2.18月
午前中、所用で下赤塚という土地へ。千代田線で明治神宮前まで出て、副都心線で小竹向原、有楽町線に乗り換えて地下鉄赤塚駅。遠い。東京を横断。1時間半くらいかけて到着したのだが、用件は一瞬で終了。滞在時間約20分。ついでに喫茶店パトロールでもしていこうかと調べるも、この町には喫茶店がない! なんということや! そんな町に用はない! とそそくさと帰路。また1時間半かけて足立区までひいこら帰った。帰ると外はぽかぽかなのに部屋は相変わらず寒く、布団にくるまっていたらそのまま昼寝してしまった。特に生産的なことはなにもしない、だめな日。
2.19火
5時起きで朝から労働へ。どうやら日曜日のわたしが帰ったあとにちょっとした事件が起こっていたらしい。滝藤賢一似の男前社員Sさんと、25歳フリーターAくんがバトったらしい。Aくんは如何にもな京都男子なので普段からたいへん嫌味や屁理屈がうまく、言い方がいちいち持って回っていて喧嘩を売っているように聞こえがち。対してSさんは曲がったことが大嫌いで、完全縦社会を実践しようとするところがある37歳。立場的にも言い分的にも、Sさんの圧勝に終わったようだけど、ああその場面に居合わせたかった~。わたしはトラブルミーハーなところがある。そんな強いSさんから、僕のマリさんが昨日わたし宛にもってきてくれた新作エッセイ集を受け取る。仕事終わって、シネマート新宿へ。レイトショーでわかみほさんのオムニバス映画『プレイルーム』のチケットを引き換えて、夜まで時間があるので、カフェアルルへ。ここは猫カフェではなく、普通に店内に猫ちゃんがうろうろしている喫茶店。コーヒーを頼んだだけなのに、バナナとお豆とウエハースがついてきた。コーヒー飲みながら、僕のマリさんのエッセイを読む。大阪の喫茶店めぐりの部分で、わたしも好きな店がたくさん出てきてニヤニヤする。読み終わって、るみたんへの手紙を書く書く。るみたんから先週突然ポストにお手紙が届いたのでそのお返事。このご時世にわざわざ手紙というのがいいなあと思う。お気に入りの小鳥のレターセットをおろした。ところでレターセットの便せんと封筒の数って、合わへんと思いませんか? この小鳥のレターセット、便せん12枚に対して封筒4枚で、全然便せんが足りない。結局便せん6枚使ってしまったので、封筒だけ大量に余ってしまう計算。困る。封筒4枚なら便せん24枚は入れといて欲しい。お手紙書いていたら、とっても小顔美人な店員さんから「もしかして北村さんですか?」と話しかけられ、はい、というとどうやらバンドをやっているかわいこちゃんらしく、本当は去年12月にわたしと対バンするはずだったのだけどわたし入院でキャンセルしちゃって対バン叶わず、だったのらしい。ああ、その節はすみませんでした。挨拶ついでに追加のお菓子を持ってきてくれた。しかも大好きなルマンド。うれしい。21時いにお店を出て、こそぶる雨の中シネマート新宿へ。客席に何と片桐はいりさんがいた! めっちゃ洋服オシャレでスタイルもよくてかっこよかった。映画は、大好きなストリッパーで女優の若林美保さんが主演のオムニバス映画。5人の監督がわかみほさん主演で撮っているのだけど、どれも全然毛色が違って楽しめた。これまた好きな渋川清彦さんとカップル役だったり、猫だったり、ロボットだったり、子どもを亡くした母だったり、わかみほさんの、何をやってもちゃんとわかみほなのにすごく透明な存在感が眩しくて眼福だった。どれもよかったけど、「熱海の路地の子」って短編のわかみほさんが素朴でかわいくてでも危険ですばらしかった。終わっていい気分で帰宅。
2.20水
午前中に家を出て有楽町。日比谷シネマシャンテでずっと見たかった映画『劇場版バーニング』をやっと見に行った。が、ちょいちょい前評判でも聞いていたが、聞いていた通りになんともたるく、退屈で不覚にも寝てしまった。。。腐ってもイ・チャンドンやろ、つまらないわけがなかろう、と思っていたが、原作が村上春樹なせいもあるのか? 「シークレットサンシャイン」や「ペパーミントキャンディ」のあの頃の感じはもはや全く感じられず。残念。微妙な気持ちになって映画館を出たら、入口で女優のN村M来ちゃんとばったり会う。M来ちゃんもバーニングを見に来たそうで、わたしの次の回を見るとのことで入れ違い。そうやよね、やっぱりイ・チャンドンやもん、みんな見るよね~。せっかく有楽町に来たし、夜の予定まで時間があったのでしまの屋パーラーに一人で行き、フルーツサンドを食べた。新橋~有楽町界隈は良い喫茶店が点在している。夕方店を出て山手線で渋谷。今日は映画の打ち上げなのであーる。会場近くのコンビニでマネージャーMッキーと待ち合わせていたら、共演のS川K彦さんとばったりお会いし、しばし談笑。していたら、目の前のハチ公バスの運転手さんとそれにからむおっさんが超でっかい声で喧嘩をしだして一触即発、運転手さん怒り狂って外にまで出てきて、あわや乱闘の気配だったが、おっさんがすごい勢いで走って逃げて行った。もっと見ていたかった。わたしはトラブルミーハー。会場に入り、共演者さんとひさしぶりの邂逅をよろこびつつお話。と、鶴瓶さんがなんと! わたしの恰好をして登場! 会場大爆笑!
ドレスに赤いカーディガンでおかっぱヅラと赤メガネ。面白すぎる。隣に並ぶとみんな撮影ラッシュ。写真を見ると本当にわたしと似ていて、どっちがわたしかわからない。こうやって打ち上げでもみんなを楽しませてくれる鶴瓶さん、さすがだな~と思った。打ち上げは立食パーティ。飲んだりつまんだりしつつ、出演者ひとりずつの挨拶タイムがあって、まさかわたしまで回ってくるまいとぼんやりしていたらなんとわたしまで回ってきてしまい、考えてなかったのでなんにも面白いことが言えず反省。挨拶タイムが終わって談話タイム。超豪華な共演者さんとおしゃべりが出来て終始とってもたのしかった。1次会の最後、メイキング映像の上映があった。ら、これがすごくよくて既に感極まってうるうるしてしまった。キャスト陣もスタッフさんも本当にめちゃくちゃ作品への愛が溢れていて、改めてすばらしい現場やったなあ。1次会おわり、鶴瓶さんからみんなへ記念品のパーカーの贈呈があった。鶴瓶さんは現場でもお揃いのネックウォーマーの差し入れをしてくれたので再び。〇〇組と笑福亭鶴瓶のロゴが入ったイカしたパーカー。うれしい。鶴瓶さんの車に乗せていただき、2次会会場へ。今度は普通の居酒屋。みんなでわいわいと飲んだ。ふと、我に返ると、テレビや映画で見ていたあっち側の人たちが目の前にわんさかいる状態に眩暈がした。わたしなんてただの喫茶店の店員なのに。これは夢なの? いいえ現実。改めて夢のような現実に震える。なんと監督とプロデューサー、我が職場の喫茶店でこの映画の打ち合わせを何度もしていらしたことが発覚。なんということでしょう。これは運命やったのかもしれない。鶴瓶さんと監督が、まじめな落語談義をしておられて、鶴瓶さんの落語への真摯な姿勢を垣間見て感動した。23時半頃になり、まだまだみなさんは飲んでおられたけど、わたしは終電が近づいてきたので泣く泣く帰路へ。ああ、本当にたのしかった。映画っていいなあ。わたしは長年孤独に活動してきたので、こうやって大所帯でモノづくりをする現場への憧れが強い。映画の完成が心の底から楽しみ。帰りの電車で、横に立っていた男性が直立不動のまま垂直に嘔吐。返り血ならぬ返りゲロをちょっと浴びる。わたしはまだちょっと浴びただけやったけど、反対隣に立っていた女の子はもろに浴びてしまっており、コートゲロまみれになっていて泣いていた。かわいそうすぎる。そしてゲロをまき散らした本人は眠ったままで自分がゲロをまき散らしていることにも気づいていない様子。死ねばいいのに、とひさしぶりに他人に殺意を抱いた。
2.21木
朝から洗濯をしたり、家のことをして、午後から神保町。今日はナックルズの連載対談収録日。ミリオン出版は去年11月でなくなって大洋図書になったのだけど、入口、まだミリオン出版の看板が残ったままでホッとした。ロビーで待っている途中、後ろでエロ本の打ち合わせが行われていて、漏れ聞こえてくるワードのどぎつさに、さすがミリオン出版!いや大洋図書! っと思った。今日は会議室ではなくて、ナックルズ編集部の隅の応接コーナーでの収録。バーガー菊池さんのデスクがすぐ側で、ちょいちょい話に入ってくださって楽しかった。対談相方鈴木智彦さんは最近突然ダイエットをはじめて、1週間4キロずつ痩せていっているらしく、このままでは3か月後には俺いなくなってるから、とのこと。確かに、かなりのハイペース。最近の鈴木さんは、料理にピアノのお稽古にダイエット。まるで女子じゃん!(注:職業はヤクザライターです) 対談終わって、ごはん食べようとなり、神保町でタコスをごちそうになった。タコス屋さん、最近東京にじわじわ登場しているようで、ファーストフードちっくだけどお値段はまあまあする。味は沖縄で食べたタコスを思い出し、おいしかった。特に柔らかい生地のやつがおいしかった。鈴木さんはダイエット中だけど1日一食は好きなものを食べていいらしい。そんな激やせ中の鈴木さんに、「北村さんこそ痩せた? てゆうか魂が痩せた気がする!」というお言葉をいただく! がーん! わたしは痩せてなくて寧ろ入院中にちょっと太ったし、おまけに魂が痩せたって! それ最悪じゃないですか! 魂は太ましくありたいものですね。たのしくごはんを食べて帰路。
2.22金
5時起きで朝から労働。ひさしぶりに社員のWさんとフォーメーションが一緒になったので、お互いの最近の喫茶店パトロールの報告をしあい、喫茶店談義。Wさんは39歳男で最近結婚もした社員なのだが、仕事ぶりは超ぽんこつで、すぐテンパるし、めげやすく、カッとなりやすく、尚且つ15歳年下の妻には尻に敷かれている。分かりやすくダメな男なのだけど、喫茶店好きという面では気があう。たぶん同僚の中でいちばん喫茶店話が出来る男。午後からは妻の方とタッグを組んで働いたのだけど(妻の方も同僚、要するに職場結婚であーる)、まだ新婚なのに家も喧嘩しまくりらしく、大丈夫かこの夫婦? と勝手に心配する。まあ余計なお世話ですね。夕方仕事上がって帰って、ナックルズ原稿をちょっとやって寝た。
2.23土
朝8時、上階の部屋から響く日曜大工のトカトントントカトントンの振動で目が覚める。や、トカトントントカトントンどころではない。ドンドンバキバキキュイーンガチャパコーン!みたいな感じ。上階のおっさんは日曜大工が趣味なのか、よくこういった騒音が鳴り響くのだけど、今日はいつにもまして賑やかで、テレビをつけても騒音でテレビの音声が一切聞こえない。苛々しつつ起きて、そや、白髪染めいこ、と思い立ち、ホットペッパーで美容院を探す。わたしは美容師さんが嫌いなので長年、もう20年くらい髪の毛は自分でお風呂で切っていたのですが、さすがに白髪がすさまじい勢いで増えてきた最近。家で白髪染めにチャレンジしたこともあったけどこれがなかなかちゃんと染まらなくて悲しい思いをしたので、去年末入院中に院内の美容院で白髪染めしたのである(年明けから映画の撮影があったのでさすがにごま塩ヘアーで映ると役柄的に意味不明になりそうだったので自ら染めた)。そしたら思いの外綺麗に真っ黒に染まったのでうれしくて、それが二カ月経ってそろそろ白髪プリン状態で見すぼらしくなってきたので、そろそろ染めなくてはなのである。近所の美容院を探し、一番安い店をネットで当日予約。そんなこんなで苦手な美容院へ。安いからなのか、なかなかに混んでいた! 鏡の前に座らされ、放置されること45分。まあ、やむなし。しかし美容院にある雑誌ってなんて興味湧かないものばっかりなんやろう。所謂女性誌ってやつなんやけど、主にヘアー、メイク、高いお洋服、を美人モデルさんたちが紹介してくれてるのやが、全く以て触手が動かない。しかしこれが世の女性たちの主な関心事で、こういうのを購読して日々おしゃれにいそしんでおられるのか~と思うと、そらわたし、友達出来ひんはずやなと納得した。忙しそうであるが、なんとか白髪染めをしてもらい、シャンプーをしてもらい、散髪してもらった。が! 重いままのおかっぱにしてくれといったのに、なんかすごく梳かれてしまって、おかっぱってゆうかボブってゆうの? なんかそういう感じになってしまった! がびーん! だから美容院嫌いやねん! 泣きたい。ああ、はやく伸びてください髪の毛さん。そして、もう二度とこの美容院にはくるまい。なんやかやで終わったらもう夕方。悲しい気持ちでとぼとぼ帰路。見事にピンクに染まった夕焼けがなんか余計に悲しさを演出してくれちゃって、落ち込む。だから美容院嫌いやねん。えん。えん。
2.25日
4時起きで労働へ。案の定髪の毛が変で、アイロンしてもなにしても決まらん。朝からつらい気持ち。仕事は日曜日らしくたいへん忙しく、息つく暇もなくどたばた働いた。帰りに紀伊國屋書店に寄る。クイックジャパンのマリさんの記事を立ち読みしたくて行ったのに、なんと紀伊國屋書店、クイックジャパン置いてなかった!うそでしょ!天下の紀伊國屋書店本店やで!? 取り寄せになると言われ、正直買う気はないのでいいですといって引き下がってしまった。なんでやろ~。天下の紀伊國屋が弱くなったのか、それともクイックジャパンが部数減っているのか。どちらにせよ、こういうのは悲しいね。店内でお母さんに連れられて来ている5歳くらいの女の子が「おかあさん、このお店また来たい!」と言っていて、なんかほっこりするいい光景だった。