10.14〜20日記

10.14月

ツアー中、金沢で目覚める朝。9時に起きて、旅立つ支度。10時頃に岸野さんゲイリーさんと、近くの大学病院の中ににあるコメダ珈琲に行ってモーニング。病院の中に喫茶店があるってええね。わたしも退屈な1か月の入院生活中、せめてコメダがあったらよかったなあ。11時頃に金沢でお世話になったじょーの箱さんを出る。帰り際、オーガナイザーモカさんの奥様が可愛い洋服をたくさん詰めた紙袋をくださった! 奥様、着てる服全部可愛いなと思っていたので感激。しかしわたしは定期的にこうやっておしゃれな人から洋服をいただく。おさがりの洋服で生きている。ありがとうございます。金沢を出て、一路長野は松本へ。途中、川を通ったらすごい濁流で、台風のすごさを思い知る。特に長野は被害もすごかったらしく、途中道が封鎖されてて遠回りして松本入り。4時間くらいで松本に到着。さ、さむい! 雨もしとしと降っているしやっぱり長野は冷える。松本は瓦recordという古い民家をクラブにしたようなお店。この辺からちょっと嫌な予感がしていた。ヒゲミボさんがスクリーンを貼ったりプロジェクターをつるしたりして準備。わたしはぼんやり。順々にリハをして、開演まで1時間くらいあったので、裏にあるイオンモールへふらっと遊びに行った。ら、イオン広すぎて迷子に。無駄にたくさん歩いたけど、なんとか帰ってこれてよかった。19時開演。出演者はわたしとヒゲミボ以外は瓦recordチョイスの松本のアーティスト。アーティスト? かわからんのだけど、一人目の人は音楽でもパフォーマンスでもなんでもなく、30過ぎのおにいさんがパンツいっちょになって犬のぬいぐるみを撫でては、会場にきている彼女と世間話をする、という救いのない演目であった。おもんなさすぎて本読んでたら「本とか読まないでよ~」といじられる。きっつー。嫌な予感が的中し、会場は完全に内輪ノリムードが充満している。3番目がわたし。わたしは苛々していたのでライブも苛々モードがそのままでてしまい、あまりよくないライブになってしまった。反省。そんな内輪ノリ全開なムードの中でも、ヒゲの未亡人さんは素晴らしかった! ライブの出来と会場の雰囲気は関係ないんやなと思い、尚更反省。ヒゲの未亡人は今日は昨日と違ってアダルト18禁モードの選曲で、映像も歌もたいへんエロくて危険だった。あんな映像どっから見つけてくるのだろー。わたしは機嫌悪かったけど、ヒゲミボさんを見ていたら心が穏やかになった。DJタイムがあって、全部が終わったのは12時頃。ここで精算があり、衝撃の事実を聞かされる。お客さん8人しかこなかったので、ライブハウス使用料まで届かずマイナス5000円持ち出しだとのこと! この台風だったし、長野は被害もひどかったので集客のびなかったのは仕方がない。けどそれ、全部こっちが持つんや! 瓦recordえぐいな! お金はヒゲミボさんが出してくれたのだけど、ヒゲミボさんはあんな素晴らしいライブをして、岸野さんはDJもして、それでお金を払わないといけないなんて! 信じられますか? ヒゲミボさんでもこんな思いをしないといけないなんて。世知辛い世界です。松本で一泊して明日帰る予定だったのだけど、道路状況を検索していると、千曲川氾濫の影響で道がいっぱい封鎖されてて、その影響で昼間は渋滞がすごいらしく、混まないうちに夜中のうちに帰ろうということになり、みんなでばたばたと片づけてそのまま車へ。中華屋さんでご飯だけ食べて、深夜2時頃から高速に乗り、深夜のドライブ。色々道が封鎖されてて迂回に迂回で東京には結局7時間かかった。

 

10.15火

早朝東京について、ゲイリーさん、アリさんの順に降りてバイバイ、足立区まで岸野さんが送ってくださって、家についたのは8時すぎ。岸野さんはライブしてDJもしてそのまま不眠不休で7時間運転。本当にとおつかれさまでした。富山は台風で中止になったし、昨日の松本はなかなかだったけど、金沢が楽しすぎたので相殺していいツアーだった、し、色んな意味で勉強にもなった。帰宅してとりあえず家が無事だったことにほっとする。うちは荒川が近いし、ボロアパートの1階なので冠水したら。いっかんの終わりなので心配していた。雨戸をあけて、台所にあげていた自転車を外に出して、さすがに疲れてて、朝やけど睡眠薬を飲んでそのまま寝た。昼頃起きて、旅の着替えを洗濯して干し、また布団に入ってだらだら。今日はもう、なにもしない。夜、ひさしぶりにパソコンを開けて、メールの返信だけしてまた寝た。

 

10.16水

4時起きで朝から普通に労働。1週間ぶりの労働。まあわたしの日常、こんなもん。みんなに台風のときどうやった?と聞く。うちの店は土曜は休業して、日曜はランチから営業したらしい。思いの外混んでたいへんだったとのこと。今日もなかなか混んだ。仕事終わって、急いで吉祥寺、から井之頭公園を歩いて、E本M月ちゃんと落ち合い、ふたりでカフェー宵待草へ。ここは昔アツ子さんが働いてて、アツ子さんの絵の中にもたくさん登場する伝説の喫茶店。もう何年も前に閉店してしまっていたのだけど、この度1か月だけ復活しているのである。入口からびっくり、感動的な可愛さだった。エメラルドの格子窓はアツ子さんの絵の中のまんま。ああ、ここや! アツ子さんが迎えてくれて、窓際の席でM月ちゃんとケーキを食べながらお茶をする。

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テーブルの上のランプやお花やシュガーポットも全部可愛くて、食器も可愛くて、ケーキの盛り方も可愛くて完璧。1時間半くらいおしゃべりしていたらいつのまにか店内満員になっていたので、いったんお暇。アツ子さんとお別れして、つもる話もあったのでM月ちゃんと井之頭公園のベンチで缶コーヒー片手に3時間くらいおしゃべりした。ちょっと寒かったけど、可愛い女の子と公園でおしゃべりっていいな~。わたし、井之頭公園って今まで来た事なくって、なんか勝手にあんまりいい印象なかったのだけど、来てみると静かで緑の匂いがして、走ってる人とか散歩してる人とかいてなんかすごいよかった。M月ちゃんとおしゃべりも楽しくて時間を忘れた。10時頃に公園を出て帰路。吉祥寺とかこっち側に来ると、帰り道が遠い。1時間15分くらいかけて帰った。

 

10.17木

ゆっくり起きて、出しっぱなしだったトランクを片付けたりして、昼から下北沢。今日は観劇、の前に喫茶店トロール。トロワシャンブルと迷ったけど、喫茶ザックに入ってみた。ここはケーキ屋さんでもあるんだけど、あんまりわたしケーキ萌えはないので(注:アツ子さんのケーキは特別)サンドイッチとカフェオレ。ゆっくり読んでいた又吉直樹『人間』を読了。

人間

人間

すばらしかった。才能への嫉妬とゆうものをここまでじっとり書いてくれた小説、初めて読んだ。怒りや憎しみや恥がしっかり練り込まれていて、でもそれが感情的ではなくすごく冷静に淡々と、確かなる筆致で描き尽くされていて、すさまじい小説だった。影島とナカノタイチの自意識バトルには震えたし、永山と影島の邂逅シーンは、何かしら表現をしようとして燻っているすべての人間への讃歌だと思った。わたしはものすごく救われた思いだった。「人間が何者かである必要などないという無自覚な強さを自分は両親から譲り受けることはできなかった」ああ、そう、そうやねん、だから苦しいねん、でも、こんなに間違いなく才能があって、芸人としても小説家としても認められている又吉さんでも、こんなこと思うん? てなった。読後感に浸りながら、駅前劇場へ。映画でご一緒した平岩紙さんが出ている二人芝居『この道はいつか来た道』を観劇。ワンシチュエーションだけで、登場人物もふたりっきりで、会話だけで進む1時間。紙さんの相手役のおじいさんはもう86歳だそうでびっくり。おじいさんとおばあさんがホスピスを抜け出すおはなしなんだけど、紙さんも60歳くらいに見えた。終わって、映画でご一緒だった俳優M下さんにばったりお会いして、一緒に紙さんにご挨拶。劇場をでて、紅テントがぽっかり見える一番街を眺めて帰路。夜はIKAZUGOKEの新曲ラップの練習をした。

 

10.18金

4時起きで朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。終わって下北へ。夜は唐組『ビニールの城』を見守りに紅テントへ。到着してびっくり。さすが下北、わたしが今まで見た唐組でいちばんの大入りだった! 超超超満員。わたしは立ち見席にいたのだけど、立見席も満員電車状態。先週は台風で2公演が中止になっちゃったので、そのお客さんもいるのであろうか? 前回は最前列で拝見したので、今回は後ろから見たらまた全然印象が変わって、花道の演出とかがすごく染みてよかった。お客さんの熱量もすごかったけど、役者さんの熱量もすごかった。雨も降ってたけどテントをたたく雨音が気にならない迫力だった。ラストの屋台崩しからの借景が、東京の、下北の街が抜けて見えて、ビニ本の女モモのこれからを暗示しているようで、ビニール城と東京、美しくて悲しかった。終わって、見に来てくださっていた映画『閉鎖病棟』の平山監督ご夫妻と打ち上げでおしゃべり。今回主演の稲荷さんは平山監督のドラマに出演しておられるし、客演の戸辺さんは平山監督と一緒に演劇を作っておられたりで何かと縁がつながるものです。たのしくみんなでおしゃべりして、23時半くらいに帰路。


10.19土

気圧のせいかただの気分的なものか、起きても何もやる気が起きず。ツアーから帰って翌日から労働だったし連日でかけていたしで疲れてるんかな? ここ数ヶ月、家でひとりでいると何もない自分に辟易として将来が絶望しか浮かばなくて、リアルに、あ〜あと何年やろうな〜とか考えてしまう。人はこれを鬱と呼ぶのかもしれない。夕方、浅草に出てAさんと焼肉デート。焼肉を食べても特にテンションはあがらない。とゆうかそもそもわたしは焼肉が特別好きなわけではない。そう、特別好きなわけではない、とゆう感情だらけで最近、あれもこれも別に好きじゃないって思っては絶望している。主食やったお菓子も最近あんまり好きじゃない。何も好きじゃない。人はこれを鬱と呼ぶのかもしれない。


10.20日

4時起きで朝から普通に労働。なんと、週5フルタイムで入ってた同僚Sさんが昨日突然クビになったらしい。まあ色々あってのクビだったようだけど、突然週5フルタイムで入ってた子が抜けると、シフトに大打撃なんである。人手不足すぎてなにもかもが回らなくて、厨房も回ってないから料理が出てくるんに1時間かかることもザラで、そんな喫茶店、ありますか? わたしはちゃんとしたい、ちゃんとお客さんに快適に過ごしてもらいたいし、あんまり待たせたくないし、でも実質店がまわっていなくてもうどうしようもない。こんな人手不足なのになんと先週我が店の2号店が王様の◯ランチで紹介されてしまって、テレビ見た人みんな2号店やなくて本店のうちに来るもんやから、もう色々とむちゃくちゃ。あかんあかんと思うけどイライラがとまらない。疲れはてて帰路。