3.20〜26日記

3.20月
昼に飯田さんと駅のホームで待ち合わせ、一緒に高円寺の某所へ。わたしたち共著の小説『裸の村』の印刷が上がってきたとのことなのですが、この本、超特殊装丁なので、組み立て作業を自分たちでやらなきゃなので、今日は女工さんとして。この本の発起人T口さんのご指導の下、ふたりで切ったり貼ったりの作業を3、4時間やる。わたし、そもそもこの手の内職は嫌いじゃないので、しかも仲良しの飯田さんとやし、和気あいあいと心がやすらぐ時間やった。7時ぐらいまで働いて、工場を後にし、飯田さんは上野で用事があるとのことで、御茶ノ水までご一緒してばいばい。あ、そういえばもう放送されてるらしくて目撃したぜという報告をいくつか受けたので、告知していいのだと思うんですが、わたし、キンチョー社のトイレの消臭剤クリーンフローという商品のテレビCMにまさかのOL役で一瞬出ています。ほんの1秒ぐらいなのですが、もし見かけたら「うわっ」と思っておいてください。いや〜しかし自分がまさかテレビCMに出させていただける日が来るなんてね、人生わかからんもんやなあ。あ、その映像はこちらのキンチョーのサイトからも見れるのでよかったらぜひ→http://www.kincho.co.jp/cm/html/clean_flow_idol/index_sp.html

3.21火
朝から普通に労働。後、マッハで帰宅。何故なら我が家の壊れたドアを取り替えるための業者が、寸法を測りに来るとかでそのおっさんが6時半に来ちゃうというのでマッハで帰ってきたのに、全然来なくて結局来たのは7時すぎ。まあいいけど。でもこのおっさんが、前回に頑張って扉のを削ったりしてくれたリウマチのおっちゃんとは全然違う、ちょっと腹立つタイプのおっさんで、「あ〜夜だから暗くて見えねえな〜」と文句たらたら仕事をし、最終的に、ドアを取り替えるかどうかの決定権は大家さんにあるから大家さんに見積もり書をを送って、GOが出たら工事日を決めてやっと工事してもらえる、という算段なのやけど、それをなんかわざわざ嫌味な言い方で「じゃあ工事日は大家さんとうちで決めていいの?でもどうせ君、平日の昼は仕事してるとかでダメなんでしょう? 土日はうちほんとは休みなんだよね〜」とかって、なんか勝手に不機嫌な感じで、わたしが「あ、でもドア取り替えるかどうかの決定権は大家さんにあるので、まずそれを聞いていただいて…」とかもごもごゆってたら「いや、そういうことじゃなくて、工事日決めるの大家さんとうちで決めていいわけ? だって、ほら君の連絡先教えてって、一応そういうの言えないからさあ!」とかって気だるく嫌味たっぷりに言われたので、「いやいや全然問題ないです、090-〇〇〇〇〇〇〇〇」ってこっちも即答で電話番号を伝えたった。なんか、こういうのって一応作業始める前に名刺とか渡してきて自己紹介してから仕事はじめる感じが普通かな〜と思ってたので、最初からなんか、なんやこいつ! 名乗りもしないし、なんか文句ばっかりゆうし! まあ、変なやつではない普通の工務店のおっさんなだけだとおもうけど、ここは足立区やし、何があるかわからんから一応要注意や。

3.22水
朝から普通に労働。後、ちょっとルミネの慣れないオシャレショッピングスポットに出向いて、明日で退職してしまう後輩同僚のK木さんへのプレゼントを買いに行く。K木さんは、まだ22歳で若くて可愛い、ちょっと松本さゆきさんに似てる女の子なのやけど、いつも何一つ文句を言わずにもくもくと働く本当にいい子で、でもちょっと精神的な病気をひっそり持っていて、それをオープンにひけらかすメンヘラちゃんでは全くないのやけど、ちょっとそういう危ないところがあって、あるときわたしにそのことをちょっと打ち明けてくれたことがあって、その病気、わたしも一応経験者なので(32歳くらいになると、一応一通りのその辺の病は体験済みになるよね☆)かといって、すごくデリケートな話やから、どうやったら治るとかの話でもないし、薬でよくなるものでもないし、わたしだっていつまたぶり返すかわからん状態やし、だから全然気の利いたアドバイスも出来ずじまいの不甲斐ない先輩やったのやけど、最後に個人的に、変な雑貨とお手紙を書いて、彼女のロッカーにぶら下げてきた。

3.23木
今日は一日、明後日の『裸の村』刊行記念ライブでやるコントとラップをみっちり練習する日。あとツアーの打ち合わせも。昼すぎに飯田さんが我が家にやってきて、結構まじめにしっかり稽古をした。ラップも踊りながら何回も息切らしながら練習。自分で作っておきながら今回の新曲ラップはなんかすごく覚えにくくて(サビがドラッグストア名の羅列なので)とくに脈絡なく意味のない言葉の羅列を暗記するのってすごい難しいんやなあと実感。そう思うと、言葉を覚える赤ちゃんって、耳にするすべての言葉は意味のわからない言葉やったりするわけで、それを一個ずつちゃんと覚えていけるって、やっぱり脳みそがやわらかいからなんかなあと思ったりした。わたしは若かりし日もお勉強殆どやらずに生きてきちゃったけど、飯田さんは中学受験をして、大学も名のある大学出身なので、そこそこちゃんと受験勉強を通過してきてるので「やっぱ若いから暗記とかできたのかな〜脳の衰えを如実に感じる」とかゆっていた。とはいえ、普段は家でじっとしてるので、身体を動かして声を出すと疲れるけど清々しいもんやねえ、とふたりで言い合う。心地よい疲れを感じつつ、夜は近所の韓国料理屋さん飲んだ。飯田さんは先週末までは殺陣の刃喰いさんとの稽古で忙しかったので、1週間ぐらいふたりでゆっくり飲んだり喋ったりする時間が少なかったので、なんかひさしぶりに一日一緒におれてわたしはとってもたのしくて満たされた心地。たのしくてちゃんと充実感もある一日やった。そんな飯田さんが作ってくれた、我ら飯田華子×北村早樹子=IKAZUGOKEの小説のCM→

3.24金
今日も昼イチに駅のホームで待ち合わせして、飯田さんとふたりで高円寺某所へ女工として出勤。明日本の発売日なわけですが、まだその特殊装丁本が出来上がっていない(正確に言うと届いてない部品がある)ので、工場長さんと飯田さんとわたしでこたつを囲み、みんなでもくもくと内職。途中、最後のカバーの部品が届き、組み立ててはめ込むという最終工程まで進む。ぞくぞくと完成品が出来上がっていく。おお、感動的。本当にこんな変な形の本が出来るのかな?って思ってたけど、本当にちゃんと出来上がった! しかし感極まってる暇はなく、とにかく切った貼った立てたハメたの作業をばんばん進めて行かないといけない! でもどうやらわたしはこういった仕事、そこそこ早いらしい。そういえば、5.6年ぐらい前にシール貼りのバイトで鍛えたからかな。そう、伝説のシール貼りバイトがあって、今思うと結構すごいスターたちが集まってて、ミュージシャンであり黄金町試聴室店主のM沢さんを筆頭に、今やリキッドルームでワンマンとかやっちゃう売れっ子ミュージシャンあらかじめ決められた恋人たちへのI永さんもフルタイム出勤していたし、ジョニーO蔵大臣や、ライターK暮さんや、宇宙マッサージでおなじみプリミ恥部S井くんや、映画監督のH岡香純ちゃんなど、なかなか錚々たるメンバーで南砂町の工場へ集まって、ひたすらシールを貼るバイトをしていた。わたしは喫茶店の労働もしてたので、それの入ってない日だけ、週に1、2回だけ出勤してたのやけど、あれはなかなか楽しいバイトでした。そんな思い出話をしたりしつつ、今回も工場長T口さんと飯田さん、というわたしが心置きなく喋れる数少ないふたりとの作業やったので、ノンストレスで楽しかった。T口さんが結構普段なら言わなそうな界隈のミュージシャンへの本音を結構ずばずば話してくれて、わたしと飯田さんは心の中で「おおっ」と思っていた。3、4時間頑張ったら、とりあえず明日売る分は完成したので、今日のところはこれでいいでしょう! となってお開きに。飯田さんとふたりで高円寺の中華壱番でラーメン食べて一休み。飯田さんはこれから銀座でホステスさんなのでたいへんやけど、わたしはもう帰るだけ。高円寺という町は三歩歩けばバンドマンとぶつかる感がすごくて、中華壱番でも隣の席の奇抜なファッションのねえちゃんは会話をほんのり盗み聞くにどうやらバンドマンでもあり、そしてバンドマン追っかけでもある感じのふたり組で、ああ、そうそう、高円寺ってこういう町やなあ……と改めて苦手やなあと思っちゃった。お隣の中野や阿佐ヶ谷まで行くとだいぶ空気違うけど、この高円寺だけは本当に馴染めない。

3.25土
昼から飯田さんが我が家に来て、新コントと新曲ラップをおさらい練習、歌と紙芝居の新ネタも、飯田さんが新しい絵を描いてきてくれたので、『座敷牢の女』が改めて、すごくいいお気に入りの作品になった! バタバタ準備して一路、高円寺円盤へ。しかし飯田さんはものすごい量の段ボールの束(紙芝居なのやけど)をガラガラで引いてて、おまけにサカゼンのジャージ上下に100均スリッパ(コントの衣装でもあるのやけど)で髪の毛も風呂上りの濡れ髪のまま、もちろん顔もすっぴんで眉毛がないので、結構危ない人に見える。飯田さんはもともとの素材が、顔もべっぴんやし不潔な感じはしないからギリギリ大丈夫やけど、これ、その辺のおっさんが同じ格好で段ボール引いてたら完全にホームレスのおっちゃんやで。わたしはわたしで今日は赤い柄入りタイツで半分衣装のままコート羽織った状態やから結構デーハーやし、なんか変な二人組。まあいつものことか。ぶじ高円寺円盤に到着して、準備してリハ。本の刊行イベントなのに、張り切ってコントやラップをやりまくるので準備がそこそこ大がかり。でも一応場当たり的なことはやれて、我らの内職工場兼控室で準備。飯田さんはここでようやくお化粧して女に。ラップを最後の最後まで練習。なんでこんな覚えにくいラップを作ったんやろうわたし…。時間になって会場に降りると、ちょうどいいくらいの人数のお客様が集まってくださってて、あたたかく見守られながら、一部は『裸の村』告知コント(わたしがはじめて台本を書いた!そして紙芝居をめくった!でも飯田さんの関西弁のタマの演技が絶妙やったでしょ!)とそれぞれのソロタイム。それから最後に例の物販コント。わたしたちは奥ゆかしい二人組なので、コントにでもしないと買って買ってと言えないので、コントといことにしてここぞとばかりにいやらしく買って買ってをやりました。二部はクールにラップ3曲をキメて、その後「プカプカファック」という新曲と「座敷牢の女」をやり、もはや定番化している紙&歌芝居『足立区の片目』、そして喧嘩風の罵倒からの我らの定番ソング「後家殺し」で終わりました。お越しくださって長い時間お付き合いいただいたみなさま、本買ってくださったみなさま、本当にありがとうございました。終わって、見に来てくださったK井さんとKムケンさんとS川さんと馬力で打ち上げ。K井さんもKムケンさんも素晴らしい役者さんであり演出家さんでもある方やから、我らのあの茶番コントを見て(いや、本人すごく真面目にやってはいるのやけど)どう思われたのか気になるところです。が、見に来ていただけてとってもうれしかった! 生身の表現活動(というとちょっとださいけど)をやっている人間にとって、一番うれしいのはやはり時間もお金も割いて見に来てくださることなのです。K井さんは春公演の稽古真っ只中なのに時間割いて来てくださってすごくうれしかった。なんか中央線人身事故で止まってるとかいう噂もあったので、もういいや〜ってなって、お開きになったあともわたしと飯田さんはふたりで鳥貴族で朝まで飲んでいた。まじめに今日の反省会をしたり、ちょっと今日のライブの裏で起きていた某個人的事件について話し込んだり、来月のツアーについて真面目に打ち合わせもしたりしたけど、やっぱり飯田さんはとってもリスペクトしている相方でもあり、そして包み隠さずなんでも話せる唯一の友達でもあるので、本当に今日は楽しかったし、この本が出来たのも、こういう楽しい出し物が出来たのも、飯田さんと出会えたおかげやわ〜と噛みしめた。閉店5時で鳥貴族を追い出されて帰路。店を出るともう雨が降っていた。日曜早朝の総武線車内は結構カオスで、挑発的な独り言を周囲に浴びせてるおじいさんがいたり、かと思えばつり革にぶら下がって独り言ゆってるおじいさんもいたり、結構怖かったけど、飯田さんは噛みついてこられないように顔怖くするわってゆって眉毛を消して誰にも気づかれない威嚇をこっそりしてておもしろかった。そんなこんなで無事朝帰り。

3.26日
朝帰りして楽しかったけど身体は疲れているはず。寝れるでしょう、今日こそは、と思って布団に入るも、うとうとした瞬間にパーンパーンと爆音の空砲が足立区の空に鳴り響く朝7時。そうや、忘れてた。わたしの住んでる地域は月に何回か、日曜の朝7時に何故か、6発程爆音の空砲が鳴るのである。最初、発砲事件か?!とかなりびびったのやけど、別にサイレンの音はなくて、事件ぽくはない感じで、気になって調べたら、どうやらどっかの商店会が卵10個入りを100円で売る日があって、それを知らせるために空砲を打つことになってるらしい。なんじゃその原始的なシステム! しかも卵如きに! 10個100円って、まあそれぐらい、ときどき見かけまっせ。あのパーンで安眠を邪魔される人がどれくらいおるとおもってんねん。特にわたしがうとうとするってよっぽどやねんぞ! せっかく眠れたかもしれないタイミングも卵100円発砲音に妨害されて、もうええわって気分で寝るのをあきらめモードで、しかし今日は一日特に出かける用事はないのでだらだらした。メルマガの原稿にちょっと手を出して、でもあまり筆が乗らず、特選小説の連載エッセイの直しをやって編集O高さんに送ったくらい。それから出来上がりたての我らの小説『裸の村』を改めて舐めまわすように読んだ。本当に中身も外身も可愛い。まだ買える他店舗に送る分まで我らの内職が追い付いてないのですが、高円寺円盤のオンラインショップで通販していただくのがいちばん早いかも。http://enban.cart.fc2.com/ca0/3957/p-r-s/ でも沖縄〜広島〜大阪の方は、来月飯田さんとふたりで刊行ツアーと称し売りに行くので、それまで待って直で買っていただけたらいちばんうれしいです☆