1.16〜22日記

1.16月
昼にI田さんが我が家にやってきて、今週木曜のIKAZUGOKEライブの打ち合わせ&練習。その後、北千住に出て、I田さんのお友達のS木さんN田さんとも合流し、ラブホ寿司へ潜入取材。えっラブホ寿司ってなんのことですか? てなりますよね。これは廃業した元ラブホテルで営業しているお寿司屋さんのことです。ちょっぴりのネット情報を頼りにたどり着いたラブホ寿司、外観は完全にラブホのまんま。で、お寿司屋さんになってるのは一階のほんの奥の一角だけで、手前にぽっちゃりさんスナックが入ってて、上のフロアは全部キャバクラになってる、水商売系雑居ビルのような形。外観で期待感煽られてわくわく潜入しましたが、お寿司屋さん自体はほんとに、普通にそこそこ上等のおいしいお寿司屋さんて感じやって、拍子抜けな気持ちもありました、というのもわたしはそもそも別にお寿司が全然好きじゃない! 珍スポットめぐりのつもりの歪んだ興味だけで来てしまったのがそもそもの間違いでござった。かんぴょう巻きとイクラを食べた。どっちもおいしかった。この模様は来月発売の特選小説の連載コラムで書くので、詳しくはそちらを読んでね☆ ということで、ラブホ寿司を出て、北千住は飲み屋ラビリンス、2軒目に燻製居酒屋みたいなお店で飲んだ。N田さんは新婚さんなのやけど、旦那さんとのお悩みを聞いていたら結構変わってらっしゃる旦那さんすごく大変そうで、でも聞けば聞くほどその旦那さん、わたし自身と似ている気がしてきて、勝手に罪悪感にかられた。旦那さんは、大の偏食家でちょっと持病もあられるようで現在無職、基本ひとりで家で本読んだりしてじーっとしているらしく、これが決定打なのやけどまだ若いのに性欲がないらしい! わたしは一応無職ではない労働者ですがちんぴらのような暮らしやし、偏食で家でじーっとしてるし、性欲がない。「三十させ頃四十し頃、五十でゴザをむしります」というリリカルな言葉を西成の飲み屋で教えてもらったことがあるけど、わたし、させ頃のお年頃なはずやのにもう性欲がないんです。これ、まじなんです。でも恋愛はするんですけどね。セックスも出来ないわけではない(おまたの穴はあるから)けど、自分から、セックスしたーい! という欲求が湧かないのであります。これカマトトぶってるわけでなくってほんまの話。まあ、そんなわたしの話はおいといて、N田さんの旦那さんも性欲がないそうな。でも普通にN田さんは性欲あるから悩んでらっしゃって、これは切実なお話やなあと聞いてて思ったし、でも聞けば聞くほどわたしは旦那さん側な気もして困った。おっと、なんかしれっと自分の変な告白をしてしまった。恥。閉店までずっとそんな話で盛り上がった。

1.17火
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。夜は、町屋のI田さんが働いてるバーへ行った。明後日のライブ会場の下見も兼ねて。I田さんのバーではK林さんとR子さんもいてひさしぶりに一緒におしゃべりした。おふたりは懐かしのミュージカル瞳ちゃんの音楽班メンバー。K林さんは機材のことなども詳しいので、明後日の機材の相談なんかもできて助かった。明後日のライブ会場は普通のもんじゃ焼き屋さんで機材は全部自分たちで持ち込み、PAも自分たちでやらなきゃなのですが、わたしは歌はうたってるもののミュージシャンじゃないのでそういうこと全然疎くって、機材をつなぐケーブルの呼称も知らなかった! あれ、先っちょが色んな形のがあるのですが、わたしとI田さんの中では普通の形のケーブル、あれのことを長いちんこと呼んでいた。分かりやすいでしょ。でもあれ、シールドって呼ぶんだってね☆ ミキサーの、どのま〇こに刺せばいいのかとかもK林さんに教わったりして、その他も結構あられもない話で盛り上がった。K林さんが中年クライシスについて語り始めたので本日のトークテーマは中年クライシス。中年クライシスには要注意だぜって話の流れやったけど、残念ながらわたしは中年クライシスが好物。一般的には、ヤダーって思われがちな中年おっさんの葛藤みたいなのにキュンとしてしまう。これは性癖ですかね。お店閉めた後I田さんとU崎さんと駅まで帰ってる途中に、リヤカー引いたおじいさんとか、自転車の籠にゴミめっちゃ積んでるおじいさんとかとすれ違った。町屋、いいところやなあ。

1.18水
早朝から文章の宿題を1個書き終えて編集さんに送り、朝イチから病院へ。の後、御茶ノ水に出て、楽器屋さんに例の長いちんこを買いに行った。5mちんこを2本購入。それから本屋によって、『夫のちんぽが入らない』を買った。帰って、本読みたいの我慢して先にいったんラブホ寿司取材のコラム原稿を書いて、夜は『夫のちんぽが入らない』を読んだ。結婚して20年、旦那さんとセックスが出来たことがないという、現在は主婦で元々教師やった、こだまさんという方の実話で、一言でいうと旦那さんのおちんちんが大きすぎて身体的に入らないからセックスが出来ないらしく、そのせいで旦那さんは風俗に行く、それは行ってもらわないと困る、でもやっぱりつらい、やっぱり自分は欠陥人間なのだろうかと思ってほかの人とセックスしてみたら簡単に出来てしまって、こだまさんは一時期は声をかけられるがままにほかの男とセックスをしていて、でもやっぱり旦那さんのおちんちんだけ入らない、そんなしんどい日々を送りながら教師として働いていたら謎の奇病にかかり身体じゅうが痛くて関節が腫れて、結局仕事も出来なくなってしまって退職、病気療養しながら、セックスも出来ないけどでも子どもを作りたい気持ちもあって、でも持病で胎児に問題がある薬を飲んでいたから医者と相談して減薬したらやっぱり持病が悪化しちゃって、おまけに36歳で閉経してしまう。そんな色んな意味で産めない状況の中、理解のない母親はこだまさんに「向こうのご両親に謝りに行かないと」といい、ご両親の実家へ一緒に出向いて「うちの子が欠陥商品なばっかりにお宅の後継ぎを産んであげることが出来ず、貧乏くじを引かせてしまって本当に申し訳ございません」と、こだまさん本人の前で頭をさげるシーンはきつすぎて読んでて吐きそうになった。はっきり病名は書かれてないけど、こだまさんの持病は症状を読んでたら恐らくわたしの持病とおんなじで、わたしも数年間ずっと生理が止まってて閉経状態だった時期があって、今では奇跡的に復活してはいるけどこれがちゃんと排卵を伴う月経かどうかわかりませんと医者に言われてるし、子どもは別にいらんと思っているわたしですらこのおまたのデリケート問題はきつい、し、この持病のせいか飲んでいる薬のせいか、性欲が湧かない。というか、構造的にほぼ濡れない。だからセックスは、というか挿入は、ただただ痛い。こだまさんの旦那さんは巨根だそうなので、そんなもん入るわけがないと思う。そんなデリケートな性の色々を母親に言えるわけがない。ただでさえ無理解な母親に向かって。「夫のちんぽが入らない上に閉経していしまいました」と母親に心の中で言ってるシーンは読みながらぼろ泣きしてしまった。でも現在、旦那さんとは性交を伴わない安全で清潔な暮らしを送ってらっしゃるそうで、その現在がわたしにはなんだか希望の光に思えて、性交がなくとも、子どもがなくとも、結婚生活20年、ふたりで生きていらっしゃるっていいなあと思った。これは決して美談としてではなくて。タイトルの過激さで変な捉えられ方をされないで、しかるべきわたしのような読者に届いて欲しい。と、わたし誰様って感じやけどひさしぶりに読んでて熱くなった本。男子も女子もみんな読んで欲しい。

夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

1.19木
寝しなに『夫ちん』を読んでたから起きてもずっと引きずって、ぐるぐる考えてしまう。しかし今日はIKAZUGOKEギグ。本日のライブ会場は普通のもんじゃ屋さんでライブをやれるような機器がないので全部持ち込み。赤い電子ピアノと、昨日買った10m分の長いちんこ(シールド)やマイク、忘れ物ないようにトランクに詰めて、物販もひさしぶりにTシャツも持ったら結構な大荷物に。駅のホームで飯田さんと、本日スタッフで手伝ってくれるU崎さんと合流。U崎さんが電子ピアノ持ってくれたのでとても助かった。頼れる男手。大荷物の3人で会場入りして準備。2時間あれば大丈夫やろうと思ってたけど、やっぱり何もないところでセッティングからすべてやるとなると結構たいへんで、しかし機材トラブルはなく、どのちんこ(シールド)をどのま〇こ(ミキサーの穴)に刺せばいいかK林さんにも習ってたからスムーズに出来たし、エコーなどはU崎さんが操作してくれたので助かった。なんとか準備完了し、店主青山さんのご自宅部分の息子さんのお部屋で待機&お化粧&着替え。若い男子の部屋に潜入することなんか普段ないので、飯田さんとふたりでちょっと変な気になってはしゃぐ。今日のこの企画、本日1月19日は松任谷由実のお誕生日で、このもんじゃ屋さんはユーミンファンの集うお店でもあるらしく、毎年ユーミンのお誕生日に何かしらイベントをやってて、今年は我らがお邪魔することになり、そんなこんなで、わたしは最初魔女の宅急便のキキちゃんの恰好で『やさしさに包まれたなら』を飯田さんとデュエットしたり、コントの中でも『翳りゆく部屋』を弾き語りしたりしました。お客さんの雰囲気もいつもと違うくて、コント中にもお客さんが自由にこちらへ突っ込みをがしがし入れてくださるので、そのたびに頭真っ白になって焦った。けど、みんなすごい笑ってくれていてありがたかった。投げ銭もたくさん入れてくださって、そしてTシャツがすごく売れた! というこれも、店主の青山さんがすごくみんなに買って買ってとわたしたちの代わりにゆってくださったおかげ。青山さんの店主感が終始すごく素敵やった。繁盛店を切り盛りするやり手女主人やけど、可愛くて愛嬌抜群。人が集まってくる理由がめっちゃ分かった。終電で足立区に戻って、庄屋で改めて飯田さんとスタッフしてくれたU崎さんと3人で乾杯。閉店4時で追い出されて帰宅。身体的には結構よぼよぼやけど、充実した楽しい一日やった。

1.20金
朝帰りしたのでゆっくり寝ようと思ったけど意外と眠れない。でも寒いからずっと布団の中でごろごろしていた。昼から新宿に出て、紀伊国屋で『怪奇秘宝 戦慄編』を買って喫茶タイムスで読む。スーサイドララバイの廃病院潜入ルポ、ギンティさんも力夫さんも文章が面白すぎるから全然怖さが伝わらない! 喫茶店で声出してひとりで笑ってしまった。17時に労働先の同僚Aちゃんが来てしばしお茶しておしゃべり。その後、夜は労働先の新年会。特に盛り上がれる共通の話題もない職場なので、微妙な空気でひたすら出てくる食べ物を食べていたら(コース料理なので食べないと進まない)すごく満腹になってしんどくなってきて、わたしはお酒も飲めないし、基本飲み会が好きなわけでは決してない、わがままかもしれんけど話が合う好きな相手と2、3人で飲む以外は、飲むのも食事会も拷問に近いなあと思ってしまった。帰って深夜久しぶりにテレビっ子していたら、テレ東の深夜ドラマがアツかった! 『バイプレイヤーズ』は、遠藤憲一松重豊寺島進田口トモロヲ、いい面構えのおっさんたちがみんな本人役で出ている不思議なドラマで目の保養になった。ほんでその次の『山田孝之のカンヌ映画祭』、これまた松江監督と山下監督が狂ったシリーズをはじめていらっしゃる! テレビで首くくり𣑥象さんの首吊り芸を拝める日がくるなんて!! 

1.21土
家のこたつで『怪奇秘宝 戦慄編』を堪能。石川清さんの津山三十人殺し熱は今号もすごかった。岩井志麻子先生の定番のルルちゃん話も最高、相模原の障害者施設殺傷事件の読解もおもしろかったし、吉田悠軌さんの坂の少女ルポは怖かった、平山夢明先生インタビューはすごく真面目に日本の教育やシリアルキラーが生まれる過程を分析してらしてためになった! そしてスーサイドララバイのふたりのページはもう写真だけで笑ってしまうんやけど、やってることはめちゃくちゃ怖いことなはずやのにページ開くたびに笑ってしまう。映像化も楽しみであーる。

怪奇秘宝戦慄編 (洋泉社MOOK)

怪奇秘宝戦慄編 (洋泉社MOOK)

1.22日
朝、特選連載コラムの直しをやって編集O高さんに送信。引き続き家で怪奇秘宝を読んで、昼から自転車でI田さんちへ行く。今日は天気がよくてあったかくて自転車気持ちがいい。すっぴんでジャージで遊びに行ける友達んちっていいなあ。というか今週は1週間で4回もI田さんと会っている。公私ともに遊べる貴重な友達、であり相方。今日も、次回の母親教室の打ち合わせをして、その後はIKAZUGOKEの新曲ラップのダンスをふたりで考えて練習した。日曜日の昼下がり、家で踊って息切らしてる三十路の女ふたり、まさにIKAZUGOKEって感じ。それからプライベーツな相談をしたりして、金太(猫)と遊んだりして、気づけば今日も一瞬で7時間ぐらい経っていた。I田さんちの本棚にあった高村薫『冷血』を拝借して(I田さんのご両親の本だそう)きこきこ自転車こいで帰宅。