺していた人には思えない。そんなネルソンさんに「殺したくて殺した」と無理やり言わせることがカウンセリングなの? という点では疑問が残ったけれど、2時間全くだれることなく没入させられる戦争映画はわたしの中では初めてで、きつい内容ではあるけどちゃんと見やすく作られていていい作品だと思いました。
【今週の読書記録】
『輝ける星の下に』橋本治著 千木良悠子編(河出書房新社)
橋本治の、単行本未収録の短編集。東京で何度も演劇公演に参加させてもらった演出家でもある千木良悠子さんが編纂なので読みました。市井の人たちの、平凡な日常の中にある苦しみや悲しみやささやかな煌めきが生き生き描かれていて、特に、人生にいいことは何もないと思っているしがないサラリーマンといじめられて死にたいと思っている少年の語らいの物語「輝ける星の下に」は沁みた。1本目の「牡丹華」は刺青を入れようと決めた寡黙な少女の話で、桃尻娘のあのおしゃべりな榊原玲奈とは真逆だけど、橋本治は少女の胸の内を描かせたら抜群やなあと改めて思った。「異邦人」はカミュの異邦人を落語パロディで書いてておもしろかった。千木良さんの解説付きなので、橋本治ビギナーでも手に取りやすい一冊でした。
『朝のピアノ 或る美学者の愛と生の日記』キム・ジニョン著(CEメディアハウス)
癌を患い、まもなく訪れる死を間近に感じながら日々生活していく哲学教授の日記。青汁を飲んで、散歩をして、空を見て、花を見て、思索して。とりとめない短い散文を一冊にまとめたものなので、料理しながらキッチンでパラパラ読んでいた。生活の尊さをしみじみ感じる。日記の中で出てきた、『ダロウェイ夫人』20年ぶりに読み返してみようかな。
【今週の鑑賞記録】
『モンスター:リジー・ボーデンの物語』
ネトフリのモンスターシリーズの新作。女性殺人鬼は初で、結果的にわたしはこのシリーズでいちばん好みだった。マザーグースの歌にもなっている、1892年に実父と継母を斧で切り刻んだとされている女性の物語。継母を斧で40回、実父を41回めった打ちにして殺したというその犯行からはさぞかし恐ろしい女だったんだろうと想像してしまうけれど、この作品で描かれているリジーは、継母にも実父にも虐げられてきた可哀想な女の子で、内気で友達や恋人もおらず、庭のお花や小鳥を愛で、内面が少女のままの30歳。そこで初めて心を開けるメイドのマギーと出会って、一緒に両親殺害を企てる。ひたむきで真っ直ぐな性格なのが良くない方向に働き、殺すと決めたら有言実行。裁判では、とても女に出来る殺し方ではないとして無罪になっていた。という伝説の殺人鬼リジーボーデンに憧れている、北斗晶にそっくりのアイリーンという売春婦殺人鬼の話が途中から交差してくるんだけど、そのエピソード必要か?とわたしは思ってしまった。でも映像のかっこよさ、美術や衣装の美しさ、音楽の使い方、全体的にすごく好みでおもしろくて一気見しました。
【ライブのおしらせ】
⭐︎11月に東京へ秋の出稼ぎに参ります!今回はツーデイズ!

一日目は、最近『男には簡単な仕事』という単著を上梓され、音楽活動も溌剌とされているニイマリコさんをお迎えし、『男には簡単な、ちんぺろ』というタイトルでトークイベントをします。ニイさんが以前やっておられたHOMMヨというバンドのドラマーキクイさんに、わたしのバンド編成時に叩いてもらっていたご縁もあって、そう遠くない界隈で活動していた同世代の戦友でもあるので、お互いの著作の話や、同時期にアングラの泥水を啜りあった話なんかもできたらいいなと思っています。ありそうでなかった組み合わせだと思うので、トークイベントですがぜひお待ちしています。

二日目はいつものワンマンライブです。弾き語りでたっぷりお届けします。あまり大きな声では言えないのですが、この夏、私生活ががらっと変わりまして、新曲もポツポツできてるので、そういうのも歌えたらと思っています。いつもより1時間早い14時開場なので、お間違い無いようにお願いします。
両日、ご予約の方は、それぞれ件名に「11/14トーク予約」「11/15ワンマン予約」と明記して、本名、携帯番号、枚数をkatumelon@yahoo.co.jp まで送信してください。両日お越しくださったら大よろこびします。
⭐︎10月は和歌山でもライブがあります。
ご予約はこちらから→ https://t.co/Qub5AcPaPH
【北村早樹子から直接届く北村直販】

































