2.1〜7日記

2.1月
朝イチで郵便局に昨日夜なべして作ったたくさんの郵便物を持って行って発送。あ、今日は映画の日か、とニッポン放送へ行く前にちょっくら丸の内ピカデリーへ寄って『残穢ー住んではいけない部屋』という映画を見た。これのスピンオフを白石監督や大畑監督が撮っててちょっと前にニコ生で見て面白かって、嫌ほど予告編流れてきてて気になってしまって見に行った。どう考えても平山夢明がモデルとしかおもえん胡散臭い怪奇ライターとか出てきておもしろかった。夜はニッポン放送『今夜もオトパラ!』にゲスト出演。ここがニッポン放送か……と入口から興奮。でも想像してたよりはこじんまりした場所やった。透明の壁に囲まれた三畳くらいの楽屋で待つ。スタッフさんとちょっと打ち合わせ後待機。パーソナリティの上柳さんと松本さんがご挨拶にいらして緊張。声はよく聞いていたおふたりやけどおふたりともスタイルがとってもすんばらしく細長くてらっしゃってびびる。月曜レギュラーの松江哲明監督ともお会いし、調子に乗ってアルバム渡しちゃった。生ライブがあるのでスタジオで音出しなどさしてもらい、ゲストコーナーの時間になって呼ばれてブースの中へ。最初は緊張して人見知りモードでいつもの暗い子の感じになってしまい、しかしだんだん楽しくなってきて気づいたら「きたむらじお」のジングルまでゴキゲンで歌っていた。はしゃいで舞い上がってはしたないところをお見せ(お聞かせ)してしまい失礼しました。ラジオっこの血が騒いでしまいました。わたしはラジオのディスクジョッキーが「時刻は午後○○をまわりました……」ていう時報が好きで、それを言ったら最後にはなんと読ませてもらえるまでに! きゃ〜! すんごい興奮した〜! そんなわけで、お聞きくださった方ありがとうございました。楽しかった。また出たい。

2.2火
普通に労働。しかし体調が非常に悪い。右半身がイタタタで手も足もあかん。肉体労働(当社比)の限界を感じている。痛すぎて仕事できひんので薬多めにドーピングしようか悩んだけど結局我慢。夜はこたつでお芝居のセリフと格闘。

2.3水
今日も労働。仕事終わって夜はらんぶるで取材。TレコードのI田さんにインタビューしてもらった。I田さんは「聴心器」を出した頃やからもう10年前から知ってくださってて本当に本当にお世話になっている方なので、色々はなしも伝わりやすく、そしてわたしの歌詞の書き方言葉の使い方の遍歴とかまで分析してくださっててちょっと恥ずかしくなった。言葉の使い方は確かに変わったけど、歌ってる内容はそんな変わってるつもりはないねんな〜てそれはあくまでつもりなだけで傍目からみたらわからんかもね。I田さんは10年前のライブも見に来てくださってて、それもすごい話やでなって改めて思った。10年前はわたし今みたいに誰ともおはなしできなくって極度の人見知りの挙動不審女やって、その時代から知ってくださってるって貴重なことやし、10年来の友達とかもわたし殆どいないので10年知られてるって不思議な感じ。インタビュー終わって、その後行きたいライブがあったけど、右半身痛くてスタンディングでライブ見れる自信なかったので諦めて帰宅。

2.4木
朝イチ、飯田さんから明日の母親教室のコントの台本が届く。今回はかつてなく切実な内容でどきっとする。今日は虎の門の方の病院通院日。採血の看護婦さんがひさしぶりにお気に入りの人に当たってつかの間ハッピーに。先生にはどう考えても病状悪化してるむねを訴えたら薬増えた。病院終わって昼から柴崎のPミュージックへ。来週のインストアライブで演奏してもらうE本さんという若い可愛い子ちゃんとはじめまして。色々ミーチングしてちょっと音出したりした。連絡先交換などしてアイホンいじってて、はっそういえばこのメッセージボックスはなんでこんな表示になってるんやろ〜って見ててはたと気づいた。わたしのアイホン、アドレス帳がすっからかんになっている。なにかの間違いかもって電源入れ直したけどやっぱりからっぽのまま。あかん。終わった。終了。と一瞬頭ぱかーんてなって絶望感に打ちひしがれたけど、他のデータは消えてないのでメールの内容を手繰れば最近連絡取り合った人はアドレスわかるし、これは人間関係を一掃する良い機会なのかもしれないぜ、と思い直す。幸い昨今はLINEというものもあるからそっちは消えてないから助かった。正直わたしは現代っ子じゃないのでLINEといのがあんまり得意じゃないのやけど、今回ばかりはLINEに感謝って感じやった。ということで過去メールを手繰り寄せながらアドレス帳を作り直すというミッションが出現。メールボックス遡ってたら、色々思い出振り返ってるみたいな変な感じになっちゃった。でも意外とメールの内容読んだら誰とのやりとりやったかすぐ思い出せるものやなあ。

2.5金
今日は『母親教室』の日。朝、飯田さんからこの『母親教室』をやるにあたっての覚悟の作文が届き、読んでて狼狽える。飯田さんがここまで自分の中身を事実として発表することってまずないことだし、これはある意味異常事態。昼過ぎに飯田さんが我が家に来て、いつものようにコント&ラップの練習をして、トーク部分の打ち合わせをする。夕方一緒に家を出て阿佐ヶ谷へ。の前に高円寺で途中下車して、円盤にコミックミツザワという最近円盤が創刊した雑誌を取りに行く。わたし「ボーイフレンド・その1」という小説を寄稿してるんやけど、自分のページ開いたら、なんかデザイナーの趣味なんか勝手に改行されまくってて、ポエムみたいなレイアウトになっててショックを受ける。わたしは文字がギュッと詰まってるのが好きなのに! ちょっと落ち込みつつも阿佐ヶ谷。よるひるへ行って、リハなどをして準備。客入れの30分の間駅前のバーガーキングで飯田さんと一服。禁煙席と喫煙席の境目の席に、ちょっと挙動がおかしいお母さんとその息子が座ってて、たぶん相当長い時間いてるぽくて、息子はお絵かきして遊んでて、持ち込んだジュースみたいなパックがテーブルにひっくり返ってて、お母さんはなんか苛々しながら独り言を言ったり、喫煙ゾーンでタバコを吸ったりしてうろうろしている。気になりつつも時間になったので会場に戻る。お客さん、今回もぎゅうぎゅうにいらしてくださってて恐縮。コントは、わたしは指名のつかないホステスの役で、親に相手にされない子どもは指名のつかないホステスと似てるねってことからこんな内容に。最後は毒殺&吹き矢の応酬戦でいつものごとく殺戮で終焉なのやけど、飯田さんが断末魔をあげたあと血をふく演技がめちゃおもろくて笑いそうになった。トーク部では、飯田さんがあの覚悟の作文をみんなに発表するという、このイベントでははじめての試み。わたしはわりと自分の内情や恥部をネタのように喋り散らしてるけど、飯田さんはご自分のそういった内面を物語としてではなく事実として発表することって今まで絶対してなくて、それをああやって発表したってすごく意味深いことやなあと思った。そして考えてるうちに、自分がなんで母親になりたくないかっていうと、恨まれたくないからなんちゃうかなって結論になった。だって、わたしはやはり、恥ずかしい話やけど母親をすごく恨んでいて、これはたぶんわたしの全感情の中でなによりも強い感情で恨んでいて、この恨みが溶けてないのに子どもなんて出来たらきっとわたしもおなじように恨まれるに違いない、恐ろしい怨念ループ、とか思っちゃって子どもを産むことに抵抗があるんやなあと思う。瞳ちゃんご一緒した参助さんや千絵ちゃんや楽団の小林さんなんかも見に来てくれててうれしかった。K通R作さんもまた来てくれていた。終わって終電にぎりぎり飛び込み帰路。飯田さんと最寄り駅の白木屋で乾杯。ここでも母親教室トークの続き、思春期の親の無理解というのは本当につらいし後を引いて根が深まっていく深刻なもんやなあと話し合い、わたしも今まで周囲に漏らしたことがない恥部を飯田さんにちょろっと告白しちゃったりなんかした。結局朝5時の閉店まで語らい、薄青い朝の中へ追い出され、バイバイして帰宅した。

2.6土
朝帰りをしちゃったのでちょっと寝て、でも10時くらいには起きちゃって、家事などしつつ今日は一日お芝居のセリフを覚える日! と決めてこたつの中でずっと台本と格闘。ちょっとこのセリフを覚えるという作業はほんとに地道な受験勉強のような行程であるなあと実感した。来週の取材の件で某ライターさんから頼まれた某データを送るも返答なし。こういうやりとりはちゃんとして欲しい! 

2.7日
今日の稽古までに二章のセリフを入れて来る、という宿題やったのやけど、なかなか入らずピンチ。稽古で下北行くのでどうせならチラシもってまわろうかとか思ってたけどセリフがピンチ過ぎて切羽詰ってて諦める。ぎりぎりに家出て稽古場へ。お稽古は動きながらしゃべると覚えたはずの6割くらいしか発揮できない&どんな動きをすればいいかわからず悩む。お芝居て難しい。K子さんはもうセリフほぼ全部入ってて動きもおもしろくてさすがって感じやった。わたしは相当頑張らねばピンチや。。。しかし某ライターさんから相変わらず連絡なし。明日我が家で撮影&取材とのことやけど、ほんまにいらっしゃるのやろうか? とちょっと不安になってくる。

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