気になる装丁師

ずっと独身でいるつもり?

ずっと独身でいるつもり?

わたしの前にはまみさんがいてくれるから大丈夫!って雨宮本を心のささえにして生きている女子たちが全国にはたくさんたくさんいることでしょう、もちろんわたしもその一人で、現在独身(厳密にはバツがあるので「ずっと」ではないのかもやけど)やし同級生たちはまさに結婚ラッシュおめでたラッシュで世間的な色んな圧迫がみしみしやってきてるお年頃、もう最近は孤独死を結構真剣に視野に入れて生活している有様なので、この本もとてもとても勉強になりました。結婚、独身、産む人生、産まない人生、色んな女子の生き方があるけど結局は、幸せてなんやねん問題になるくって、何も考えずに一日中寝転んで本読んでたら幸せ、ておっしゃるまみさん、わたしも全くおんなじ!で、正直追われるほどの仕事もないから寝転んで本読んでるだけの日なんてめちゃんこあるんやけど、やったら今わたし幸せなんかってゆうたら、結構毎日死にたい気持ちで、それはなぜかとゆうと押し寄せる未来が真っ白すぎてこわいからや!てまみさんも書いてはるし、わたしもファーストアルバムの一曲目でそんな歌うたっとったなあ、え、あの曲作ったん18歳ぐらいやったけ、もう10年前やんけ!10年足踏みしてるなんて我が事ながら驚愕や!こんなんやったら死んでたはずやった、て18の時は結構まじでおもってた。ほんまにつらいのは孤独死よりも孤独に生きること、てまみさん書いてる!号泣!

そんなこんなで、最近寝転んでだらだら読んだ本の感想を適当に書きます。



少女の私を愛したあなた: 秘密と沈黙 15年間の手記

少女の私を愛したあなた: 秘密と沈黙 15年間の手記

7歳から22歳までの15年間、44歳上のぺドフィリアおっさんの恋人であり続けた女の子のノンフィクションなのやけど、なにもしらないいたいけな少女が感覚だけで、キスを、性器を、セックスをしっていくさまがものすごく生々しくってかわいくて衝撃的やった。キスの種類に子どもらしい名前をつけていて、フィッシュキス、エスキモーキス、いちばん苦手だったのはバズーカ・ジョーとゆう名前の、噛んだガムを舌で交換するやつ、ってかなり特殊なプレイまでさせられていたり、はじめてクンニされたときの気分を、「舌がペンキのはけのようで、ペンキを塗られて気持ちいいかと壁に聞いてるみたいものだった」てゆうのも、すごい正しい感想やなっておもった。相手をよろこばせたい気持ちから、彼のお誕生日に自分の体を自らさしだすさまとか、なんやろ、女子の本能みたいのもの、こんなちっちゃい初潮もまだきてない子どもでも持ってるんやな。でもやっぱり実年齢は子どもやので心身の発育のバランスの帳尻あわせるために、自分でニーナてゆう名前の架空の女キャラをつくりだして、行為のときはニーナになりきっていたり、それでもちいさい口でおっさんのイチモツをフェラチオするのは苦しいに決まってて、「顎がしびれ、防御本能であるしびれが消えると、麺棒で伸ばされているみたいな感じになった」らしい。こうゆう性にまつわる女子側の正直で感覚的な気持ちを、欲望とか快楽とかではない視点ではっきり書かれてるものって意外とない、わたしははじめて読んだ気がする。わたしはもうアラウンドサーティーなおばはんやけど、この感覚、超わかるし、たぶんすごく一緒。もしかしたら女の子は、子どもでも大人でも、好きじゃない相手との好ましくないセックスやレイプまがいのセックスでも、じゅうぶん恵まれた境遇でのセックスでも、同じようなものを感じているんではないかなっておもった。この本は、著者自身のドキュメントな内容やけど彼女は別にこの44歳上のロリペドおっさんを恨み辛んでるわけでもないし、この本で性的虐待を受けている子どもたちに救いの手を!みたいな思い上がった正義感みたいなのも全く感じられなくて、そこにあるのは15年間のちょっと特殊やけど男女の愛の物語に他ならなくて、性的虐待って四文字の中にはものすごい物語があって、健全ではないのは間違いないけど必ずしも悪しき出来事ばっかりってわけではない、ものすごく愛溢れたロマンチックで胸がくるしくなる本でした。一個だけきになったのは、彼女はちっちゃい頃から美少女すぎたから色んな標的になりやすく……みたいなエピソードがたくさん出てきたわりに、最後のページの著者近影の大人になった彼女は申し訳ないけど美人さんとは言い難いお顔立ちでちょっとガーンでした。



おはなしして子ちゃん

おはなしして子ちゃん

タイトルも表紙の絵もドストライクで抱きしめたい可愛さで、装丁もいただきものの高級な箱入りのお菓子みたいに開いて一枚目に金色の模様がついた包み紙みたいのが入ってて、だから短編集なんやけど高級なクッキーとかチョコとかたべるみたいに、一気食べ一気読みはもったいなくてちょびちょび大事に読んでしまいました。この装丁も、雨宮まみさん『ずっ独』の装丁も、あと未映子さんの『愛の夢とか』も、最近買って開いて、まあ!なんて可愛い装丁!ておもた本、悉く名久井直子さんて方のお名前があってとても気になる。そんなお土産で貰ったら小躍りしちゃうようなとびきり可愛い菓子折り小箱に、おそろしおぞましおもしろい小話がきゅっと詰まった珠玉の短編集なんやけど、藤野さんの書くおそろしさはこやって並べ読むとほんま多種多様で「本日の心霊」みたいに心霊写真にまつわる短篇もあれば、新米主婦がホームパーティーをひらく夢と現実とSNSな「ホームパーティーはこれから」は別におばけもゾンビも血も臓物も出てこない、主人公は、私はいつも一生懸命で明るくてお友達が大好き!て胸張ってる主婦やし、でもこれがなんかいちばんこわいかも、こうゆうピュアな人がいちばんこわいよな〜てなる。最後の「ある遅読症患者の手記」は、先日試聴室のヒソワイどん!にゲストで来てもらった東京ディスティニーランドさんがひとり芝居の中ですこぶるド迫力で切実に訴えてらしゃった、生まれてしまったけど殺してもらえもしない物語たちの悲哀、みたいなんとちょっと交差してせつなくるしこわくなりました。全編通してなんやけど、これはわたしだけかもやけど、何故か藤野さんの文章は声に出して読みたい日本語オンパレードで、文体や人称もばらばらなお話なんやけどなんでか声出して、とゆうかこう、ちょっと小芝居いれて誰かしらの物まねめいた口調で読んでしまいます(もちろん頭の中でね)ふしぎ。それから作家と作家を結びつけるのはあんまり好きじゃないんやけど、藤野さんはエリザベス・ボウエンみたいかも。ボウエン短編集、ひさしぶりに読み返そかなと思ったら、本棚にない!そうゆえば何年も前にKくんに貸して返ってきてなかった、とゆうかそれきりKくんに会ってない、連絡も取ってない、Kくん生きてるかな。



氷平線 (文春文庫)

氷平線 (文春文庫)

藤野さんが芥川賞とったときに、隣で直木賞とってはったおばさん(超失礼……)て印象しかなかったんやけど、某先輩歌手が、めっちゃタイプやわ〜ああゆう北国の主婦みたいな熟女最高や〜とか明らかにそうゆう目線でこの本おもろいでってゆってたので読んでみた。すごいよかった!雪に閉ざされた極寒の地でやんごとなき事情を抱えた男女たちが交わす情事、特別ではないどこにでもありそうな薄暗く救いのない物語で、これをそれこそ北国の主婦みたいな熟女がひっそりしたためたのやな、とかおもうと確かにアツいよね!



しろいろの街の、その骨の体温の

しろいろの街の、その骨の体温の

ちょっと前のユリイカ雨宮まみさんがインタビューしてはっておもしろそとおもったから読んでみたけど、前半超つまらんくて、あまりにもお子さま向け過ぎてわたしみたいのおばはんの擦れた感性には響かんわ〜残念、とかおもいながらも簡単に読めるからぱぱぱっと読み進めたら後半、とゆうだいぶ最後の最後、怒涛のえげつないエロ描写がざっぶ〜ん!て感じで焦った焦った焦ったわ〜。今泉さんが美少女をたらふく使って映画化したらいいんちゃうとおもいました。



部屋寒すぎてそろそろパソコン打ってる手がかじかんで動かなくなってきたので、中途半端やけどこのへんでおわり!