11.30〜12.6日記

11.30月
某企画のロケ日。それはそれはデンジャラスな、またとない貴重な体験をさせていただきましたが、大人の事情でストップかかっておりちょっとまだ書けない。もどかしい。でもこの一連の体験はまた解禁されてから改めてゆっくりどっぷりしつこく書きます。

12.1火
まだ詳細は書けないのやけれど、とある事情から昨夜わたしは15年ぶりに某経験をし、それによって自分で鏡を見る度に、これ誰? てなるありさま。わたしをわたしたらしめていた所謂アイデンティティというやつをべろんっと剥がされてしまって、剥き出しの生身のわたしはこれ、ほんまにわたしなのか? あかん、むり、まだ受け入れられん! きっと受け入れるにはまた15年の歳月が必要なのであろうと思う。あーーー! つらーーー! おまけに今日はコンタクトレンズを作ってきよ、という新たなミッションも課せられており、新宿のコンタクトレンズやさんへ。実はその昔一回だけコンタクトを作ってみようと思ったことがあったのやけど、わたしは目玉がちっさすぎてコンタクトが入らず、眼科で練習するコーナーで1時間ぐらいおねえさんに指導されながら超練習したのやけど一向に入らず、次第におねえさんにも見捨てられてあからさまにうっとうしい顔されたあたりで心が折れて、すみませんコンタクト諦めますってなった過去があり、今回もそんなんになったらいややなあ、でも目玉の大きさは絶対変わってへんから、また同じ顛末になる可能性大、いややな〜てびびりながら行ったのやけど、今回は10分ぐらいでつるっと(それでも時間かかってる方やけど)入ってホッ。ぶじミッションをクリアーして、夜は阿佐ヶ谷。新PVは飯田さんが劇仕立てのものを撮ってくれることになっていて、わたしの相手役をちょっとほんとにすごい役者さんに不躾にもオッファーしてみたらなんと快諾してくださり、その打ち合わせというかミーチングを飯田さんとその役者さんと3人で。飯田さんもわたしも純粋に大好きな役者さんだし、しかも我らのポジションからそんなこと頼んじゃうとか、まじ? 本気? 大丈夫? てぐらいに敷居の高い、圧倒的な存在でほんとに孤高のお方やから、断られても当然やなあと思ってたのに受けてくださって、しかも役柄的に、飯田さん結構むちゃをふっかけていたのやけど、全部ふたつ返事でやりますよっておっしゃってくださって超感激。飯田さんもこの役者さんものん兵衛なので結構ぐびぐびいっておられたのやけど、陽気に話してくれつつも、謙虚な姿勢は崩れず、先輩風をふかしたり偉そうな高圧的な物言いはしはらない、ほんまにすごい人ってこういうことやな! たのしい夜やった。

12.2水
ふと忘れがちやけど、我にかえると思いだす、自分がどんな見てくれであるのかを。そしたらそれまでどんなけ浮かれていたとしてもすぐに地の底まで落ち込む。ニュー自分に生まれ変わって三日目、今日は労働。当然会う人会う人仰天される。でもいちいち全員に全事情を説明しているとたいへんなことになるし、その度に自分でも落ち込むので、苦笑いでやり過ごす。みんなかわいいとか言ってくれちゃうけど、性格ぐねぐねにねじ曲がった卑屈人間のわたしは、そんな言葉をうのみに出来るわけがない! しかし朝から鼻水が止まらない! やばい風邪かもって思って、夜近所の病院行くも、風邪じゃなくてアレルギーですって言われた。そんな診断されたのはじめてやで。やっぱりあれのせい? 15年ぶりのあのせいかな。それ以外に理由が見つからない。人間の身体てつながってるんやなーて思た。

12.3木
これまた詳細は書けない(でももうわかるよね、察してください)のやけど、某番組の某収録のため某テレビ局。これまたすごい体験をしてしまった。プロたちの手により嘘みたいに作り込まれたわたしはやっぱりそれはわたしではなくって、だからそらアレルギー反応で鼻水止まらんくなったりもするわけやね。でも、こんなに色んな方々が関わって、時間もお金もかけて企画してくれはって、こんな貴重な体験をさしてもらえるのは極上の時間でした。一瞬のシンデレラやった。魔法はとけたけど、わたしはこの変わり果てた姿のままでこれまでと変わらない煤けた人生を生きていかなければいけないわけです。つらー。

12.4金
労働後、らんぶるでH澤氏を呼び出してミーチング。遅れに遅れていた紙資料とサンプルをやっと受け取り、ちょっと現時点で色々どうなっているのか、アルバムでまっせーという情報は出回ったけれども、その後なんか進展ありますか? と尋問するも、特になんもないそうである。えっそれではあかんのじゃない!? ほらほらだって世の中はもう年末進行で色々動いているのだぜ、リリースは1月末とはいえ、年内が勝負なんちゃうん? H澤さんのお仕事ってなんでしたっけ? て1時間ほど問い詰めて、あーしんど疲れたっておしっこに立ったらすぐ後ろの席でM村K子さんとTさんという不思議な組み合わせのおふたりでなにやら会議してはった。M村さんはわたしの見てくれがあまりに変わっているので気づかなかったそうな、でも話しかけちゃってばれちゃった。その後、わたしは来週のワンマンさせていただく会場の鈍我楽へご相談あって、阿佐ヶ谷。ピアノの位置とか当日の段取りを相談。色んな経緯から、わたし学生時代から名前は存じていたレベルの普通に著名なミュージシャンの方が、機材をもちこんでPAしてくださるということになっていて、しかもピアノ動かしたりの準備をこれまたすごい団体のボスが自ら手伝ってくださると名乗り出て下さって、なんかもう、わたし如きのライブになんでこんなすごい方々が集ってるの!? て状態で恐縮すぎてびびっている。Kさんとスペイン料理をたらふく食べた。

12.5土
最近ちゃんとお布団入って寝てるのに、毛布×2+冬布団では暖がとれないのか、それとも自分で自分の体温をもう保てなくなってきてるのか、無意識のうちにこたつに移動しててこたつで目覚める。毎朝。これ風邪ひくやつやん。いちばんあかんやつやん。でも今のところまだ風邪はひいていない。まあ時計見たら布団+こたつ合わせても2時間くらいしか経ってへんから、長く見積もってもこたつで寝てる時間も1時間くらい? やからまあお昼寝程度の時間しか寝てないから風邪はひかへんのかな。でも無意識てゆうのが怖くて、わたし夢遊病の癖がちょっとあるので、無意識のまま、寒いわーてこたつに入るまではいいけど、石油ストーブまでつけたら結構あぶない。我が家の石油ストーブはあの上でモチ焼けるやつ、原始的な、火がボーってなるやつやから結構あぶない。あぶないっすよね〜と、ジャケットデザインの打ち合わせの合間に、喫茶店でデザイナーの市川力夫さんにぼやいていたら、北村さんもう手錠ですよ、と言われ、あーアパート燃やしたら罪になりますもんね、なんかそういう事件ありましたよね、とか言ってたら、そうじゃなくって寝る前に自分で手錠つけて寝るんですよ、手錠と足枷つけてベッドに括り付けて、って言われて、ああ〜確かにそこまでやったら無意識に外すのは無理そうやし、ってなになにそれわたし、閉鎖病院で拘束されてるハードめな病人やん、それかもしくはちょっとかしこめの勝手に檻から出ちゃう猿! まあそんな話をきいてもらいつつ、ジャケットデザインの打ち合わせ。700枚以上撮った写真の中から厳選した写真をふたりでにらめっこしながら、色んな案をお聞きしつつ相談。盛り上がりに盛り上がり、またしても閉店まで語らって、お会計、となってかばんを見たら、うそん! 入ってない! 財布を忘れて陽気なサザエさんやんけ! まじ申し訳ないっす、と力夫さんに払っていただいてしまった! わたしこういう失態はない方やねんけどなー、今週はわたし15年かけて身に着けた鉄の鎧を引き剥がされ、色々浮き沈みが激しい日々で動揺しまくりやったからなあ。あかんあかんちゃんとしよちゃんとして自分! と戒めながら帰宅した。

12.6日
ありったけのマフラーを出してきて洗濯した。いいにおいになった。それからワンマンのために家で練習練習練習。やる曲をなんとなく決めた。冬は鍵盤がきんきんに冷えるので、いつも以上にピアノを触らなくなってしまってあかん。これぬくぬく鍵盤スイッチとかあればな〜どうせ電子ピアノやし、そんなんすぐ開発できそうにも思うけど、とか毎年思う。灯油売りの月の砂漠ミュージックが聞こえてきたので張り切って赤いタンクを外に出して待つ。去年とおんなじひげもじゃのおっさん。今年ははじめて買ったけど、なんとなく覚えてくれてたみたいで、去年はいつも半分だけ10リットルとか買ってたね、でも今年は安いよ、満タン18入れても去年とおなじぐらいの値段じゃないかな〜て言ってて確かに安かった。けちらんとストーブつけまくろ。いや、でも無意識に夜中につけるのは命取りにやからね、気をつけよ。

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