9.24〜30日記

9.24月
祝日で病院も休みでリハビリも行けないので家でだらだら過ごす。平山夢明『恐怖の構造』読了。

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

何故人は怖がるのか、怖い物好きな人と嫌いな人は何が違うのか、恐怖と不安の違い、などを平山夢明氏の豊かな経験からやさしく解説してくれる新書、だったのだけど最終的には何故かホラー作家育成講座みたいになっていた。最後の精神科医春日武彦先生との対談がおもしろかった。夕方、飯田さんがまたわたしのお風呂のあとのドライヤーを手伝いにやってきてくれる。骨折で一人暮らしだとこういう何気ないことがひとりで出来ず難義なので、こうやって介護しにきてくれる近所のお友達がいて本当に救われた。持つべきものは友である。自宅療養が暇すぎるので、飯田さんに黄昏流星群を貸してとねだっていたら、19冊も持ってきてくれた! わーい! しばし飯田さんとおしゃべり。孤独な病人の介護をして話し相手にもなってくれて、本当にありがたい。飯田さんが帰って、早速黄昏流星群を一冊読む。中高年の恋愛、沁みる。ヤクザのじいさんとアイドルの恋なんだけど、はじめてのデートでじいさん死んじゃった。

9.25火
朝から近所の病院でリハビリ。なんと! 担当が例のめくらのボスに変わった! ボスに身体の原理を教わりながら折れた左腕を動かす。ボスは話術もお達者でたのしい。さすがボスって感じ。帰って、黄昏流星群を読んだり、アマゾンプライムで映画を観たりした。観たかったダーレン・アロノフスキー監督『マザー!』をやっと観た。想像以上に胸糞悪くて最悪で最高だった。家にいるだけなのに、わけもなく最低なことに見舞われるという意味では『ファニーゲーム』に似てるけど、やり口がじっとりしててファニーゲームのような爽快感がなく、しかし絵は綺麗で見やすい。見終えてスイッチが入ったのでこの映画をネタに、某所へ書くエッセイを書く書く書く。なんと締め切り1か月間半も前に提出。前のめりすぎるわたし。そう、北村早樹子は締め切り絶対守るどころかめっちゃ早めに提出します。書き物仕事どしどしお待ちしてます!warabisco15@ヤフーまで!

9.26水
朝イチに駒込病院の予約のため、ギブスで満員電車に飛び込む。周りにもエッ?みたいな顔されるし、わたしも嫌だしきつい。よぼよぼと病院に到着。受付してレントゲンして診察に並ぶ。予約してるのに1時間待った。病院ってなんでこんなに待つんやろうね。病院で待った時間を全部換算したらわたしこの骨折だけ何十時間分になるんやろ? とか思う。診察終わり、先生に、家の中ではギブス外して生活してオッケーと言われる。思いの外早かった! とはいえ腕は全然動かないのでまだまだこれからって感じ。外出中は危険なのでということで再び着脱可能ギブスを巻かれる。病院終わって、神保町へ。今日は昼からミリオン出版でナックルズの鈴木智彦さんとの連載対談。ちょっと時間が空いたので、喫茶店さぼうるへ。おひるどきだったのでナポリタンを頼むと、すごい山盛りのが来ちゃった。お皿が小さくて、すごいギリギリのバランスで立体的に盛られている。絵になるのはわかるけど、食べにくい。とはいえおいしかった。具沢山で、ケチャップでしっかり炒めてあるタイプのやつで好みの味だった。腹パンになって、てくてく歩いてミリオン出版へ。数日前にミリオン出版終幕のニュースが流れていたので心配だったのだけど、まだしっかりとあった。会議室で鈴木さんとヤクザ対談。後、鈴木さん煙草吸いたいとのことで、編集部横の喫煙所へ。ついでに、編集H川さんにおねだりし、編集部を社会見学させてもらった。ほーなるほど。こういう場所なのか〜。まさに男の職場って感じ。大人のオモチャが段ボールに積まれていたりしてナックルズって感じ。社会見学させていただき、終わって外でお写真撮って終了。まっすぐ帰宅。

9.27木
毎日雨。そして寒い。どうしたんやろ今年? 去年はまだまだ暑かったよね。既に毛布で寝てるけどそれでも寒い。こたつ出そうか迷ったけど耐えた。お昼から杉並の方へ。まだ外出中はギブスはめてといわれてたけど、ギブスしてると長袖の服が着れず極寒なので、えいやっとギブスを外しておでかけ。駅前のミスドで大量の差し入れのドーナツを買って、こそぶる雨の中てくてく歩いて某日本でいちばんかっこいい劇団K組さんの稽古場へ。今日は通し稽古を見せていただくのであーる。何度かお邪魔しているけど、毎度すごい緊張感。通しがはじまるまでの時間、どきどきが止まらない。舞台美術から今回も素晴らしくときめきまくり。10月から秋公演がはじまるので、ネタバレになってしまうので詳しくは書けないけれど、今回も最高だった! うんこちんこが飛び交って笑わせられながらも、最終的には胸いっぱいでうるうるきてしまう。弱者たちを讃える、弱者たちがこれでもかときらめく、すばらしいお芝居だった。ああ、この秋も何度となく通ってしまうことでしょう。終わって乾杯にもお邪魔させていただく。団員さんみなさん飲みながらもてきぱきと働いておられてすごいな〜と思う。稽古場を出て、駅前の飲み屋でK井さんと飲みなおし。感想を伝える。K井さんは演出家でもあるけど今回は出番も多く役者として大活躍なので、もうこの方の脳みそはどうなってるのやろう? といつも思う。すばらしいものを見せていただき、胸いっぱいで終電で帰宅。お芝居って、まぶしいなあ。

9.28金
ひさしぶりに晴れたので朝から洗濯。後、今日も病院へリハビリに。今日もめくらのボスだった。ボスにピアノ弾けるようになりますかね?と相談。なんとボスもピアノを嗜んでいるとのこと! しかしボスは楽譜は読めないので全部耳で聞いて音を探して弾くらしい。すごー。やっぱり耳がすごいいいのやろうな〜。ボスは奥さんと5歳の子どもさんがいるらしい。子どもは歌がすきなので、伴奏を弾いてあげてるんだって。なんかいい家族やな〜と思う。リハビリ室のじいさんばあさん、みんなこういう会話がたのしくてリハビリに通うんやろうね。病院のあと、ちょっくら北千住に出て、明日職場に持っていくお菓子を買いにマルイへ行く。デパートのお菓子売り場って、こういう時しかこないけど、なんか売り場見てたら店員さんから試食を勧められまくり、断れず食べまくってたらおなかいっぱいになってしまった。こんなに試食させてくれるものなの? ここが北千住やからかな? 新宿の伊勢丹とかで試食してるイメージないしね。無事お菓子かって帰宅。帰って今日も家で黄昏流星群。17歳のマラソンランナーとおじさんコーチの恋。またしてもおじさん死んでしまった。黄昏流星群、死にオチ多すぎ〜。

9.29土
今日は何の日? そう、東京拘置所開放デー! ということで、雨のぱらつく中ひとりで東京拘置所へ。9時半スタートで9時すぎにつくようにいったのに、なんか例年以上のものすごい人人人で入場制限がかかっており、門の中に入れてもらえず。今年はテープカットに話題のDAPUMPが来ていたせいであろう。門の外で、DAPUMPが♪カーモンベイビーアメリカ、と歌うのを聴く。門の外、DAPUMPファンが多いのか黄色い歓声が飛び湧いていた。DAPUMPが帰ったあともまだ門は開かず、もう帰ろうかと引き返すも、反対側の出口にまわる門も閉められており、なんか変な中間地点に閉じ込められてしまった! 結局反対の門が開くのを待つ羽目に。もーわたしは純粋に矯正展をたのしみたいだけやのに。DAPUMPなんか呼ばなくていいのにー! きー! という気持ち。10時頃になってようやく門が開き中へ入るも、本当に人が多すぎて人並が全く進まず、出店を見てまわれる余裕は皆無。全国の刑務所のみなさまが作った雑貨とか見たかったのに。ガッデム。片腕折れてるのであんまり揉みくちゃになると怖いので、そそくさと帰ろうと決意。入口近くのプリズン弁当だけ並び、酢豚弁当をゲッツ。これだけは買えてよかった。あと人が少なかったので出口近くの建物の中であった、受刑者の方の習字やお花の展示だけ見た。死刑囚絵画展のようなぶっとんだ作品は特になく至って普通だった。なんかあんまり楽しめずにもやもやしたまま帰宅。去年は飯田さんや石丸元章さんや金子さん夫妻と一緒にみんなでわいわい行ったからすごく楽しかったけど、ひとりだとこんなもんか〜と思う。ショボン。帰ってお昼、ひとりで酢豚弁当をつつく。酢豚じゃなくてこれミートボールやん、冷凍の! って感じだったけど、まあプリズン弁当は縁起物やので味とかは問題じゃない。ごはんたべてたらナックルズの編集H川さんからテープ起こしが届き、にらめっこして原稿作り。今回はいつになく難航。夜までひとりで悩みまくる。夜10時半頃に家を出て、ちょっくら新宿へ。今日は職場の仲良しだったH田くんの送別会なのであーる。ついでに、菓子折りもって骨折して長らくお休みしてしまったことをみなさんにお詫びのごあいさつ。3週間ぶりの職場。すでになつかしい。入口でOさんと会う。Oさんとおしゃべるするのもひさしぶり、なつかしくってうるうる。わたしのいない間に知らない新人さんがふたり入っていた。ふたりとも若くて元気そうな美人。閉店作業中の店長とちょっとしゃべる。あ〜はやくわたしも働きたい気持ちが募る。24時半頃からみんなで歌舞伎町の方のカラオケで送別会。ビンゴ大会をしたりカラオケタイムが続く。カラオケは得意じゃないのでこういう時しか来ない、1年に一回来るか来ないかぐらいだけど、せがまれたので華原の朋ちゃんの『I'm proud』を歌う。カラオケは好きじゃないけど、大人数でいるとそれぞれの人間性が見れておもしろい。自分の歌いたい曲をどんどん入れて自分の酔って歌いまくる子。それを必死に盛り上げる子。ぼーっと聴く子。色々やな〜と思う。途中何度かトイレに行ったら、ここが相当な地獄絵図で、男子便がゲロ塗れになってるからか、女子便に男子が普通に入ってくるし、女子もなんか個室でひとりでわーわーしゃべって暴れてて全然出てこないし。歌舞伎町の深夜のカラオケって、客層腐ってるな〜と思った。5時、そろそろおかえりタイム。最後にマイクを回してみんなでH田くんへのお別れコメントを言っていく流れになり、これがなんかちょっと感動的でわたし恥ずかしいけど不覚にも泣いてしまった。お別れ会でこんな感じになるのはじめてかも。別れ際にH田くんとハグをした。H田くんの人望というか人格者っぷりが現れている良い送別会だった。店を出たら雨がべしゃべしゃ降っていて、転ばないようにそーと歩きながら駅。朝帰りなんてひさしぶりやわ〜と思いながらガラガラの電車で帰った。

9.30日
朝7時半頃に寝て、11時頃に起きた。台風台風というのに、雨、全然降ってへんで? はて? お昼にM本K吉さんからメールで、今晩の飲み会は台風だから中止との旨。残念。家で大人しく、ナックルズの原稿をやった。