ゴミ、都市、おちんちんキラキラ玉手箱

週末、紀伊國屋ホール千木良悠子さん主宰SWANNYの第五回公演『ゴミ、都市そして死』を観にいき、これがたいへんたいへんすんばらしく本当に最高だった!のでその興奮を鼻息荒く記します。

もともとこれはファスビンダーとゆう人の演劇でしかし当時の色々なオトナの事情から上演中止になっちゃったとかそんな作品みたいでそれを日本初演、ううーんファスビンダーの映画1本もみたことない知識ゼロのあんぽんたんのわたしでも理解できるんかな〜わたしアホやから外人の名前覚えられへんねん、外人いっぱいのむつかしい話やったらどうしよ……などとびびりながら劇場へ、普段週3くらいで用もないのに立ち寄ってる新宿紀伊國屋書店の4階なのやけど、すごい、なんと立派な、ザ!劇場!歴史がびっしりしみこんでる古めかしくて可愛いつくり。そしてでっかい!幕が開くと早速、主演の緒川たまきさまが!ううううう美しい!そしてなんとゆうことでしょう、しょっぱなから、おちんちんと叫んでらしゃるではないか!そう、このお話、緒川たまきさま演じるローマ・Bは街娼、いわゆる立ちんぼで、寒い冬の日、周りの立ちんぼ仲間はどんどん買われてゆくのに、こんなにこんなに美しい緒川たまきさまは何故か誰にも買ってもらえない!とぼとぼ家に帰ると、無職のDV糞旦那が稼ぎを請求、そして暴力、みたいなお話で、そんなこんななので、ま〜みなさんおちんちんおちんちんと連呼しまくるわけです!身振り手振りでもおちんちん!おちんちんダンスのような、明らかに性交を暗喩している振付のダンスも多々!超愉快☆ローマ・Bはオカマ歌手の父、車椅子の母に捨てられ、恐らくストックホルム症候群やと思うのやけど無職のDV糞旦那を愛してしまってて、おかげで立ちんぼをさせられてて、しかしあるときユダヤ人の金持ちに気に入られ愛人になり、それまでの貧乏暮らしから突然お金がぽがぽになるんやけど、糞旦那はゲイに目覚めて出てゆき、とことん幸せになれない、大都会の片隅で今日も起きているであろう普通に惨酷な日常。みたいのはなし。大都会に跋扈する魑魅魍魎の人々がたくさん出てきて、どれもこれも超魅力的な色モノ役者さんたちが演じておられ、過激で、でもキュートな、見世物小屋のようでもあるけどバレエのくるみ割り人形みたいな、子どもには見せれない、オトナだけの内緒のおたのしみ、おちんちんキラキラ玉手箱な人間人形音楽劇でした。バレエのパ・ド・ドゥみたいな踊りがたくさん出てきて、中でも横町慶子さんとゆう女優さんに釘付けになった。お人形みたいな完璧なお顔立ち、プロポーション、で、止まってても動き出しても、その所作いっこいっこが息とまる美しさで震えた。なんか泣きそうになった。なんでやろう。

演出の千木良さん、わたしはC子せんせいと呼んでて普段は敬愛しているおねえちゃんのひとりって感じなのやけど、実はC子せんせとは去年の2月に一夜だけ上演した『北村早樹子の「アイドルになりたい」』とゆうまぼろしのコント夢芝居をやらしてもらって、それまでピアノの前で固まって歌う表現しかできんかったわたしが、「だ・い・す・き」と歌って踊ってしまうまで弾けた、弾けさしてくれた突破口がこのC子せんせいのコント夢芝居やって、C子せんせいに演出してもらう経験はとてもとても刺激的で8皮くらい剥けました、びろびろ。

で、今回の『ゴミ、都市そして死』、脚本自体はたぶんもっとむつかしくて当時のファスビンダーの社会風刺や人種差別うんぬんやらオトナの事情や情事がもりもりな作品と思うのやけど、千木良さんのお茶目でキュートでファニーな演出で、こんなにもたのしくカラフルでファンタスティックな夢芝居になったのやろうなあ、うん、C子せんせいまじすごい!それもこんなにたくさんの芸能人たちを束ねて!

関係ないけど今わらびすこ舎副舎長のすすめでジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』とゆう本を読んでて、これがどんぴしゃで『ゴミ、都市…』と交わって興奮。どちらも大都会の片隅にいきづく男女たちの、イカれた当たり前の光景。わたしもこのニッポン国のゴミだめ都市、新宿で労働してる身なので、なんか色々、うおおおおてなりながら、いま石橋英子ねえさんの手がけられた『ゴミ、都市』サントラ聴いています。ジム・オルークさんが美輪明宏ばりの本気の発声でオペラを歌ってらしゃいます。