2.6〜12日記

2.6月
朝帰りしたので一日ぼんやり呆けていた。夕方変な電話がかってくる。登録してない知らん番号やったけど、1年半ぐらい前に一度アイホンの電話帳が突然消えてすべての連絡先を消失した事件があったので、登録されてないけど知り合い率が高いのでそれかなっと思って電話をとってしまった、ら、結論からいうとただのセールスであった。しかもジュエリーの。なんかアクセサリーの展示会が横浜であるという案内を説明してきて、わたしも暇やったので話を聞いてあげてしまって、しかし、この電話をかけてきてる男がすごいおもんないやつで、おもんないにも関わらず何故かそいつは自分のべしゃりに自信があるようで、要所要所で「ね、おもしろいでしょ?」と問いかけてくるのである。わたしは嘘がつけない人間なので、そう問われる度に「……」と沈黙し、おもろくないぞ、という空気を出しているにもかかわらず。展示会にきたらもれなく幸運を招く石が入ったブレスレットをプレゼントしてくれるらしい。心の底からいらん。「おねえさん、彼氏はいます?」と聞かれ、間に合ってますと答えると「あら〜僕募集だったんですけどねウフフ。あ、僕おもしろいでしょ?」いや、全然おもんないわ! と終始そういうサムいノリなのである。そして「おねえさんはきっと将来エンゲージリングをプレゼントされることがあるでしょう、それが本物か偽物か、だったら、本物がいいでしょう?その本物を見抜く方法を、展示会に来たら教えてあげます!」いや、教えてくれなくていいです!全く興味がないです!というか、もしも愛する人からプレゼントされたエンゲージリングが偽物やとわかって、だとしたらどうやねん!偽物なので受け取れません、とかゆうんか?愛する人がプレゼントしてくれたものやったら、針金でもうれしいわ!折り紙で作ったもんでもうれしいわ! ってわたしは思うのやけど、世間一般はそうではないのか? 世間一般はエンゲージリングが偽物とわかった時点で別れるの? えっわたしの常識がずれてるのか? ということはこいつのべしゃりはおもろいのか? 一応こなれた巧みな話術で喋ってる風情は出している、まあ実際こういう電話を毎日かけまくってるのが仕事なのでしょうから、実際慣れているのでしょう、しかし、1ミリもおもしろくない! それが衝撃です! でも、もしかしたらこんなもんなのかもしれんね、おもんない癖に自分はおもろいと思ってる人間が圧倒的多数の世の中なのでしょう。そう思うと絶望的になるけど、でもわたしの近しい周囲にはこの手のおもんない人間はいないからよしとしよう。いや、おるか、おるにはおるなあ。でもその手の人間には絶対お近づきにならないよう努めている。これからもそうしようと改めて思った。通話時間8分59秒。わたしの人生の無駄にした時間が8分59秒加算された。しかしジュエリーとか、幸運を招くとか、つくづく興味が湧かない。1ミリも価値が見い出せない。

2.7火
昼間は家でだらだらして、夕方から渋谷。ちょっとうろうろして夜はアップリンクへ、出演させていただいた神蔵美子監督の映画『雪子の部屋』の試写会?というか発表会?のような会に伺う。自分が演技しているさまを大画面で見るのは、醜形恐怖症の人間にとっては結構拷問で、うえーん自分きもいよ〜と終始そんな気持ちやったけど、映画自体は不思議な面白い作品になっていた。台本も、自分の出演シーンだけしか知らなかったので、最後がどんな結末かもわからず見ていたのやけど、まさかの終わり方で、キュートでファニーな仕上がりになっていた。主演の金子清文さんがとっても色っぽく、小林麻子さんもとっても美しくって、ああ、役者さんってやっぱり違うなあと思った。神蔵さんは写真家さんとしてすでにばっちりキャリアあられる方なので関わっていらっしゃる方がわたし以外全部豪華で、その面々が客席にたくさんいて、お隣は元BURST編集長ピスケンさん、後ろは末井昭さん、前には南伸坊さん南文子さん、と、きゃあ〜って感じやった。試写会は何本も連続で上映される感じで、わたしは隣のピスケンさんが立ち上がったのでみんな神蔵さんのだけで帰る感じかと思っていて、一緒に外に出てしまったら、金子さんたちやほかのみんなは最後まで見ておられるみたいで、でももう一回中に入る勇気もなく、なんとなく流れて駅までピスケンさんと兵庫さんと末井さんとご一緒に帰った。

2.8水
お昼に飯田さんが我が家にやってきて、一緒に飛行機とバスのチケットをネット予約。そう、春に我ら、共著の小説『裸の村』刊行記念して、かつてない大ツアーに出ますのです。沖縄〜大阪〜広島〜大阪。10日間7公演、結構なロングツアー!(当者比)初の沖縄! 飛行機を色々調べてたら、すごい安いのがあって、東京〜沖縄間が3300円ってのが一瞬出てきて、おおって思ってしかしなんか、わくわくプランとかゆうふざけた名前で内容がよくわからんかったから飯田さんが電話して問い合わせたりしてくれたら、次の瞬間にはそのチケットはネットのページ上から消失し、一気に料金が倍に跳ね上がっていた。ファック。でもまあ、7000円でも十分安いかあと思い直して予約。それから帰りの沖縄〜大阪分も予約し、大阪〜広島のバスチケットも予約し、調べたり予約情報入力したりしてたらなんやかんやでふたりとも結構疲れる。旅行が趣味の人って、こういう行程も楽しんでやってらっしゃるのであろうか。尊敬。なんとか終わって、それからふたりで高円寺へ、円盤のT口さんのもとへ、小説『裸の村』のゲラを戻しに行く。時間かかったけど、その分相当凝りに凝った超特殊装丁の面白い本に仕上がりそうであーる。たのしみ。円盤を出て、飯田さんと高架下のねじりハチマキの可愛いおじいちゃんがやってる居酒屋へ入って軽く飲む。そういえば我ら、電車内からとある特定の人へ向かってとてもむかついていて、いや、むかつくとゆっても別に直接何をされたというわけでもないのやけど、なんか、こう、一応人前に出てパホーマンスをやっている人間として、舐めてる人間に出くわすとそれなりにファッキンな気持ちが膨らむのであーる。とはいえ、わたしたちはその方の舐めたやり方に怒りを覚えているのやけど、その方を支持していらっしゃる方も結構いらっしゃるのは事実なので、これはただの趣味の問題? なのかもしれない。しかしあんな無意味なものがウケる世の中なのかと思うと絶望的な気持ちにもなる。むかつくけど、こういうファックな気持ちは今度コントやラップに込めよう、ということで飯田さんはこれからザギンでお仕事なので、早めに帰路。

2.9木
朝から普通に労働。最近不眠症がほんとにひどくて夜全然寝れなくて、その分電車ではよく眠れておかげで朝から寝過ごす。目覚めたら終点代々木上原。乗り換え駅はとっくに過ぎている。とはいえいつも早めに家出てるので引き返しても遅刻はせず。その他は特筆すべきことはなし。

2.10金
朝から普通に労働。昨日タッグを組んでいた相手がインフルやったと発覚。焦る。わたしは持病が自己免疫疾患という種類のやつで、免疫抑制剤という薬を常に飲んでいるせいで、あらゆる病に超感染しやすいと言われている。本来あんまり菌が飛び交っている場所へは行ってはあかん、という説もあるのやけど、そんなことをゆっていては労働も出来ないし、労働出来なければ家賃も払えないし莫大な医療費も払えない。なので構わず菌の巣窟のような満員電車にも乗りまくるし、大都会で労働している。こうゆうのは気の持ちようやから、大丈夫大丈夫意外とうつらへんもんや、と普段は思ってるのやけどしかし、狭い空間で長時間タッグを組んでいた相手がインフルやったと聞けば、やはし焦る。帰って熱を計りまくる。3時間おきぐらいに計る。こうみえてとても気が小さい人間なのである。せやけど何回計ってもお熱は安定の35度台。あっ意外と大丈夫かも。

2.11土
しつこくお熱を計りまくる。なんかお熱計ることに夢中になってるだけのような気もしてくる。何回計っても安定の35度台。しかし念のため今日は堂々と引きこもりましょう。おうちで読書。

クラウドガール

クラウドガール

姉妹が自殺した小説家の母親の呪縛に煩悶しているお話やった。金原ひとみはいつも、現代っ子の、中でもチャラくてバカっぽい渋谷のクラブで遊んでセックスに明け暮れているような少女を題材に用いるけど彼女たちのほんまの闇をさらっと描いてわたしのような正反対のところにいる人間に超わかりやすく教えてくれるから新刊は毎回読んじゃう。今作も面白かったけどでも金原ひとみは『マザーズ』がいちばんすごかったなあ。
少年聖女

少年聖女

鹿島田真希は確か敬虔なクリスチャンで、それも高校生の時に自分の意志で入信したという筋金入りな感じなのをなんかのインタビューで読んだけど、これも信仰が絡む、とゆってもベースは恋愛というものが如何に醜悪なものかを結構古臭い書き口(←褒めている)で描いたお話、とわたしは思った。ショーパブで働く男装の少女と、彼女に惹かれていく蒲鉾工場員の男の恋愛なのやけど、わたしは男装の少女でもないし蒲鉾工場員でもないのにどっちの精神もめっちゃわかるわ〜って思って、恋愛ってとっても醜くてめんどくさくて困る、でも囚われてしまうね。これはまだ読み始めたばっかりやけど、わたしの好きな埼玉愛犬家殺人事件について、ボデーを透明にして殺された被害者のヤクザの親分が書いた本なのやけど、この著者がヤクザの親分な上に初っ端から「俺はチャクラが開いてるから人間の本質が見える」とか書いてて、何かとすぐ瞑想するし、今のところ事件本というよりただのオモシロ本。わたしは完全無宗教で全く神を信じたことがなくて、だからそういう信仰とかチャクラとか出てきたら、疑うか半笑いで楽しむ、みたいな歪んだ読み方をしてしまいます。

2.12日
いや〜眠れない。時間はあるのに眠れない。どうやったら安眠というのは訪れるの? 泥のように眠りたい。眠れないので最近すぐユーチューブみる癖がついてて、わたし野性爆弾のくーちゃんが好きなのやけど、くーちゃんはまじで天才と思ってて、作るコントもいかれてる面白さやし、美術も、手作りお面とか小道具のクオリティが半端やない、そしてめっちゃシンプルにおもろい名曲の歌もいっぱい作ってるし、ロケ番組がめちゃくちゃおもろい。トーク大喜利も全部おもろい。寝転んだままおなかちぎれるぐらい笑ってくしゃみしたら、またしても肋骨がバキっときて、あっもしかしてこれ、また肋骨捻挫? うそでしょ〜。寝転んだらどの態勢も痛いから余計に眠れなくなってしまった。あほすぎる。今日は昼からI田さんが来て、月末にI田さんが出るお仕事の相方として呼んでもらえることになったのでその相談、という名目で普通に楽しく家で飲んだ。いや、ちゃんとお仕事の相談や打ち合わせもしました。夜には今年の頭に大バンドでやったライブの映像を3曲分、撮影&編集してくれたサカイさんがyoutubeにアップしてくださった。大バンドライブの映像がネットに乗るのは初ですので、ぜひ見ていただきたいです☆豪華に3カメで撮ってくださってたので美女揃いのメンバーたちの抜き映像もありますぜ。こちらから〜