11.14〜20日記

11.14月
普通に労働。某誌のコラムでゲラを即日戻しというやつだから届いたらすぐ確認して直して戻してくれと言われていたので通勤中や休憩中もアイホン見まくってたけど結局届いたのは夜9時前で、メールみたら明日の10時戻しでいいって書いてあってなんやねんどっちやねん! しかもプロフィールに勝手に声優って追加されててそんな風に名乗ったことは一度たりともないし、先週の日記で一回だけそういう声優さんのお仕事したのを書いただけやのに、気を利かしてるつもりかもしれへんけど勝手にプロフィールいじられるのは気持ちのいいものではないですぜ? で、変更してほしいむねを即返信したのやけどそこから音沙汰なくなった。なんでや? わたし、おかしいか? まあ、わたし如きの分際ではこれくらいの扱いが妥当なのかもしれへんけど、自慢やけど連載させてくださってる特選小説の方は、編集者O高さんという方がめっちゃんこ誠心誠意満点で対応してくださる方なので、どうしてもそれと比べてしまって、あっれれ〜となってしまう、これはわたしの思い上がりもあるかもしれません。

11.15火
早朝、特選小説の次号のコラムネタを編集O高さんに相談メールしたら、なんと8通りも考えて即返信くださった! こんなに信頼出来る編集者さんって、普通いないのかもしれませんね。感激しまくりで突然執筆意欲がむっくむく湧いてきて、労働中もあれ書こうかなあこれ書こうかなあとウキウキ。帰って書き始める。楽しくなってきて夜なべ。

11.16水
昨夜書いた文を推敲して、編集O高さんに送信。あー信頼関係がちゃんとあるお相手と気持ちよく仕事出来たら本当に楽しいしいい気分。でも、こういうお相手と巡り合えるのは奇跡的な確率なんやろうということを最近しみじみ思う。夜11時半頃に、先輩ミュージシャンMTから連絡で、雨宮まみさんが亡くなったとの訃報が入る。信じられない。わたしはもともとファンだって、それが高じて『ガール・ウォーズ』というアルバムを出したときに、タワレコのインストアイベントのトークゲストで来ていただいたりもして、その後一緒にお茶したり、すごく大好きで憧れのおねえさんやった。わたしはIKAZUGOKEという名前のユニットまではじめてしまったけど、こういう、女が家族を作らないと決めて、世間と戦って生きていく、その先頭にはまみさんがいてくれているって勝手に思っていて、すごく心強い、希望の星やった。夜中、『女子をこじらせて』を改めて読み返したり、大和書房のサイトの連載「40歳がくる!」と読んでいて、そしたらこの連載の中には、死が臭ってくる文章があちこちに散っていて、真相はわからんけど、ああ、ああ、、、とひとりで布団で呻いた。まみさんはわたしの記憶の中ではお酒は飲まれない方で、いつもソフトドリンクで乾杯していたのに、この連載の中で、この1年くらいで急にテキーラをショットでガン飲みするようになっておられて、それに少し前に出た『愛と欲望の雑談』という本の中でのお写真がすごく痩せてらっしゃって、なんだか色々すごくおつらかったのやろうなあとか思ってしまった。結局眠れないまま朝。

東京を生きる

東京を生きる


11.17木
朝、バイトへ行く準備をしていると、M本K吉さんからメールで、雨宮まみさんの火葬に行くので上京するから、ごはんでも食べましょうと連絡いただく。わたしも火葬伺いたかったのやけど、バイト如きやのにこんなときでも休ませてもらえない、それくらい人手が足りない職場を呪う。早退出来たら火葬行きたかったけど結局敵わず普通に17時まで働く。そういえば朝働いてたらお客さんでちょっと前にインタビューしてもらったライターのO部さんがいらして、少し雑談。インタビューしてもらったとき、色々連絡の行き違いとかでちょっと怒りをぶつけてしまったことがあったのやけど、今思うとO部さんのせいではなくその向こう側の方に問題があったようで(とかいう裏の人間の信用できる奴できひん奴の判別のやっとわかるようになってきた)、その節は濡れ衣を着せてしまってすみませんでしたとお詫びしたら、O部さんも色々謝ってくれてしまって、いやいやこちらこそ、いやいやこちらこそ、みたいにちょっとコントみたいになって面白かった。昼過ぎにはC子せんせいが来てくれて、また着なくなった洋服や鞄など色々袋にいっぱいくださった。わたしの来ている洋服の2割くらいはC子せんせいがくれた洋服で、あとの3割くらいも色んな人がくれた洋服なので、全体の5割はお下がりの洋服である。でもみんなおしゃれさんで可愛い洋服ばっかりくれるからたいへん助かっています。夕方仕事終えて、品川へ、K吉さんと駅ビルのレストランでごはんを食べる。なんかオシャンティなお店でメニューは英語ばっかりで、ふたりともよくわからずピラフというのを頼んだら、超赤ちゃんサイズの味なし色なしごはんの上にパセリだけが申し訳程度に乗っている衝撃的なものが登場してふたりで笑う。K吉さんに火葬の様子などを教えてもらい、ふたりでまみさんの思い出話をする。もともとわたしは10年ぐらい前にK吉さんが作っている「溺死ジャーナル」という雑誌で雨宮まみさんを知って、K吉さんが引き合わせてくれたようなもんやった。まみさんの昔の写真などを見せてもらったりして懐かしみ、そこからだんだんサブカル下世話茶話会みたいになってしまったけど、まみさんがいなくなって不安になっていたところK吉さんとおしゃべりして元気が出た。レストランを出て、名古屋へ帰るK吉さんを新幹線改札でお見送りし、わたしも電車で帰路。千代田線が人身事故で北千住までしか行かなくて、そこから歩いて帰ろうかと思たけどたぶん1時間ぐらいかかるし嫌やなあってちょっと歩きはじめたけど寒いし足痛いし途中で挫折して戻る。結局千代田線動くまで待って、すし詰めの電車に乗って帰った。K吉さんから、おもしろく長生きしましょうね、とメールが来て、うう〜てなった。I田さんに会いたいなあと思って、連絡しようかなあと思ったけど、急すぎかなあとか思って結局連絡せず。

11.18金
明日からヒゲの未亡人ツアーにお邪魔するので、家で準備したり、ライブの計画を練る練る。ピアノの練習もする。夜は高田馬場のプロト・シアターというところにK井さんが客演で出てらっしゃるお芝居を見に行った。前情報なく見に行ったら、ホームレスで日雇い労働者のにいちゃんたちと炊き出しボランティアねえちゃんの話やって、わたしの好きなジャンルでおおっとなった。K井さんは後半でにいちゃんのひとりを探しに来た堅気じゃない叔父さんの役で登場。しかし叔父さんとゆってはいるけど本当は叔父さんではなくって、この青年を何かしら洗脳状態に陥れて操っているとかそういうことかも? とか考えたりした。シンプルな舞台美術で、日雇いにいちゃんたちが白と黒のマスクマンになって色んな役を回して進行していく演出も、こたつの分娩台もおもしろかったけど、劇場の構造上? 声がすごく響きまくる造りな上に役者さんの声量が半端じゃなくすごいので、普段大きい音に慣れていないわたしは耳が痛くなっちゃった。マイク的な設備ない人力の声でこんな耳にダメージ与えられるのはすごいこと! 終わってK井さんい誘ってもらい、打ち上げにも参加させていただく。銀杏のうんち臭い詳細とかイルカの脳みその話とかK井さんは色んなものの生態をなんでも知ってはるのでおもしろい。作演出の樋口ミユさんともおしゃべりさせていただいたら、なんと西成の方やって、ドヤが好きとか目の奥笑ってない人が好きとか色々意気投合する。なんやかんやみんな帰ったあともK井さんと樋口さんと話盛り上がってしゃべっていたら終電ぎりぎりに滑り込んで帰路。金曜の夜やので混み方がえげつなかった! 明日の準備できてないけどとりあえず一回寝た。

11.19土
朝からバタバタ準備していざ、ヒゲの未亡人ツアーへ! ぷらっとこだまに乗って京都へ。電車ではよく眠れるわたしですが、新幹線では何故か眠れない。スピード早すぎ滑らかでガタンゴトンが足りひんのかなあ。新幹線内では中村文則『悪意の手記』を読んでいた。15時前に京都駅について、そこから地下鉄、阪急と乗り換えて大宮、会場のBLUE EYESへ。着いたらみんないらしてて、岸野さん、参助さんとしばし歓談。その後リハをして、ゆうてる間に本番。DJサワサキヨシヒロさんが昭和ソングをブイブイでかけて、一発目ジョンソンtsuさんのライブ。どこの国かわからんけど外人という設定? てアチャラ語で歌う不思議なライブやった。二番目は泊。わたしは参助さんとはよくご一緒しておりますが、泊としてライブを拝見するのは実ははじめてやった! 戦前の歌などを昔の曲やオリジナルまじえて歌ってらしたけど、オリジナルもどれも戦前のような雰囲気で、玉音放送を聴いている気持ちになった。そしてわたしの出番。最初にCDでカラオケするやつやったら、なんと途中で曲が止まり、??となって、CDウォークマンを見ると、電池切れやった! ガチョーン! こんなこと、わたし芸歴15年くらいですがはじめての出来事! ひい! あたふたしてたら、優しいお客さんが電池持ってる名乗り出て来てくれて電池くださった。感謝しかない! そうやって命拾いしつつ、なんとか自分のライブ終了して、最後は待望のヒゲの未亡人。あの映像と音と歌とお芝居のリンクは、やっぱりこうやってその場その場ではじめましてのスタッフさんと作るのはすごくむずかしそうで、リアルタイムでAliさんが撮ってる映像を映してほしいシーンが悉くスクリーンに出なくて、スーデラの完璧バージョンを見ちゃっただけに少し残念な気持ち。でも、それでもヒゲの未亡人はそんなハンディにはびくともしない最高のステージやった。会場ごとに登場シーンの映像を作り変えていらっしゃる芸の細かさにも感動。終わって、片づけて打ち上げは王将一号店。岸野さんは王将のメンバーズカードを持ってらして、しかも餃子も「両面よく焼きで」と玄人の頼み方! わたしも王将っ子のつもりでいたけど岸野さんの方が何枚も上級者やった! 見に来てらした、「けいおん」の映画監督さんもいて、めっちゃ美人で可愛らしい人やって、こんな方が特大商業アニメ映画の監督してはるてまじかっこいいっておもいました。1時頃に店を出て飲酒組さんはとは一旦おわかれしてわたしと岸野さんは今夜のお宿のゆすらごへ。ゆすらご、噂にはきいてたけど全景が緑色で古い町屋、可愛いものがたくさんあってほっこり&テンションあがる。店主の翠娘さんと、岸野さんと3人でコーヒータイムしながら深夜のおしゃべり。楽しかった。飲酒組さん帰ってこないのでとりあえずおやすみしましょう、と床についたのは、3時半頃かな。しばらくしたら下で飲酒組さんが帰ってきた音がした。と同時にもう新聞配達屋さんが動き出している音も聞こえてきた。身体は疲れてるけど頭は興奮しててなかなか眠れず、とはいえ3時間ぐらいは寝たかな。

悪意の手記 (新潮文庫)

悪意の手記 (新潮文庫)


11.20日
目が覚めたら7時。早朝からやってる銭湯が徒歩5分くらいのところにあって、散歩がてらひとりで行ってみる。おばあちゃま方がたくさんいて賑わっていた。芸術的な老女体たちをしかと観察するべく眼鏡かけたまま入った。そういえば、岸野さんは銭湯ですっぽんぽんでラジオ体操するらしい。そして行きつけの銭湯の人からは「ラジオ体操の人」と呼ばれているらしい。銭湯で岸野さんがすっぽんぽんで元気よくラジオ体操しているところを想像してみてください。可愛いね☆ こっそり覗きに行きたい。銭湯で温まってゆすらごに帰ると、まだヒゲミボご一行さまはスヤスヤと気持ちよさげに眠ってらっしゃった。そーっとゆすらご本棚から安部慎一の漫画を抜き出して読んだり、パソコンあけて文書いたりして11時頃まで過ごし、それくらいにみなさん起きだしてきたのでちょっと寝起きの未亡人さまたちとおしゃべりしつつ、翠娘さんにバス乗り場と大阪への行き方を聞く。みんなと一旦お別れしてひとりでバスに乗り四条大宮まで出て、そこから阪急。座ったまま行きたかったので特急に乗り換えるのをやめて、鈍行で梅田まで1時間以上かけてちんたら移動。梅田、日曜日やのにあんまり人多くなくって移動しやすいけどちょと大丈夫か?感はある。動物園前で降りて、ただいま西成! はい、愛しの西成、今日はドヤ泊やので先にチェックイン。荷物を整理して、ライブにいるものだけ持って今度は本町。HOPKEN、ほほーこんなとこにあったんや。めっちゃオフィス街のど真ん中。ちょと変わった構造やけど、本もレコードも充実した良いお店。ヒゲミボチームは、映像の位置とかタイミングとか照明とか、ものすごい緻密なので入念にリハをしていらした。そう、あんなに面白いショーはすごく綿密に計算され尽くした演出なのでしょう。しばし1階でだらだらしたりして、わたしもリハ。今日はこういう雰囲気やから、生声でも声届くのちょっとおもいつきで最初小芝居をやることにした。夏にやったジャン・ジュネ「女中たち」の引用やったんやけど(そうは見えなかったかもやけど)結局なんか、いきなりどうしたんやこの人!? みたいな登場になってしまい、反省。でも楽しかった。ピアノもナマピアノで良い鳴りでライブしやすかった。続いて泊。今日はおふたりMCも結構してらして、昨日、純日本で戦前感うんぬんといいましたが、実は最近はアラブの音楽などに影響されて作ってはったそうな。ひえ〜。寡黙やと思ってたギターの武村さん、実はめっちゃ愉快な人やと発覚。そしてお待ちかねのヒゲの未亡人。今日も本当に最高にゴキゲンで感動的で危険で超すばらしかった。今日は映像も照明も概ね良い感じやった。楽しかった〜。終わって、ちょっとだけその場で打ち上げ。周囲の飲食店は壊滅的にしまってて、なので飲み物だけで乾杯しただけやったけど、ヒゲミボのみなさんお疲れ&腹ペコやろうところ、大丈夫やったかなあ。わたしと参助さんは終電で12時走って会場を出て、御堂筋線最終で西成へ帰った。夜の西成は本当に静か。ツアーはまだ続きます。