9.17〜23日記

9.17月
退院して初の電車でおでかけ。電車に乗るのもいちいちどきどき。ちょっととあるオーディションを受けに、はるばる成城学園前まで行く。ちょっと何のオーディションなのかは守秘義務があるので言えませんが、骨折する前から決まっていた大事なものなので、行かないわけにはいかない。しかし片腕かたわの身なので化粧も出来ず、ギブスなのでブラジャーも出来ず。ギブスすっぴんノーブラでオーディションて、色々間違っている。が、やむなし。渋谷まで電車で出て、そこからバスに小一時間ゆられて某Tスタジオ。入口から立派すぎてキンチョー。確実に不審者なのでどきどきしながらゲートを通り、オーディションで来ました北村です、と伝え、パスをもらう。カフェテリアでお待ちくださいと言われる。カフェテリアに行くと、大量のイカした外国人さんたちがわらわらとおひるごはんを食べていらっしゃった。なんかそういう撮影なのかな。みんな細長くてイケメン。上手におはしでごはんを食べていらっしゃった。売店で野菜ジュースを買ってチューチューしながら待つ。時間になって会場へ。4人同時進行で、年齢性別ばらばらな感じの4人がご一緒だった。自己紹介や面談のあと、即興芝居の審査があった。みなさん情熱的なお芝居をされていて、わたしは大して何もできなかった。こういうのはじめてだったのでたいへん緊張した。ギブスが吉と出るか凶と出るか?て感じ。うまく行きますように。帰りは小田急成城学園前まで、川沿いを20分くらい歩いて帰った。ほんとは15分くらいで着くんだろうけど、ギブスをしていると歩くのも普段より遅くなるらしい。あんよは元気なんだけど、不思議なものです。帰りの電車で聖書を読むも、なかなか進まず。

9.18火
今日は骨折の方じゃなくて持病の方の虎ノ門の病院の通院日。ギブスで行くも、こっちの病院はこっちの病院で、車椅子もわらわらいるので特に目立たず。それどころか激混みだったので座る場所すらなくて立って待っていた。いつもの1.5倍混みでなかなかカオスだった。入院中から採血&点滴されまくりで、今日も今日で採血5本も取ったので、しかも今左腕ギブスなので全部右腕からなので、そろそろ右腕の注射痕が悲惨な感じ。一歩間違えたらシャブ中の腕やで。2時間待って、診察はいつも通り秒で終了。いつもは喫茶店東京地裁かに寄って帰るんだけど、今日はまっすぐ帰宅。帰って、明日の夜のイベントで配る骨折日記の作成をし、コンビニに印刷しに行く。コピーするだけやなのに片手やとかなり時間がかかる。帰って5枚を揃えて折っていく作業。これまためちゃんこ時間がかかった&地味に重労働。片手やと紙を折るのも大変。その後、特選小説の最終回の原稿を書いた。

9.19水
朝7時すぎに家を出て、電車&バスで都立駒込病院。この病院は都心にあるのに微妙にどこからも行きにくいのがちょっと難点。8時半から受付で、レントゲンを撮って診察。予約してたのに1時間くらい待った。しかしたった4日やけど入院してたから変にホーム感があって、廊下歩くと早くも懐かしい感じがした。用もないのにナースセンターに看護婦さんに会いにいきたくなったけどやめた。診察も問題なくおわる。術後1週間になるのでそろそろリハビリはじめて大丈夫とのこと。近所の整形外科(いちばん最初にかけこんだ病院)に逆紹介状を書いてもらい、レントゲンや諸々のデーターが入ったCDRを受け取って、お会計。ここの病院は混んでも会計待ちはそんなに長くないのが救い。帰りは千駄木駅まで歩いて帰路。途中、凄まじく急な坂があって、転ばないかどきどきした。一旦帰って、夜のイベントの準備をし、夕方阿佐ヶ谷へ向かって出発。骨折ってるわりになんやかんや忙しいけど、家におっても病むだけやのでこれくらいがいい。夜は阿佐ヶ谷よるのひるねにて、『緊急開催!北村早樹子の骨折喫茶』。これは店主門ちゃんの提案で、わたしのチャリティー企画を提案してくださって、このたび緊急開催させていただくことになった骨折トークイベント。誰もこなかったらどうしようと思ったけど、ちょうどいいくらいに集まってくださってよかった。骨折、入院、手術話をしつつ、みんなでわたしがこれから先どうやって経済を成り立たせていったらいいか、話し合ったりした。思いもよらないナイスなご提案などもしてくださって、ちょっと生きる希望が持てた。肉体労働者のわたしは、身体がこうなると仕事が出来ず、よって収入が止まり、正直どうやって生きて行ったらいいかわからず辛すぎてもう死のうかと思ったりもしていて(まじ)だけどみなさんの温かさに触れて、もうちょっと生きれるなと思いました。カンパもたくさん入れていただいて、お見舞いの物資も山盛りいただいて、感謝感激雨霰でした。お集まりいただいたみなさま、カンパくださったみなさま、そしてこの企画を投げてくださったよるひる店主門ちゃん、本当にありがとうございました。

9.20木
朝から近所整形外科。40分前から並んだけど、それでも1時間半は待った。もう病院で待つの飽きた。病院の待ち時間って、いつ呼ばれるか呼ばれるかって気が散ってあんまり読書進まないのである。待って待って、診察に入り、その後リハビリの方へ流される。今日からリハビリ開始なのであーる。リハビリわたし担当のおにいさんは、折れた初日に色々処置してくれたおにいさん。同い年くらいか、なんなら年下かも。若いさわやかボーイ。おにいさんの手をにぎにぎして触り合ってリハビリをやるので、なんか異性と肌を合わせる感じがちょっと不思議。まあ好みじゃないので変な気は起こしませんが。リハビリは超地味な手首の運動や肩の運動。思いの外手首が動かず、焦る。この感じやとピアノ弾いたり労働復帰するのはだいぶかかりそうな予感。でもまだ手術後一週間やからそらそうか、仕方ないか。わたしは人生全体的にせっかちというかいらちなので、気長に頑張る、みたいなのがたいへん苦手なので、長い目でがんばりましょう、って言われるのが結構つらい。それ、めっちゃがんばるから期間短縮できません? って思ってしまう。けどこればっかりは、身体のことやし無理やなあと思うと絶望的な気持ち。病院後、区役所へ。昨日みなさんにアドバイスいただいたので、とりあえず区の社会福祉課に相談に行ってみた。ケガしてこういう状態になって、働けず、収入が止まり、生活が破綻するんですけど助けてもらえませんか? と相談。こういう場合、やはり生活保護制度を利用するしかないらしく、生活保護の説明を聞く。しかし生活保護って、貯金が1万切った、レベルじゃないと受けられないそうで、貯金があるのに(てゆっても全然ないんですけど、まだ1万は切ってない)生活保護を申請しちゃうと、逆に自分を貯金を全部国に献上しないといけないのやって! お金ない人からお金とりあげるってどういうことやねん! おまけに、東京都内では家賃53700円までの家に住んでないと受けられないそうで、それより高い場合は、安い家に強制引っ越しさせられるらしく、わたしんち家賃54000円。たった300円だけどあかんらしい。引っ越さないとあかんっていうのだけど、わたし片腕折れてるんですぜ? この状態で引っ越し作業しろと? そんな無茶な! ということで、一通り説明は聞いたものの、生活保護申請するのは断念しました。生活保護の壁は意外と厚かった……と、とぼとぼと帰路。ああわたし、どうやって生きて行ったらいいのやろう。ということで、これも昨夜アドバイスいただいた、アマゾンのほしい物リストをとりあえずはじめてみた。やりかたがあってるのかちょっと不安だけど。。。

9.21金
朝、勇気を出して口座番号をツイッターにあげて募金を開始。いよいよ落ちるところまで落ちた感があるがしかし、生活保護はもらえないことがわかったし、それでも生きて行かないといけないのでやむなし。早速パラパラとお振込みくださり、みなさんの愛が泣ける。本当にありがとうございます。片腕折れてるし、遊びに行っちゃだめってことはわかっているのだけど、暇を持て余し、ついに行ってしまった、裁判傍聴へ。折れて以来初。二週間くらいぶりに東京地裁。片腕にプレート入ってるから、入口ゲートの金属探知機でピーってならないか不安やったのやけど、鳴らなかった! タッチパネルを触って本日の開廷表を見る。も、これが高さ的にも狭さ的にも、片腕ギブスではたいへん扱いづらくて難義。なんとか調べて法廷へ。一本目、住宅侵入・窃盗。被告は30代のひょろっとした色白のおにいさん。おにいさんは元々空調点検の会社に長く勤めていたので、マンションのキーボックスの開け方などを熟知しており、その知識を生かして勝手にマンションに侵入し泥棒を繰り返していた。何度もおなじ部屋に入り、被害者のパソコンを操作して勝手にクレジットカードの再発行手続きなんかをして、それが送られてくる頃にまた侵入してポストからカードを入手するなど、だいぶ玄人技を駆使した窃盗犯。泥棒こわいわ〜と思った。二本目、強制わいせつ。被告は50代、ぱりっとスーツを着こなす綺麗めの不動産業のおっさん。おっさんは、浅草にて、11歳、13歳、15歳の少女の身体を触り、胸を撫でまわすなどした容疑で逮捕。あーまたやロリコンか〜。ロリコンおっさん多いな〜と思う。おっさんは「自分はお酒を飲むとウルトラスーパー淋しがり屋になり、昨今はスカートの短い淫らな恰好の学生が多い中、きちんと制服を着た清楚な女学生を見るとつい触りたくなってしまってやりました」と供述していた。ウルトラスーパー淋しがり屋(発言のまま)って! なんじゃそれ! しかも11歳なんて女学生ですらないやろ、子どもやで子ども! 見てくれからはそんなことしそうにもないおっさん。世の中わからんものですね。三本目、売春防止法違反。おっさんふたり組で、ふたりは吉原で「個室付き公衆浴場クラブアムール」というソープを経営しており、そのソープが摘発されていた裁判やったのだけど、聞いていて、特に悪いところはないような、え、何が罪なの? と思ってしまった。本番行為があかんことはわかるけど、ソープやからそら本番があることは自明の理。そんなんゆうたら日本中のソープを摘発しなあかんよね。おっさんたちはたまたま摘発されちゃって、運が悪かったのやな〜と思った。おっさん片方の奥さんが証言台に立ってて「子どもも小さいですし、子どもに胸を張ってお父さんお仕事を言えないのがたいへんつらいです」とのこと。そうかな〜そこは胸張って、お父ちゃんはソープ経営してるんや! ってゆってもいいような気がするけど。風俗産業ってそれくらいあかんこと? なのか? 絶対世の中に必要なものやし、ちょっと可哀想な気がしてしまった。四本目、ストーカー。に入ろうとしたらまさかの満席で入れず断念。ちょっと早いけど帰路。片腕やと、傍聴中メモが取りづらいからたいへんだけど、でも片腕でもなんとか裁判傍聴は出来ることが判明したので、働けず暇な療養期間中、平日は裁判いこ、と思った。帰ったらアマゾンからの不在票の伝票が3枚も入っていて、昨日ツイートしたほしい物リストを色んな方が送ってくださった!泣 本当にありがたい。感謝しかない。顔も知らない全国の人がこんなに応援してくれてるんやと思うと、がんばって生きようという気になった。

9.22土
早朝、ライブ帰りのI田さんが我が家に寄ってくれて、わたしのお風呂後の髪を乾かすのを手伝ってくれる。5日ぶりにお風呂に入った。ほしい物リストで送ってもらった、ギブスにビニールカバーをかぶせてそのままお風呂に入れる便利グッズを装着。思いの外袖口がきつく、血とまるかと思ったけど、頑丈で水は入ってこない。片腕でシャンプーするのは思いの外たいへんで、時間がかかり身体が完全に冷えた。けどお風呂に入ってさっぱり。6時半頃にI田さんが到着。ドライヤーで髪の毛を乾かしてもらう。なんだか介護してもらってるような気分。まあ確かにわたし現在、要介護の身やでな。ちょっとだけおしゃべりしてI田さんが帰っていき、わたしは近所の病院へリハビリに行く。開店前に行ったのにまたしても長蛇の列で並んだ。しかし病院を欲してる人ってこんなにたくさんいるのやね。今回色んな病院行ってみて思った。やっと順番が呼ばれてリハビリ室へ。このリハビリ室は大部屋でベッドが10台くらいと、電気あてる機械も10台くらいと、あと椅子席が10台くらいあって、理学療法士さんと、その助手みたいな人が全部で7,8人いてみんな忙しく働いてはるんだけど、はしっこに、絶対にベッドから動かない、ベテラン風情の理学療法士って名札を付けたおにいさんがいて、観察しているとどうやらそのおにいさんは目が見えていない。患者さんが来たら、身体を触ったりして感覚で位置を把握して、でも施術はプロっぽくて、患者さんに声をかけながら施術していて、なんかかっこいいな〜と思った。他の助手の人とかも、そのおにいさんに近づいてアドバイスを請うたりしていて、たぶんこのリハビリコーナー全体のボスって感じがして、めくらのボス!(褒めている)かっこいいな〜と思った。この病院に来てよかったと思った。リハビリ終えて病院を出ると雨が降っていて、傘もってなかったので濡れながら帰宅すると、今日もアマゾンさんから贈り物が届いた。カルシウムたっぷりの小魚やウエハースにミロ、ありがたい。しばらく食料には困らない。それとは別件でU本I子さんから読みたかったご本が届いた! うれしい! ああ、本当にみなさんに生かされている。ありがとうございます。

9.23日
ひさしぶりに天気よさそうなので朝から洗濯。洗濯干すのに30分くらいかかった。今日は病院も休みでリハビリいけないから、部屋に引きこもって読書。MTオススメ本、石井妙子『おそめ』読了。

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

夜の蝶という言葉のモデルになった、伝説の銀座のバー「おそめ」のマダム、上羽秀さんて人の伝記。なかなか読みごたえがあって、当時の文化人たちもたくさん出てきておもしろかったけど、いちばんはやっぱり内縁の夫(最後の最後に籍を入れるんだけどそのエピソードも泣ける)の映画プロデュ―サー俊藤浩滋との関係にうるっとくる。ここまで生涯かけて愛せるってすごいな〜と思う。家で読書してるだけなのに、昼からずっと頭痛がして、途中から読書どころではなくなり、ベッドに転がっていた。転んで以降、頭痛の波が頻繁に来る。転んだとき目の上を打ったのでちょっと心配。どうもありませんように。ポストに今日もアマゾンさんから贈り物の、読みたい本が2冊入っていた。本当にみなさまありがとうございます。