3.5〜11日記

3.5月
朝から普通に労働。12時出勤にも関わらず、寝坊をこいて遅刻しやがる同僚(わたしと同い年の男)がおり、この同僚はもう寝坊常習犯で、あまりにもひどいので、1か月ほど前にわたしがものすごく嫌味なお局さんを演じて切れてやったにも関わらず、もったのは1か月だけでまたしてもやりやがった。わたしの切れ方はこうである。「〇〇くんさ、ものすごい余裕やね、てゆうか舐めてるよね、舐められたもんやわこの店全員この店全体、舐めてるんやなかったら一体どういうつもりなん? 教えて? 昼の12時よ? しかもあなた、中野に住んでるんよね? めちゃ近いやん、え、何時に寝てるわけ? 朝までなんかしてるん? してたとしても、起きる時間よね、12時よ、わたしね、不眠症やからさ、寝坊する人の神経まじでわからんのよ、申し訳ないけど、だから心の底から蔑むわ、だいたい自分でもわかってる思うけど、あなた入ってもう1年以上経つのに3階も出来ひん、レジも出来ひん、電話もとられへん、オーダー間違う、一体何が出来るねん! 時間通りに来るっていう小学校で習うような最低限のことも出来ひんの、もう哀れやわ」とこんな具合。わたしは自慢じゃないけど、今年で10年目のお局さんではあるのやけど、普段はなるべくニコニコへらへらして先輩風は吹かせないように心掛けている。しかし、遅刻するやつ(て今はこの33歳男以外おらんけど)だけは許しがたい。だからものすごく嫌味な先輩を一生懸命演じて、二度と遅刻したくないと思わせねばならんのである! せやけど、なんで自分はこんなに遅刻、というか寝坊にうるさいのか、考えてみた。そして気が付いた。これは母親の呪いなんである。北村家は異常なる早起きを子供の時から強いられており、学校ある日は5時半には起床。学校ない日も7時8時には起床が当然。そういう教育を受けてきたので、よく土日や休みの日は昼まで寝てる、とか夕方まで寝てる、とか聞きますが、信じられない。どんな生活してるのや? て感じ。だから、12時出勤なのに寝坊こく33歳の男なんて社会人としては本当に死刑に値する罪人やと思うんですけど、うちの店は本来厳しく注意すべき店長が遅刻しがちな人(というか店長は社長出勤のつもりなのやろう……)なので、自分のことを棚に上げて遅刻に厳しくなれないようで、だからわたしが嫌味な言葉責めをしてやっているのである。せやけど人に言葉責めするのってやってみると意外と楽しいね。飯田さんが先月のおとこ教室の際に「クチスタシー」といっていたが、まさしくあれや。

3.6火
病院デー。つい先日、わたしの病気がネットニュースになっていて、それの記事の中でわたしの主治医がインタビュー受けていたので、「先生、ニュースに出てましたね!」とかゆってみるも、記憶にない感じでスルーされる。いつも通り、2時間くらい待って診察は1分で終了。睡眠障害の科の方は45分くらい待って診察5分くらい。先月から処方された睡眠薬がすんごい効いている、効きすぎている旨を伝え、今睡眠薬だけで5粒も飲んでるけど飲みすぎやと思うから減らしてくださいとお願いする。薬代の節約という意味でも、なるべくお薬減らしたいのである。とはいえ、いきなり切ると変な症状出る可能性あるからといって、頓服で2週間分だけ、とか微妙に減っただけ。今月もなかなかの医療費じゃ。帰って確定申告の前計算として、医療費控除のための医療費領収書をかき集めて鬼計算。平成29年度もわたし、払ったね〜。払ったわ〜。

3.7水
朝から普通に労働。寝坊男は今日は休み。当たり前やけど、みんな時間通りに来てくれるだけでこんなにストレスが減るものか。まだ25歳やけどめっちゃ仕事出来る元ヤンのH田くん(映画好き)に小林勇貴オールナイト上映行こうや〜と誘うも、土曜やから店忙しいから休み取りづらいとのこと。バイトやから休み希望は自由なのに、なんとも真面目や。そう、ヤンキーとか体育会系とか、縦社会の中で一度でも生きたことがある人は、寝坊なんて当然しない真面目な大人に成長していることが多い。まあわたしはヤンキーでもなく体育会系でもなく、縦社会に身を置いたことはないに等しいのだけども。帰って確定申告をやりはじめる。毎年のことやけど、えーとこれはどこの欄に記入するんやったっけ、などと不安点が多くてなかなか進まない。途中までやって、大きな間違いに気が付きやり直す。途中であーもう無理ってなって一旦寝かす。

3.8木
労働は休みやけど5時に目が覚めたので、確定申告の続きをやりはじめる。7時頃に一旦終わる! 確定申告してみて、すごいことが発覚した。わたし、平成29年度まじでよく生き延びたわ。IKAZUGOKEで年収150万円キック! などとやっておりますが、全然150万円もなかったYO! その癖に医療費は約40万。医療費を差っ引くと8〜90万ほどで、この額で、この東京砂漠で一人暮らししてきたってわたしまじですごくないですか? 家賃も光熱費も払ってですぜ? いや〜わたし、すごいわ〜みんな褒めて! 無事確定申告出来たので一旦昼寝? というか朝寝? 7時半くらいから11時くらいまで寝た。ものすごい雨の音で目覚める。印刷した確定申告用紙を封筒に入れて郵便局へ。確定申告は、印刷して郵送がいちばん安く、待ち時間もなくストレスがないということを去年学んだ。税務署えげつなく混むからね。お昼から、喫茶蘭蝶にて、某キリスト教雑誌にてIKAZUGOKEで取材を受ける。キリスト教雑誌だけど、中村うさぎさんや末井昭さんのインタビューが載っているイカした雑誌。蘭蝶についてご挨拶してびっくり。なんと我らの研究ノートが、ノートにびっちり書いてあり、この日記も遡って読みまくり、わたしたちの生い立ちまで書いてあった。こんなライターさんにインタビューしてもらうの、生まれてはじめて。事前にライブにも何度も足を運んでくださっていて、まことにありがたいことです。信仰、特にキリスト教というと、なんだかお堅くてお上品なイメージだったけど、このライターさんから色々お話を聞いていたらイメージがらっと変わった。インタビュー後、こたにを予約してくださっており、ライターHさんと飯田さんと、あとHさんとIKAZUGOKE見に来てくれたことのあるS木さんという20歳のかわいこちゃんと飲んだ。牧師って実は転勤がある話。そして牧師だからといってみんなが心の広い神ではないという話。そしてイエスは実はやっべーやつだったという話。色々聞いた。このライターさんは身体に彫り物も入っておられるファンキーなお方で、しかも彫られながら彫師をインタビューして記事にしたりもしておられる果敢なお方。それから20歳のかわいこちゃんにも最近の若者事情を聞いて色々べんきょになった。何事も早さを求める若い子たちに、もはやLINEは遅いらしい。わたしなんかはLINEの既読がつく文化にもびびってついて行けてないのだけど、最近の若い子はツイッターで裏アカウントを作ってそれだけを共有しあって、タイムライン上で話すんだそうな。そして更に上をいくと、インスタグラムのストーリーっていうやつらしいんだけど、インスタグラムのストーリーって何? とかいってるわたしは完全に旧世代の生き物なのだと自覚した。22時前くらいにこたにを出る。なんとお土産に神楽坂のでっかいおいしそうな肉まんとシュウマイをいただいてしまった。至れり尽くせりすぎて、たいへんいい気分でライターさんたちをお見送りし、それでもまだ話足りなく飲み足りないわたしたちは養老の瀧へ行って飯田さんとふたりで閉店まで飲んだ。まことに楽しい一日やった。

3.9金
雨の音がうるさすぎて、魔法の睡眠薬を飲んでも眠れず。眠れないまま過ごして布団の中で苛々しはじめたので、布団を出てこたつに移動。こたつで読書。

自伝 安藤昇

自伝 安藤昇

BGMは「男が死んで行くとき時に」。昇さまかっこいい。文章もかっこいい。顔面の傷が出来上がったときのエピソード、痛さの生々しい描写がすごかった。だらだら読書していたくらいで、その他は特に実のあることはやらずに一日が終わる。一瞬外に出たら、雨上がりの明るくて生ぬるくてびしょ濡れた景色が光っていて気持ち悪くなった。

3.10土
昼から笹塚のスタジオで、来週ある大バンドのリハ。みなさんわたしと違って社員として働いている忙しいメンバーが多いのでお疲れな様子。3時間練習。次回のライブは平日のため、当日リハにはほとんどのメンバーが来られないので、通し練習も綿密にやる。不安もあるけど、とりあえず時間切れで終了。このスタジオはロビーに可愛いソファーがたくさん並んでて、そこで練習終わりにお菓子タイム。なんかギャルバンって感じやなーと思う。お菓子食べながら、大バンド旅行計画の相談。わたしが貧乏なため、行先を国内にしてもらう方向に話が固まった感じ。みんなすまぬ! 1時間半くらいロビーでだらだらして、帰路。わたしは家には帰らず千駄木で下車して、駅前のミスドで時間つぶしに原稿を書いていたら、プリンのため息ねえさんにばったり会って声をかけられびっくり! この辺にお住まいだとのこと。しばし歓談。夜は千駄木Bar Issheeで、相方飯田さんと黄倉未来くんのツーマンライブを観る。ふたりとも、同世代のピカイチな天才の男女。爆笑が止まらなくて笑い泣きが止まらない。とても素晴らしいライブだった。未来くんは円盤ではよくお会いしていたけど、本領発揮してライブしているところを見るのははじめてで、おもに独りコントというか独りの即興芝居をしながらお客さんも巻き込んで笑わせつつ、でも笑えるだけじゃなく狂気も感じるライブだった。ものすごい緻密に練られたネタなのだろうと思ったら、ほぼ即興と思いつきでぶっつけ本番でやっているとあとあと聞き、更に震えた。飯田さんは真逆で、ものすごい緻密に練られたピカピカでトゥキトゥキに尖った洗練されたネタをやっていて、相方の天才っぷりを観れてうれしかった。この日飯田さんは3分クッキングの新ネタをやっていて、家から土鍋を持ってきており、紙芝居だけでも荷物なのに土鍋まで持ってきて、ネタのためなら大荷物も厭わない根性にさすがと思った。土鍋にダッチワイフ、セーラー服をリュックにつめて、段ボール紙芝居を引きずっている女の子。怪しすぎて職質されたらおしまいやねって笑った。とても素晴らしいライブを観れてたいへんいい気分で、終わったあとマスターIssheeさんに、根津にあるジョージさんというドラッグクイーンとかやってはるオカマママさんが切り盛りするおしゃれで愉快なバーに連れてってもらう。ママさん、すごく細長くて綺麗な方で、なおかつおもしろい、イカしたお店だった。0時すぎまで飲んでみんなで終電に走る。満員の終電で帰路。ふたりともおなか減っていたので飯田さんと日高屋に入ってごはん食べて帰った。充実した一日だった。

3.11日
外はあったかいのに家の中はまだまだ寒い。洗濯して干して、こたつに埋まってぼんやりしていたら、何にもしたくなさ過ぎて、自分の怠惰さに自分で嫌になってくる。原稿を書こうとワードを開いているけど全然進まず。滞っていたメールの返信などだけ辛うじて返す。図書館に予約していた本取りに行って、帰ってまたぼんやりしていたら陽が暮れていた。台所が臭いなあと思っていたら、全然育たない水栽培している豆苗が根腐れを起こしていて絶望的な気持ちになる。