感想文

風歩

風歩

自叙伝ってそんなに簡単に書けるものではないし、たかだか四半世紀ぽっち生きたぐらいでは詰まらん甘ちゃんの戯言になりかねんとおもう。当然わたしなんかは書けない。先日この著者の風歩さんに某所でお会いしお話させていただいて、まずはその強すぎる眼光に、わたしは自分の醜さを一瞬で全部見抜かれた気がして縮み上がり、そして赤いワンピースに苺の刺青にマリリンモンローのイヤリングと、身につけてらしゃるもの全部が可愛くて抜群にかっこよくて、お化粧も完璧やしもうまるごとひっくるめた女子力の高さに圧倒され、でもそのときはまだこの本も、どんな方なのかもはずかしながら存じ上げなかったのやけど、お会いした翌日早速アマゾンでぽちんしてこの自叙伝を読みました。壮絶な半生、とかそんな五文字では当然片付かんし、わたしのしょぼい語彙力ではなんにも説明できんけど、とにかく風歩さんは本当に気高くかっこいい女性で、この本は女子の心意気指標として掲げて行きたいとおもった。個人的にわたしはいまの自分の病(病自体はまたちょっと違うのやけど)の不安やらから陥ってしまってる卑屈で歪んだ精神を、風歩さんご自身が今までに受け止めて噛みしめて生きてきた経験がびっしり裏付けられた、物凄い説得力ある筆圧と文章力(文章がまためちゃめちゃかっこいい)で抱擁された気がして、何回も泣きそうなった。女子の怒りのパワーって一歩間違えばただ痛いだけになるけど、風歩さんのそれは怒りの質も深さも尋常やなくて完全に針振り切ってるので威力が違う。ちゃんとセックスについても書かれていたんも信頼できる。一時期売春をして生活費を捻出していたことも告白し、そこで見知らぬ男の人たちから女の子として自信を与えてもらったと感謝もしながら、最終的には、愛なんて欠片もなくて責任のない温もりに逃げ込んでいただけだったと切り捨てる潔さ。ほんで勿論、最愛の彼と出会ってからの情事の模様も、誤魔化さず書いておられる。ああこうやって生きてきはったからこその、あの眼光とあの女子力の高さかと改めて畏怖の念に駆られたと同時に、風歩さんにお手紙かこうとおもった。



極北

極北

なんかやっぱり風歩さんの自叙伝のあとやと、事実は小説より……てゆう例のよくあるフレーズが頭をよぎってしまうから今更感想も糞もってなるんやけど、これも独りでぼろぼろなりながらもたくましく生きてゆく女子(といっても男子のふりをしている)の話で、ちょっと前に読んだときはすごく感動したはず。わたし、春樹の小説はイラッっとしてしまうんやけど翻訳もんを読むとうまいな〜ておもてまう。翻訳小説によくあるタルさ、みたいのが全然なくてめちゃ読みよかったです。



クエーサーと13番目の柱

クエーサーと13番目の柱

実は阿部氏はいままで全く興味なかったのやけど、この新作はなんか文芸誌の書評とかでおもしろそっておもったのもあってはじめて手を出してみた。確かにスピード感あるし、内容も現代社会の縮図て感じやし、ははんこれは売れるなっておもったけどわたしはもうこの一冊でええかな。



~遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白~ 飛田で生きる

~遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白~ 飛田で生きる

アサ芸でしつこく煽られていたので買ってしもたのやけど、概ね予想内のことしか書いてなくってちょっと残念。飛田って素材を取り扱ってるってゆうだけでオッと思わせる商法なんちゃうかな、閉じられた場所へはそらみんな関心湧くし。脱サラした三十路男子の悩みからはじまって、だんだん風俗経営の苦難(店の女の子と寝るべきか否か的なよくあるやつ)、みたいなんになっていくだけで、なあんか親方の癖にふわっと書いたねーて思っちゃいました。『さいごの色街 飛田』の方がよっぽど気合入ってた。



この世のメドレー

この世のメドレー

餓鬼道巡行

餓鬼道巡行

小説も歌も顔も完璧にかっこいいから、どんなことがあってもマチコー先輩だけは絶対裏切らへん!と信じていましたが最近のマチコー先輩は屁理屈節のみで乗り切ってる気がしてどうもいただけません。