1.9〜15日記

1.9月
大バンドで知久さんとツーマンライブの日。赤い鍵盤(木製のため小さいわりに重い)を背負って物販を持って結構な重量で移動。しかしこの鍵盤ケースの側面に昨夜お裁縫してバットホルダーをつけたので、ライブ中振り回す100均おもちゃバットもすごくナチュラルに不信感ゼロで持ち運ぶことに成功。今まではリュックの頭から露骨にバットの先っぽが突き出してて、電車乗ってても笑われまくってたのやけど、これならバレてない(たぶん)。我ながらグッジョッブ☆ 会場UFOCLUBにつくと、知久さんがリハをやってらした。リハから「あるぴの」がすごくて感動する。知久さんは想像のまんまのキャラクターで、でもフランクに下ネタとかもしゃべってくれちゃう、素敵な方やった。じわじわ大バンドメンバーも集まりだして、我らのリハ。ソロの時と違って大バンドはセッティングが結構たいへんで、おまけにちょっと演出的にUFOの幕を開け閉めしてもらったりすることになったので、段取りをスタッフさんに伝えたりとか、それから急遽今日は映像をサカイユウゴさんに撮っていただくこといなって、色々な準備したりしてたら1時間リハ時間あったのにあっという間に終了。わりとすぐ開場開演。我らが先攻。中盤まで順調に進んでいたのやけど、わたしの弾き語りコーナーで赤いピアノを弾こうとしたら、リハではいい感じやったのに何故か全くピアノの音が出ない! PAさん、店主のK田さんなどみんなが来てくれて色々見てくれたのやけど原因が不明。ということでわたしはしばしトークでつなぐことになり、なんかグラサンでバット振って息がっててた癖に、急にいつもの北村さんというか、きたむらじおの時のような喋りになってしまった(そうするしかなかった)5分10分は音でなくてどうしようフリートークになってたと思うのやけど、なんかの拍子に突然スイッチが入って、無事ピアノは音が出るようになった! よかった〜。せやけど、原因はなにやったのやろうね? 弾き語りで数曲歌ってから、途中で幕が開いて再びバンドメンバ―が登場し、バンドではじめてやる曲「いただきます」を演奏。これが! これぞ! わたしのやりたいバンドの音や〜という、まあ一説によるとアングラならしいアレンジなのやけど、お聞きくださった方、どうやったでしょうか? 榎本さんの、赤ちゃん教育用の音が出る絵本を改造して作った動物の鳴き声最高やったでしょう! それから「朝も昼も夜も」はバンドで歌うとやはり燃える。最後「マイハッピーお葬式」は再びバット振って暴れてたら、なんと、すごいダサい恰好でお立ち台から派手に転落するというアクシデント発生。後ろで見てたら、「あれっ北村さんがいなくなった!」と思ったという声をいくつか聞きましたが、本当にそんな感じで転落しました。演出かと思った、なんて声も聴きましたが、あれは完全にどんくさくて落ちただけの事故です。あ〜恥ずかしい。しかし、ピアノの音でなくなるし、転落するし、わかりやすく厄年一発目というのが反映されたライブやったのではないでしょうか! 見に来てくれた友人知人何名かに、「北村さんはアクシデントが起きた時の方がおもしろさを発揮するね、今日もピアノの音でなくなった途端にトークがノリノリになってたよ」とか言われて、確かにそうかも、と思った。あの事件起きるまで段取りは順調に進んでた時点ではMCなんにも面白いこと言えなくて、あああ〜って反省モードやったのです。そんなこんなの事故はあったけど、なんとか終了して、お次は知久さん。知久さんのライブは、ものすごく真摯で音楽的で素晴らしかった。知久さんは声や容姿が独特なので、一見一聴するにはヘンテコ感にもっていかれがちやけど、曲自体はすごく練りに練られてそして天才的にぶっとんだコード進行やメロディやったり、はたまたシンプルに胸にきゅんとくる歌やったり、これが本物か―とすごく勉強になった! 楽しくライブは終わり、お客さんやメンバー、それから来ないと言ってたのに実は途中から見ていたらしいN村Pとちょっとおしゃべりして、知久さんと記念撮影などし、明日は普通に平日で、我らが大バンドメンバーはわたし以外みんなしっかり仕事もしてらっしゃる方ばかりで明日も朝から仕事なので、打ち上げとかは特になく解散。わたしはちょっとそのまま帰れる気がしなくて思い余って一人中央線を逆に乗り、某駅で某氏を待ち、ちょっとだけおしゃべりして泣く泣く終電で帰った。

1.10火
急遽映画に出演させていただくことになり、その台本とにらめっこ。お芝居1年生のわたしは、セリフってどうやって覚えたらいいのか毎回わからない。去年の「女中たち」で鬼のように莫大なセリフを奇跡的に覚えたのやけど、果たしてどうやって覚えたのかを思い出せず、なんも身についておらない! がーん。

1.11水
朝から普通に労働。夜はワッツタワーズのライブを見に渋谷のO-westに行った。わたし大きいアゲアゲなライブ会場は正直苦手で、普段はこういうお祭りめいたライブに足が向くことはないのやけど、ワッツタワーズは1年に一回しか見れないししかも初体験で、結果的にとても楽しかった。ヒゲミボのみなさんや、よるひる店主K田さんや、漫画家S助さん、Z子さん、一昨日お世話になったSさんにも会ったし、O谷Y生さんにも会った。そしてR子さんのお顔も見れてうれしかった。こんな大きな規模なのに、投げ銭というシステムなのも、客席に集う人々も、全部岸野さんの人間力の賜物でらっしゃるのやろなあと思った。岸野さん54歳おめでとうございました!

1.12木
お昼に監督K蔵さんからお電話があり、今日はわたしは当初出番がなかったのやけど、急遽出番が出来たらしく、来れますか?とのことで、書きたての今日撮影分の台本が届く。意外と結構セリフが多い。しかも、もう撮影は2時間後! 撮影場所はゴールデン街なので、移動中になんとか頑張って覚えようとしたけど結局ちゃんと覚えられないまま到着。ゴールデン街のバーD、ここはI川Y也さんのお店で、去年の家事で全焼してしまったお店。でも、すっかり新しく建て直されていた。Y也さんも本人役で出演されるので、久しぶりにお会いしてちょっとおしゃべりしつつ、続々とK蔵さんや役者のK子さんやスタッフさんが集まりだして、でもいかんせんゴールデン街なので狭くて殆ど外に待機な感じ。K子さんは、ネタバレになるから書けませんがまたしても(?)すごい面白い恰好になっていて、見るだけで笑っちゃう。わたしも衣装を受け取って着替え、K子さんとセリフ合わせなどしたいけど、カメラや照明のセットなどでそんな場合でもなく、どたばたと段取りなどを教わって、すぐ本番。映画って、めちゃんこ瞬発力勝負なのやなあとしみじみ実感した。そして、わたしはのろまなのですぐに言われたことを出来なくてしどろもどろになってしまったり、セリフも止まるし、正直お芝居どころではない感じで大変反省した。しかしK子さんはこの数時間でセリフも入れて流れもちゃんと作ってくれて演技もちゃんと繰り出しておられ、さすがプロや……! と思った。わたしのシーンは先に終わったのでお先にお暇。また週末にも撮影があるので、もうちょっとちゃんとお芝居できるように頑張りたいど! でもまだ台本が完成していないので冷や冷や。

1.13金
普通に朝から労働。終わって夜はI田さんちへ、春のツアーの相談をしに、という名目で結局は普通にI田さんと会いたかっただけという、わたし友達は本当にI田さんしかいない! I田さんが北千住のデパ地下で買ってきてくれたケミカルでしょっぱくておいしい漬物などをつつきながらおしゃべり。ものすごくあられもない話で盛り上がって楽しかった。I田さんにしかできない話をいっぱいできたので満たされた。わたしは今年のI田さんの目標を、I田さんはわたしの今年の目標を、お互い考えあった。どっちもしょうもないといえばしょうもないし笑っちゃうような目標やけど当人にはめっちゃ切実な目標、ですがI田さん以外には知られたくない内容なのでこんなところには書きません。その他のおしゃべりも毎度ながら一切こんなところには書けません。

1.14土
家で文章の宿題デー、のはずが邪念が多くてあんまり進まず。片いっぽの方の連載の原稿の半分ぐらいしか書けず。それから映画のセリフ覚え。明日は撮影! しかし家が寒すぎる。西の方は雪らしい。東京も雪降ってたところでは降ってたみたい。わたしは家でじっとしてたので知らないけど、しかし我が家は屋根こそあるもののは室温は外と変わらない、というかもしかしたら日中は外より寒い可能性大。一日中石油ストーブの前に張り付いて、下半身はこたつに入れっぱなしやった。それでも寒い。

1.15日
朝、家を出る前にセリフの確認をしようと台本を開いたら、メモしてたはずの文字が殆ど消えていた! えっなんで!? わたし、フリクションという消えるボールペンを愛用しているのですが、どうやら熱で勝手に消えるらしく、石油ストーブの熱に消されてしまった! ガッデーム! そんなこんな状態で家を出て、朝から撮影へ。世田谷にある監督の神蔵美子さんのお宅にお邪魔する。神蔵さんちは最強かわいくってかっこいい夢の御殿やった! あまりにも憧れが詰まった家過ぎたので、「こんなおうちに暮らしたい〜」と思わず声が漏れてくつろいでたら、CMか! と言われた。神蔵さんがご用意くださった衣装に着替えて(このお洋服も全部素敵で普段は手を通せることのない上等のものばかり)、共演の金子清文さん、小林麻子さんとセリフ合わせをしていたら、神蔵さんの旦那様でもある末井昭さんがお手製の小道具を持っていらっしゃったりして、そしておふたりの愛猫ちゃんたちが代わる代わる姿を見せてくれたりして、神蔵さんがおいしいお茶を淹れてくれたりして、撮影スタート。演劇と違って、何度もお稽古しながら作るわけではないからドキドキやったけど、金子さんも麻子さんもわたしなんかとは違うお上手なプロだし、しかも思えばわたしが人生ではじめての演劇でご一緒させていただいたお二人やったから人見知りすることなくお芝居できて、おうちも素晴らしく居心地がよいので今日は終始楽しかった。おひるごはんは末井さんが買ってきてくださった上等のサンドイッチをみんなで食べて、みかんも食べて、おやつも食べて、お紅茶も飲んで、コーヒーも飲んで、至れり尽くせり。後半も楽しく撮影し、アフレコの音録りもして無事終了。終わった後はしばし団欒タイム。スタッフさんたちみんなとも色々おはなしが弾んで楽しかった。普段は山岳カメラマンをしてらっしゃるという、撮影の飯坂大さんのおはなしがたいへん興味深く、飯坂さんはヒマラヤの秘境と呼ばれる地域に入って、そこに暮らす人々と暮らしを撮影しておられ、見せていただいた写真に写る現地のおじいさんおばあさんや子供たちの顔が衝撃的やった。わたしは日本を一歩も出たことがない人間で、外国に何の関心もなくて、なんなら外国人苦手なのやけど、なんか、あちらのおじいさんの顔に擦りこまれている皺の感じや泥の感じは西成のおっさんたちに近い感じがして、すごく興味が湧いた。信じられないぐらい夜空にぎっしり星が埋まっている星空や、その下に煌々と灯る三角テントの美しさ、怪物みたいな造形の動物(ヤクという動物らしい、はじめて見た)も、わたし、基本ネイチャーな文化って全然無関心なことが多いのやけど、俄然興味がむくむくになった。しかし意外とわたし以外の皆さんは、神蔵さんも金子さんも登山お好きならしく、金子さんに至っては来世は冒険家になりたいらしいし、麻子さんも月末からインドにヨガの修行をしにいくらしく、みなさん活動的ですごいなあ。ということでそんな色んな分野の面白い方々のチームに混ぜていただき、写真家の神蔵美子さん初監督映画『雪子の部屋』に参加させていただきました。もともとわたし、神蔵さんの写真の、そして文章のファンやったので、こうやっておうちにお邪魔させていただいて映画に参加させていただけるなんて超感激でした。神蔵さんのご本『たまきはる』本当に素晴らしいから未見の方はいますぐアマゾンでぽちるように!

たまきはる

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