6.6〜12日記

6.6月
普通に労働。出勤早々、遠くからやや大きめの声で「北村さんっ!」 と呼ばれ、振り返ると「わ〜M井さん!」とわたしも興奮してやや大きめの声で反応。演出家M井さん&制作Sさんが偶然打ち合わせにいらしてて、ばったりお会いできてうれしかった。その他は特筆すべきことはなし。

6.7火
普通に労働。後、西早稲田。メルマガ編集してくださってるM井さんの紹介で、N宮A子さんとお会いする。N宮さんは生きずらさを提唱してらっしゃる朗読活動をしてらしゃる方ってイメージが強かったのやけど、お会いしておはなししてみると活動とは離れたところでの趣味の話が弾み過ぎて感動する。西成が好き、路地が好き、でわたしはそれぐらいまでしか現場に足を踏み入れたことはないけど、N宮さんはもっとディ―プスポットにたくさん足を運んでらしゃって、T川土手のすごい村の写真を見せてもらって大興奮。一般人が出入りしないフェンスに囲われた内側には、おっさんらが勝手に作ってる闇畑があったり、崩れそうな教会があったり、こんな光景が東にもあるんや〜とたいへん感動した。わたしは去年山谷に行ったけど正直綺麗すぎてがっかりしてて、でもほんとのドヤはこっちやったのか! それ以外にもN宮さんのスマホにはわたしにはお宝画像がたくさんで興奮しっぱなしやった(詳細はあんまり書けませんが)。色んな場所へ連れてってもらえることになった! うれしい! 今年の夏はたのしい夏になりそう☆

6.8水
朝から病院。またしても薬が増えるの巻。この2か月くらいで症状が超悪化したので薬が過去最大量になってて、このヤク漬け(合法)生活から抜け出せる日は果たして来るのか、このまま右肩上がりで増えてったら主食はお菓子の現在から主食は薬っていう暮らしがやってくる日もそう遠くない気がする。あーあって気持ちで帰宅して、家で宿題をやったり、『女中たち』の台本を覚えたりしていたら、どうにも臭い。家の中が臭い。この家にはわたししかいないはずやのに、ものすごい煮詰まったおっさんの加齢臭みたいなんがする。おっさんおるのか?! 江戸川乱歩的なホラーな想像をしてひとりびびりつつ、家に不審者が潜んでいないか確認。うん、どこにもおらん。押し入れにもお風呂にもトイレにもベッドの下にも。となると、我が家は1階なのやけど、もしかしたらすぐ側で浮浪者のおっさんが寝てるとか! 家を出て大家さんのガレージの方とか、周囲を点検。うん、どこにもおらん。えーじゃあこの臭いはなんやねん! こわー! 怪奇現象〜。ま、明日になったら消えてるかな、と未来に一縷の望みをかけて今日のところは捜査中止。

6.9木
起きてもやっぱりまだ臭い。そして更にホラーなことに、顔と首にめっちゃぶつぶつが出来ている。きもい。ここでわたしはハッと気がついた。昨日から新たに薬が増えたのである。ぶつぶつはたぶん薬の副作用。えーこれ、薬やめた方がいいってこと? でも薬一回で9粒とか飲んでるから原因がどの薬なのかがわからない。病院に電話して問い合わせてみたら、やはり副作用らしいけど、勝手に断薬してしまうのはあかんらしい、ぶつぶつぐらいやったら我慢して様子みてくれとのこと。がーん。ついでに、あの、すごくずっと臭いんですってむねも訴えてみたところ、これもやはり副作用やと発覚。薬で嗅覚の変なスイッチが入ってしまってる状態らしい。嗅覚とか味覚とかが変わっちゃう人、結構いるらしい。ということで、不審なおっさんが家に潜んでる説や浮浪者が側で寝てる説、そういう疑惑は消えたのですが、これは薬のお世話になってる以上はこの臭いはとれないってことでもあって、うそやん、ほなわたしはずっと鼻の穴に二体の浮浪者のおっさん飼ってるような状態でこれから生きて行かないかんわけー!? でもまあ、わたしはどちらかというと臭いものが好きなタチなので、ずっと西成におるぐらいの気持ちでおれば、別に全然不快でもないというか、寧ろちょっとおもろいかも。臭いから食欲が失せるとかそんな心配も今のところなし。しかし昨日今日と臭いに纏わることを考えていて、臭いってたぶんある程度精神的なもんな気がするのです。わたしがこんな西成臭が剥がれないようになってしまったのも、先月の西成ドヤ暮らしがたのしすぎて、心のどこかでずっと西成が恋しくて、だからせめて嗅覚だけでもっと、脳がそういう信号を送るようになってしまったんではないかと思うのです。もちろん薬のせいで変なスイッチが入ってるんやけど、臭いの種類はわたし自身の脳が決めてる気がする。まあ医学的根拠はなんにもありませんけどね! ということで臭い問題は解決◎ だがしかし、ぶつぶつは困った! これは女子的にガッデムすぎる。正直、誰にも会いたくない。お外出たくないって気持ちになってしまう。まーでも元の顔面も元の顔面やから、そんな美醜問題を今更落ち込んでもって話やけど、それでも落ち込む。でも引きこもってもいられず、夕方から池ノ上の稽古場で『女中たち』のお稽古。今日はスワニー俳優でもある漫画家K井K夫さんが見学にきてらしゃってキンチョ―。差入れにビスコ持って来てくれた。K夫さんやさしー。今日は二場と三場を中心に動きながらやった。セリフもまだまだやけど、ちょっと流れがわかってきたらお芝居するのもたのしくなってきた。でもそのためにはセリフばっちしにならないとたのしくなれないからがんばらないといけません。次回からは振付の先生がくるそうです。

6.10金
明日の大バンドライブの曲順を決めてみんなに連絡したり、色々細々と連絡&報告業務を朝からして、実は件のH澤氏がこの1か月また業務連絡を無視するようになっていて、何回も連絡してるのに返事無し。電話もつながらない。その件でまた各方面に「H澤さん知りませんかね〜?」と探偵業務に時間を費やしていて苛々。埒があかんので読書タイム。町田康が文藝で連載していた『ギケイキ』がちょっと前に単行本ででてて、積読机に乗ってたんやけど読み始めたらめっちゃんこおもしろくて色んなやるべきことを全部放置して一気読みした。これは町田康版の義経記で、わたし義経のことも全然しらんし、ていうか日本史自体超無知やから登場人物もわけわかめやねんけど、関係なく超おもしろかった。

ギケイキ:千年の流転

ギケイキ:千年の流転

いいお天気で朝干した洗濯もんもぱりぱりに乾いてとりこんで、明日のライブのピアノの練習したり踊りの練習したり。夕方百均に小道具バット買いに行った以外は引きこもって過ごした日。H澤氏から返信あり。「メール見落としてました」と言われたのやけど、しつこく何回も何件も送ってるメール全部見落としてるとか、一体どこに目ついてるんですかね! そして自分の業務をほり投げて、今後はM屋さんに(H澤氏の上にいる社長)聞いてくれと言われる。えーそれは要するにつまるところ仕事放棄ってことですよね! もー最後の最後までうんこやわ。最後ぐらいちゃんと綺麗にお別れしたかったのに。そう、北村さんはH澤さんのなりすレコードと先月でお別れすることになってるのですが、その引き継ぎもずっとうやむやで放置されたままになっていて、それでわたしがまた久しぶりに切れてるのでありますよ。ファック!

6.11土
大バンドライブの日。トランクに物販&バットを刺して、いざ赤坂。赤坂に降り立つの超ひさしぶり。ライブするなんてはじめて。地図みながらふらふら歩いてたらなんか見たことある道で、去年のミュージカル瞳ちゃんの稽古場として貸してもらっていたショーパブのわりと近所やった。なつかしい。3時入りで入念にリハ。今回無理ゆって90分もリハ時間もらっていたのです。ソロのときはわたし、リハってすぐ切り上げがちというか、時間押してたりするともう5分ぐらいで、だいじょぶっす! とかゆってしまいがちなんやけど、バンドの場合はそんなわけにいかないし、焦るとほんと、すごい歌いにくい音環境になってしまって音痴の極みになって痛い目をみるので、ワンマンとかツーマンの日は可能な限りしっかり当日リハしたいのである。今回は主催のM屋さんが本当にすごく色んな意味で好条件で無理を多々聞いてくださってて、おかげで入念に通しに近いリハも出来て感謝。お客さんがくるのかどうかだけが気がかりやったけど、なんやかやで結構ぎっしり来てくださってて、もちろんミラーボールズの4年ぶりのライブということでみんなかけつけてらしたのやろうけど、我らのライブもしっかり聴いてくださっててうれしかった。ミラーボールズさんとは5年ぐらい前にご一緒したことがあって、確かそのときにはMCで電撃結婚発表してらしゃって、その後お子さんも二人生まれて今は2児をお育てになっているらしい。だけど北脇さんの歌は5年前と変わらずキレッキレで、女性シンガーって子ども産むと途端に母性が爆発して、大らかに大地とか太陽とかそんなことばっかり歌い出しちゃうイメージあったのやけど、ミラーボールズは全くそんな感じなくってかっこよかった。でもMCでは子育ての様子なんかも包み隠さずおはなししてらして、自然体ですてきやな〜と思った。我らのライブは、演奏的にはちょっと反省点もあるけど、でも終始たのしく歌えました。バット振り回してすっきり&、途中「からすの蒲団」の長い間奏では首吊り死体の物真似を披露してみましたのは、唐組の『秘密の花園』でのトイレ首吊りのしかけがあまりに秀逸で本当に首を吊ってるようにしか見えなかったことに感銘をうけたのと、数日前に某所で美しい死体写真を見て触発されたせいです。そんなことはさておき、最後のバンド形態での「朝も昼も夜も」はなかなか感動的な演奏やったのではないかと自画自賛。歌っていても興奮しました。見に来てくださってたC子せんせいが物販の呼び込みを手伝ってくれたのもあり、コントDVDは売切れ、Tシャツやトートバックも買って下さる方いて、感激やった。みなさまありがとうございました。大バンドは次回は11月ぐらいにまたライブ出来そうです。だいぶ先ですが、またよろしくお願いいたしますね☆

6.12日
家にいたら誘惑が多くて宿題をしないので、パソコンと女中たち台本をリュックへ入れてファミレスジプシー。しかし一緒にリュックに入れてきたウェルベック服従』を読み始めたらおもしろくって、結局宿題が進んでない。夜はまたしても唐組『秘密の花園』を見に行く。今回4回目である。完全に頭がおかしくなっている! だってお芝居って終わっちゃうんである。もう今日の東京公演千秋楽を最後に、わたしはこの『秘密の花園』の中に息づく人々には一生お目にかかれなくなっちゃうのやよ。愛おしい大貫に会えなくなっちゃうの、さみしー。って所詮は芝居なのにこんなに入れあげてるわたし、どうかしてますね! そうです、でも完全にどうかしてしまってるのです! 今日も紅テントの中の熱気はすごかった。立ち見までぎっしりいた模様。300人ぐらいいたんちゃうかな〜もっとかな〜。そしてなんと最後には唐十郎御大が、久保井さんにお手手を引かれて登場し、ご挨拶してらした! 最後のカーテンコールのあとも、久保井さんのお手手をしっかり握って去って行かれる唐さん、なんか男と男の歴史とか計り知れない壮大なドラマとかを想像して、感極まって泣いてしまった。もちろんその前のお芝居本編で超感動して涙ちゃんがスタンバイ状態になってしまっていたせいやけど。ああ、美しい絵やった。胸がいっぱいになったので、今日はテント飲みにはお邪魔せずまっすぐ帰宅しました。