3.14〜20日記

3.14月
労働中、午後から21歳のわたしがお気に入りの女の子とひさしぶりに二人体制になって、軽い感じで話していたら突然すごく大切な悩みを打ち明けてくれて、不意打ちやったので狼狽える。しかもまさかの自分と同種の子やって、こんなことって本当にないので、うれしいというかつらいというか、でもこの子は絶対過剰に心配されたりするのは嫌やろうな、だってわたしはそうやから、とかわかってしまって、なんともいえない気持ちになったまま、夜は大バンドのスタジオリハ。全員集合は初練習。朝は雨ゆるめやったし夕方には止むとかいう天気予報やったのでいつものふかふかの綿入ったブーツ(女子がよく履いてるやつ)履いて行ったら見事に雨全然止まず、労働先からスタジオまでの数分の距離を歩いただけでしみしみのびっちょんこになってそれがスタジオで冷え冷えになって気持ち悪いし痛い、ので脱ぎたい。けど、このスタジオはなんとスタジオ内でも喫煙オッケーというめちゃくちゃフリーダムなとこなので、ものすごーく汚いし臭い=床もほぼ道路と変わらない感じなので脱ぐのは憚られる。前回のリハでリズム隊の音圧に負けて自分の声が聞こえずめっちゃ音痴になって己の声量のなさに落ち込んでいて、帰りしな地下鉄組のギター石井さんに相談したところ、マイクにもっと近づいたらいいと思いますよバンドのボーカルってマイクに口つけて歌ってますもん、とナイスなアドバイスをもらって、しかし、あのマイクってさ、色んな人の唾液まみれなわけです。わたしは汚い町や臭いものは好きな方ですが、なんかこう変なところでちょっと潔癖なところがあって、しかも気になるととことん過敏になってしまって、特にこの、大事なライブが近づいてくると絶対風邪をひきたくないのです。だからそんな、不潔そうなバンドマンが舐めまわしあっているあの棒に口づけするのはやはり抵抗があり、しかし音痴問題を解決するにはそんなことはいってられない、なんでもしゃぶらせていただけるならありがたくしゃぶらせていただきますよ、ぐらいの心意気でなければいけない、しかもきっとそれぐらい身体をはって覚悟を決めていたら、あの雑菌棒をしゃぶっても、ウイルスは感染しないんではなかろうか!? そう、強い気持ちでね! わりと心の問題よ! と念じて、しかしやはりこわいのでアルコールを持参して、歌う前に入念に拭くことにしました。まあほんの気休めですけどね。そう、ピンサロのおしぼりとおなじぐらいのね。ということでみんながセッティングをしている間にこそこそと拭いて、覚悟を決めてものっそい舐めまわして歌いましたら、ちょっとは聞こえたかなあ。バンドのボーカルってほんとにすごい歌がうまくないと成り立たないのやなあとしみじみ痛感しています。

3.15火
大バンドレコ発の構成をずっと悩んでいて、どうやったらおもしろくなるかな〜普通にまじめに歌だけうたってもみんなつまんないよね、もちろんまじめに歌はうたうんやけど、それだけじゃね〜と悩みに悩んでいたのやけど、やっとおもしろく出来そうな案が浮かんだぜ! っとなると俄然やる気が出てきて、全体の台本を書いて、頭で再生してみて、声だしてやってみて、あれこれ考えているとたのしくなってきた。実はもう、この大バンドレコ発、問題ばっかり勃発するし、慣れないことばっかりやし、H澤氏がなにもしなくなったので裏方仕事を実質ほぼ全部わたしがやることになり、おまけにUFOCLUBに問い合わせたら衝撃の予約数の少なさで、自分の大事なライブのはずやのに楽しさを全然見いだせていなくて、しんどいばっかりで、どうしようかと思っていた。のやけど、全体の構成を書いてみたら楽しくなってきた。

3.16水
大バンドレコ発の当日パンフレットを作ろうと突如思い立ち、ワードを駆使してつくりはじめる。わたしは去年からときどきお芝居を見に行ったりするようになったのやけど、あの当日パンフレット(なんか演劇の人はあれを当パンと呼んでいてパンツみたいでいいよね)といわれているペラ一枚の紙が結構好きで、演出家のご挨拶みたいなんとか配役とか、あと役者たちのアザ―ワークスが載っていたりするあれ、あれを、バンドのライブやけど作ってみようと思って、バンドメンバーたちにライブ情報をくださいとお願いしたり、物販カタログを作ったりとかする。昼からはいつもの大学病院へ。いつもはお会計とお薬コーナーで凄まじく待つので、その待ち時間に内職をしようと色々かばんに入れて行ったのに、何故か全然混んでいなくて内職するまでもなく終了して帰宅。帰ってから内職をした。

3.17木
普通に労働。すさまじく頭痛がして、これはもしやお熱? 今風邪ひくといちばん最悪やんって思って、でもお熱はかっても35度台やし、これなんやろって感じで、ドーピングしようか悩んだけど持病のお薬も倍増してるからこれ以上飲んだらどうにかなりそうなので思いとどまる。帰りにレコ発の衣装小道具探しの旅にでたけど、たいしていいものは見つからず。帰ってレコ発の事務作業をしたり小芝居の練習をしたり、タイムテーブルを組んだり、N村Pとバンドの報告やチケット予約状況などの件でやりとりしていたらすっかり夜も更けてもう寝なきゃとお布団入った。寝て起きたら頭痛治ってますように。

3.18金
寝て起きたけど頭痛治っていませんでした。鎮痛剤は、わたしは常に持病の薬として常用してるので、そしてそれは関節の痛い痛い病には効いているので、しかして頭痛には全く効いていない、これはどうゆうことぞ? と思って出勤途中アイホンで頭痛について調べる。そしたら、どうやら高気圧頭痛とやらがあることが発覚。よく低気圧で頭痛になる人、いますが、あれの高気圧バージョンがあるんやそうで、低気圧が脳にもたらす作用の、真逆の作用が働いて、高気圧によって頭痛がおきるシステム、あ、これわたし完全にこれやわって思って、昨日今日と突然春のようなぽかぽか陽気じゃないの、これのせいでわたしは具合が悪くなっているのや。ぽかぽか陽気こそが敵なのか、と思うといかにもわたして感じがして非常に納得◎しかし、労働中も脳みそが暴れててひえええーやった。でも今日は、例の秘密を打ち明けてくれた女の子とちょっとだけ一緒に仕事できたから、なんか顔みれて安心した。実はここ数日もこの子のことを結構考えてしまっていて、元気かな、大丈夫かな、とか勝手に思っちゃってね、だからって、あんまり心配してますよ〜みたいなそぶりを見せるのはこの子は絶対嫌がるだろうから、会っても普通に無駄なことはしゃべらず、彼女のにこにこを確認してわたしが勝手にひとりでホッとしてるだけ。でもわたしはこの子の、そういう決してかまってちゃんではないところが好きなのです。もっと業務外の時間にも、お話ししたりしたい気もするけど、ごはんいこ〜☆ とか、飲みにいこ〜☆ とか、わたしはこれまでも人生でほぼほぼ自分から誘ったりしたことがないし、しかも自分より10個も年下の女の子に、おねえさんごっこするのとか、やり方がわからない。わたしはおねえさんごっこがしたいのか? ところでおねえさんごっこてなに?!

3.19土
大バンド最終スタジオリハ。雨の中長靴はいて新宿の、いつもとは違うスタジオへ。こちらはおなじ新宿のリハーサルスタジオでもびっくりするぐらい治安がよくて、もうバイトの兄ちゃんの類から全然違うし、使ってるバンドマンの種別も全然違う感じ、もちろんスタジオ内禁煙で、床も綺麗だし、快適やった。本番通りの立ち位置をきめて、本番通りの曲順で、演出のタイミングとかもみんなに説明しながら、通しの練習を3回やった。うん、みなさまさすがのスキル、もうばっちりやわ! と安心し、3時間のリハを終えて外に出ると雨もすっかりやんで明るい新宿の人ごみ。わたしは明日の内職の材料を買いに世界堂へ。しかしここでも材料見つからず。しかし世界堂で遭難中に、某TディスクN島さんから、お茶しよーてメールもらって、タイミングよくその数分後には落ち合うことに成功。しかし喫茶するところどこも土曜で激混みで、どうしような〜てうろうろしていたら、末広亭のうらっちょらへんにすんごい穴場スポットを発見してしまった。わたし、喫茶店はそこそこ詳しい自信ありますが、とくに新宿は、そんなわたしでもあんなお店が存在していたことは今の今まで知らなかった。純喫茶楽屋、という札がぶらさがってる雑居ビルの階段を発見して、何ココ、と思って、勇気を出してN島さんと乗り込んでみたら、椅子の並びがほぼ全部カップルシートなの! 昔の連れ込み喫茶みたいなさ、でもあの淫靡な雰囲気はこの店は全くなくていたって健全な明るいお店で、メニューはコーヒー紅茶ジュースの他、昆布茶とか、うどんとか、おそばとかまであって、でも純喫茶って名乗ってて、カウンターにちゃきちゃきしたママがひとりおって、あと常連のおっさんなのか、それともママの個人的な関係のあるヒモ的な人なのか? なんかそういう不思議な男女が基本ふたりでテレビ見てて、客はわたしたちだけぽくて、土曜の夜に広々とくつろげて、おまけにへんてこで、すごい良い場所みっけてしまった! だけど本当にあのお店は存在していたのだろうかと、なにか我々は一瞬、新宿にぽっかりと空いた時空ポケットに吸い込まれていただけで、次にあの店を探しても、二度と入口が見つからない気がしている。そんな秘密喫茶で、N島さんに、バンドにおける心配案件などの悩みなどを聴いてもらったりして、ひさしぶりにゆっくりおはなしできた。大バンド初ライブを前日に控え、結構メンタル的に追い込まれていたので、N島さんとおしゃべりできて肩の荷がちょっと下りました。

3.20日
ついにこの日が来たぞよ! 大バンドレコ発ライブ!!物販の準備をトランクにつめて、リュックにバット刺していざUFOCLUB。すれ違う人すれ違うみんながわたしを見てる気がするけど、そらリュックからバットが顔出しる人が目に入ったら振り返るよな。会場ついたら、ステージにわたし専用お立ち台が出来上がっていた! そう、ここUFOCLUBは客席とステージの段差があんまりないので、スタンディングでライブした場合わたし身長低すぎてお客さん絶対見えなくなるでしょう、という懸念事項を解決するべく、事前に、ビールケース1個を用意お願いしてて(俗にいう鳥肌実スタイルを実践しようって目論見)、なんやけど1個では面積狭いからって、4個ぶんを合体させた特製のお立ち台を作ってくださっていた、感激! まずはソロのリハをして、きたむらじお&小芝居部分の音響と照明の段取りをスタッフさんにレクチャーし、その部分のリハをやらしてもらう。思いの外着替えや準備に戸惑う。そうこうしてらバンドメンバーがちらほら集まってきて、N村Pもいらして、順々にサウンドチェック、後、通しのリハをやる。小芝居から歌に入る流れの練習もやる。今回、UFOCLUBのあの立派な幕をふんだんに使わせてもらっている。幕ってやっぱりいいな〜。バンドの演奏の仕上がりが最高だったので、N村Pもゴキゲンに。本当によかった!お客さんの予約状況も、今週頭には23人という衝撃の少なさでもうあかんと思っていたけど、わたしがすんごく頑張って宣伝活動したおかげで(いやほんとうに頑張ったのやよ……いちばん苦手な業務をね……)なんやかんやで80人くらいは入りそうってなって、ヤッホーとなる。しかも当日券とかなんやかやで、蓋を開けてみたら関係者招待含め100人くらいの方がいらしてくれた模様。間違いなく北村ワンマン至上初の盛況ぶりです。わたしの大好きな人たちも何人もきてくれていて、わたしはにっこにこやったのやけど、でも実は全く予期せぬ、ちょっと大いに訳アリの来客が不意打ちであったりもして、取り乱す一歩手前でもあった。なのやけど、なんかそういう動揺も逆手にとって、こんなに恥ずかしいわたしを見やがれ!的な感じで結果、わたしは大いに燃えた。それはその訳アリの来客の困惑をかき消すぐらい、大好きな人たちが何人も来てくれていたのもがやっぱり大きいなあ。一部ではバンドで4曲やって、弾き語りで6曲。途中弾き語りで歌ってる途中に最前列におられたお客様が気絶して倒れられて、一瞬わたしも完全に素に戻って、どうやって対処したらいいかわからずしどろもどろになりかけて、スタッフさん救急車お願いします!とか、お医者様いらっしゃいませんかー?とか口走ってしまったのやけど、結局無事意識を取り戻され、貧血でしたとのことで、一応大丈夫だったようで本当によかった。でもあの環境でぎゅう詰めで酸欠になってもおかしくないし、お客様は過酷やったかと思います。しかも、本当にお客様全体がたいへん協力的な方ばかりで、みなさん自主的に地べたに座り始めてくださって、そう、MCでもいいましたが、憧れの唐組スタイルをステージ側から体験できちゃう形にもなって、あの、ぎっしり客席にお客様がぎゅう詰めに座ってくださっている絵というのはなかなか壮観でした。そんなこんなで前半第一部は終了して、休憩挟んで第二部。きたむらじお特別編を幕の前でやって、そこからひとり小芝居。これは去年やった飯田華子さん作演出の「二十四の瞳ちゃん」というミュージカルのセリフを引用させていただいており、このミュージカルはわたしのプライベートを知りつくした飯田さんがわたしに当て書きしてくれたラブレターのような物語だったので、わたしの歌と歌と交差する部分がすごく多くて、「すずめのお宿」「わたしのライオン」「からすの蒲団」を歌うにあたってその歌の導入にはどうしてもあのセリフをしゃべらなきゃって思って、それで飯田さんに3日前に使わせてもらっていいでしょうかときいたら、快諾してくれたので、お言葉に甘えて堂々とやらせていただいたのでした。しかもシーンの変わり目にはドルショック竹下さん演じる乳子の淫売ソングまで使って、ドルさんも見に来てくれていたので、生で歌ってもらってもよかったくらいなのやけど、それはまあまたの機会にがっつり瞳ちゃんもやりたいな! そしてバンドで後半も4曲演奏して、最後は「みずいろ」でしめ! バットを指揮棒にして後ろ向いて指揮みたいなんしたり、アンコールもバット振り回して「マイハッピーお葬式」もう一回うたったりして、本当に楽しかった! まことに信じられないことですが、超盛り上がったんである! わたしのライブであんなに盛り上がるって、前代未聞でっせ。だって歌はこれまでと同じ内容の、決して楽しいとはいえない歌オンパレードなわけです。でもやっぱり、バンドのパワーやよね。お客様の顔がみんなにこにこで、終わって見るとすごくハッピー空間が出来上がっていたのです。わたしの歌で、ハッピーな空間が生み出せるなんてね。終わって物販サイン大会とかしてお客様とおしゃべりしたりして、ばたばたと片づけ、メンバーとN村Pは先に打ち上げに行っといてもらい、H澤氏とブリッジM尾さんとでお金の計算などをするも、何故か全然合わず、しめられないのでわたしも打ち上げにいけず、しかもちょっとここで大事なお金的な某問題が発覚して、わたしはもう、今日は、今日ぐらいは怒らずに終わりたかったのやけど、ついに怒ってしまったよあーーーー! でもこれはお金的なことなので詳細はここには書けない。。。そんなことをやって全然打ち上げに合流できずにいたら、やさしいやさしい本秀康さんが、わざわざ打ち上げ会場から結構な道程を歩いてUFOまで戻ってきて、迎えに来てくれた!涙 本さんにちょっとトラブルのむねを泣きつくと、本さんはわたしにも、そしてH澤氏にもやさしいお言葉をかけてくれて、本当に出来た方だなあと思いました。打ち上げに合流してやっと乾杯。でもわたしはなんやかやで終電まで30分くらいしかいれなかった。スターライトお葬式をアレンジしてくださった武藤星児さんなんかも見に来てくださってておはなしできてうれしかった。ちょっとしかいれなかったけど、すみませんわたし足立区まで帰らなきゃなので、、、と先にお暇して電車。地下鉄の中で、楽しかったけど果たして今日のライブは客観的にみてどうやったのやろうかとか気になって、脳みそ躁状態で興奮してるしこのまま帰って寝れる気もしないわ、と思って、飯田さんに、今どこにいる?会いたいよ〜!と恋人のようなメールを送りつける。そして帰り道合流して一緒に帰ることに成功。しかもそのまま結局地元駅で庄屋に入って飲んでいて閉店で追い出され、その後いつもの我らの行きつけの地域密着型の午前3時オープンの朝から飲める某飲み屋に移動して、7時まで飲んでいた。飯田さんは、わたしが色んな意味で自分のキャパ以上のことを超がんばっていたことをすごくわかってくれていて、いや〜北村さん今日は超がんばったでしょ! て開口一番ゆってくれてすごく救われた。そういえば見に来てくれていたK井さんもおなじことを開口一番ゆってくれていた。そうです、わたしという人間をわかってくれている人が見たらね、昨日のわたしがいかによくがんばったか(それは歌をがんばったとかそういう次元ではない)それはもう、今日ぐらいは褒めてもらっていいはずよっていうがんばりだったのです! だから、大好きな飯田さんに何回も何回も、がんばったね〜ってゆってもらえてちょっと泣きそうだった。。。しかしこの飲み屋のこの朝の時間帯に来たのははじめてやったけど、この時間帯がいちばんカオスで危険なのやと発覚した。飯田さんは見知らぬじじいに撫でくりまわされ求婚までされていた。しかもそのじじいは一回帰ったのに頭にタオル巻き付けてまた帰ってきて、飯田さんを触って、店員に帰され、でもまた戻ってきて飯田さんを触って、と3回繰り返していた。すごい執念である。すっかり朝の7時に店を出て、飯田さんとばいばいして帰路。あーわたし本当にがんばった一日だった。でもすごく楽しかった。お越しくださった方、関わってくださった方、本当にありがとうございました。Tシャツやトートバック、それから7インチ「みずいろ」も買って下さった方本当にありがとうございました。北村早樹子withバンドは、大バンド、小バンド、そのときどきのみんなのスケジュールやあといやらしいはなしおギャラ的な理由でそうなんでもかんでもお受けできるわけではないですが、でも、バンドでもこれからもライブ出来たらと思っておりますので、イベント、企画、ぜっひお声かけてくださいませ!オッファーはkitamurasakiko.info@gmail.comまで〜。
(この日の写真は市川力夫さんが撮ってくれていたのでまたのちのちアップします☆)