4.1~7日記

4.1月

4時半起きで朝から普通に労働。相変わらず声が全く出ない。接客業として声が出ないと色々めちゃんこ不便なのだが、概ねは気合でなんとか伝わるということが発覚。目線や口パクでなんとかなる。わたしは決してコミュ力が高い方ではないとは思うのだけど、火事場の底コミュ力?みたいのは意外と強いのかもしれない。しかし今回の風邪まじしんどい。喉の粘膜、鼻の粘膜、目の粘膜、そう、粘膜という粘膜が全部炎症を起こしていて痛い。目をやられるのわたしはじめてなんだけど、とにかく目をあけているだけで痛い。これってどういう症状よ? しかしわたしは花粉症ではないけど、花粉症の人ってもしかしてずっとこんな感じなのであろうか? だとしたら本当にご愁傷様です。

 

4.2火

4時半起きで今日も朝から労働。薬が効いてちょっとだけましになってきた。声もちょっとだけ出るようになってきた。労働休まずにわたしよくぞ頑張りました。労働終わって、職場の近くのビームスギャラリーでやっている写真家木村和平さんの個展『袖幕』を見に行く。バレエの発表会でちびっこバレリーナたちを舞台の袖から撮影された写真たちが展示されている個展、これがめちゃんこよくって、ひとりで胸がいっぱいになってちょっと泣きそうになってしまった。バレエの舞台袖から見える景色ってこんなに美しかってんやって目から鱗な気持ちで、しかしそれらは確かに、わたしも20年以上前に見ていたことがあるなつかしい景色で、今にもスモークの匂いやトウシューズの音なんかが漏れてきそうで、胸がきゅううんとなった。そう、あまりゆってませんがわたしは小さい頃バレエをやっていて、バレエ教室や発表会の舞台裏なんかは結構わたしを形成する原風景のひとつとして未だに身体のどこかに残っていて、普段その箱が開くことはまあ滅多とないのだけど、こうやって作品に触れるとぶわあ~っと郷愁みたいなものが漏れてきて胸が痛くなる。なんでしょうねこの感じ。すばらしかったな~って帰ろうとしたら出口のところで「北村さん、ありがとうございます」とロングヘア―でスマートなおしゃれボーイに声をかけられ、へっと顔をあげると「あ、木村です」と、そう木村和平さんであった。わたしは面識は特にないつもりだったのだけど、実は知ってくださっていて、おまけにわたしの労働先にもよくいらしてくれているらしく、なんかうれしはずかしであった。わたし、あんまり写真の良しあしとかわからんけれど、木村和平さんの写真はかなり好きと思った。

 

4.3水

だいぶよくなってきたとはいえ、まだまだ風邪っぴき。労働休みなことだし、おでかけするのはやめて家で安静にしていた。桐野夏生『バラカ』上下巻ともに読了。

 

バラカ 上 (集英社文庫)

バラカ 上 (集英社文庫)

 

  

バラカ 下 (集英社文庫)

バラカ 下 (集英社文庫)

 

 震災を取り扱った小説ってなんかどうも読めないと思っていたのだけど、これはおもしろく読めた。震災の被災地で身寄りのない少女が見つかったら、実はその子はドバイの人身売買マーケットで売られていた子どもやって、しかし買った本人は震災で亡くなっていて、その夫はキチガイで、色んな人の元をたらい回しにされながらも健気に生きていくバラカちゃんの物語なのやけど、現在のSNS社会、ネット社会への風刺的な要素も交えつつ、震災の被害者ってなに? みたいな問いを投げかけてくる、一切綺麗ごとを書かず、寧ろ汚い部分ばっかりをこれでもかと書いてくるのがさすが桐野夏生って感じがしてたのしく読みました。夜、TVerでフルーツ宅配便の最終回を見ていたら、映画でご一緒した俳優の大窪人衛くんが、まさかのすげー悪い役で登場しびっくり&なんかうれしかった。フルーツ宅配便、おわってしまったけど、ひさしぶりに最後まで追いかけてみてしまった良いドラマやった。白石和彌監督がドラマをというのもイケているし、出演俳優陣のチョイスがわかってるわ~って感じでみんなすばらしかった。

 

4.4木

昼から虎ノ門の方の病院へ通院デーなので、ついでに朝から霞ヶ関東京地裁へ裁判傍聴に。一本目、罪名詐欺。30代の大工のにいちゃんが保険屋の友人を騙して10万円奪った事件。被害者とは幼馴染やったというし、詐欺事件とはいえそんな凶悪さは感じられない平和な裁判やったのやけど、聞いていたらこの被告人、借金が友人たちから270万、家族親戚から450万、アコムから40万あるらしく、原因はなにかというとパチンコらしくて、パチンコってそんな負けるの?負けて借金つくりまくってそれでも行ってしまうものなの? パチンコの依存性こわ~と思った。二本目、覚醒剤取締法違反。こちらはマレーシア人の19歳の少年が、そそのかされて覚醒剤の運び屋をやってしまい、日本で逮捕され裁判になった事件。途中から入ったのだけど、被告人も号泣、証言台に上がっていた母親も号泣、婚約者も号泣、傍聴人の中にももらい泣きしている人多々、というなかなかドラマチックな裁判だった。まだ19歳の少年であるが、前妻とのあいだに子どもがおり、その子の養育費も払わないといけないし、婚約者も妊娠中で、お金が必要だったので運び屋をやってしまったとのことだった。ちなみに前科前歴があり、過去に強姦容疑で逮捕されてもいる。なんか19歳やのに、色々すごいね。でも見たところすごく気の弱そうな華奢で小柄な少年って感じの子やって、わからんものですね。なんの所縁もない日本の国でこうやって裁判にかけられて、このまま懲役ついたら日本で服役ってことになるから、運び屋なんてするもんじゃないな~。午前中の裁判を見終えて、病院の方へ。まだ予約まで時間があったので、喫茶ヘッケルンへ。ここでプリンを食べてコーヒー飲むのが病院の日のおたのしみ。しかしいつ来てもここは大繁盛している。マスターのてきぱきとリズミカルな動きがからくり人形みたいでおもしろく、カウンターで眺めながらプリンを食べた。そして午後から病院。血液検査尿検査、診察入って、おなかに注射。なんか今日はいつにも増して混んでいて、待合室が超カオスだった。車椅子の患者さんが多すぎて、通路が通れなくて渋滞していたり、なんか色々すごかった。混んでる病院でいつも思うのが、付き添いの人は待合室で待たずどっかいっててくれへんかな~ということ。患者さんだけで超満員やのに、付き添いまでが座っちゃうと、その分患者がひとり椅子からあぶれるわけで、現にわたしは立ったままで小一時間待っていた。ぷんぷん。無事全行程を終え、お会計して隣の薬局でお薬大量に受け取って帰宅。帰って小説のつづきを書こうとにらめっこするも進まず。黄昏流星群を読んで寝た。

 

4.5金

昼から川崎の方の某所へ。今日はとある写真の撮影なのである。衣装を3パターン抱えて電車でひとったび。最寄り駅について出口を探してうろうろしていると、映画でご一緒した俳優さんとばったり遭遇してびっくりした。こんな平日の昼間から、こんな場所で。駅で撮影してくれるI川R夫さんと待ち合わせ、一緒に河原の方へ歩く。途中公園があって、桜が満開で桜吹雪が舞っていて綺麗やった。そういえば今年はじめてちゃんと桜を見た気がした。公園はちびっこたちがわらわらいたけど河原の方は釣り人ひとりいたくらいで静か。そこで1時間半くらい撮影した。しかし今日は風が超強くて色んなものが飛んでくるし、髪の毛めちゃくちゃになって結構たいへんであった。風にあたっているだけで人間はすごくストレスを受けるんやな~と実感。それはさておき、撮影は終始たのしく進行。着替える場所がないのでそのまま河原であられもない恰好になって着替えたりしたけど、それも含めて楽しかった。撮影の後、R夫さんちへお邪魔し、にゃんこ2匹を撫でながら談笑。男子ひとり暮らしなのにR夫さんちは超綺麗で感動する。本とかモノは多いのに全然ごちゃごちゃしていなくてちゃんと整理整頓されていて、猫ちゃん二匹もいるのに毛も舞ってないし、すばらしー。夕方までたのしくおしゃべりして、帰路。ちょっと別件ですごく悲しい事件があり。絶望感に打ちひしがれる。でもまあ、仕方がない。帰りにブックオフによって、R夫さんおすすめの本を買って帰った。

 

4.6土

あんなに悲しいことがあったのに、睡眠薬をばきっとキメればちゃんと眠れたことにびびる。ケミカルってすげーな。しかし今度は逆で、起きていると余計なことを考えてしまうので結構つらい。つらい気持ちを振り切るべく、おでかけすることにする。高円寺は吉野純粋蜂蜜店というところへ、駅前の花屋で小さな花束を買って、大好きな画家の金田アツ子さんの個展を見に行った。そういえばあれはもう6、7年くらい前にもここでアツ子さんの個展を見て、わたしはものすごく感動してひとりで周囲が引くくらいの大号泣をした記憶。その後、アツさんにはCDのジャケットを描いていただいたり(シングル「卵のエチュード/マイハッピーお葬式」)バブーシュカで個展をされる際はいつもライブさせてもらったり、アツ子さんに描いてもらったわたしの絵はたぶんこの世に5枚以上はあって(うち1枚は我が家にある)どれも宝物。今回は「春の夢」ってタイトルで、アツ子さんといえば乙女画だけど、今回は動物さんが多めの回だった。新作の「さよならのない世界」という大きな絵がとても素敵でうっとりため息が出る。わたしの絵も3枚展示してくださっていた。アツ子さんの絵はもちろん動物さんや乙女自体もすばらしいんだけど、わたしは背景の色がすごく好きで、背負っているものが滲んでいるようでいつもドキドキする。今回は大号泣はしなかったけど、こっそりうるうるしてしまったのは内緒。ゆっくり見てまわったあと、アツ子さんお手製ケーキを買って、しばしアツ子さんと談笑。わたしはアツ子さんの絵も大好きだけど、人物としてアツ子さん自身が大大大好きで、大好きすぎていざ対面すると何喋ったらいいかわからなくなちゃう、これは恋か?てくらい大好き。でもきっと、アツ子さんのファンの人たちはみんなそうと思う。人柄って絵に出るもんな~。素晴らしい絵を見たら昨日の悲しい出来事をひととき忘れ、おなかが空いてきたので、帰りに喫茶コーラルへ行ったら閉まってたのでカフェテラスごんというお店でひとりでオムライスを食べてコーヒーを飲んでしばし読書して帰った。帰るとまた悲しさが増す。

 

4.7日

4時起きで朝から普通に労働へ。やっと声が出るようになったので仕事がしやすい。社員のS水さんが、またもや坊主頭になっていて爆笑。このS水さんは半年に一回周期で坊主にする癖があり、顔が美少年だし体型がめっちゃ華奢なので坊主になるとはだしのゲンの世界になってしまう。しかも自分で家でバリカンで刈っているらしー。今日は日曜のわりには暇だったけどパフェがとてもよくでた。夕方仕事終わって外に出ると、夏のようにあったかくてあ~春~と思った。しかしわたしの心は極寒の真冬だぜ。