4.10〜16日記

4.10月
朝から普通に労働。後、夜は新宿ケイズシネマで映画『まんが島』のアフタートークにお邪魔する。労働終わって、そのままケイズシネマに行き、監督守屋さんとひさしぶりに邂逅。5年ぐらい前に福岡のKBCシネマの壇上でちょっとすれ違っただけだったのでほぼ初対面に近い感じ。でも打ち合わせがてらお話してたらとっても話しやすくてたのしかった。というかあの『まんが島』を作った人なんやもんね! やっぱりおもしろいもんを作ってらしゃる人は絶対おもしろい人やし、そして人柄もよい! ことが多いよね。ケイズシネマ内、パチンコ屋オープンのときみたいなでかい花輪が来てて、まんが島の立ち入り禁止看板とかも置いてあって、そして劇中にでてくる漫画原稿もたくさん貼ってて、それからみんなのぬり絵も壁にびっちり貼ってあった! こんなロビーはじめて! セットの爆発するミニチュアまんが島とかもそのまま置いてあった。こういう手作りでおもしろ空間にしてる感じがとてもいい。そしてすみっこに小さく先日亡くなった映画ライター持永さんのコーナーがあってうるっとくる。持永さん、亡くなる寸前に試写でご覧になっていたそうで、他人事やけど亡くなる前にまんが島みてくれてよかったなあって感慨深く思っちゃった。上映までの時間わたしもぬり絵をした。でも美術的センスが皆無のわたしはぬり絵すらつまんないのしか出来ず落ち込む。目の前でぬり絵してた守屋さんは葉っぱの塗り方から既に異常な感じが漲っててさすがと思った。18:45からの上映をわたしも拝見。試写でも見たから二回目やったけど二回見ても最高やった。ケイズシネマは構造上音がでかいらしく、臨場感も増してて最高やった。上映後、壇上に呼んでいただいて守屋さんとトーク。あのヘビを嚙みちぎるシーンのヘビは実はサンマやったとか、島での暮らしとか色々聞いて楽しかった。蛇もやし、トカゲとかヤギとか虫とかフナ虫とかいろんな生き物がたくさん出てくるからそういう撮影も大変やろなあと思った。ヤギくんのギャラがすごかった話は、壇上で聞いたのやっけ? 打ち上げで聞いたのやっけ? 忘れたけどすごいびっくり価格やった。人間より高い! でもあれは犬じゃあかんしヤギじゃないとあかんし、実際グッジョブしていたのでプロのヤギやったんやなあ。終わって、ロビーにわたしのライブにいつも来てくださるお客様も数人いらしててうれしかった。ポスターもS井さんが当ててておもしかった。2年前新潟で1か月泊まり込みで作った劇『ヘンゼルとグレーテル』のときのわたしのお母さん役やった女優の兵藤さんもいらしてて、守屋さんとは昔に映画で共演したりしていてお知り合いやった様子。兵藤さんと、五反田団の女優さんと、宣伝のH谷さんと守屋さんとわたしで、近くの石の家で打ち上げ。茹でピーナツという食べ物が初めて食べたけどおいしかった。まんが島の撮影現場はやはし壮絶やったらしく、食べ物もほんとにないからおにぎりで過ごしていたらしい。もともと細長い守屋さんやけど、撮影のときは更にげっそりしてらしたそう(それはでも役作り的には成功なのかも)。だって、演出しながら、ほぼ主演級の出番の多さやし、脳みそどうなってるんやって思うよね。演劇もそうやけど、演出しながら出演するってほんま、常に客観の目ですべてを見据えてないとあかん上にその中で動かなあかんって、すごい特殊能力と思います! とかって映画のはなしよりも打ち上げはほぼH谷さんの女性問題を聞いていた。H谷さんは打ち上げ中に元カノの電話番号をえいやっと携帯から削除しておられました笑 打ち上げ終わって店を出て、副都心線まで守屋さんがついてきてくださって、わたしのイチ押しのかっこいいホームレスおっさんを見せたかったのにいなくなってた。残念。夜は地下道閉じられるからどっか別のとこにおるのかな。『まんが島』しばらくケイズシネマでやってるし、15日からは大阪第七藝術劇場でもはじまるし、名古屋はスコーレでやるし、全国のみなさん絶対見にいってくださいね!

4.11火
一日雨で極寒。まだ春は来てないのか!? こたつ&石油ストーブ全開で過ごした。朝から例の壊れたドアの取り替え工事で、いじわる業者のおっさんとその子分みたいのが来た。雨やから作業大変そうやったけど、我関せずでわたしはこたつに埋まってたらいつの間にか寝てた。だって極寒やのに数時間ドアあけっぱなしで超寒かったのやもん! でもさすがに業者のおっさんが仕事中に家主が寝てるていうのはあかんね。反省。そんなこんなでやっとドアが新しくなったのやけど、うちの部屋だけドアの色が変やし、鍵もしょぼくなったからドロボーさんが心配です。まあとるものない家ですが。昼からは病院の日で虎ノ門。例の経産省前の座り込みじじばばたちはこの極寒の雨の中、さぼらず座り込んでいた。根性アルネ! 病院はいつもの流れ診察で終了。大量のお薬を抱えて帰宅。夜は『チョコレートデリンジャー』の曲作りをして、杉作監督に送信。これで一応全部出来たぜ! 22日からの松山上映にはうかがえないから残念。『チョコデリ』東京では今年中はやらないと杉作さん力強くおっしゃってたので、気になる方は松山まで行くしかありません! 

4.12水
朝から普通に労働。後、夜は渋谷。ハチ公前でC子せんせと待ち合わせして、東急デパ地下でお土産のお菓子をふたりで購入し、恵比寿方面へ歩いていていく。途中、路上にすごくたくさんの生首がゴミ袋に詰められて捨てられてて(たぶん美容院かなんかの廃棄?)「C子せんせいこれ持って帰って、なんかに使えませんかね? 劇で使えませんかね?」とかってわりとまじで悩んだのやけど、これからわたしたちはとあるとっても素敵なおねえさんのお宅にお邪魔するので、わたしは初対面やのにいきなりこんなゴミの生首たくさん拾って行ったらあかんやろう、帰り道にもしまだ落ちてたら持って帰ろうってことにして後ろ髪引かれながら歩く。数日前にC子せんせいから「早樹子に会いたいってゆってる素敵なおねえさんがいるよ!」とメールが来て、その方はたまたまyoutubeで過去のアウトデラックスのわたしを見て興味を持ってくれたらしく、わたしにはネオテニーを感じるとおっしゃってくれていたそうで、ネオテニー? となってウィキペディアで調べたら「動物において性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のこと。幼形成熟。幼態成熟ともいう。」ってちょっとむずかしい言葉で書かれてあるけど、なんかこれ、自称してしまうときもいけど、はっ!すごくわたしのことかもしれない!と思ってしまって、あとこれの典型がウーパールーパーらしくって、わたしはなんでかわからんけどウーパールーパーには昔からシンパシーを感じていて、だから、会ったことない人だのに、ちょっとテレビでわたしを見てくださっただけなのに、なんか色々言い当てられてる気がしてハッとして、ぜひお会いしたいって思って、そしてその方の情報をC子せんせいからお聞きしたら、わたしなんかに興味を持ってくださるなんて恐れ多すぎるすごい経歴がウィキペディアに出てきて、その方は写真家で現代美術家で音楽家の花代さんという方で、もともと向島で芸者修業をしておられ、それがロンドンの雑誌の表紙に取り上げられたりしてヨーロッパに渡ってゴルチエのモデルとかして、一時は日本でもテレビや舞台や歌手活動もしておられて、その歌がかなり衝撃的でこんなやつとか↓

で、なんかわたしは知らなかったけどドイツのクリストフ・シュリンゲンズィーフって人にスカウトされてドイツに行ってかなり政治的にも色々危険な路上演劇とかに参加している最中に警察犬を離されて太もも噛みちぎられそうになったりとか、とにかくとにかくすごいエピソードだけで面白そうなおねえさんで、でもお会いしてみるとわたしなんかよりずっとずっとネオテニー性の高い妖精のような可愛い小さい方で、なのにもう二十歳の娘さん(ドイツとのハーフで点子ちゃんというモデルの娘さんがいらっしゃる)なんて、こんな可愛らしくて少女のような人なのに、お母さんだなんて、すごすぎって衝撃を受けつつ、まずは花代さんがアトリエとして使っていらっしゃる築100年くらいの元々難病の小説家が暮らしていたらしい日本家屋に案内されて、素敵なお庭の見える和室で乾杯。それからそこからほど近いところにある花代さんのマンションに伺って、とってもおいしいお鍋とぬか漬けをいただいた! 花代さんちは、小さいけど何もかもが可愛くってそしてセンスが抜群で、あ〜こんな風に暮らせる女性になりたいなあととっても思った。お鍋が煮えるまで花代さんが数年前に出された写真集『点子』を拝見していたら、写真がまたものすごく可愛くって、今まではわたしは、母と娘というのはどろどろとした愛憎関係しか成り立たないのではないかと思っていたけれど、こんな風な関係が成り立つんだなあと思ったらちょっと未来が明るく思えた。こんな風に作品として成長過程をプレゼントされたらなんて素敵なんやろうって、その写真集の中には真っ赤な紙に花代さんが綴った文章がところどころ挟まってて、それがまたどれも素敵できゅんとしちゃう内容で、写真は後半は成熟を始める点子ちゃんの身体が露になった写真もたくさん出てくるんやけど、それも含めてすごく心惹かれる写真集やった。そんな間に、これまたおとぎの国のお鍋のような色味の美しいお野菜がたくさん入ったごはんが出来てて、わたしはラディッシュというお野菜をはじめて食べた。花代さんはぬか漬けも自分で漬けていて、ラディッシュのぬか漬けもとってもおいしかった。お鍋は花代さんが育てた麹菌のだし? で途中からトマト味にしたりして、でもカルシウムが入ったお塩とかあゆのだしとかも入れたりして、全部はじめてたべた味だけどすんごくおいしかった! こういう、シャレているのに嫌味がないごはんをぱぱっと作っちゃえる女性は本当に憧れる。けど実際は遠い。おなかもいっぱいでお話もとっても弾んで楽しい楽しい夜を過ごしたけど、足立区への終電は早くてあっとゆうまにお暇しなきゃの時間。C子せんせいと渋谷駅へ足早に歩きつつ、花代さんが本当に素敵だったことを興奮して語らってたら、行きしなの生首はすっかり忘れてて持って帰りそびれた!

4.13木
昼から飯田さんちへ行ってツアーに向けての出し物の練習&打ち合わせ。新曲ラップ『カズノコ天井』の練習をぶいぶいで踊りながら歌ってたら、窓の外の駐車場にいるおっさんたちがみんなこっちを見上げているように見えて慌ててカーテンを閉める。平日の昼間から妙齢の女二人が踊り狂ってたら(練習とはいえ)危険人物扱いされるかもしれない。というのもわたしは、今、薬物検査にたいへんびびっていて、いや、わたしのこの日記を読んでくださってる人ならみなさん誰も疑わないかと思います、北村さんは持病の薬はたくさん飲んでるけど、非合法の類には一切手を染めてないし興味もないということはきっとお分かりだと思うのですが、先日知人のブログを何気なく読んでいたら、知人は薬物検査(尿検査)で陽性反応が出てしまって、彼女はもちろん非合法ドラックに手を染めてはないのやけど、持病でお薬を飲んでいて、合法の普通に病院で処方される薬でも、あの尿検査の薬物反応は出るらしいのです。それを読んで、わたしは完全に陽性反応が出る自信ある! ので、ラリって踊ってると思われて、帰り道に職質にあい、しどろもどろで薬は飲んでるけど法は犯してない旨を一生懸命説明したところで、わたしってたぶん、色々説得力に欠ける容姿が多々あるので、問答無用に尿検査させられたら、即お縄でしょう。何も悪いことはしてないのに! まあそんなことはさておき、昼間はラップを練習して、あとツアー全日程のプログラムを決めたりし(出し物はあんまりかぶらないように新ネタなどもやることにしました)、夜は飯田さんの家で飲んだ。そして職質に遭わないことを祈りながら自転車こいで、無事帰宅。

4.14金
朝から新ネタの曲作りに勤しむ。飯田さんの書く物語はするする曲が浮かぶからとてもたのしい作業。ちょっと前の杉作さんの映画『チョコレートデリンジャー』も見ていたらどんどん曲が浮かんだし、なんか、合う芸風作風だと、劇伴曲をつけるのはとても楽しいし好きな作業かもしれない。ほぼほぼ出来たので夕方ふと、そうや西成行く前に予習に『アンチェイン』もっかい見たいなーと思って、蔦屋の店舗検索するも、もはや廃盤だし、豊田利晃監督が捕まったりしたときに撤去されたりしたのか、あんまり置いてる店舗はないにもかかわらず、西日暮里の蔦屋さんにはあるとの情報が! といことでちょっくら西日暮里へおでかけ。こんなとこに蔦屋あったんやってゆう、半分はゲーセンになってるような小さい蔦屋やったけど、『アンチェイン』はあった! やっほーとゲッツしてほかに用事はなかったのでまっすぐ帰宅。すぐ見たい気もしたけど明日飯田さんがくるからおあずけにした。

4.15土
昼から飯田さんが紙芝居もって来訪。昨日作った曲を当てながら練習。そこから更に案を練ったりして、新作はIKAZUGOKE版アンデルセン的なメルヘンだけどアダルトな名作の予感です。何回か練習して、ラップも練習して、夜はうちで飲みながら一緒に『アンチェイン』を見た。14、5年ぶりくらいに見たわけですが、忘れてたこともあって、改めて、このドキュメンタリーがあって、その後の現実があって、そして最新の今を生きている、アンチェイン梶さんや永石さんを思うと、すさまじい色んな男のドラマにクラクラきて、飯田さんと二人で染み入った。大阪の無邪気でヤンチャな兄ちゃんたちの、度が過ぎた行動エピソードが全部おもしろいから爆笑しつつも、まっすぐすぎる危うさとか、現実とか、すごい切ない映画やった。そしてかくかくしかじかがあっての今、梶さんと永石さんが仲良しなのもとても素晴らしいなあ、男同士って眩しいなあってしみじみ思った。また西成で、梶さんや永石さんと会えたらいいあなあ。

4.16日
朝9時に駅のホームで待ち合わせて、飯田さんとふたりで女工部屋へ。今日は丸一日、内職に励む日! しかし今日は暑いのか!?高円寺某所の最上階にある女工部屋は蒸し風呂状態でちょっと狼狽えつつも、午前中みっちりやったら25冊出来上がった。おお! これはなかなかのハイペース! 昼からスペシャル助っ人として飯田さんのお母様がいらしてくださったので更にスピードが上がる! 途中お昼ご飯にインドカレーを食べに行ったら、すごく大盛で、ナンも巨大で、飯田さんとお母さんに助けてもらったけどそれでも腹パンで午後の作業の眠気が心配に。しかし、午後の女工部屋は更に陽が差して蒸し風呂で、寝てる場合では全くない感じに。わたしは毛糸のタイツを履いてたのでそれも脱いで、飯田さんはほぼシュミーズの状態になって汗水垂らしながら頑張った。ら、なんと午後は75冊も出来上がり、本日の生産高100冊! いや〜これは頑張ったでしょう我ら! ということで、おつかれさまでしたをして、高円寺を出て、早稲田で飯田さんのお父様とも落ちあい、素敵でおしゃれなスペインバルで飲んだ。自家製ジンジャエールがおいしくてごくごく飲んでおかわりもした。おなかは昼のカレーがまだずっしりやったけど、ちょびちょび食べたの全部おいしかった。わたしは好きな人意外とは飲食を共にするのは苦痛でしかないので、あまり行かない付き合いの悪い人間なのやけど、飯田さんのご両親はすごく愉快でお話もなんでもしってておもしろいから好き。たくさん喋ってたくさん笑った。そしてお母様には本当に内職まで手伝っていただいて助かった。しっかり働いたし、おいしいごはんも食べて、充実した一日やった。