10.29〜11.4日記

10.29月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。帰って、宿題の曲作りをする。ピアノは片手弾きだけど、これはこれで味わいがでているかも? 半年くらいずっと悩んでいた曲、これにてやっとひと段落。とはいえ、まだ先方に満足していただけるかわからないのでどきどきどき。

10.30火
昨日作った曲をパソコンに入れて編集作業し、えいやっと先方さんに送信。それから文章の宿題も書く書く書く。こちらも先週からずっと悩んでいる文章。そんなに長いものじゃないのだけど、だからこそ悩む。夕方から新宿に出て、夜は、特選小説の連載終了打ち上げと称して編集さん、イラストの飯田さん、わたしで高島屋の今半へ行った。生まれてはじめて食べた今半のすき焼き。……おいしすぎた……。お肉がとろとろでびびった。本物のすき焼きってこんなにおいしいのか。わたしの知ってるすき焼きとはちょっと違った。わたしの知ってるすき焼きは、大量の白菜や春菊やネギ、きのこ類が煮えていてそこに牛肉が申し訳程度に入ってる甘辛い鍋って印象だったのだけど、今半のすき焼きは白菜がない。野菜はちょびっとだけ賑やかし程度にあるのだけど、基本は肉! しかも一枚一枚のお肉が超でかい。感動。そしてすき焼きのシメってうどんと思って生きてきたのだけど、今半のシメは最後に残ったダシを卵でとじてそれをごはんに乗っける卵丼。これが超ふわふわでおいしかった。ここですき焼きに纏わるちょっと怖い話をしてさしあげましょう。わたしの母方の祖母の実家のすき焼きはちょっと変わった風習がありました。すき焼きって、生卵につけて食べるでしょ。あの卵の残りを食べ終わった人から順に最後鍋の中にリバースしていくのです。こうすると、勝手に卵とじになっておいしいやがな! と祖母は言っていたのだけど、これ、衛生的にちょっとどうなん? というおはなし。まあ残りの卵汁勿体ないしから理にかなってるといえばそうだけどね。家族で身内で食べる鍋だから、衛生面はご愛嬌ってことなのか? この話、知人にすると百発百中ぎょえ〜と言われる。そんなすき焼きしか知らなかったので、今半の1万円もするコースをごちそうになり、色々目から鱗だった。それにしてもおいしかった。満腹。身も心も満たされて帰った。

10.31水
朝イチからリハビリへ。それから新宿御苑。昼からセンチメンタル岡田くんと11月2日のライブのリハ。今回6曲もセンチメンタルくんにピアノ弾いてもらうのだけど、これがすごくうっとりなピアノアレンジで、なかなか良い感じである。わたしじゃ絶対弾けないピアノアレンジ。オシャレでダイナミック。ピアノって同じ楽器でも弾く人いよって音が全然違うくって、男性が弾くピアノってすごく音が太くっていいなあといつも思う。単に力の問題なのか?な? わたしのピアノは腕折れる前から音が弱くて力ないピアノだった。岡田くんとリハ後、近くのガストで一緒にごはんを食べた。岡田君、なんとわたしが寄稿してるってことで特選小説とナックルズを買ってくれていた! びっくり! 2時間ほど談話し、では当日よろしくお願いしますといって別れた。帰って、寒いのでこたつを出した。こたつに埋まって夜は宿題の文章の最後の仕上げをやって、編集さんに送信。

11.1木
寒い。こたつから出られない。なんとか出て、朝から普通に労働。朝から更衣室に三匹もゴキちゃんが出て、わたしはゴキとは共存していこうぜって感じだからもうめんどくさいから殺しもせずほっといてたら、同僚たちがきゃあきゃあ言いだしてちょっとめんどくさかった。しかしもう寒いのに、ゴキちゃんたちはまだまだ元気やな〜。編集さんから返信がくる。原稿のことを、丁寧にお原稿っていわれる編集さん、なんかいいなあと思う。無事原稿通ってホッ。送った曲の方も、先方からお気に召したお返事が来てホッ。ああ、肩の荷がちょっと下りた。

11.2金
朝、とある台本がメールで届く。ものすごく長いので印刷して読みたいけどプリンター壊れているのでコンビニに印刷しに行かねばならないけど全部印刷するとたぶん1200円くらいかかる。うーむ。とりあえず放置して、まずはリハビリへ。担当の理学療法士さんが「実はぼく全盲で」とはなしはじめて、おっ。知ってたけど、改めて告白されると、おっとなる。なんでも子どもの頃は見えていて、でもやがて見えなくなることはわかっていて高校から全寮制の支援学校に通っていたらしく、その頃はまわりのこと誰も信用していなかったそうな。先生いわく、「支援学校は闇が深いんです」とのこと。色んな体験してはるんであろうな〜。リハビリから帰って、今日のライブの準備。今日は阿佐ヶ谷よるのひるねにて「北村早樹子とセンチメンタル岡田のムスメギプスはずれ記念ライブ」カラオケトラックを準備して、流し乍ら練習。そして水曜のセンチメンタルくんとのリハを聴きながら練習練習練習。夕方家を出て、はるばる阿佐ヶ谷へ。よるのひるねに到着して、店主門ちゃんとしばし談笑。センチメンタルくんも到着。センチメンタルくんが今遭遇しているとある修羅場の話を聞く。センチメンタルくんは体験が全部いちいち面白い、けど当の本人はたいへんであることでしょう。しばしリハをして、本番。センチメンタルくんのソロは、カバーやジャズなんかも織り交ぜながら、しかしオリジナルソングが抜群によかった。一曲コーラスで参加させてもらった曲「ざんげ」という曲は、娘さんに「パパの顔が臭い」といわれた悲話が題材なのだけど、笑えて可愛くてきゅんとなる。名曲。それから最後にやってらした、センチメンタルくんの男遊びの曲が衝撃的に面白かった。この曲、はじめて対バンした5.6年前にもやってはったのを思い出した。倍セクシャル。わたしのライブは、最初にカラオケで3曲歌い、それからセンチメンタルくんにピアノを弾いてもらって6曲歌った。歌っている途中、視線の先に店主門ちゃんがいて、何気なくみると、なんと門ちゃんったら、カウンターの中で、スプーンを片目に当てて視力検査していて、思わず吹き出しそうになる。もーおもしろすぎる。よく笑わずに耐えたなわたし。そんなこともありましたが、ライブはひさしぶりに人前で歌って、ああ、歌うって気持ちいいなあとしみじみ思った。わたし、歌うの好きかもしれない。って今更なにをって感じだけれど。はじめて、ピアノは一切触らず歌に徹するライブをして、ちょっと手持無沙汰になってしまった感は否めませんが、歌はよかったのではないかな? それもこれもセンチメンタルくんさまさまそして企画してくれた門ちゃん、そして見に来てくださったお客様のおかげさまさま、ありがとうございました。

11.3土
ひさしぶりにライブしたからか、疲れていてよく寝た。二度寝三度寝四度寝し、起きたらお昼。洗濯などし、しばし文章を書いて、夜は錦糸町。飯田さんと桂ぽんぽ娘さんというピンク落語家さんとが出る、エロナイトイベントで物販お手伝いをしにいく。錦糸町、日曜だからかすごく人が多くてびっくりした。エロナイトは太鼓に三味線に篠笛が生演奏の出囃子で、まずは桂ぽんぽ娘さん。内容はテレビでは絶対放送出来ないようなどどどどど下ネタなんだけど、なめらかさとか間合いとかがさすがプロの噺家さんって感じですごく聞き取りやすく、なぞかけもお話もすごく面白くて超笑った。ぽんぽ娘さんのことは花房観音さんのツイッターでよく拝見していたので、やっと見れた〜と感激だった。そして飯田さんのライブも今日はいちだんとキマっていた。クオリティも完成度もすごかった。新ネタのスーパーの女も最高だった。飯田さんの演出能力は確実にパワーアップしていっている。背筋が伸びる。飯田さんのライブを観て爆笑&感動して、ふと振り返った瞬間、わたしうっかりアイスコーヒーを派手にひっくり返し、物販席をびしょ濡れにしてしまう。鈍臭すぎて情けなすぎてもう死にたい! 物販CDの在庫と飯田さんの荷物、わたしの上着などがコーヒーまみれに……泣ける、落ち込む、わたし何してるねん! あ〜!!! そんな一幕もあったけど、最後のバーレスクダンサーさんは背中に見事な和彫りが入っていてかっこよかったし、いいイベントだった。ぽんぽ娘さんともおはなしできて感激。エロってみんなを平和にするなあと思いながら帰路。

11.4日
朝、ひさしぶりにアマゾンの贈り物が届く。本と食料。ありがたい。午後から池袋、から歩いて鬼子母神さん。今日は唐組の秋公演『黄金バット〜幻想教師出現』の千秋楽。早い目にチケット引き換えて、ベローチェに移動し読書タイム。kindleで赤松利市の『藻屑蟹』を読む。

『鯖』の前作らしいこれは東北大震災被災者の話なんだけど、原発原発周辺で働く人々の物語。『鯖』もそうやったけど、この作家は徹底して労働者の文学だから好ましい。18時頃にベローチェを出ると雨がぽつぽつ降っていた。折り畳み傘をさして鬼子母神さんの方へ。途中、古書往来座へちらっと寄る。そしたらレジにTさんがいて、あれっ!?となった。Tさんは確か他の本屋さんで働いていたんじゃ? と聞くと、そこでも働いていて、往来座でも働いているらしい。働き者ですね。往来座は相変わらずいい本が揃っている。てくてく歩いて鬼子母神さんで唐組『黄金バット』。今日はさすがの楽日なので満員。わたしは3回目の観劇。3回目にしてようやく、落ち着いて物語を噛みしめられた。大人になっても学校を卒業出来ない人たちの物語なんだけど、それぞれの人物それぞれに背負いきれないくらいの過去があって、みんな一般社会から零れ落ちてしまっているんだけど、一生懸命生きていて、男であり女で、大人だけど幼児性を捨てられない。最後の久保井さんの語りを聞いていたら、もしかしたら全部はこのおじさんひとりが見ていた夢だったんじゃなかろうか? とか思って震えた。楽日ということで、唐さんが最後にご挨拶にでていらして、お歌まで披露されていた。久保井さんに手をつながれて一歩一歩歩く唐さんのお姿を見ているとなんかそれだけで感動的で胸が詰まる。あ〜この秋も素晴らしい公演やったなあ。また春まで半年待とう。テントの外で飯田さんと落ち会って一緒に感想言い合いながら帰った。