2.28〜3.6日記

2.28土
ついに今日はあの日や!てことで朝からそわそわしてなんも手につかない。10周年記念ベスト盤レコ発パーティーの日。いろんな心配事はあるけど、目下はわたしは久しぶりに演奏する拙曲「貝のみた夢」のラストのピアノがちゃんと弾けるかどうか……みたいなちっさいことでわなわなしながら、15時頃に家を出て会場へ。リハしていたらゲストの早川義夫さんがお見えになり、デュエット曲のリハなどやって、リハのあとは楽屋で早川さんと、恒例の、大きな声ではいえない話で盛り上がる。なんやかやしてるうちに開場、いつも来てくださるなじみのお客さまに加え、うわ〜この人も、あの人も、みんなみんな、わたしが大好きな人たちで席がうまってゆく!楽屋でおとなしくしてよとおもったけど、うれしくてつい客席へ。スワニー禿歌手組までC子先生以外全員きてくれて、舞い上がってメアリイになってしまってひとはしゃぎ。大阪からのお友達で歌手のHちゃんや、S監督や、いかへんてゆってたはずのMTまできてくれて、そんな感じで右も左も、この10年くらいでわたしがお世話になった、好きな人たちであふれていて、これ以上しゃべってたらライブできなくなりそう、ておもって楽屋に引っ込む。まずはナカジマさんのライブ。今回このイベントを企画ごと引き受けてくれたナカジマさんは、ご自身も歌うたいであり、バンドマンでもあられるのやけど、tuba...diskてレーベルで、わたしの『聴心器』『おもかげ』てゆうファースト&セカンドアルバムをリリースしてくれた人でもあり、だから10周年てゆう節目でこうやってまたご一緒出来て個人的にすごくうれしかった。それから早川さんのライブ。1年ぶりぐらいに拝見したのやけど、変わらずかっこいい、やさしさと野蛮さがむきだしで素晴らしいライブやった。特に今日は「パパ」が格別に響きました。改めて、わたしはこの方の影響を真っ正面から受けて浴びて育ったから、いまこんな感じで歌ってるのやなあと再確認しました。そんなこんなで自分の番。なんか、わたしは普段の殆どのライブは敵に向けて歌ってしまってるところがあって、それは実際、わたしなんかには見向きもしたくないんであろう対バンのお客さんてゆう目にみえる目の前の敵、てゆうのもいるけど、曲の中に出て来る敵のことをガチで思い浮かべて煮えくり返っているときもあるし、全然関係ないその時々にタイムリーに怒っている対象について考えながら歌ってるときもあるし、色々やけどそうゆう、敵に向けて歌ってるときが多いのが事実なのです。なのですが、今日はもう、目の前に敵はいない。わたしが大好きな人たちが、忙しい中大事な時間を割いて集まってくれている。ああ、これはもしかしたら、これぞ、マイハッピーお葬式の情景なんかもしれない。こんなにこんなにたくさん、わたしの好きな人たちが会してくれるなんて、もうきっと、葬式ぐらいしかないよね、あれ、わたしもう死ぬんかな、みたいななんか不思議なきもちで終始歌っていた。これって多幸感ってゆうやつ?みたいなきもちが満ち溢れてきて、みんなに大好きですってゆってまわりたくなったけど、だからって、みなさんのおかげで10年やってこれました、みたいなセリフは全然違うくて、そもそも節目とはいえ10年なんてよくよく考えれば全然たいした年数ではないし、まだまだなーんにも出来てない!だけど、こうゆう、怒りではない感情を、あかるくしあわせな感情をこう、外にだしていいんやでってゆうごくごく当たり前のことを、10年めにしてやっと身につけれて、やっとこれからやな、みたいな心境です。そんなこんなですが、北村早樹子はこれからも歌っていく所存ですので、みなさまどうぞ見守っていただけたらうれしくおもいます。

3.1日
ほんまは昨日が締切やった某曲を、朝からちょっと手直し作業して送って、たのしかった昨日が終わってしまて、またロストロスト。ひとり家で洗濯したり掃除したりしてると胸の中はどんよりくもってきて、昨日の中でひとつだけあった心配案件がむくむく育ってきて、あ〜っと落ち込む。わたしひとりが楽しければいいわけでは絶対にないし、だからってみんなが全員が楽しい状況なんてありえないんやな〜なんて当たり前のことを考えて落ち込む落ち込む。

3.2月
あれ、なんか、ちょっと喉が痛いぞよ。それに全身がスーパーだるい。いや、でも気のせい気のせいと自分に言い聞かせて、普通に労働、帰宅。夜中妹から突然の緊急お電話が入り、我がドメスティックの崩壊ぶりがさらにドラマチックな展開になっていて、もう来るところまで来てしまっていることを知る。そこから眠れず。SさんがDMで朝まで色々お悩み聞いてくれてちょっと楽になる。

3.3火
寝れてないからしんどいだけじゃなく、やはしめっちゃんこ喉痛くなってきた!これは!身に覚えのある喉痛、あ〜〜〜風邪や〜ん!てことで労働後、ちょっと遠いけど前住んでた家の近所の行きつけの耳鼻咽喉科へ。ここはちっちゃいちっちゃい、おじいちゃん先生とアニメ声でロボットみたなしゃべり方の受付のねえちゃんふたりでやってはる診療所で、先生は漫画みたいなあの銀の円盤をオデコに貼り付け、いまどきカルテは全部紙に手書きでパソコンが一切導入されていない病院なのである!おまけに先生は不愛想なんやけど饒舌によくしゃべる、たぶんどちらかとゆえば嫌われやすいタイプの先生なんやけど、わたしはそんな先生含めこの病院の全部がなんか好きで、ここに行ったら治る気がする。なのでもう引っ越して家遠いのやけど、わざわざここ来たくなっちゃう。ひさしぶりに来たけど、なにひとつ進化してない感じが安心するわ〜と診察してもらってお薬もらって(これも処方箋で薬局いく方式じゃなく、その場でおじいちゃんが引き出しから取り出して数えて袋に入れてくれる)帰宅。はよ治りますよに。

3.4水
映画でも見に行きたいところやけど、なんかそんな気にもなれず、ドメスティック問題にうわ〜っとなって久々に親と連絡とるも、余計に苛々が増す結果に。体調もすぐれないのでおうちでおとなしく過ごした。

3.5木
労働先のいまいるメンバーで唯一趣味があうとゆうか文化圏が近いAちゃんと久々にペア体制になれたのでゴキゲンで労働。Aちゃんは例の川崎の事件現場がわりと近所ならしく、旦那様と一緒に色々独自調査をしたりしている旨を教えてくれた。あの辺も結構なゴッサムタウンらしい。影響うけて、わたしも自分ちの近くの事件、とゆえばそう、もう忘れさられているかもやけど日本の少年犯罪史に残る最悪事件のひとつ、足立区女子高生コンクリート詰め強姦殺人事件を今更ネットであれこれ調査して、ほげ〜っとなる。はい、これはなんとか己のドメスティック問題から目をそらして、もっともっと最悪な事例を自分の中に取り込んで忘れてしまおうとしている、わたしなりの消化方法です。

3.6金
労働後、副都心線東横線で元町中華街、神奈川芸術劇場とゆうところへ劇団サンプル『蒲団と達磨』を見に行く。観劇とゆうの自体あんまり慣れていなく、まずあの座席に置いてある大量のチラシ!!まじでタウンページ級の分厚さ!(あとからよく見ると、わたしのだけ3冊分あった。。。これは当たり?)に狼狽えつつ、幕が開く。サンプル主宰の松井周さんの『自慢の息子/家族の肖像』とゆう戯曲が、結構きっつい家族もんでおもしろくって、そうゆう感じかなっておもってたら今回のは岩松了さんの脚本だったので全然そうゆうテイストではなくって、でもちょっと変な歪んだ家族ものとゆうかホームドラマで、向田邦子ぽいなって思った。演劇特有の、大声で怒鳴ったりがなったりする演出が全然なくてわりとぼそぼそしゃべる人が多かったので疲れなかった。終わってトイレの列に並んでて、いざわたしの番で扉が開いたら、なんとスワニー禿歌手でご一緒した小林麻子さんが出てきて、「さきちゃん!」てゆわれびっくり!こんな偶然!あと帰りしな九龍ジョーさんにもばったりお会いしたり、いつも映画関連のなんかしらで遭遇してはなぜか「これでジュースでも買いなさい」て小銭をくれるつるっぱげのおじいさんもおった。いろんな人がおったな〜。しかし元町中華街〜足立区は遠かった、結構な旅やった。