9.24〜30日記

9.24月
祝日で病院も休みでリハビリも行けないので家でだらだら過ごす。平山夢明『恐怖の構造』読了。

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

何故人は怖がるのか、怖い物好きな人と嫌いな人は何が違うのか、恐怖と不安の違い、などを平山夢明氏の豊かな経験からやさしく解説してくれる新書、だったのだけど最終的には何故かホラー作家育成講座みたいになっていた。最後の精神科医春日武彦先生との対談がおもしろかった。夕方、飯田さんがまたわたしのお風呂のあとのドライヤーを手伝いにやってきてくれる。骨折で一人暮らしだとこういう何気ないことがひとりで出来ず難義なので、こうやって介護しにきてくれる近所のお友達がいて本当に救われた。持つべきものは友である。自宅療養が暇すぎるので、飯田さんに黄昏流星群を貸してとねだっていたら、19冊も持ってきてくれた! わーい! しばし飯田さんとおしゃべり。孤独な病人の介護をして話し相手にもなってくれて、本当にありがたい。飯田さんが帰って、早速黄昏流星群を一冊読む。中高年の恋愛、沁みる。ヤクザのじいさんとアイドルの恋なんだけど、はじめてのデートでじいさん死んじゃった。

9.25火
朝から近所の病院でリハビリ。なんと! 担当が例のめくらのボスに変わった! ボスに身体の原理を教わりながら折れた左腕を動かす。ボスは話術もお達者でたのしい。さすがボスって感じ。帰って、黄昏流星群を読んだり、アマゾンプライムで映画を観たりした。観たかったダーレン・アロノフスキー監督『マザー!』をやっと観た。想像以上に胸糞悪くて最悪で最高だった。家にいるだけなのに、わけもなく最低なことに見舞われるという意味では『ファニーゲーム』に似てるけど、やり口がじっとりしててファニーゲームのような爽快感がなく、しかし絵は綺麗で見やすい。見終えてスイッチが入ったのでこの映画をネタに、某所へ書くエッセイを書く書く書く。なんと締め切り1か月間半も前に提出。前のめりすぎるわたし。そう、北村早樹子は締め切り絶対守るどころかめっちゃ早めに提出します。書き物仕事どしどしお待ちしてます!warabisco15@ヤフーまで!

9.26水
朝イチに駒込病院の予約のため、ギブスで満員電車に飛び込む。周りにもエッ?みたいな顔されるし、わたしも嫌だしきつい。よぼよぼと病院に到着。受付してレントゲンして診察に並ぶ。予約してるのに1時間待った。病院ってなんでこんなに待つんやろうね。病院で待った時間を全部換算したらわたしこの骨折だけ何十時間分になるんやろ? とか思う。診察終わり、先生に、家の中ではギブス外して生活してオッケーと言われる。思いの外早かった! とはいえ腕は全然動かないのでまだまだこれからって感じ。外出中は危険なのでということで再び着脱可能ギブスを巻かれる。病院終わって、神保町へ。今日は昼からミリオン出版でナックルズの鈴木智彦さんとの連載対談。ちょっと時間が空いたので、喫茶店さぼうるへ。おひるどきだったのでナポリタンを頼むと、すごい山盛りのが来ちゃった。お皿が小さくて、すごいギリギリのバランスで立体的に盛られている。絵になるのはわかるけど、食べにくい。とはいえおいしかった。具沢山で、ケチャップでしっかり炒めてあるタイプのやつで好みの味だった。腹パンになって、てくてく歩いてミリオン出版へ。数日前にミリオン出版終幕のニュースが流れていたので心配だったのだけど、まだしっかりとあった。会議室で鈴木さんとヤクザ対談。後、鈴木さん煙草吸いたいとのことで、編集部横の喫煙所へ。ついでに、編集H川さんにおねだりし、編集部を社会見学させてもらった。ほーなるほど。こういう場所なのか〜。まさに男の職場って感じ。大人のオモチャが段ボールに積まれていたりしてナックルズって感じ。社会見学させていただき、終わって外でお写真撮って終了。まっすぐ帰宅。

9.27木
毎日雨。そして寒い。どうしたんやろ今年? 去年はまだまだ暑かったよね。既に毛布で寝てるけどそれでも寒い。こたつ出そうか迷ったけど耐えた。お昼から杉並の方へ。まだ外出中はギブスはめてといわれてたけど、ギブスしてると長袖の服が着れず極寒なので、えいやっとギブスを外しておでかけ。駅前のミスドで大量の差し入れのドーナツを買って、こそぶる雨の中てくてく歩いて某日本でいちばんかっこいい劇団K組さんの稽古場へ。今日は通し稽古を見せていただくのであーる。何度かお邪魔しているけど、毎度すごい緊張感。通しがはじまるまでの時間、どきどきが止まらない。舞台美術から今回も素晴らしくときめきまくり。10月から秋公演がはじまるので、ネタバレになってしまうので詳しくは書けないけれど、今回も最高だった! うんこちんこが飛び交って笑わせられながらも、最終的には胸いっぱいでうるうるきてしまう。弱者たちを讃える、弱者たちがこれでもかときらめく、すばらしいお芝居だった。ああ、この秋も何度となく通ってしまうことでしょう。終わって乾杯にもお邪魔させていただく。団員さんみなさん飲みながらもてきぱきと働いておられてすごいな〜と思う。稽古場を出て、駅前の飲み屋でK井さんと飲みなおし。感想を伝える。K井さんは演出家でもあるけど今回は出番も多く役者として大活躍なので、もうこの方の脳みそはどうなってるのやろう? といつも思う。すばらしいものを見せていただき、胸いっぱいで終電で帰宅。お芝居って、まぶしいなあ。

9.28金
ひさしぶりに晴れたので朝から洗濯。後、今日も病院へリハビリに。今日もめくらのボスだった。ボスにピアノ弾けるようになりますかね?と相談。なんとボスもピアノを嗜んでいるとのこと! しかしボスは楽譜は読めないので全部耳で聞いて音を探して弾くらしい。すごー。やっぱり耳がすごいいいのやろうな〜。ボスは奥さんと5歳の子どもさんがいるらしい。子どもは歌がすきなので、伴奏を弾いてあげてるんだって。なんかいい家族やな〜と思う。リハビリ室のじいさんばあさん、みんなこういう会話がたのしくてリハビリに通うんやろうね。病院のあと、ちょっくら北千住に出て、明日職場に持っていくお菓子を買いにマルイへ行く。デパートのお菓子売り場って、こういう時しかこないけど、なんか売り場見てたら店員さんから試食を勧められまくり、断れず食べまくってたらおなかいっぱいになってしまった。こんなに試食させてくれるものなの? ここが北千住やからかな? 新宿の伊勢丹とかで試食してるイメージないしね。無事お菓子かって帰宅。帰って今日も家で黄昏流星群。17歳のマラソンランナーとおじさんコーチの恋。またしてもおじさん死んでしまった。黄昏流星群、死にオチ多すぎ〜。

9.29土
今日は何の日? そう、東京拘置所開放デー! ということで、雨のぱらつく中ひとりで東京拘置所へ。9時半スタートで9時すぎにつくようにいったのに、なんか例年以上のものすごい人人人で入場制限がかかっており、門の中に入れてもらえず。今年はテープカットに話題のDAPUMPが来ていたせいであろう。門の外で、DAPUMPが♪カーモンベイビーアメリカ、と歌うのを聴く。門の外、DAPUMPファンが多いのか黄色い歓声が飛び湧いていた。DAPUMPが帰ったあともまだ門は開かず、もう帰ろうかと引き返すも、反対側の出口にまわる門も閉められており、なんか変な中間地点に閉じ込められてしまった! 結局反対の門が開くのを待つ羽目に。もーわたしは純粋に矯正展をたのしみたいだけやのに。DAPUMPなんか呼ばなくていいのにー! きー! という気持ち。10時頃になってようやく門が開き中へ入るも、本当に人が多すぎて人並が全く進まず、出店を見てまわれる余裕は皆無。全国の刑務所のみなさまが作った雑貨とか見たかったのに。ガッデム。片腕折れてるのであんまり揉みくちゃになると怖いので、そそくさと帰ろうと決意。入口近くのプリズン弁当だけ並び、酢豚弁当をゲッツ。これだけは買えてよかった。あと人が少なかったので出口近くの建物の中であった、受刑者の方の習字やお花の展示だけ見た。死刑囚絵画展のようなぶっとんだ作品は特になく至って普通だった。なんかあんまり楽しめずにもやもやしたまま帰宅。去年は飯田さんや石丸元章さんや金子さん夫妻と一緒にみんなでわいわい行ったからすごく楽しかったけど、ひとりだとこんなもんか〜と思う。ショボン。帰ってお昼、ひとりで酢豚弁当をつつく。酢豚じゃなくてこれミートボールやん、冷凍の! って感じだったけど、まあプリズン弁当は縁起物やので味とかは問題じゃない。ごはんたべてたらナックルズの編集H川さんからテープ起こしが届き、にらめっこして原稿作り。今回はいつになく難航。夜までひとりで悩みまくる。夜10時半頃に家を出て、ちょっくら新宿へ。今日は職場の仲良しだったH田くんの送別会なのであーる。ついでに、菓子折りもって骨折して長らくお休みしてしまったことをみなさんにお詫びのごあいさつ。3週間ぶりの職場。すでになつかしい。入口でOさんと会う。Oさんとおしゃべるするのもひさしぶり、なつかしくってうるうる。わたしのいない間に知らない新人さんがふたり入っていた。ふたりとも若くて元気そうな美人。閉店作業中の店長とちょっとしゃべる。あ〜はやくわたしも働きたい気持ちが募る。24時半頃からみんなで歌舞伎町の方のカラオケで送別会。ビンゴ大会をしたりカラオケタイムが続く。カラオケは得意じゃないのでこういう時しか来ない、1年に一回来るか来ないかぐらいだけど、せがまれたので華原の朋ちゃんの『I'm proud』を歌う。カラオケは好きじゃないけど、大人数でいるとそれぞれの人間性が見れておもしろい。自分の歌いたい曲をどんどん入れて自分の酔って歌いまくる子。それを必死に盛り上げる子。ぼーっと聴く子。色々やな〜と思う。途中何度かトイレに行ったら、ここが相当な地獄絵図で、男子便がゲロ塗れになってるからか、女子便に男子が普通に入ってくるし、女子もなんか個室でひとりでわーわーしゃべって暴れてて全然出てこないし。歌舞伎町の深夜のカラオケって、客層腐ってるな〜と思った。5時、そろそろおかえりタイム。最後にマイクを回してみんなでH田くんへのお別れコメントを言っていく流れになり、これがなんかちょっと感動的でわたし恥ずかしいけど不覚にも泣いてしまった。お別れ会でこんな感じになるのはじめてかも。別れ際にH田くんとハグをした。H田くんの人望というか人格者っぷりが現れている良い送別会だった。店を出たら雨がべしゃべしゃ降っていて、転ばないようにそーと歩きながら駅。朝帰りなんてひさしぶりやわ〜と思いながらガラガラの電車で帰った。

9.30日
朝7時半頃に寝て、11時頃に起きた。台風台風というのに、雨、全然降ってへんで? はて? お昼にM本K吉さんからメールで、今晩の飲み会は台風だから中止との旨。残念。家で大人しく、ナックルズの原稿をやった。

9.17〜23日記

9.17月
退院して初の電車でおでかけ。電車に乗るのもいちいちどきどき。ちょっととあるオーディションを受けに、はるばる成城学園前まで行く。ちょっと何のオーディションなのかは守秘義務があるので言えませんが、骨折する前から決まっていた大事なものなので、行かないわけにはいかない。しかし片腕かたわの身なので化粧も出来ず、ギブスなのでブラジャーも出来ず。ギブスすっぴんノーブラでオーディションて、色々間違っている。が、やむなし。渋谷まで電車で出て、そこからバスに小一時間ゆられて某Tスタジオ。入口から立派すぎてキンチョー。確実に不審者なのでどきどきしながらゲートを通り、オーディションで来ました北村です、と伝え、パスをもらう。カフェテリアでお待ちくださいと言われる。カフェテリアに行くと、大量のイカした外国人さんたちがわらわらとおひるごはんを食べていらっしゃった。なんかそういう撮影なのかな。みんな細長くてイケメン。上手におはしでごはんを食べていらっしゃった。売店で野菜ジュースを買ってチューチューしながら待つ。時間になって会場へ。4人同時進行で、年齢性別ばらばらな感じの4人がご一緒だった。自己紹介や面談のあと、即興芝居の審査があった。みなさん情熱的なお芝居をされていて、わたしは大して何もできなかった。こういうのはじめてだったのでたいへん緊張した。ギブスが吉と出るか凶と出るか?て感じ。うまく行きますように。帰りは小田急成城学園前まで、川沿いを20分くらい歩いて帰った。ほんとは15分くらいで着くんだろうけど、ギブスをしていると歩くのも普段より遅くなるらしい。あんよは元気なんだけど、不思議なものです。帰りの電車で聖書を読むも、なかなか進まず。

9.18火
今日は骨折の方じゃなくて持病の方の虎ノ門の病院の通院日。ギブスで行くも、こっちの病院はこっちの病院で、車椅子もわらわらいるので特に目立たず。それどころか激混みだったので座る場所すらなくて立って待っていた。いつもの1.5倍混みでなかなかカオスだった。入院中から採血&点滴されまくりで、今日も今日で採血5本も取ったので、しかも今左腕ギブスなので全部右腕からなので、そろそろ右腕の注射痕が悲惨な感じ。一歩間違えたらシャブ中の腕やで。2時間待って、診察はいつも通り秒で終了。いつもは喫茶店東京地裁かに寄って帰るんだけど、今日はまっすぐ帰宅。帰って、明日の夜のイベントで配る骨折日記の作成をし、コンビニに印刷しに行く。コピーするだけやなのに片手やとかなり時間がかかる。帰って5枚を揃えて折っていく作業。これまためちゃんこ時間がかかった&地味に重労働。片手やと紙を折るのも大変。その後、特選小説の最終回の原稿を書いた。

9.19水
朝7時すぎに家を出て、電車&バスで都立駒込病院。この病院は都心にあるのに微妙にどこからも行きにくいのがちょっと難点。8時半から受付で、レントゲンを撮って診察。予約してたのに1時間くらい待った。しかしたった4日やけど入院してたから変にホーム感があって、廊下歩くと早くも懐かしい感じがした。用もないのにナースセンターに看護婦さんに会いにいきたくなったけどやめた。診察も問題なくおわる。術後1週間になるのでそろそろリハビリはじめて大丈夫とのこと。近所の整形外科(いちばん最初にかけこんだ病院)に逆紹介状を書いてもらい、レントゲンや諸々のデーターが入ったCDRを受け取って、お会計。ここの病院は混んでも会計待ちはそんなに長くないのが救い。帰りは千駄木駅まで歩いて帰路。途中、凄まじく急な坂があって、転ばないかどきどきした。一旦帰って、夜のイベントの準備をし、夕方阿佐ヶ谷へ向かって出発。骨折ってるわりになんやかんや忙しいけど、家におっても病むだけやのでこれくらいがいい。夜は阿佐ヶ谷よるのひるねにて、『緊急開催!北村早樹子の骨折喫茶』。これは店主門ちゃんの提案で、わたしのチャリティー企画を提案してくださって、このたび緊急開催させていただくことになった骨折トークイベント。誰もこなかったらどうしようと思ったけど、ちょうどいいくらいに集まってくださってよかった。骨折、入院、手術話をしつつ、みんなでわたしがこれから先どうやって経済を成り立たせていったらいいか、話し合ったりした。思いもよらないナイスなご提案などもしてくださって、ちょっと生きる希望が持てた。肉体労働者のわたしは、身体がこうなると仕事が出来ず、よって収入が止まり、正直どうやって生きて行ったらいいかわからず辛すぎてもう死のうかと思ったりもしていて(まじ)だけどみなさんの温かさに触れて、もうちょっと生きれるなと思いました。カンパもたくさん入れていただいて、お見舞いの物資も山盛りいただいて、感謝感激雨霰でした。お集まりいただいたみなさま、カンパくださったみなさま、そしてこの企画を投げてくださったよるひる店主門ちゃん、本当にありがとうございました。

9.20木
朝から近所整形外科。40分前から並んだけど、それでも1時間半は待った。もう病院で待つの飽きた。病院の待ち時間って、いつ呼ばれるか呼ばれるかって気が散ってあんまり読書進まないのである。待って待って、診察に入り、その後リハビリの方へ流される。今日からリハビリ開始なのであーる。リハビリわたし担当のおにいさんは、折れた初日に色々処置してくれたおにいさん。同い年くらいか、なんなら年下かも。若いさわやかボーイ。おにいさんの手をにぎにぎして触り合ってリハビリをやるので、なんか異性と肌を合わせる感じがちょっと不思議。まあ好みじゃないので変な気は起こしませんが。リハビリは超地味な手首の運動や肩の運動。思いの外手首が動かず、焦る。この感じやとピアノ弾いたり労働復帰するのはだいぶかかりそうな予感。でもまだ手術後一週間やからそらそうか、仕方ないか。わたしは人生全体的にせっかちというかいらちなので、気長に頑張る、みたいなのがたいへん苦手なので、長い目でがんばりましょう、って言われるのが結構つらい。それ、めっちゃがんばるから期間短縮できません? って思ってしまう。けどこればっかりは、身体のことやし無理やなあと思うと絶望的な気持ち。病院後、区役所へ。昨日みなさんにアドバイスいただいたので、とりあえず区の社会福祉課に相談に行ってみた。ケガしてこういう状態になって、働けず、収入が止まり、生活が破綻するんですけど助けてもらえませんか? と相談。こういう場合、やはり生活保護制度を利用するしかないらしく、生活保護の説明を聞く。しかし生活保護って、貯金が1万切った、レベルじゃないと受けられないそうで、貯金があるのに(てゆっても全然ないんですけど、まだ1万は切ってない)生活保護を申請しちゃうと、逆に自分を貯金を全部国に献上しないといけないのやって! お金ない人からお金とりあげるってどういうことやねん! おまけに、東京都内では家賃53700円までの家に住んでないと受けられないそうで、それより高い場合は、安い家に強制引っ越しさせられるらしく、わたしんち家賃54000円。たった300円だけどあかんらしい。引っ越さないとあかんっていうのだけど、わたし片腕折れてるんですぜ? この状態で引っ越し作業しろと? そんな無茶な! ということで、一通り説明は聞いたものの、生活保護申請するのは断念しました。生活保護の壁は意外と厚かった……と、とぼとぼと帰路。ああわたし、どうやって生きて行ったらいいのやろう。ということで、これも昨夜アドバイスいただいた、アマゾンのほしい物リストをとりあえずはじめてみた。やりかたがあってるのかちょっと不安だけど。。。

9.21金
朝、勇気を出して口座番号をツイッターにあげて募金を開始。いよいよ落ちるところまで落ちた感があるがしかし、生活保護はもらえないことがわかったし、それでも生きて行かないといけないのでやむなし。早速パラパラとお振込みくださり、みなさんの愛が泣ける。本当にありがとうございます。片腕折れてるし、遊びに行っちゃだめってことはわかっているのだけど、暇を持て余し、ついに行ってしまった、裁判傍聴へ。折れて以来初。二週間くらいぶりに東京地裁。片腕にプレート入ってるから、入口ゲートの金属探知機でピーってならないか不安やったのやけど、鳴らなかった! タッチパネルを触って本日の開廷表を見る。も、これが高さ的にも狭さ的にも、片腕ギブスではたいへん扱いづらくて難義。なんとか調べて法廷へ。一本目、住宅侵入・窃盗。被告は30代のひょろっとした色白のおにいさん。おにいさんは元々空調点検の会社に長く勤めていたので、マンションのキーボックスの開け方などを熟知しており、その知識を生かして勝手にマンションに侵入し泥棒を繰り返していた。何度もおなじ部屋に入り、被害者のパソコンを操作して勝手にクレジットカードの再発行手続きなんかをして、それが送られてくる頃にまた侵入してポストからカードを入手するなど、だいぶ玄人技を駆使した窃盗犯。泥棒こわいわ〜と思った。二本目、強制わいせつ。被告は50代、ぱりっとスーツを着こなす綺麗めの不動産業のおっさん。おっさんは、浅草にて、11歳、13歳、15歳の少女の身体を触り、胸を撫でまわすなどした容疑で逮捕。あーまたやロリコンか〜。ロリコンおっさん多いな〜と思う。おっさんは「自分はお酒を飲むとウルトラスーパー淋しがり屋になり、昨今はスカートの短い淫らな恰好の学生が多い中、きちんと制服を着た清楚な女学生を見るとつい触りたくなってしまってやりました」と供述していた。ウルトラスーパー淋しがり屋(発言のまま)って! なんじゃそれ! しかも11歳なんて女学生ですらないやろ、子どもやで子ども! 見てくれからはそんなことしそうにもないおっさん。世の中わからんものですね。三本目、売春防止法違反。おっさんふたり組で、ふたりは吉原で「個室付き公衆浴場クラブアムール」というソープを経営しており、そのソープが摘発されていた裁判やったのだけど、聞いていて、特に悪いところはないような、え、何が罪なの? と思ってしまった。本番行為があかんことはわかるけど、ソープやからそら本番があることは自明の理。そんなんゆうたら日本中のソープを摘発しなあかんよね。おっさんたちはたまたま摘発されちゃって、運が悪かったのやな〜と思った。おっさん片方の奥さんが証言台に立ってて「子どもも小さいですし、子どもに胸を張ってお父さんお仕事を言えないのがたいへんつらいです」とのこと。そうかな〜そこは胸張って、お父ちゃんはソープ経営してるんや! ってゆってもいいような気がするけど。風俗産業ってそれくらいあかんこと? なのか? 絶対世の中に必要なものやし、ちょっと可哀想な気がしてしまった。四本目、ストーカー。に入ろうとしたらまさかの満席で入れず断念。ちょっと早いけど帰路。片腕やと、傍聴中メモが取りづらいからたいへんだけど、でも片腕でもなんとか裁判傍聴は出来ることが判明したので、働けず暇な療養期間中、平日は裁判いこ、と思った。帰ったらアマゾンからの不在票の伝票が3枚も入っていて、昨日ツイートしたほしい物リストを色んな方が送ってくださった!泣 本当にありがたい。感謝しかない。顔も知らない全国の人がこんなに応援してくれてるんやと思うと、がんばって生きようという気になった。

9.22土
早朝、ライブ帰りのI田さんが我が家に寄ってくれて、わたしのお風呂後の髪を乾かすのを手伝ってくれる。5日ぶりにお風呂に入った。ほしい物リストで送ってもらった、ギブスにビニールカバーをかぶせてそのままお風呂に入れる便利グッズを装着。思いの外袖口がきつく、血とまるかと思ったけど、頑丈で水は入ってこない。片腕でシャンプーするのは思いの外たいへんで、時間がかかり身体が完全に冷えた。けどお風呂に入ってさっぱり。6時半頃にI田さんが到着。ドライヤーで髪の毛を乾かしてもらう。なんだか介護してもらってるような気分。まあ確かにわたし現在、要介護の身やでな。ちょっとだけおしゃべりしてI田さんが帰っていき、わたしは近所の病院へリハビリに行く。開店前に行ったのにまたしても長蛇の列で並んだ。しかし病院を欲してる人ってこんなにたくさんいるのやね。今回色んな病院行ってみて思った。やっと順番が呼ばれてリハビリ室へ。このリハビリ室は大部屋でベッドが10台くらいと、電気あてる機械も10台くらいと、あと椅子席が10台くらいあって、理学療法士さんと、その助手みたいな人が全部で7,8人いてみんな忙しく働いてはるんだけど、はしっこに、絶対にベッドから動かない、ベテラン風情の理学療法士って名札を付けたおにいさんがいて、観察しているとどうやらそのおにいさんは目が見えていない。患者さんが来たら、身体を触ったりして感覚で位置を把握して、でも施術はプロっぽくて、患者さんに声をかけながら施術していて、なんかかっこいいな〜と思った。他の助手の人とかも、そのおにいさんに近づいてアドバイスを請うたりしていて、たぶんこのリハビリコーナー全体のボスって感じがして、めくらのボス!(褒めている)かっこいいな〜と思った。この病院に来てよかったと思った。リハビリ終えて病院を出ると雨が降っていて、傘もってなかったので濡れながら帰宅すると、今日もアマゾンさんから贈り物が届いた。カルシウムたっぷりの小魚やウエハースにミロ、ありがたい。しばらく食料には困らない。それとは別件でU本I子さんから読みたかったご本が届いた! うれしい! ああ、本当にみなさんに生かされている。ありがとうございます。

9.23日
ひさしぶりに天気よさそうなので朝から洗濯。洗濯干すのに30分くらいかかった。今日は病院も休みでリハビリいけないから、部屋に引きこもって読書。MTオススメ本、石井妙子『おそめ』読了。

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

夜の蝶という言葉のモデルになった、伝説の銀座のバー「おそめ」のマダム、上羽秀さんて人の伝記。なかなか読みごたえがあって、当時の文化人たちもたくさん出てきておもしろかったけど、いちばんはやっぱり内縁の夫(最後の最後に籍を入れるんだけどそのエピソードも泣ける)の映画プロデュ―サー俊藤浩滋との関係にうるっとくる。ここまで生涯かけて愛せるってすごいな〜と思う。家で読書してるだけなのに、昼からずっと頭痛がして、途中から読書どころではなくなり、ベッドに転がっていた。転んで以降、頭痛の波が頻繁に来る。転んだとき目の上を打ったのでちょっと心配。どうもありませんように。ポストに今日もアマゾンさんから贈り物の、読みたい本が2冊入っていた。本当にみなさまありがとうございます。

9.10〜16日記

9.10月
朝から普通に労働。朝イチ、大好きなWMさんがいらっしゃりうれしくて小躍り。同僚のじいじに、「綺麗な人だね〜知り合いなの?」と聞かれる。やはりWMさんは誰もが振り返る魅力的な女性である。いつも通り仕事上がって帰宅。翌日からのまさかの地獄の日々をこのときは全く予期しておらず。

9.11火
朝5時、仕事前にお風呂に入り、上がろうとしてドアを開けた瞬間、滑っておもくそ転倒。左ひじを強打。あ、これはいってもうたな……と、折れた感覚をリアルに感じる。見る見る腫れあがり、右手と比べるとまるで別人の腕。病院があくまで待つ。この時間が長く、永遠のように感じられた。職場に連絡し、折れたかもなので今日はたぶん行けませんと伝える。病院は9時からだけど8時20分頃に近所の整形外科に行く。まだ40分前なのに、すでに15人くらいの行列。みんなじいさんばあさんばかり。この整形外科はリハビリに力をいれているので、足腰が痛いじじばばが集まってくる模様。みんな待ち時間も楽し気にトークして、じじばばのサロンと化している。9時になって受付。すごく混んでいたけど、順番を先にしてくれたのか9時半頃には呼ばれる。問診の時点で、あーこれは折れてるね〜と言われる。レントゲンを撮って再び診察。ひじのお皿の部分が割れているので、これは手術してプレート入れないといけませんと言われる。まじ?! 入院手術しなきゃだけどうちではできないので、病院紹介される。紹介された病院の予約は明日なので、今日はギブスをハメて帰ることに。手術は全身麻酔なので、それの同意書サインが必要だから、親御さんに来てもらってくれといわれる。まじか……。死ぬほど嫌だったけど、母親にめちゃくちゃ久しぶりに連絡。帰って暇なので、アマゾンプライムで映画を見た。そういえば見たことなかった、名作と言われているのを見てみよう、と、今更『レオン』を見る。マチルダちゃんの可愛さに悶える。そのあと、何故か『ビーバップハイスクール』を見る。全部がコントのようで笑える。ヤンキーものヤクザものの映画を見ていていつも思うのは、たまり場になっている喫茶店が魅力的。喧嘩でケガしてギブスハメてるヤンキーがいっぱい出てくるので、自分もギブス仲間なのでちょっとほっこりする。夜11時半頃、母親がやってくる。母との確執についてはこんなところには書ききれないのではしょります。

9.12水
昨夜母が東京にやってきて、25年ぶりくらいに同じ部屋で寝た。母にベッドを明け渡し、わたしは座椅子で。意外と眠れた。6時半に起きて、入院の準備をし、紹介状を握りしめ、朝イチに東部地域病院という病院へいく。亀有の駅前にあるこの病院、真向かいに角海老ソープランドがあってちょっと笑えた。母は角海老を知らなかった。かなり待ってようやく先生の診察。からのレントゲン。からの再び診察。待合室で待ってたら隣り合わせたおばあさんに「お嬢ちゃん、学校で転んだの?」とはなしかけられてびびる。いいえ、お嬢ちゃんはもう33歳、学校へは行ってません!おばあさんには20代の孫がいるらしく、「うちの孫どうかしら?宮大工なんだけど。出会いがないって嘆いてるのよ」とのこと。え、こんな出会い頭にそんなオファーっすか?!さすが足立区民。「〇〇団地の〇棟、バス停のすぐ前の部屋の加藤ってとこだから、遊びに来てね」といわれた。行きませんが、個人情報山盛りありがとう、おばあさん。順番が呼ばれ再び診察室。岩粼という先生は、若いがなんか上から目線でムカつく感じ。せっかく紹介されて来た病院なのに「ウチでは月曜しか手術やってなくて、来週と再来週の月曜は祝日だから手術休み、はやくて3週後になる」とぬかされる。ここで腐っても大阪のおばちゃんな母が「それはそちらの事情ですよね?手術だっていうからせっかく大阪から来たんですけど!そんな待てません!」と乗り出してくれ、結果、早急に手術できる病院を探してもらうことに。ここから更に3時間ほど待ち、ようやく都立駒込病院てとこに入院先が決まる。入院セットの大荷物をもって、電車&バスを乗り継ぎ、都立駒込病院到着。身長体重血液検査尿検査から心電図、レントゲン、呼吸器系とあれこれ検査ツアーをし、夕方やっと入院手続きが完了。長かった。大部屋はベッドがあいてないから個室に通された。いくらかかるんやろ! 会計が怖すぎる! 18時半頃、夕飯が運ばれてくる。お魚の煮付(味がない)、ほうれん草のおひたし、きゅうりの漬物(ほんのちょびっと)、白ごはん。どれも味が薄くて食が進まない。おかずだけ完食しごはん残した。こんなしょぼい食事が一食480円もするて高すぎへん? 東京拘置所のプリズン弁当のが100倍おいしかったよ! 手術は明日に決まり、19時すぎに母帰宅。(わたしのアパートの鍵を渡して泊まってもらっている)21時頃に眠剤を飲み、22時消灯で就寝。途中看護婦さんが1時間に一回は見回りに来るので、その度目が醒める。あんまり寝た気がしないまま朝。

9.13木
6時に看護婦さんがきて、体温、血圧、血中酸素をはかり、薬を飲む。朝ごはんはなし。水分は10時までオッケーだけどそれ以降は断飲といわれる。入院受付窓口に限度額適応認定証をもっていく。これで最低限度額までしか支払わなくても済むはず。部屋に戻って手術着に着替え、点滴が始まる。 いよいよかとわくわくしながら、町田康の「ギケイキ2」を読む。

ギケイキ2: 奈落への飛翔

ギケイキ2: 奈落への飛翔

母がくる。しゃべると喉が渇き、水が飲めないので、しゃべるのを控えてもらう。病室で対面したまま、わたしは読書、母はスマホいじりで無言。へんな感じ。母は年齢よりは若く見えるし全体的に可愛らしい仕上がりだけど、手がもうおばあさんのそれだった。まあもう60代やしね。14時に看護婦さんが迎えに来て、いざ手術室へ。看護婦さんに「今のお気持ちは如何ですか?」ときかれ、「たのしみです」と答える。全身麻酔、ウキウキが止まらない。点滴ガラガラをひきづって廊下を歩くも、心はスキップしたい気持ち。ここで母は用事があるので大阪に帰って行った。手術室に入り、ベッドに寝かされる。先生(若いけど東大卒)と、助手の外科医と、アシスタントの女性がいる。先生は肩や首を回してなにやら軽く体操、なんか試合前のスポーツマンみたいやなーと思う。点滴からヒリヒリする液が流し込まれ、身体がポカポカフワフワしだして、一瞬で意識が飛んだ。手術がおわり、先生に大きな声で起こされる。あっという間にであった。が、14時半からはじまって、おわると19時。なかなかの長丁場だった模様。喉が激烈に痛い。酸素マスクを喉まで差し込んでいたから喉に負担がかかっていたらしい。水で喉を潤したいが、あしたの朝まで、断食断飲だと言われる。嘘だろ? 死ぬぜよ。最後にごはんを食べたのは昨日の18時、最後に水分を取ったのが朝10時。それ以降何も摂っちゃだめといわれて、すでにからっからである。わたしはもともと、ちょびちょびお菓子や飲み物を摂って生きているので、蓄えがないのである。38時間断食、20時間断飲なんて! 干からびて死んじゃうよ。病室に帰り、おまたに違和感を感じたので触って確かめると、なんとオムツ&ふんどし&おまたに管を入れられていた! 口には酸素マスク、右手は点滴、手術した左手は紐で吊られていて、おまたからは管。なんだかいよいよ落ちぶれたもんだわ…という気分になる。夕食は抜き、水も飲んじゃだめで、眠気も来ず地獄。点滴に睡眠薬も入ってるというが、わたしの不眠症舐めんなよ。30分おきに看護師さんが点滴の様子を見に来る。23時になっても寝てないので見かねて、いつも常用してる眠り薬を持って来てくれるも、水はほんの一口しか飲ませてもらえず。なんとか飲みくだし、眠剤がきくのを待つ。この夜、ちょっとすごい体験をした。あー痛いわ〜と思いながら目を閉じていると、身体がふわあーと浮き上がった、しかし、浮き上がったわたしをわたしがまた見てもいる。わたしが3人いる感じ。そしてふわーっと浮きながら、気づけばわたしは阿佐ヶ谷を歩いていた。深夜、どこも閉店して暗くなった商店街を、好きな人とふたりで歩いていた。好きな人はほろ酔いで自転車を押していて、その隣を歩いていた。いつぞやの、楽しかった日のデジャブ。あー幸せーと思いながら、第1話、終了。ちなみにこれは単に眠っていて夢みていたのとは断じて違う。何故なら、身体の本体には感覚があって、途中で鼻かゆ、とか思って鼻を掻いたりしていたし、途中看護婦さんが点滴のチャックをしにきていた時の意識もある。そして何より、これは夢とは全然違うってゆう、うまくは説明できひんけどはっきりした感覚があるんである。第2話。わたしは中学生で、セーラー服をきて近所の酒屋の前で、こっしーという仲良しの友人と待ち合わせをし、ふたりで登校している。わたしもこっしーも若い。なんの話をしていたかは忘れたが、箸が転んでもおもろい年頃。きゃっきゃっと笑って歩いていた。こんな具合で6本くらい幽体離脱ツアーをしていたら、朝。なんかふと、走馬灯をみていたような気分になった。死ななくてよかった。死にかけなぐらい痛いのと、眠剤と空腹が重なって、幽体離脱できたんだろう。やり方の感覚覚えたので、楽しかったしまたやってみようと思う。

9.14金
朝6時に看護婦さんがきて、体温、血圧、血中酸素を調べ、朝から採血2本。それから聴診器でお腹の音をきき、よし、お腹も動き出したので、飲み物だけ摂ってよしが出る。烏龍茶をぐびぐび飲む。うまい。烏龍茶こんなうまかったっけ。感動。8時すぎに朝ごはんが運ばれてくる。初日の夕食がひどい有様だったから期待はしてなかったけど、この日の朝は小さいシャケ、切干大根、味噌汁、ふりかけごはん、とスタンダードな和朝食。38時間ぶりのごはんで、腹ペコだったからおいしく感じた。ちゃんと残さず完食。からだ中繋がれてる身なので歯磨きもベッドの上。ふとベッドの横を見ると、黄色い水が溜まった袋がくくりつけられている。わたしの尿であった! 無意識に1リットルほど排尿していたのである! ひええ! 膀胱に直接管が入ってるので、催した感覚もなく尿がでていくみたい。人体って不思議。朝から点滴をまた何本か。痛みもひどいので痛み止めも点滴でながしてもらう。手術してくれた先生が回診に来て、傷口の消毒と、ギブスを装着。手術した左手は紐でくくりつけられて高いとこからぶら下げられてるんだけど、指がぱんぱんに浮腫んでグーパーもちゃんと出来ない感じ。しばらくすると看護師さんがきて、麻酔後初、日本の足で立った。問題なく歩けたので、おしっこ管を抜くことに。何やら尿道から管を入れて膀胱に風船状のものが突っ込まれていたらしい。おもしろいので抜くところをまじまじと観察し、尿の袋を写真に撮ったりしていたら看護師さんに怪しまれる。11時から院内の美容室に洗髪しにいく。3日間お風呂入っていなかったので汚くて嫌だったのでさっぱりした。美容院嫌いだけど、こうなると助かる。帰ってきたら昼ごはん。炊き込みご飯に吉野煮、酢の物。酢の物にエビが入っていたのでエビだけ残す。あと給食みたいに牛乳パックがついてきたけど、これも残す。管を外して初おしっこをする。なんか、おしっこが臭い! おしっこなのにうんちみたいな臭いがするんである。嫌すぎる! 点滴のせいなのか? あーお風呂でおまたごしごし洗いたい! 13時すぎに特選小説のわたしの担当編集者さんO高さんが差し入れおやつを持ってきてくれる。初のお見舞いさん。ありがたい。なんか、編集者が病室にお見舞いに来るって、いっちょまえの作家先生みたいですね、と言い合って和む。特選小説は編集長が変わりリニューアルに伴い、次号がわたしの最後の連載になるので打ち合わせをしつつ、たわいもない話をする。ツイッターで骨折した旨を呟くと、本当にたくさんの錚々たるみなさんが心配してくれて恐縮しきり。みんなのやさしさ、あたたかさが沁みる。先生が回診に来て、点滴も取れた。明日退院してオッケーといわれる。ホッ。夜、飯田さんがお見舞いにきてくれた。昨夜飯田さんが遂行してきた一大ミッションの土産話をきき、病院ではタブーな感じのお下品な話題でたいへん盛り上がる。途中、夕飯が運ばれてくる。すんごいしょぼくて小さい魚のフライに、キャベツの千切り、青菜のお浸し。全然食が進まないけど、これで一食480円も実費でとられてるので勿体ないのでおかずだけつまんでたべた。飯田さんが帰り、再びひまな病室。早めに睡眠薬を飲み寝た。今日は久しぶりに点滴がないので夜中の見回りの看護婦さんも来ず、静かに眠れた。幽体離脱はせず。

9.15土
毎日朝と夜に担当看護婦さんが変わるんだけど、入院中いちばんメインで診てくれていた看護婦さんは今話題の吉澤ひとみに似ている美人。そして今朝の担当はテニスコーツのさやさん激似のおばさんであった。最後の味なしごはん。おかずだけちょびちょび食べて、部屋を片付ける。もう点滴につながれていないので歩き回れるのでうれしい。とはいえ片腕では何をするにも不便で困る。先が思いやられる。ゆっくり準備してテレビ見てぼんやり。10時頃に明細をもってお姉さんが現れ、お金を持って支払窓口へ行く。土曜日だからなんか、窓口激混みで行列。じいさんは堂々と順番ぬかしするし、みんな病人でよぼよぼやし、なかなか壮観であった。びびっていたお会計だが、限度額適用認定証を使っても9万もかかり、泣きたい気持ちに。なんとか支払いを終えて、病室へ戻る。さや看護婦さんがやってきて、患者の目印バーコードのリストバンドをちょきんと切られ、これで退院。ひとりで退院&今日は大雨なので、片手で傘は持てないのでお金かかるけどタクシーで帰ることに。タクシー乗り場がこれまた行列で待ったけど、無事乗車。タクシー代4000円ちょっと。ああ、なにからなにまでお金がかかる。4日ぶりの家。荷物の整理をして、ちょっくらコンビニへ、と思って傘さして外出。したら徒歩2分くらいの距離やのに、つるっと滑ってまた転んだ。尻もちついただけやったけど、転んだ表紙に唇を噛み、流血。もう踏んだり蹴ったり。わたし、悉くあかん感じ。もう家で大人しくしてよう。。。よるのひるね門ちゃんから「トークイベントやりましょう」と連絡をもらっていたので、「北村早樹子骨折喫茶」を緊急開催することにする。9月19日水曜、19時から阿佐ヶ谷よるのひるねです。ライブは出来ませんが、トークするので、北村さんをお見舞いする気持ちでぜひ来てください。入院話を肴にギブスを眺めながらお茶会しましょう。諸々メール返信などをし、早めに睡眠薬を飲んで寝ようと思うも、全然眠れず。眠れないどころか、なんか足がもぞもぞして居ても立っても居られない感覚になり、夜、散歩に出ることに。ひとりで拘置所のまわりをゆっくり歩いて散歩した。川の匂い、夏草の匂いがして、頭の中で豊田道倫さんの『東京の恋人』♪夏草の誘い、オリオン座の瞬きをうたいながら歩いた。

9.16日
ギブスでの寝方がいまいちわからず、腕の置き方を試行錯誤しての就寝だったのであまり眠れず。病院の自動で起き上がるベッドが如何にらくちんだったかを思い知る。骨折してから、左腕を支えるために身体じゅうの普段使ってない筋肉を使ってるからか、身体じゅうが筋肉痛。座ってて立ち上がる、寝転んでて起き上がる、というだけでも相当たいへんな動きになるんである。そろそろパンツがなくなるので朝から洗濯。洗濯機を回すところまではいいけど、洗濯を干すのがこれまたたいへん。めちゃんこ時間がかかったけどなんとか干せた。物干し竿にぶら下げていると、外から太鼓のお囃子が聞こえてくる。そうか、今日は地元のお祭りの日か。昼から駅前のベローチェで、某誌の編集者さんが打ち合わせにきてくださる。わざわざ足立区まで来てくださり、しかもお見舞いといっておいしいパンもくださった。感謝。ベローチェで座った隣の席のおっさんも腕を折っており、三角巾で吊っていた。隣同士でギブスが並ぶという小さなミラクル。ベローチェで原稿の打ち合わせをして、参考文献の聖書をお借りする。すごく年季の入った聖書で、ページが金塗りのかっこいい本。実は聖書って読んだことがないので、これを機に読んでみよう。打ち合わせを終え、帰りに百均でうさちゃんのアップリケとフェルトを購入。帰って、だっさいメッシュの三角巾をちょっとでも可愛くしようと、アップリケを縫い付けて奮闘。片手じゃなかなか縫物は出来ない(当たり前か)けどなんとか縫い付けた。しかしわたしセンスが皆無なので、結局残念な仕上がりになってしまった。余計にださいね。というか、33歳でギブスの三角巾にうさちゃんや小鳥さんを縫い付けてるって、頭大丈夫か?って感じになる?もはやなってる?きゃ〜。まあ、ただのダサい人より、可愛くてアホな人の方がいいかと自分を納得させる。夜、昼間に録画していたザ・ノンフィクションを見る。今日の特集は女優のしじみさん。森下くるみさんも登場してなんかうれしかった。テーマは母親との確執。ベクトルは違えど自分にも照らし合わせる部分があって、なかなか沁みた。何本か出演作の映画拝見してるけど、しじみさんは素敵な女優さんだと思います。骨折してから、ぼんやりテレビを見る時間が増えた。

9.3〜9日記

9.3月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。

9.4火
朝から普通に労働。巨大台風が接近中とのことで、今日は暇かなと期待していたのだけど、普段より寧ろ忙しいくらいだった。みんな台風でも容赦なくおでかけはするのだね。まあ関東はそんなに関係なかったのもあるのであろう。雨は殆ど降らず、風が強かった。帰ると、吹けば飛ぶような我がアパートは雨戸閉めていてもパタパタと風が窓を叩き、時々ちょっと揺れる。でもわたし台風好きなのでちょっとわくわく。とかゆうてたら、関西は洒落にならん被害が出ていた。ツイッターを見ていたら、ビルがばらばらと崩れたり、家のベランダが根こそぎ外れて空を飛んでいたり、思い出のライブハウスベアーズの入り口天井のテント部分が無残に破れかぶれになっていたり。テレビを見ていたら、電車も関西は殆ど全線止まっていた模様。デパートなども休業していた模様。そんなに町が一斉に止まるってなかなかあることじゃないから、不思議な感じ。もしもこれが東京だったら、我が職場も休業するのであろうか? いや、しないであろう。

9.5水
朝から普通に労働。台風一過して暑い。労働後、阿佐ヶ谷へ。今日は夜阿佐ヶ谷で大事なミーチングがあるのだけど、その前に喫茶店gionへ。喫茶店で働いて、上がってまた喫茶店に行く。我が店も大繁盛でどたばた忙しかったが、gionも大繁盛していた。最初テーブル席に座っていたのだけど、混んできたのでカウンターへ移ることに。そしたらMさんがいた。会えてうれしい。しばらくクリームソーダ―飲みながら読書。途中からMさんと並んで座っておしゃべり。わたし、Mさんのファンなのでちょっと緊張した。大阪の話を聞いたり、裁判の話をしたりした。今度一緒に裁判行きましょうと約束する。喫茶店を出て、19時に駅で待ち合わせし、K井さんとI田さんと3人で駒忠へ。座敷でしっぽり飲みながら、とある一大計画のミーチングをした。家族の話になり、わたしのヘンテコな家族模様をみんなで話していたら、K井さんがまさかの着眼点でびっくりな分析をはじめる。すごい! さすがK井さん! その視点はなかった! けど、言われてみるとその通りかもしれない。しかしわたしはたぶんだいぶ家族病を罹っているのだけど、ひとりで悩んでいるとひたすら病むけど、こうやって人に話していると風穴があくというか、きもちが楽になる。不思議なものや。23時すぎまでわいわい飲んで、よろしくお願いしますをして解散。I田さんとふたりはるばる足立区へ帰った。

9.6木
朝から今日も東京地裁。しかし今日はひとりではなく、K蔵Y子おねえさんと駅で待ち合わせして、裁判をエスコートするというミッション。手荷物検査やタッチパネルのメニュー表などを案内して、本日のメニューを決める。児童買春→痴漢→覚醒剤、というコースに決める。一本目、児童買春。被告は40代のぽっちゃりした色白のおっさん。彼はSNSで出会った女の子に援助交際を持ち掛け、自室に呼びセックスをし、お金を払うどころか女の子がシャワーを浴びている間に女の子の財布からお金を盗む、という犯行を2年で50件以上繰り返していたらしい。その被害者の中には高校生や、13歳の少女までいて、ロリコンなの? と検察官に聞かれると「とんでもない、本当は30代が好みだ」とか言ってたけど絶対嘘やろ! 50件以上繰り返していたって相当な悪党やで〜とか思うも、被告の人生を聞いているとちょっとかわいそうな生い立ちで、幼少期はネフローゼを患っており、学校にもいけず施設に入っていて、その施設でいじめや性的虐待を受けていたそうで、中学生から精神疾患も患っていた。うーむ。現在は生活保護で暮しているが、お金がないのでそうやって財布からお金を取って生活の足しにしていたそうで、しかしよく50件以上も成功していたね? こういう事件は女の子も泣き寝入りが多いんやろうな〜。まあオンナンコ側も売春といういけない行為をしてるからね。1件目が終わって昼休み、K蔵さんと地下の喫茶室でごはんを食べる。食堂の方は行くけど、喫茶室は初。カボチャのドリアを食べてコーヒーを飲んだ。午後の裁判までK蔵さんとおしゃべりをする。初裁判、楽しんでくれているようでよかった。午後から2本目、まず痴漢。痴漢というか盗撮魔。またか〜という感じ。裁判に通って知ったけど、ま〜痴漢や盗撮魔の多いこと! みんな一見地味でどこにでもおるおっさんやおにいさん。今回の40代のおっさんも、マイクロCDカード27枚分盗撮ファイルがあったそうな。証人に妹さんが出て来ていて、この妹さんがすごく真面目に健気に反省の弁を述べておられて、なんか可哀想だった。三件目、覚醒剤。被告は足立区竹ノ塚在住(!)の49歳の無職のおっさん。秋葉原を歩いていたら、密売人と目が合い、「あるよ」と言われ購入。2回やったところ不整脈が出て具合が悪くなり、それ以上はやらなかった。その2日後、新宿を歩いていて、道がわからなくなったので自らパトカーのおまわりさんに近づいていき、道を聞いたところ、逆に職務質問をされ、尿検査をされ、覚醒剤が出てしまいあえなく逮捕。という、なんというか、本人全く能動的でないのに、気づけば覚醒剤に手を染めていて、気づけば逮捕、みたいななんとも間抜けでちょっと可哀想な被告人。証人に病気のおかあさんがよぼよぼと登場し、「これからは実家でわたしが監視します、わたしが三男の方に行っていたので淋しかったんだと思います、これからは一緒に過ごします、休日は一緒にパチンコ行ったりします」なんて言っていて、中高年の親子が一緒にパチンコに行くってあたりが足立区らしいな〜とちょっとほっこりした。3本見終えて、共に東京地裁を出て、駅でK蔵さんをお見送りして帰路。帰って明日のトイピアノワンマンの曲順を考えて練習して寝た。

9.7金
朝からトイピアノの練習練習練習。昼、ふと思い立って来月和歌山行きを決める。飛行機をとってから、関空の惨状を知り、大丈夫なんか? と心配になる。準備して夕方から下北沢へ。トイピアノを背負って、ドンシャンピラリラと騒音を流しながらてくてく歩く。恥ずかしい。ちなみにトイピアノはわたしの横幅より飛び出ているので電車でいつも肩身が狭い。椅子に座ると横の人に迷惑かかるし、立っていてもすごく突き出しているので迷惑かかる。一番いいのは網棚に乗せることなんやろうけど、わたしの身長では絶対に届かない。というか、あの網棚ってどれくらいの身長の人基準に作られているのであろうか? のっぽの人以外使えないようになっている。仕方ないので横の人にすみませんって気持ちで座ってお膝に抱えて乗っている。会場、下北沢レテについて、準備してリハ。レテは音の響きが本当にいい。トイピアノも生音で響くし、カシオトーンもスピーカーつながなくてもいい感じに聞こえたので今日はそのままでいくことに。榎本さんと、心配な曲を何曲か合わせて、物販を並べて開場。わたしたちは控室代わりのミスドへ。並んでたら、隣のおばちゃんがめっちゃ怖いおばちゃんで店員さんに嫌味たっぷりに文句たれていてこわ〜と思った。ミスド、ひさしぶりに来たら新商品出ていたけど、ここは冒険せずいつものポンデリングとカフェオレ。榎本さんとしばしお茶しながらおしゃべり。トークテーマは常識のない大人。わたしも自分が特別立派な大人やとは思わへんけど、なるべく他人には迷惑かけないように最低限の常識はわきまえているつもりで、しかし世の中はびっくりするような非常識な人がまじで多すぎるね! 平然と信じられへん行動をする! 冷や冷やするわ! とか愚痴をこぼしながら、ミスドを出てレテに戻る。今回はお客さん少な目、というかこの企画も今回で第五回だったけど、回を重ねるごとにお客さんが減ってきている。まあ定例企画っていつもそうなのです。チーン。とはいえ、毎回来てくれる人は来てくださるので本当にありがたい。ありがとうございます。ライブは無事に終了。榎本さんのハーモニカが鳴ると淋しい風が吹く。新曲もいい感じに出来ました。終わって、お客さんとしばし歓談。O野くんとK蔵さんと映画の話で盛り上がる。「寝ても覚めても」と「きみの鳥はうたえる」は見ようと思いました。トイピアノを背負ってまた騒音を流しながら帰路。

9.8土
ひさしぶりに休日で洗濯日和だったので山盛り洗濯をして、しばし冷房をつけてゴロゴロし、昼から宿題の曲作りに励んだ。うーん。とりあえず1曲録音してミックス。うーん。うーん。うーん。悩ましい。うーんうーんうーん。

9.9日
朝から普通に労働。同僚Aくん(25歳)からいい匂いがしたので、「ええ匂いやね」というと、「柔軟剤変えたんす」とのこと。一人暮らしの男子でちゃんと柔軟剤使ってるって、ちょっといいなと思う。日曜は出勤自体が1時間早く、よって上がるのも1時間早いので帰ってもまだ夕方。帰って来週のワンマンで配る新聞の原稿を書いた。労働をして、書き物もして、充実、気持ちよく疲れた一日。

8.27〜9.2日記

8.27月
朝、出勤すると、同僚じいじに事務所に呼ばれ、このわたしが休みだった三日間の間にあった事件を聞かされる。詳細は書けないのだけど、結構重大事件で、その結果ひとり古株のおねえさんがいなくなってしまった。この人手不足の状態でひとり消えるのはたいへんピンチ。ということで、多店舗からヘルプで社員のおじさんが登場。おじさんはもともとうちの店にいたので仕事は一通りできるので助かる。&、このおじさんは自ら禿げキャラ&変態キャラを愉快に演じておられるたのしいおじさんなので、暇があればちょけたりなんかして遊びながら働きたいところだけど、そんな暇は1秒もなかった。あくせく働いて帰路、I田さんから熱いメールをもらう。それを踏まえて、K井さんに折り入ってご相談のメールをする。どきどきしながら送信。

8.28火
最近、労働しかない日は22時に布団に入って、5時に起きる生活。早寝早起きで健康的やろ。起きるとK井さんからメールが届いていた。ご快諾いただけて天にも昇る気持ち。早速I田さんにその旨を送信。それから出勤前に特選小説の原稿の最後の見直しをして編集O高さんに送信。それから労働へ。今日もどったばた。変態おじさんとちょける暇はなし。帰ってポストをあけると、健康診断の結果が送られてきていた。悲惨な結果を予想していたのだけど、わたし、持病以外はパーフェクト級に健康的だということが発覚。体内年齢なんと19歳! まさかのティーンエンジャー! ちょっとわたし、すごくないですか? 薬漬けお菓漬けの睡眠障害人間なのに、内臓の数値どれもパーフェクト。コメント欄にも「素晴らしい結果です」と書いてあった。ちょっと自信が出た。まだ生きれる。

8.29水
朝、通勤中の駅のホームで毎日見るおっさんで、電車を待ってる間ずっとゴルフの素振りをしているおっさんがいる。正直邪魔&危ない。というのも通勤ラッシュの我が最寄り駅はすさまじい人口密度でホームに人が溢れている。そんな中で素振りって! ぶつかるから! と思うんだけど、本人は全く気にせず素振りに没頭。しかし思うんだけど、何故ゴルフ愛好家の人はどこでも素振りをはじめるんやろうね? ちょっとした信号待ちの間とか、突然素振りはじめよる。他のスポーツでいうと、エアードリブルとか、エアーレシーブとかでしょ、そんなんしてる人おらんやん! ゴルフだけやん! 恥ずかしいと思わないのかね? ひさしぶりの三連勤。さすがに三連勤目になると、やる気が失せるわたしはだめ人間。週5、週6で働いてる人って本当に偉いと思う。

8.30木
今日も朝から東京地裁。今日はどんな裁判があるかな〜とタッチパネルを触っていると、10時から早速「嘱託殺人」という珍しい罪名の裁判を発見。早速その法廷へ。まだ開廷まで20分以上あるのに、長蛇の列だった。傍聴人を整理する専門のおばさんがいたり、職員さんが出たり入ったりものものしい。10時ぴったりに法廷へ入場。もちろん満員。そして、入ってびっくり、証言台も、検察官席も、弁護人席も、全部が衝立で囲われていて全部隠されているのであーる。こんな裁判はじめて。衝立の隙間からちらっとだけ見えたんだけど、普段裁判官はだいたいひとりなのやけど、この裁判、見える限り5人は裁判官がいた。検察官も弁護人も何人もいる気配。すごい、大事感に胸が高鳴る。この事件、聞いているとかなりややこしく、そして切ない事件で、当時17歳だった女の子が火事で亡くなり、最初は放火の疑いだった。しかし後々、この女の子の交際相手だった19歳の少年が「彼女は妊娠しており、それを親に打ち明けられず悩んでいて、殺して欲しいと強くせがまれ、断り切れず彼女の頸を絞めて殺した。そして火をつけて自分も死のうと思ったが、苦しくて逃げ出してしまった。結果、彼女だけが死んでしまった」と証言しだし、事件が発覚したというもの。なんで衝立で全員隠されているのかというと、恐らく被告人が未成年だから? かと思われる。この日は証言台に、被害者の女の子の母親が立っていた。高校三年生、正義感が強く、剣道2段の腕前、よく笑う子どもが好きなやさしい子だった。被告人を連れてよく家にきており、被告人のお誕生日会を、近所の祖母の家で開くなど交流があった。まじめそうでいい子だと思っていた。事件の日、弟の部活の試合を見に行くため母は泊りがけで外出していた。外出先で母はご近所さんから「お宅が火事よ」という連絡を受ける。心配になり近所に住む祖父母に見に行ってもらい、「娘が亡くなった」と知らせれる。母帰宅。遺体と対面しようとするも、病院でみんなに「識別不可能なぐらい損壊しているので見ない方がいい。綺麗な娘さんのままの記憶でお別れした方がいい」と止められ、遺体は見られなかった。最初は火事として処理されていたが、半年後急に嘱託殺人だったとして事件が浮上。現在に至る。なんとつらい事件なんやろう。被告人の男の子は地獄だろうなあと思う。まだ19歳なのに、愛する人を殺めてしまい、その罪を背負いながら一生生きて行かないといけないなんて。亡くなった女の子も、殺して欲しいと依頼するほど妊娠に気を病んでいたなんて。本当に苦しかったんやろうなあと思う。殺人は罪だけど、なんか一概に被告人を責められない気がしてしまう。証言台で被害者の母は「未成年だからといって刑を軽くすることなく、大人と同じ刑罰をお願いします」と涙ながらに訴えていたけど、なんかつらいわ〜と思った。一旦昼休みで休廷になり、午後からもこの裁判の続きがあったのだけど、午後の部開廷30分前くらいに並びに行ったけど既にもう満員で入れず、続きは見送れなかった。無念。仕方ないので、犯人隠避という罪名の裁判を見に行くも、これは覚醒剤で警察から追われている犯人に逃走資金1万円を渡し(少な!)逃走経路などを教えて逃がした罪で男女2人が裁かれている、アホみたいな裁判やった。傍聴席、被告人たちの友人がたくさん駆けつけていて、しかも全員ちんぴら風情の中年ヤンキー。被告人も入場して客席の友達の顔を見てヤッホーみたいな顔つきでたいへんふざけている。裁判を聞いていると、この被告人自身も二人とも過去に覚醒剤で何度も捕まっており、(男は前科8犯で現在も東拘に拘留中、女も前科5犯)、全員シャブ常習犯。しょうもない事件だった。午後からはめぼしい裁判が殆どやっておらず、早めに切り上げて帰った。

8.31金
朝から普通に労働。出勤すると、またしても冷蔵庫にOさんから梨のプレゼントが。大きくて立派なやつ。うれしい。あくせく働くも、朝からずっと頭痛がひどく、薬箱からバファリンを拝借して飲む。しかしあまり効かず。労働終わり、紀伊國屋に寄って上原善広さんの新刊『辺境の路地へ』を購入。帰り道に読み始める。上原さんの文章はメランコリックで染みる。ひとり旅に出たくなる。

辺境の路地へ

辺境の路地へ

 帰って、明日のIKAZUGOKEライブの練習をひとりでやる。ひさしぶりなのでラップを思い出すため、久しぶりにアルバムを何度かリピートで聞いたけど、一曲ずつ小話が入るアルバムって聞きづらいといえば聞きづらく(今更!)、BGMとして流して聞けないから音楽アルバムって感じではないねこれ(だから今更!)。ネタの方の台本もひっぱりだしてきて、ひとりで復習して練習した。

9.1土
飯田さんが練習で我が家にくるので、朝から部屋の片づけ。昼から飯田さんが来訪。近況などおしゃべりしつつ、練習。ひさしぶりだのでいけるかな〜とちょっと不安だったけど、やってみるとグルーブ感も思い出せて大丈夫そうでよかった。練習していたら突然大雨が降りだしてびびる。2回ほど通し練習をして、出陣。本日の会場は代々木バーバラ。代々木上原まで地下鉄で行って、引き返して小田急で南新宿。飯田さんとおしゃべりするのひさしぶりすぎて楽しくて道中もずっと喋っていた。到着してみなさんにご挨拶などしてリハ。本日のPAは太陽肛門スパパーンメンバーでもある内田典文さん。そう、わたしのいちばん好きな敏腕PAさん。バーバラはグランドピアノもあって、内田さんがPAなのでほんとに安心安定の音の良さでうれしい。リハを終えて物販準備をして、一旦近所のドトールにどろん。ここは代々木、予備校生の町だからか、ドトールは窓に「店内での勉強はお断りします」というシールがべたべたと貼ってあって、なるほどな、と思う。我らが足立区なんかでは、そんなカフェで勉強する人なんておらんことであろう。ドトールでコーヒー啜りながら飯田さんとおしゃべりしていたらまたしても外大雨でびびる。しかし会場戻るときには奇跡的に止んでいた。19時スタートで我らは一発目。あたたかいお客さんに支えられ、ぶいぶいにかませた(気がする)。ラップも歌紙芝居もたのしかった。やっぱりIKAZUGOKEたのしいな〜と思う。今回主催の倖田李梨さんのバンド、LiLee+phallusさんのライブではサイリウム棒が全員に4本ずつ配られて、振りながら鑑賞。わたしサイリウム振ったことなかったのだけど、あれ結構いい運動になりますな。4本も持つとそこそこの重量があり、30分とか40分とか振り続けるとそこそこ筋トレになるんじゃね?とか思った。倖田李梨さんは踊り子さんとしてとっても素敵でファンなのだけど、歌もとてもお上手だった。そんな倖田さんは昨日まで大阪のストリップ劇場に出ていて、今日帰ってきたばっかりで、今日はバンドのライブにも拘らず途中抜けて武道館にキックザカンクルーのライブを見に行っていたそうな! 元気〜。MCも愉快でたのしいライブだった。終わって、物販もたくさん買っていただけてうれしかった。本当にみなさまありがとうございました。足立区に帰って、飯田さんと居酒屋で細々と打ち上げ。ひさしぶりに飯田さんと一日過ごし、たいへんたのしく幸せだった。

9.2日
4時頃に寝たのに、8時には目が覚めてしまった。最近、10時間とか寝れてたのに、なんでやろ。雨が降っていて窓をあけるとたいへん涼しい。もう夏も終わったのであろうか。昼から榎本さんがやってきて、レテワンマンの練習。新曲をやったり通したりして練習。それから今日は榎本さんが1年がかりで作った曲を聴かせてもらった。これがすばらしいクオリティで驚愕。緻密に作りこまれた可愛らしくきらきらしたおしゃれな曲。すごい、こんな曲わたしは絶対作れない。尊敬。練習のあとは、梨やお菓子をたべつつお茶を飲んで、かわいい動物の動画をみたりしてきゃっきゃとおしゃべりした。9月7日は下北沢レテにて、榎本美月ちゃんとのデュオでワンマン。みんな来るように!

8.20〜26日記

8.20月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。帰り道、新宿三丁目駅の地下道へもぐるエレベータの隣に、ものすごく大量の人糞が落ちていた。すごい、あんな量一回でひりだせるって、どんな人なんやろう。普通に便器にしたら確実に詰まる量。道端にうんこするって、ホームレスの仕業?とかって発想してしまいがちだけど、ホームレスさんの食料事情からはきっとあんな立派なうんこはひりだせないはず。犯人はどんなやつやのか。気になる。帰って、特選小説の原稿を見直して編集O高さんに送信。夜、泉鏡花の『山吹』を青空文庫で読んだ。先日海神別荘を見に行った際に打ち上げて久保井さんと桑原さんにオススメされたので読んでみたんだけど、えっ鏡花ってこんなの書くの!? と驚きの、ドSMなお話だった。

8.21火
朝から霞ヶ関。今日は午後から病院なのだけど、病院のある虎ノ門東京地裁のある霞ヶ関は目と鼻の先なので、ついでに今日も東京地裁で裁判傍聴。1件目、窃盗。こちらは車上荒らしを繰り返していた二人組の裁判。かたっぽの人が三浦誠己似でかっこよかった。2件目、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反。こちらは被告人水商売のベトナム人のおばさんで、おばさんは何の許可もとらずに風俗行為を行っており、自分だけでなく従業員にも風俗行為をさせていた罪で裁かれていたのだけど、そんなことをしている反面このおばさんはたいへん熱心な仏教徒で、仏教協会みたいなのに入っており、証人に僧侶のおじさんが出てきていた。おばさんは中学生と高校生の子どもがおり、またベトナム人日本語教育にも関心を持っていて、ベトナム日本人学校を建てる夢があるそうな。人間、表と裏があるよねっていうのを見せてもらった。3件目、痴漢。この裁判は傍聴席なんと隣に阿曽山大噴火さんがいらっしゃった。裁判傍聴に来る度にお見掛けしているけれど、隣に座るのははじめてでなんかワクワク。そんなことはさておき、こちらの痴漢は37歳派遣社員のお兄さんなのだけど、とにかく屁理屈をこねくり回すめんどくさいお兄さんやった。しょっぱなから高らかに「黙秘します」と宣言。「何故なら自分はこの裁判を流れ作業で終わらせられたくない、しっかりと裁いてもらいたいので、敢えて黙秘します」とか言いだして、弁護士も話が違うがなって感じになって一瞬裁判が止まる。この屁理屈兄さんは足立区生まれで印刷会社やスーパーの店員など職を転々とし、今現在は大井町でビルの警備員をしている、子ども3人いるバツイチなんだけど、京浜東北線車内で被害者の背後に立ち、スマホを触っていた流れで被害者の臀部に手が触れた瞬間にムラムラきて、そのままスカートをまくり上げて臀部を親指・人差し指・中指の3本で揉んでいたところ現行犯逮捕。という痴漢行為をしておきながら、「身柄拘束されてから頭がくらくらして体調が悪い、歯が痛いけれど治療を受けにいけない」などとぶつくさ文句を垂れており(←黙秘するっていっておきながらめっちゃしゃべるやん)検察官に自分の娘が被害に遭ったらどんな気持ちになるか考えませんでしたか?と問われると「それとこれとは関係ない、自信の家族を持ち出される理由がわからない」などと逆切れしだしておもしろかった。ちなみにこの屁理屈兄さん、同じ相手に3回手をだしていて、被害者の方から要請で今回警官の張り込みが入っており、現行犯逮捕になっていた常習犯なのだけど、「勝手に常習犯にされた。被害者の顔も覚えてないのに」とかってここでもごねる。黙秘しますって高らかに宣言してたはずやのに、めっちゃ喋るやん!って終始そういう裁判だった。3本見終えて午後から病院。東京地裁から徒歩10分で病院に行けるって便利やな〜。病院、いつもの採血で、今回はじめての看護婦さんにあたり、この人が引くほど下手糞で憤慨。針を腕に刺して、そこからなかなか針ポジションが決まらないのから、刺したままピストン運動を5分間やるという謎のプレイをふっかけられた。まじで意味がわからないので「えっなにしてはるんですか?」と訊ねてしまった…。もひとつむかつくのが、なんかこの看護婦さん、声も口調も深夜アニメのノリで、ふにゃふにゃふにゃふにゃ喋るわけ! キー! もー採血とセックスはちゃっちゃと刺してちゃっちゃと抜いてほしい! 診察はいつものように流れ作業で終わり、お薬をもらって帰宅。

8.22水
朝から普通に労働。労働中、沸騰した鉄製の薬缶を素手で握ってしまい火傷。ひさしぶりに火傷したけど、火傷ってまじで痛い。氷握ってても痛いし、何も触らんでも痛い。どんくさい自分を悔いる。最近夜は8時頃に睡眠薬をキメて9時くらいにはベッドにごろんする。寝すぎなくらい寝ている。めっちゃ効く睡眠薬と巡り合ってしまった。

8.23木
朝から普通に労働。終わって紀伊國屋書店ミランダ・ジュライの新刊『最初の悪い男』を購入。

最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

ミランダ・ジュライの短編集は大好きで繰り返し読んでいて、今回初の長編小説ということで楽しみ。夜はシアターPOOで飯田華子さんの月例企画の物販手伝い。今回のゲストはなつやすみバンドの村野瑞希さん。母と娘のバトルドラマだった。飯田さんの芝居はいつにも増して爆裂していて怖かった。「女の子は家庭のお供え物です」という言葉が忘れられない。よるのひるね店主門ちゃんが見に来ていて、休憩中おしゃべり。門ちゃんからLINEまんがをオススメされる。オバハンSOULという漫画がたいへん元気が出るから読んで、とオススメいただいた。最近どん底モードだったけど、門ちゃんとおしゃべりしたら和んだ。帰りの電車で早速ダウンロードして読む。大阪の破天荒だけど人情深い強烈なオバハン一家のドタバタ劇、ひさしぶりに大阪弁を読んで元気が出た。声に出して読みたくなる漫画。
オバハンSOUL 1

オバハンSOUL 1

8.24金
今日も今日とて朝から東京地裁。今週二回目。今日は9時45分からわたしが追いかけている裁判、今月頭に行った死体遺棄事件のおばちゃんの判決があるのであーる。おばちゃんは前回同様グレーのスエット姿やった。裁判傍聴に行くようになって気になるのだけど、なんで被告人ってみんなだいたいグレーの服を着るんやろうね? なんか決まりでもあるのやろうか? 謎。判決は懲役1年執行猶予3年とのこと。その後、覚醒剤1件、詐欺1件、痴漢1件の裁判を傍聴。痴漢って罪名が「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為などの防止に関する条例違反」って書いてあるときと、「強制わいせつ」って書いてあるときがあって、どう違うのやろう? 裁判の内容を聞いていてもそう違いはないように見える。しかしこれだけ東京地裁に通っていると、裁判官、検察官の顔って覚えるね。おっまたあの裁判官や! あの裁判官の裁判ならきっとおもろい! みたいなね。そういう遊び方をしてるのはわたしぐらいでしょうが。すっかり東京地裁が遊び場になってしまった。しかし今日は阿蘇山大噴火さんを一度もお見掛けしなかった。夕方帰宅し、9月7日のレテワンマンでやる曲を一曲録音して榎本さんに送った。

8.25土
なんか毎週土曜日になるとメンタルが急激に落ち込む。なんでやろう。今日も朝目が覚めても一日を始めるのが嫌すぎて午前中ずっとふて寝していた。今までは不眠症の極みだったから、寝られへんかったからふて寝って選択はなかったのだけど、今はすごい睡眠薬がばっきばきに効くので寝れてしまうから質が悪い。一日10時間とか寝ようと思えば寝れる。寝すぎて身体腐りそう。いやもう腐ってきてるかもしれへん。身体も頭も。門ちゃんのオススメからLINEまんがにすっかりはまってしまった。「オバハンSOUL」と一緒に読むように勧められた「光とともに…」という自閉症の子どもの育児漫画が暗いけど学ぶところが多くてなかなかおもしろく、うっかり課金して読んでしまった。休日、部屋で冷房かけて漫画読んでいる怠惰の極み。今年の夏はずっと怠惰の極みにいる。罪悪感で更に落ち込む。夜、突然スイッチが入り小説を書き始める。原稿用紙10枚分くらい書いて力尽きた。

8.26日
朝から特選小説の原稿の直しをやって、その後お部屋をお片付け。今日は榎本さんがライブの練習で我が家にやってくるのである。そういえばこの家、今までは2週間に一回くらいは誰かが来訪していたので、常にそこそこ来客を迎えられるくらいには片づけていたのだけど、この夏は誰も来る予定がないし、どん底のメンタルだったので全然家のそうじをしていなかった。一応人を迎え入れられるくらいには片付いた。駅に榎本さんを迎えに行く。ちょっとの距離なのに今日は猛暑で激熱で焼ける。夏も終わりか〜とか言ってた先週までが嘘みたい。家の中は冷房ぎんぎんで、榎本さんとお菓子を食べながら談笑しつつ、レテライブの練習。全曲通して練習し、新曲も練習。新曲、かなりいい感じでうれしい。榎本さんは「そう、そういうの待ってた!」ていう音を出してくれるからありがたい。練習のあと、梨やお菓子を食べながらおしゃべり。お互いの近況報告をしつつ、恥ずかしいおばさんのお悩みを聞いてもらったりした。9月7日は下北沢レテで榎本美月ちゃんとデュオでお届けする定例企画トイピアノワンマンです。20時から、2000円+1ドリンクです。ご予約はkitamurasakiko.infoアットgmail.comまで。お待ちしてまーす。

8.13〜19日記

8.13月
朝から普通に労働。お盆なのでめちゃくちゃ混んで疲労困憊。正直お盆舐めていた。帰ったらポストにナックルズが届いた。隔月で連載させていただいている「北村早樹子の極女入門、ヤクザなんでもQ&A」今回のテーマは掟! ということで、気になるヤクザの指詰め事情なんかを師匠鈴木智彦先生にお聞きしております。夏の下世話読書にはナックルズがもってこい、わたし以外のページもおもしろページだらけなのでぜひ買って読んでね☆

8.14火
朝から普通に労働。1か月くらい前から入った新人ちゃんは23歳くらいの品のいいお嬢さんなのだけど、ものすごくピュアな子すぎて2日に一回は泣いている、職場で。今日は朝から目が腫れているので病院に行くといって3時間遅刻してきて、出勤してきたと思うと既に泣きかけで、30分もしないうちに泣きだしてしまい(注:別に誰かが泣かしたわけではない)結局事務所に閉じこもって1時間くらい泣いて、そのまま早退していった。泣きに来たの? という状態で、こちらも暇なら慰めてあげれるけれどあいにくお盆真っ只中でこちとら糞忙しくそんなヨシヨシしてあげれる時間なんてなくって、もう、どうしたらいいのか? しかし泣かれるとほんとにどうしようもない。泣かした記憶もないのになんか罪悪感に駆られるし。泣き虫ってずるいね。仕事終わって夕方、小田急に乗って下北沢。急行とまるけどあえて各停で行く。5年前くらいまでわたし参宮橋〜代々木八幡近辺に住んでいたので、ゆっくり町の景色を車窓から眺める。しかしこの辺りの景色もずいぶん変わった。代々木八幡は駅自体が変わった。下北について、南西口から出てバブーシュカへ。何度もライブさせてもらった可愛い喫茶店&雑貨店&ギャラリーのバブーシュカが今週で閉店。なので最後にお別れをいいに来た。ら、最後だからものすごく大繁盛で、お客さんひっきりなしに来ておられる。すごく忙しいのに、アツ子さんも金魚さんもみんなに心のこもった丁寧な接客をしておられて感動。ハネーケーキのコーヒーセットを頼んで最後に店内を見納め。カウンターにはアツ子さんの絵のコーナーがあって、金魚に乗った猫のハルオくんの絵がめっちゃくちゃ可愛かった。バブーシュカは、アツ子さんの個展の度にワンマンライブをやらせてもらっていて、アツ子さんは何枚もわたしの絵を描いてくださっていて、いつもアツ子さんの絵を見て歌っていると何故か涙が出てしまい、普段泣きながらライブするとかわたし絶対ないのだけど、アツ子さんの絵を見ると無条件に泣いてしまう、そんな思い出。この日もアツ子さんの絵を見て、アツ子さんと少しおしゃべりしたら何故か泣きそうになってきて、隠すのに必死だった。職場で泣き虫に苛々していたので簡単に泣くわけにはいかない。最後のハネーケーキは金魚や鶴のクッキーが乗っていて(店主つるさん、従業員金魚さんをお皿の上に表現されている)可愛くておいしくて泣けた。次から次にお客さんがいらしてるので長居はご迷惑と思い、ささっと食べてお会計。最後に今まで委託してもらっていたアルバムたちを棚から引き上げて帰路。

8.15水
そうだ、ストリップを見に行こう! と奮起して、ひとりではるばる横浜日ノ出町へ。電車を乗り換え乗り換え、横浜ロック座に到着。入ると既に立ち見もぎっしりの大繁盛ぶり。平日の昼間からすごー。あ、お盆やからか。お目当ては本物のバレリーナあがりの踊り子さん、みおり舞さん。一回目はみおり舞さんのストリップデビュー作?の、蜘蛛の糸がテーマな感じの美しい作品だった。わたしはそんなに泣き虫ではないつもりなのだけど、女性の美しい身体表現を見ると感極まって泣いてしまう癖があり、よってストリップ劇場でよく泣いている。今回もしょっぱなからみおり舞さんを見ながら、立ったまま鼻水ずるずる啜って泣いてしまった。真っ白いチュチュを着て少女のような華奢な体躯でバレリーナには狭い舞台の上を跳ね回り、盆の上でポーズを切るみおり舞さんはもうどこからどう見ても120%美しく感動的やった。一回目が終わったらお帰りになる人がちょいちょいいたので無事席をゲットし、座ってみる。最前のど真ん中に、ストリップ劇場でよく見かけるおじいさんがいた。二回目、みおり舞さんの一個前に出ておられたMIKAさんという踊り子さんが、天井からフラフープのようなのを吊るしてそれにぶら下がりながら舞う演目をやっておられて身体能力の凄まじさに度肝をぬかれた。二回目のみおり舞さんは、水兵さんの恰好で楽しく踊る、夏らしくキュートでファニーでゴキゲンな演目。みおりさん、楽し気に奇声をあげながら踊りまわっててめちゃんこ可愛くて、最後にはストリップでは本当はご法度な、セリフまでしゃべっておられて、ほんの10分〜15分くらいの間にストーリーがあってすごく楽しめた。こんなのもありなの?! って感じ。ストリップって本当に踊り子さんそれぞれのセンスと技量でとてつもないことが出来ちゃう、尖がったショーだなあとしみじみ思う。三回目も見ようかと思ったけど、場内冷房がきつすぎて、カーディガン羽織ってるけど意味ないくらい極寒だったので我慢できずそとに出てしまった。帰って家のベッドの上でひとりストリップのポージングを真似して遊ぶ。ストリップを見たあとはいつもやってしまう。ポーズ切るのって身体柔らかいだけじゃだめで筋力とバランス力ないと出来ないから意外とむずかしくてすぐひっくり返ってしまう。でも真似っ子たのしい。

8.16木
9時すぎに家を出て、今日は朝から東京地裁へ。またしても裁判傍聴へいくのです。裁判はだいたい10時からはじまるので、9時45分くらいに地裁に入り、本日のメニューを見てスケジュールを組む。しかし今日はお盆やからか行われる裁判自体の数が非常に少なくて、おもしろそうな罪名もなくてハズレ気味。午前の一本目、強制わいせつ。酔っぱらって飲み屋で女性にわいせつな行為をしたという罪で裁かれていたのだけど、序盤からつまらなそうな空気だったので途中で退席して、2本目、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不慮行為などの防止に関する条例違反。この糞長い罪名、なんのことかと申しますと一言でいうと痴漢です。被告人は白髪のカッパ禿げの60代のおじいさんで、西武池袋線車内で女性の臀部に股間を押し付けたり、指で股間や陰部を撫でまわすなどをして現行犯逮捕。ちなみに前科7犯でこの度8回目の逮捕、という痴漢の超常習犯。おじいさんは定年退職してから毎日暇で、しかし朝は早く目が覚めてしまうので、毎朝痴漢目的で電車に乗っては痴漢行為を繰り返し、ついでに池袋まで出て西友で飼い猫のエサを購入し、マクドナルドで朝ごはんを食べて帰る、というのが日課だったとのこと。自分で「痴漢依存症です」とゆっておられ、確かに病気なんやろうな〜と思い、おじいさんは自分でケースワーカーさんに相談もしたことあって病院を紹介されたらしいのだけど、その病院に行くには毎朝通勤ラッシュの電車に乗らないといけないので、そこできっと痴漢をしてしまうと思うとなかなか腰が上がらず病院に行けてませんでした、とゆっていた。おじいさんは独身で無職で孤独で、「あなたこれだけ繰り返しているのだから、また同じようなことしてしまいますよ。誰か面倒を見てくれる人はいないんですか?」と検察官に聞かれると「そんな人がいたらこんなことにはなってないです。彼女がいた10年前まではこんなことしようと思ったことありませんでした。誰もわたしの心の深いところはわかってくれません」と泣き出し、なんかおじいさんの孤独を思うと若干同情してしまう自分がいた。おじいさんは仕事もなく、交友関係もなく、社会から完全に切り離されてしまって宙ぶらりんの生活でとにかく孤独で、唯一社会との接点を持てる行動が痴漢行為だったのやろうなあと思うとなんだか切ない。最後に、「あと少し寿命があるので、猫たちと一緒に社会の端っこで細々と生きていきたいです」と言っておられて胸が痛んだ。こんな、しょうもないといえばしょうもない痴漢おじいの裁判でも、ひとつの人生劇場を見られる、裁判ってやっぱりおもしろいなあと思う。昼休み、はじめて東京地裁の食堂へ行ってみた。ここは裁判官や検察官弁護士も利用するけど傍聴人も利用出来る食堂。400円のラーメンを食べた。普通の学食にあるような、まずくはないけどおいしくもない普通の中華そばやった。食べているとテーブルにゴキちゃんが出現し、相席していたお兄さんと共に格闘するも逃げられた。午後からはストーカー裁判を見ようと思ったけどこちらは被告人も不在のよくわからない裁判だったのでやめて、不正競争防止法違反、という聞いたことない罪名の法廷へ。被告人は浅黒く日焼けした恰幅のいい六本木とかにおりそうな30代の男性ふたりで、リクルートコムという名前であたかもリクルート社と関係あるかのように見せかけて求人サイトを運営し、被害者から多額の掲載料を騙し取っていた、みたいな事件だったのだけど、そんなにおもしろい裁判ではなかった。けど被告人のうさん臭い感じ、このケの臭い、我が職場のお客さんにもよく見かけるアレやな〜と思ったりした。もう一本覚醒剤の裁判を見て帰ろうかと思っていたのだけど、謎の頭痛に襲われていたのでやめて帰路。帰ってしばらくベッドに寝転がり、夜ふと思い立って新曲のデモを録音しはじめるも、録音機が変で音がずれていく謎の症状が出てやる気をなくして寝た。

8.17金
朝から普通に労働。またしてもOさんから冷蔵庫にお届け物の梨が。しかも今回は高級な二十世紀梨。ありがたい。金曜はいつも一緒に働いているおじいちゃんSさんはおやすみなので、社員のW田氏とタッグ。W田氏は色々男として問題があるけれど、無類の喫茶店マニアなので喫茶店談義をするにはたのしい。仕事終わって帰路、急に嘘みたいに涼しい。晩夏って感じ。夏の終わりって問答無用に切なくなるのであかん。特に今年はあかん。ここでひぐらしなんかに鳴かれたりしたらもう本格的にあかん。

8.18土
朝から特選小説の原稿を書く書く書く。一区切りして、お昼から本を持って御徒町。喫茶丘に行こうとしたら満席だったので諦めてベローチェ姫野カオルコの新刊『彼女は頭が悪いから』を読了。

彼女は頭が悪いから

彼女は頭が悪いから

これ、実際にあった東大生が集団で強制わいせつしていた事件が元になっている小説で、なかなか強烈なおはなしだった。多種多様な見下しの描写がもう、きっつーって感じ。でも、あるわ〜って感じ。この手の強制わいせつ事件って、わたしは基本的に異性の家に入った時点で、そらもう、そういうことやろって思うので被害者に同情はしないタイプなんやけど、こうやって小説でそれぞれの視点からねっとり描かれると、しみじみときっつい事件やな〜という感想になった。強姦云々だけじゃなくて、東大生の自意識が気持ち悪くて怖い。読み終わって夕方からギャラリースペースしあんにて、泉鏡花原作・桑原茂夫演出・劇団唐組出演の『海神別荘』を観劇。リーディング公演ということだったけど、しっかり作りこまれた1本のお芝居を見たような後味でたいへんおもしろかった。泉鏡花って言葉遣いがむづかしいから読みにくいんだけど、さすがの唐組のみなさまが演じられると、いい意味で大衆に寄り添うお芝居になっていて、笑いどころも泣きどころもあって楽しめた。藤井由紀さんの、海神と結婚して蛇身になってしまったウエディングドレス姿が美しくて悲しくてうるうるしてしまった。最後の「女の行く極楽に男は居ない、男の行く極楽に女は居ない」というセリフにどきっとした。終わって、何故か中打ち上げにもお邪魔することになり、のこのこついていく。桑原茂夫さんと坂口弘の話で盛り上がったりしてたのしかった。家にひきこもっていると絶望感に浸かって死にたい気持ちになるけど、おでかけするといいこともあるものや。

8.19日
朝から普通に労働。よく泣く新人ちゃんは飛んだらしい。まあそんなことやろうと思った。忙しくパタパタと働いた。帰って特選小説の原稿ともう一回にらめっこ。窓をあけてすごしているから、大家さんちの生活音が筒抜けなのだけど、夏休みでキッズたちが集まってきているのか非常に賑やか。柄の悪い罵詈雑言が飛び交っていて、足立区だなあと思う。