4.17〜23日記

4.17月
昼に飯田さんが我が家にやってきて、ツアーの出し物の練習。新作を主に、あとは全体のおさらいをして、ラップもぎんぎんに踊りながら練習。いい汗かいて、それから飯田さんの大量の紙芝居と物販の本やらCDを飯田さんがもってきた布に上手に包んで最終的には特大ゴミ袋に入れてしばって、それを沖縄便と大阪便をつくり、近所の郵便局へもっていく。形も大きさも謎すぎる塊を持って行ったので、ちょっと局員さん引くかな〜と思ったけどてきぱき計って、わたしも伝票に住所&中身を書いて、まずは沖縄便、それから一回帰って再び大阪便(ほんとに大きくて重いので女子ふたりでは一回では運べない)を台車で運んで持っていき、無事出荷! 雨が降る前に持って行けて助かった。郵便局から帰ってきて、ちょっとだけふたりで歌ものの練習をして、さすがに3日連続で飲んでるので、また木曜からは10日間ずっと毎日飲むだろうから今日は大人しく帰りましょうとなって夜には解散。あーツアーの準備しな〜と思いながら、トランク広げたけどなんもせずにだらだらして寝た。

4.18火
昼から荻窪へ。今日はわたしが日本でいちばんかっこいいと思ってる某劇団の稽古を見学させていただく日。前回秋公演の際も、稽古を拝見して衝撃をうけて、今回もK井さんが「見に来る?」とおしゃってくださったのでお言葉に甘えて伺うことに。駅前の手作りおにぎりやさんで大量のおにぎりを差し入れ用に買って、とことこ歩いて稽古場へ。アイホン7は賢くて、行先を入れたら道順を丁寧にナビしてくれるので迷路のような住宅地を抜けて稽古場へ到着。潰れたショッピングセンターを改造して、セットや照明なども全部つくっていて、すごい、完全に紅テントの中のような心地になる。細かくはまだ公演前やからネタばらしになるので言えませんが、わたしは今までにK組さん(ってもうここまでくると伏字の意味もないか)は『透明人間』『鯨リチャード』『秘密の花園』『夜壺』しか見たことないけど、これまでとは全然違う、超スペクタクルな感じのお芝居で稽古の時点でもうすんごくおもしろかった! そしてやはり稽古場の緊張感たるや並大抵の人間では耐えられへんやろうという空気。劇をつくる形態って色々あるけど、K組さんは劇団、というか組、の連帯感みたいのがびしばし伝わる。組っていうか、なんやろう、家族? というとちょっと変かもやけど、時には親にも言われたことがないような怒号が飛んでる、上下関係もすごそう、映画『ヤクザと憲法』の東組と色々かぶる。わたしはそういった強い結ぼれの中で過ごしたことがないので、生まれ育った家族すらも結ぼれが希薄やったので、そういう、ヤクザの組のような組織の結ぼれへの憧れがすごいあって、K組さんを見ていたらまさにあの感じがあるなあと思って、とても憧れる。でも自分は絶対あの中には入れないであろうという超えられない透明な壁の存在も感じる。そう、お芝居って、舞台の上と客席との間には見えない消えない超えられない絶対的な壁が常に存在していることを思い知らせてくれて、これが虚構の魅力なんやなあとか考えたりした。18時すぎに稽古は終わって、といっても組の人たちはそのあとから舞台作りの作業とかあるのでありましょう。わたしはK井さんと飲みに行った。恐れ多くも感想を伝えさせていただいたり、K組のKさんの脚本ってわたし何冊か読んでみたことあるけど、文で読んでも意味わからんことが多くて、セリフ量もすごいけどそこに込められた情報量が凄まじくて、それを追いかけるだけでも大変。でもそれをあんな風に、吉本新喜劇ばりにわかりやすくおもしろくてたのしいお芝居に立ち上がらせる演出の力ってすごいなあと思った。でも同時に、この人の脳みそどないなってるんやろって、だって常に全員の動きや芝居に目を光らせていながら、ご自身も結構重要な大役をやられるので舞台の上に乗るし、どの視点で何を見ておられるのやろうって不思議でしょうがない。きっと稽古中は脳みそから煙出るくらい全神経を張り巡らしていらっしゃるであろうので、飲むときは関係なおはなしなんかも交えてたのしくわいわい飲んだ。K井さんはものすごい偉業をなされている方なのに飲んでるときは愉快でキュートなお方で、人間は多面体というけれどほんまにそうやな〜としみじみ思った。そういえば稽古の休憩中に、最近あった某殺人事件が現場がたいへん近いと教えてもらって現場を見に行った!(これはわたしの個人的趣味です)もう規制線は取られてて普通の長閑なおうちて感じやったけど死体が埋まってたなんてね!わくわくしちゃう★ 

4.19水
本日もK組さんの稽古を見学。色々あってしょっぱなから昨日以上に緊張感びんびんやったけど、稽古がはじまって芝居の中に入り込むと、お芝居自体はとても胸が躍る高揚感のある冒険譚なのですごくおもしろかった。昨日聞き逃してしまっていたセリフも今日は入ってきて、色々この謎めいたお芝居の全貌が見えてきだしてさらにわくわくおもしろい。しかしK井さんはご自身舞台の上で芝居もやりながら、全役者さんたちの一挙手一投足に目を光らせつつ、そして今日は照明の当て方も細かく伝授しておられて、ほんとにこれだけのことを同時進行で為しておられるK井さん、何人分の脳みそがあるんや!? と怖くなった。K組は照明音響舞監とか他の色々スタッフも役者さんたちが兼ねてらっしゃるから役者さんたちも、舞台の上で演技しつつ照明卓や音響卓にてきぱき行き来しておられて、もう全員が超すごい! 良いシーンもたくさんあったけど、ネタバレになるので書けません。書けませんが、今日の稽古はA松さんがとってもかっこよくて色っぽくてすてきやった。あ〜公演がほんとにたのしみ。わくわく。今日は見学にK井さんのお友達Gさんもいらしてて、終わったあと3人で飲んだ。昨日とおなじ荻窪駅の鳥もと。色んな政治的なおはなしからお芝居のおはなし、色々したけど切腹を趣味でやってる内科医のはなしがおもしろかった! 終電で帰宅。

4.20木
本日から北村至上最長のツアーに旅立つわけですが飛行機は昼からの便なので、朝はバタバタと準備しつつ、その前に一個大切なジョブがあって、昨夜杉作監督からメールで、映画『チョコレートデリンジャー』の劇伴曲で、至急、掟ポルシェさんが死ぬシーンの音楽が欲しいとのオッファーがあったので、朝しこしこと作って送った。間に合ってよかった。12時半に駅のホームで飯田さんと待ち合わせ、一路成田空港へ。我らは安いジェット―スターという飛行機でいくので成田からしかないのやけど、足立区からは羽田いくの成田いくの、そう距離は変わらない。成田ターミナルに着くも、ジェットスターは第3ターミナルという駅から離れて辺鄙な場所にあるため更にバス。無事第3ターミナルに着くも、機械のチェックインの仕方がわからなくてあたふたしてたら直接受付にいくよう言れ、おねえさんに予約番号と名前を伝える。そして荷物チェック。赤いガラガラとパソコンとか入ったトートバックを体重測定させられて完全にオーバー。その場で2600円徴収される。がっでむ! 手荷物チェックのところではわたしはてっきり金属探知機みたいなやつで身体をさわられたりするものやとおもって、バンザイして通過したら「手はあげなくて結構です」とそっけなく言われた。ペットボトルとかその場で捨てられるかと思ってたけど、一旦預けてすぐ返してくれた。飛行機はわたし、記憶上、中学の修学旅行と、5年くらい前にのっぽのグーニーと福岡にライブしにいったのだけで、今回が人生3回目、それも5年ぶりなのでいちいちどきどきしちゃった。飯田さんは旅行慣れもしてるし空港好き飛行機好きといっていたけど、わたしは外人がいっぱいいるからどちらかというと苦手。でもまあ無事搭乗できて、いざ離陸! 雲の世界をすいすい飛んで無事那覇空港に着陸。でもなんやかんやで飛行機30分くらい遅れた。到着して円盤リクロ舎長の田口さんと落ち合い、モノレールに乗って、結構長い時間乗って、儀保というところで下車。すると今回泊めていただける家主のTくんという方が車で迎えに来てくれていた。ありがたい。沖縄は車がないとどこもかしこも移動がたいへんということをこのあと知る。おうちにつくと、ここが夢のお城のような素敵な一軒家で感動。床も壁もすべてがまっしろでオシャンティなカウンターキッチンがあり、階段もまっしろ、わたしと飯田さんのお部屋は3階でおっきなベランダがあって、天井にはお星さまのちっ光が貼ってあるので電気を消すと星空に。なんてすてきなおうちなのでしょう。感動してたら、可愛いカップでルイボスティを淹れてくださって、至れりつくせり。そんなTくんはわたしたちより1個年下で、テレビ番組とかでニーズに合った芸能人を派遣する会社をやってるしゃっちょさんで、こんなすてきなおうちに住めるなんて! 自分との経済格差を感じる。ちょっとおしゃべりしたあと、近所の信濃路という民芸調の味わい深い飲み屋へ。そこで沖縄おでんをはじめて食べた。小松菜が乗ってた。沖縄名物てびちくんも入ってて、わたし豚足って食べられへんかったけど、よく煮込んであったしちょっとやったから食べられた。フーチャンプルーというのがおいしかった。豆腐ようもちょっぴり食べたけど、なんかフルーティやった。

4.21金
沖縄ツアー、書きたいことは山盛りあるので、詳しくは改めて月末発行のメルマガの方に書くことにします。なので、軽く振り返る程度。この日は田口さんおすすめのタコス屋さんを2軒もはしごして、とにかく食べた。わたしはタコスという食べ物自体もしかしたらたべたのはじめてやったのやけど、田口さんいわく有名店の表タコスと、誰も知らないような裏タコスの2軒をはしご。裏タコス屋さんは「ぴっころ」という、古臭い喫茶店のようなつくりになってて、机は昔の花札のゲーム卓だし、奥にはパチスロの機械が現役でおいてあって、ここ何屋? て感じやけどすごい居心地よくてコーヒーも飲んでだらだらした。胡座〜胡屋〜銀天街など田口さんについて色々歩き回って、バスに乗って夕方、今日のライブ会場CD屋さんへ。沖縄は電車がなく、移動手段はバスが主な感じやねんけど、これが結構高くて、ちょっと乗ったらすぐ700円800円とかになってて焦る。まあそれぐらいの距離は移動してるてことなんかな? バスではみんな疲れてて、わたしも田口さんも居眠りしてて、1つ乗り過ごした。でもなんとか会場に到着。古着屋さんと雑貨屋さんCD屋さんがごっちゃになってるところの一角を片づけて、出張円盤スタート。田口さんのレコード寄席がすごくて、とにかくすごい情報量をしゃべるしゃべる。2時間ぐらい喋りっぱなしで、間に飯田さんの紙芝居(というか今日は「歌舞伎町ムーンライト伝説」てゆうダッチワイフとの二人芝居やった)がはさまって、その後もまたレコード寄席。結局おわったら23時半くらい。長かった。でもお話おもしろかった。「追い詰められた担任」という小話がすごくて、そして曲もすごくて、1980年代に神奈川の中学校の卒業祝いに個人的に作られたレコードで、この中学校は毎日終わりの回のときに生徒自作の歌を歌ってたらしくそれをたくさん録音しCDを卒業記念に担任が作ってみんなにプレゼントしたらしい品やのやけど、このクラスはどうやら思春期の病で自殺した子がいたそうで、その遺書に「大人になりたくないから死にます」的なことが書いてたらしくて、なのでほかの生徒たちは歌の中で全力で「大人はわかってくれない、信じれない、大人になんかなりたくない」ってことを歌っていて、途中に自殺した子が残した遺書的な朗読とかも入ったりして、すごい怖いレコードやった。終わって、12時すぎて、CD屋のIさんに車で泊めてもらってるTくんちまで送っていただいた。途中すごいスコールが降ってびしょ濡れになった。晩御飯はナカハラストアーというこの辺きってのすばらしい商店で買い物。ここはなにがすごいって個人経営なのに24時間で、24時間手作りのにぎりたておにぎりが売ってて、量り売りのスープバーがあって、カレーとかトン汁とか、わたしはクリームシチューを買った。具がすごいたくさんでおいしかった。帰ってみんなで食べ飲みして寝た。

4.22土
朝からすごい雨。いつも通りはやくに目覚めてしまって起きてたら、隣で寝てるはずの飯田さんが「ひゃ〜っひゃひゃひゃ」と突然雄たけびを上げ出して震える。気が狂ったのかと思ったけど、夢が面白すぎて笑っただけとのことでした。ご陽気なお人だこと。今回張り切って水着を買ったのやけど、海にはいけなそうなので、部屋で水着きてしこたまはしゃぐ。そしてそれを飯田さんが写真とりまくってくれて、気づけば月刊北村早樹子ができるぐらいの量を撮っていた。ここはお風呂がラブホのホテルと一緒なのでお風呂でも撮った。夜は那覇市のチェロというカフェでライブ。前日にはわたしの好きなmama!milkさまが来ていたと知り興奮。ライブは、対バンのペガサスもてんしんくんもすごく素敵だった。我らはカフェっぽい感じのセットリストで出し物をやりました。終わって、みんなで辻という繁華街にある88というステーキ屋さんで打ち上げ。沖縄の人はステーキを日常的に食べるらしい。みんなはステーキモリモリ食べてたけど、わたしはそんなにステーキに心躍らないので、照り焼きチキンプレートを食べた。540円でごはんサラダスープにチキンがついてて十分ボリューミーでおいしかった。途中で仕事おわりのTくんが迎えにきてくれて夜中に帰宅。

4.23日
今日は快晴。沖縄らしい良い天気で気持ちがよい。飯田さんと水着で宿から20分くらい歩いたとこにある電話ボックスで、某チラシ用の撮影会。カメラマンは我らが隊長田口さん。車も通行人もぶんぶん通るところでふたりで海もないのに水着になって、あほな恰好をしまくってたくさん撮影した。通りすがりの女子高生たちにも変な見世物として写真とられていた。なんか沖縄やし、タガが外れてしまって大胆なことも平気でやれちゃうメンタルになっているわたしたち。田口さんものりのりで撮ってくれて楽しかった。宿までの道によさそうな古本屋があったので寄る。荷物増えるのはいややけど2冊買ってしまった。田口さんは絵本やパズルやオモチャなどいっぱい仕入れていた。昼から本日のライブ会場GROOVEへ。沖縄は電車がないしバスも不便で時間通りにこない&意外と高いのでタクシーで向かう。会場について順番にリハ。ちょっとトラブりつつも無事リハを終えて、本番までちょっと歩いたところにあるマックスバリュの中のマクドナルドで休憩。飯田さんは持ってきたおにぎりをおもむろにリュックから取り出して食べてるし、わたしは堂々と腋毛を抜いたりして、放課後の高校生のように時間をつぶし、会場にもどる。ライブは幽玄パピロンズさんもバンド編成ペガサスもすごく最高やった。ペガサスの大コーラスは聞いてて血沸き肉躍る! それもバンドで攻めてくるとすごいかっこいい! こぶしを振り上げて叫びたくなってくる。7月にも対バンできるのでたのしみ。ほんとにいいイベントやった。お客さんもっとくればいいのにね! 勿体ない! でも楽しくイベントをおえ、打ち上げで好物の海ぶどうをたくさん食べた。もずくの天ぷらも食べた。沖縄はおいしいものが多い。朝まで組もいたけど我らは2時半くらいに店を出て帰宅し、そこから荷物の梱包作業をしてみんなでローソンへもっていく。一軒目のローソンはゆうパックの伝票切れとかゆって追い払われ、Tくんがもう一軒の方へ車で連れてってくれてなんとか送れた。紙芝居やら物販を次のツアー先大阪へ送る。帰ったらもう4時近い。みんなくたくたでばたんきゅーした。明日から大阪。ツアーはまだはじまったばかりであーる。

サービスショットをいくつか載せておきます♡