えっちゃん元気かな

先週の土曜日、このところずっとわたしの精神を叩いたり抓ったり鈍打したり滅多刺しにしたりしている某大型諸問題がまた噴火していて真っ黒でどうしよもなくてあかん、このままではあかん!と、勢いあまって思い立って夜、ひとり六本木まで自転車かっ飛ばして、エリカさまの『ヘルタースケルター』観に行ってきました。原作はもちろん思春期に読んではいたけどわたしは別にどっぷり岡崎京子フリークとかやないから最初はわりとライトに、冷めた目線で観賞してたのやけど、これが結構良くて、それは勿論原作そのものがすばらしからなのやけどエリカさまがまたこの美しくて残酷で凄惨な生き様が似合いすぎて完璧すぎて、とゆうかまじで結構、りりこのまんまなんちゃうん!としたらわりとしゃれにならんのちゃうん!ちょっと前に某エステの広告塔みたいなってたけど、あれ大丈夫なんか?とか余計な心配してもたりで、ええっとしっかり飲み込まれて楽しみました。蜷川実花自体は興味ないし、『さくらん』はまじできしょい映画やったけど、こっちはよかったです。

と、すっかり岡崎京子を読んでた頃の思春期プレイバック、みたいな気持ちになっちゃって、はーまた読み返したい、とかおもってたら気の利く労働先のお友達が岡崎漫画をロッカーに入れててくれて、昨日今日と読み返してたら、は〜高校生の頃を思い出して、そうやった、あのときもわたしは自分で自ら岡崎漫画に手を出したわけやなくって、えっちゃんとゆう女の子のおうちで読んでたのやった。えっちゃんは、とっても美人さんでお洒落さんでかっこよく、女の子が憧れる女の子で、当時の大阪ミナミのアメリカ村界隈では知る人も多く、わたしも幼馴染なわけやないし学区も高校も全然違うのやけど、人を介して知り合って、そうそう、わたしは当時、高校には友達もいないし保健室登校で病んでいたのやけど、ときどきミナミのひっかけ橋と呼ばれる橋の上で、今のような暗い歌を誰の見向きもされず路上で歌ったりなんかしていた時期があって、いまはこのひっかけ橋って綺麗に整備されてただの橋になってて、せいぜいナンパのメッカになってるぐらいやけど当時はなんか、若者が歌ったり絵描いたりなんかそうゆう場所になってて、そこでえっちゃんは絵を描いたり売ったりしていた。でもなんか、周りでなんかやってる小汚い若者たち(失礼……いや、でも自分含めです)とは明らかに違う、かっこよさを全身から放っていて、時々会うようになって、だんだん一緒に遊ぶようになって、おうちに遊びに行くようになりました。えっちゃんちは、大阪のT区でご両親がごはんやさんを営んでらっしゃるお店の上がおうちで、その屋上にプレハブ小屋のようなのが建ってて、そこがえっちゃんの部屋。えっちゃんの部屋は色んな漫画や本やCDやお洋服が溢れていて、えっちゃんの吸うガラムの甘い匂いがみっしり充満している、思春期の女子にはたまらんキラキラが詰まった密室で、わたしはそこではじめて岡崎京子の漫画を読んだのでした。最初によんだんはたぶん、東京ガールズブラボーやったかな。そこで勿論ヘルタースケルターも読んで、まだ世の中の酸いも甘いも知らない生娘の脳みそにはめちゃんこ刺激的に染み渡り、だのでわたしの中で岡崎京子ワールドは、あのえっちゃんの部屋ごとがそれなんです。せやので岡崎京子を読むとわたしはえっちゃんごと思い出してしまう、えっちゃんはその後、高校を確か中退してしばらく東京におって、わたしはまだ大阪にいたのでずっと文通をしていた。なんか別に携帯もメールもあったのやけど、なんか二人ともお手紙がすきで、またえっちゃんは絵を描く人やから字も絵も、もう紙ごとハイセンスやった。ほんで、今日阿佐ヶ谷でオーケンを見かけました、とか書いてあった。なつかしー。えっちゃんはいまたぶん大阪に戻ってて、わたしはだいぶ出遅れて東京に暮らしはじめてて、もうあの頃から10年経つんやなー。お〜こわ。

とかとか、もう戻らない十代の思春期の眩しさや靄や切実を、想いふけって読み返してたら御歳27の妙齢のアラサーちゃんのくせにがんがんに響きまくって刺さりまくって、ちょっぴり情緒不安定です。

リバーズ・エッジ 愛蔵版

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ヘルタースケルター (Feelコミックス)

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ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね

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岡崎京子未刊作品集 森 (フィールコミックス) (Feelコミックス)

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秋の日は釣瓶落とし (アクションコミックス)

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