1.1〜7日記

1.1月
元旦。わたしの住んでいるアパートの真ん前のお寺さんは除夜の鐘を鳴らすお寺さんで、昨夜2時頃までゴンゴン鳴らされたのち、あれは神楽というのでしょうか、太鼓のどんどこ笛ピーヒャララの音頭がはじまり、夜通しにぎやかな宴が執り行われる。そうであった、これが嫌で、去年と一昨年はご近所の飯田さんちに避難して年越ししていたのであった。しかし今年は飯田さんはご家族と過ごされるとのことで、わたしはひとり孤独に年越し。さっさと寝てしまおうと思ってたけどこれは寝れんやつである。諦めて、朝までゴロゴロして5時くらいから家で初風呂。100均で買った100円5個入りの入浴剤なんかも入れて森林の香りを嗅ぎながら、『絶望24時』のつづきを読む。(お風呂での読書は湿気で紙質がやられる前提なので)風呂ったあと、今日は1日映画サービスデー。自転車で行ける圏内、隣駅のショッピングモールの中にあるシネコンでなんか見たいのあるかな〜と調べると又吉氏の「火花」を板尾創路監督で、主演が菅田将暉桐谷健太(どっちも大阪の北摂地区出身なので親近感がある)なのでこれはおもろくなってるであろう、と期待しながら朝8時半の回。(というかこの一回しかやってなかった)観客、わたしのみ。嘘だろ! 自転車置き場すごい自転車とまってたでーとおもったけど、ショッピングモールが初売りなのでそちらはすごい賑わっていた。シネコンの方は閑古鳥な中、こんな朝から「火花」見ようという人はきっとこの近辺にひとりもいない、まあ、そういう文化のない町なんです。それはそうと、「火花」あんまりおもしろくなかったです。ショックでした! でも、純文学を映像化するってすごいむずいのやなあとも思った。「火花」は主人公の青き煩悶がしつこいくらいに描写されている小説で、小説としてはわたしはすごく好きやったんです。が、映像になると、その、純文学的な描写がなくなっちゃって、ただただ青臭い青春ストーリーみたいになっちゃってて、ちょっと残念な気持ちで見終えてしまった。誰もいない劇場を出て、すごい賑わっとるショッピングモールを抜けて、自転車20分くらいこいで帰宅。映画もつまんなかったし、こんな日に帰る家もなく、すごす人もいない自分は本当に天涯孤独というやつやなあとかおもってたら色々やけっぱちな気持ちになってきて、帰りに缶チューハイを買い、ストローでちゅうちゅう飲みながら家で、去年一年をひとりで振り返っていた。去年は念願の小説(飯田さんと共著の超特殊装丁本)「裸の村」が出せたし、アルバムもIKAZUGOKEで出せたので、それなりにずっと忙しかったなあ。お金にならないことをやっていることはうすうす自覚してたけど、そろそろお金のことも考えていかないと生活出来ないなとおもって、IKAZUGOKEはわたしの自主レーベルから出すわけなので、結構しっかり制作費日誌をつけ、すべての経費をちゃんと計算していて、そしてその総製作費をあと6000円で回収し終わる!(あとアルバム3枚売れたら回収できたのに!) というところで年を越したわけなのだけど、でも11月1日アルバム発売したでしょ、しかも流通で売れた分は3か月後にならないと戻ってこないからまだ計算に入れていなく、要するにライブの物販で売れた手売り分だけで、2か月で、総製作費ほぼ回収できてるって、これはなかなか頑張ったと思います。もちろん、買ってくださった方のおかげさまさまだけど。わたしは貧乏なので、アルバム一枚出すのだって、金持ちの道楽では決してやってません。てゆうか出来ません。ちゃんと、これなら赤字にはならないでしょうというのは考えて作っているつもり。でも反省点も多々あって、でもそれはせっかくお金を出して買ってくれた人に伝えることではないからここには書かないけれど、結構悔いの残る部分もあるアルバムになってしまったことは事実。だけど、わたし21歳でファーストアルバム『聴心器』出してから、もうこれでオリジナルアルバムとしては6枚目になるわけだけど、なんの悔いも残らず出来ましたってアルバムなんてほぼなくて、「そんな悔いの残ったようなものに値段をつけて売るもんじゃない」という意見もあるかもしれんけど、そんなんゆってたら、一生で一枚も作られへんわ、とわたしはおもている。反省点や悔いは次に使えばいいやんけ、派なので、ってなんかこれだけ読むとわたしすごいポジティブ人間みたいで気持ち悪いけど、人間はそうやって悔いや悪夢を思い出に刻んで生きて行けばいいんじゃないのかな。あー酔ってたね。めっちゃ頭痛かったしね。酔いながら、年末にN釜さんがすすめてくれた映画『太陽の墓場』を見た。西成釜ヶ崎が舞台で、みんなお金がないから血液銀行に血売ったり、戸籍売ったりして、要するに全員どん底の暮らしをしている人々のたいへん切実で暗い映画なんやけど、主人公ハナコを演じる炎加世子がめちゃんこ恰好良くって完全に惚れた。おまけにこの炎加世子、顔が飯田さんにめっちゃ似てるんである! N釜さん、いい映画ススメてくれてありがとうの気持ち。

1.2火
今日も労働休みだしなんの予定もない。寝正月すればいいんやろうけど、わたしは超ド級不眠症なので眠れない。朝も6時くらいにはばっちり目覚めてて、家で今小説を書いているのだけど、その続きを書こうと読み返しつつ、家が寒すぎて手がかじかんで無理無理無理。ということで、あったかい場所へ行こうと思い、どうせやったら好きな喫茶店へ行きたい。けど正月はやってないところが多い。悩んだ挙句、そうや、雑誌『点線面』さんのグラビア撮影で行った竹ノ塚の方の珈琲茶館OBがやってるかな? と電話で問い合わせてみたら、やってますとのこと。よし、あそこに行こう! とパソコンを持って、読みかけの本も持って、自転車で45分かけて竹ノ塚の保木間というところへ。ここの喫茶店はすべてのものが常軌を逸したデカさで有名で、パフェはワインのデカンタでくるし、アイスコーヒーはデフォルトがジョッキでくる、という恐ろしい店なんだけど、ホットコーヒーもかなりのでっかさで来て感動。カップの高さが文庫本と同じくらいある。これで300円。おまけに朝だからトーストとゆでたまごのモーニングがついてくる。すばらしすぎる。4人テーブルにひとりで座るのも申し訳ないし、大テーブルを相席する席を選ぶ。大テーブルやけど椅子が全部、一応一人掛け用ソファーみたいになってて(ぼろいんだけど)かなり快適空間。なにより寒くない。あったかい。あったかいってすばらしいね。小説も結構乗ってきて3時間ぐらい居座って書いた。14時くらいに店を出て、また自転車で45分かけて帰宅。こっちの方はなかなかくることないけど、町並みもいい具合で品がなくて、大きいスーパーもあるから生活しやすそうやし、悪くないなあと思った。早速帰って、物件を見る。意外と家賃相場は今住んでるところと変わらない。だったら、一応駅も近くて便利な今の家でええかーと思い至った。

1.3水
労働初め。我が労働先は年中無休で、この正月の初売りどきがいちばん一年で忙しい。デパートでショッピング帰りの人々が鬼のように雪崩れてくる。疲れた。特筆すべきことはなし。帰って年賀状のお返事を書く。もう自発的に年賀状を書かなくなって12年とかですが、一応お世話になってるひとから来た分のお返事だけは書くことにしている去年から。今年は3枚。全部出版社の方でした。

1.4木
いわゆる三が日はおわり、会社もはじまってるところもあったりなかったりで、早朝の電車はまだ空いていた。今日も労働。社会はちゃくちゃくと動き出していることが労働先の客層を見ていたらわかる。我が労働先はねずみ講の温床になっているのですが、ねずみさんたちも活動をもうはじめている。働きもんやね。働きねずみやね。お店は昨日より混んでたいへんよく働いた。疲労困憊じゃ。

1.5金
今日は1年で一番嫌いな日。理由は書きません。何食わぬ顔で労働へ行き、しかし休憩なしで早上がりやったので、3時に労働先を飛び出して、デラカブことDX歌舞伎町というストリップ劇場に直行。たいていストリップ劇場って女子は割引があって3000円とかになってるんやけど、入口で「5000円でーす」と普通に言われる。はじめてきたけど、ここは女子割とゆう生ぬるい制度はないらしい。「あの、女なんですけど」と言っても容赦なく「5000円でーす」と二度目を言われたので、あ、すみませんでしたーって感じで素直に支払う。女子割がないからか、見事なまでに、女子客わたしオンリーであった。今まで行った、浜劇も川崎ロック座も池袋ミカドも、女子が1割くらいはいたのだけど、それにいつもは飯田さんと行ってたのだけど、今日はひとり。でも別に怖い気持ちにならず居心地はよかった。左のおっさんはおそらく一回目からずっとみてるんでしょう、自分の席の床にビールの空き缶5、6缶転がしている感じも風情があってよかった。わたしのお目当てはもちろん若林美保さん。わかみほさんは今日も1ミリの欠損もない美しさでわたしを魅了してくれた。わかみほさんの完璧な彫刻のような身体にライトが照らされると、自然と涙が出る。今日は1年でいちばん嫌いな最低な日だけど元気が出た。カンナさんという踊り子さんも面白かった。なんかだんじり祭りをモチーフにねじり鉢巻きで踊り、その祭りのあとの情事を表現しているんだけど、まさかの男役で、フェ〇チオをさせる側のエアフェ〇チオ芝居がめちゃ男前で笑った。ストリップって、面白いひとほんとにおもしろくって、構成力とかもすごい問われる。たぶんみなさんご自分で選曲から振付、衣装までやってはるのと思うんだけど、上手な方のはほんとにいい芝居1本見終えたあとみたいな気持ちにさせられる。そう思うと、5000円もけして高くない。ストリップ初めをして踊り子さんたちに元気をもらい、劇場を出て帰宅。ポストに年末にぽちった『釜ヶ崎愛染詩集』が入ってた。これは年末に円盤で、田口さんに見せられて、「これ買います」てゆったら「売らないよ、これは俺の本だから」といわれた本。結局諦められずアマゾンでぽちりました。夜は飯田さんとあけましておめでとう&今年の計画会議。我ら行きつけの飲み屋Kへ。いつものぬか漬けともつ煮と紅ショウガ天を頼む。ここのもつ煮はあっさりしていてたぶん塩味?でおいしいのだけど、何故かいつの間にか味噌のこてこてのもつ煮になってしまっていてショック。たまたまお正月やからなのかな? わたしが作って行った企画書的なものを飯田さんに渡すも、ちょっと恥ずかしい写真がいっぱい載ってるので全く開けられず。帰って読んでもらうことに。こういう地域密着型の飲み屋って、すごい常連客コミュニティが出来上がってるから、下手したらめちゃんこからまれて個人的な話し合いが一切できなくなっちゃうからね。あの企画書はどえらい餌になりうるからこっそり。今日も常連さんおってびくびくしながら、飲んだ。今日は正月だから10時閉店だからというわれ、魚民に移動して、さらに2時間くらい飲んでおしゃべり。12時半くらい?1時前くらい?にお開きでバイバイして家までとぼとぼ歩いてたら、突然なんかすごい音がして、なんのことかわからず、家について携帯みたら、どうやら地震やったようす。東京も震度4とか? そういえば今日昼に地震予報機がファンファンなってたよね。これやったの?にしては12時間前に予報するって…

1.6土
なにをするパワーもわかず。午前中に洗濯だけやって干して、あとはだらだらしていた。初詣も、すぐそばに神社があるけど行く気にならず。そう、わたしのアパートの前はお寺さんも神社もあって(ついこないだまでおなじ系列の建物と思ってたけどどうやら違うらしい)、なんか神様が色々多すぎてややこしい感じになっていることを想像。でもあれすかね、たくさんの神々に見守られるパワースポットでもあるんですかね。そしたらこのわたしのどん底っぷりは一体なにって感じがする。去年は32歳、女の厄の中でいちばんえげつない本厄で、それなりに本厄どっぷりな1年やった気もする。結局厄祓いも行かなかったしね。その厄の内訳はさすがにここには書けないくらい。なかなかヘビーな厄年やった。いいこともちょっとはあったけど。そして今年は後厄。どうでもいいけど、飯田さんが送ってくれた2018年の生年月日占いみたいなやつで見たら、わたしはこの1年「やればやるほど愛される」と書かれたあった。ほんまかよ。しかしこの言葉、わたしも好きな相手からなら愛されたいけれど、嫌いな相手から愛されてしまったら大災難やでーともとれるね。ちなみに飯田さんは「何をやっても大儲け」という結果。なんかわからんけど、この占いによると、わたしたちふたりは今年すごい運がいいみたいぞよ? まあわたしは反スピリチュアルを提唱しているくらいなので、あんまり関係ないけどね。昨日、飯田さんにオススメされたエレカシの『扉の向こうへ』というドキュメンタリーをみる。宮本浩次はわたしも好きな方やけど、飯田さんは大好きらしい。エレカシのミヤジの人間っぷりとカリスマっぷりがよく映っており、CD買いたくなるいいドキュメンタリーやった。あと、ミヤジが本を読んでる画がとても素敵やった。普通に電車通勤してて、車内で読書してるのだけど、文庫本の読み方(カバーを全外しして、半ページをぐるっと裏側に折り曲げて読む読み方)がわたしの男子の本の理想の読み方やったのでちょっと惚れた。わたしは本を読む男性が好きです。

1.7日
昨夜は小説を書きかけてワードを開けたままそのままこたつで寝てしまい、2時間で目は覚めたけど布団に移動する元気がないままつづきもこたつで寝た。とにかく家が寒すぎる。昼間はちょっと憂鬱な長電話を一件して、灯油屋さんの巡回販売を待って無事灯油を購入。残り僅かになっていたので冷や冷やしていたのだけど、これでしばらくは安泰。後、早めにパソコンしょって家を出て、東高円寺。今日はUFOCLUBでわたしの大バンドでギターを弾いてくれている石井さんの本拠地バンド余命百年のレコ発があって、知久寿焼さんも出られるのでひさしぶりにライブハウスへ、の前に、ドトールさんへ寄り道して小説の続きを3時間ほど居座って書く。途中、だらだらしてたので実際書いてたのは2時間くらいかな。だけど小説って如何に自分の文章とにらめっこするかが勝負と思っているので、文字数は増えていなくとも、にらめっこ時間は大事だと思っている。開演ぎりぎりくらいにUFOCLUBへ。普段ライブハウスにお客として出向くことがないので、改めてライブハウスという劣悪な環境に体力持っていかれる。満員御礼=通勤ラッシュ並みの人の多さで、轟音に身体じゅう打たれまくる、というのは好きな音楽以外の場合拷問でしかないよね。だけど、石井さんの本拠地バンド余命百年はなかなか凝った曲で何より石井さんが可愛いのに弾くギター恰好良くて惚れ惚れした。そして知久さんは言わずもがな素晴らしく、歌詞がものすごく突き刺さってきて、そしたら背筋ぞぞぞの曲ばかりで感動した。「電車かもしれない」という歌が本当にすごくて、怖くて、荒川の川向うに暮らしている身なので情景が浮かびすぎて震えた。知久さんの歌はどれもタブーきわきわなテーマが歌われているんだけど、メロディや知久さんの声質や歌い方によって、とても親しみやすく懐にすっと入ってくる。だけどその親しみやすい歌は実は猛毒かもしれない。改めて、すごい歌い手さんだと思った。終わった後、知久さんと荒川の話やストリップの話や虫の話が出来て楽しかった。ひさしぶりにライブハウスという場所に来ているのも、悪くないかもしれないなあと思った。なので1月28日はみなさん、UFOCLUBへお越しくださいね! 対バンはなんと割礼! warabisco15あっとyahoo.co.jpでもご予約承れますので、お待ちしております。