12.24〜30日記

12.24月
6時起床で点滴。朝ごはんはシャケ、キャベツのおかか和え、みそ汁。シャケがあったので今日はあたり。午前中、大好きな金田アツ子さんがお見舞いにきてくれた!コーヒーとパンの差し入れ。うれしい。アツ子さん、大阪のM田さんへのオーダーメイド絵を持ってきてくれてご対面。もう何度も描いてもらってるけど、アツ子さんに描いてもらった絵を見るといつも背筋が伸びる。絵の中のわたしはとても厳かで凛としているから。今回の絵の中のわたしは、少女からちょっと大人になったような気がした。絵の後ろに題字を書かせていただく。これでこの絵はM田さんのもとへお嫁にいく。不思議な感覚。オーダーしてくださったM田さん、描いてくださったアツ子さん、本当にありがとうございます。アツ子さんと小一時間おしゃべりして元気が出た。お昼ごはんはチンジャオロースもどきと春雨サラダ。コメントはなし。そうこうしてたら宅急便が。大阪のM田さんから本やふりかけが届く。ありがたい。アツ子さんに引き続き、クリスマスプレゼントが届いた気持ち。うれしい。入院中だけどサンタがきた。内田春菊『ダンシング・マザー』読了。

ダンシング・マザー

ダンシング・マザー

内容はおもしろいんだけどなんか絶妙に読みにくい文章だった。中身も、帯が煽りすぎていて、読んでみるとそこまで刺激的じゃなくってちょっと残念。まあ、そうゆう本もある。M田さんが送ってくれた梯久美子『狂うひとー「死の棘」の妻・島尾ミホ』を読み始める。なかなかハードで分厚くて読みがいがある。夕方、シャワーの予約をとっていたのでシャワーに入る。病院にいるとシャワー3日に1回ペースだけど、別に不快感もないし、普段毎日入ってるのってもしかしてシャワー入りすぎなのかな?と、こうやってどんどんズボラになっていき小汚いババアに成り下がっていくので、やっぱりほんとは毎日入るべき。晩ごはんは、五目ずし、煮物、すまし汁。見事にクリスマス感のない献立。五目ずし、酢飯の味がうっすいうっすいだったのてふりかけをかけたら謎の味になった。食べたらもうやることがなくなって、まただらだら本読んだりして時間を潰す。あー毎日暇で滅入る。はやくシャバに戻りたい。隣のベッドのばあさまが小声でお経を唱え出してびびる。クリスマスだから?

12.25火
6時起床で点滴。今日は朝食はボイコットして、コーヒーいれて昨日アツ子さんがもってきてくれたパンを食べた。朝から隣のベッドのばあさまは今日もお経を唱えている。信心深いお方だこと。おひるの点滴を終えると、準備してシャバへ。今日は映画の本読み&リハがあるのであーる。田端駅まで歩いて山手線、池袋から西武線に乗り換えて大泉学園で下車。ちょっと早くについたので駅前の喫茶アンとゆうところでひとりごはん。ナポリタンとコーヒー。うまい。ずっと病院で喫茶店に飢えていたのでたいへん満たされた。やっぱ自分でいれるコーヒーはおいしくなくて、たとえどんなコーヒーでも喫茶店で飲むのがいちばんおいしいね。2時間くらい読書しながら喫茶店を満喫した。それから15分くらい歩いて、某TE撮影所へ。大泉学園の駅からすでに映画の人物オブジェとかいっぱい並んでいたし、この街全体がもう映画タウンって感じ。近くのショッピングモールのドトールでマネージャーMッキーと待ち合わせして、いざ撮影所。衣装室に入るところにすごく綺麗なテレビで見たことある女優さんがいて興奮した。衣装室で着替えて、スタジオの方へ移動。監督も役者さんもみんな早々といらしておられたのだけど、某先生がこれまた大遅刻で40分くらい待った。前回は1時間以上待ったからそれよりましだけど、偉い人とゆうのはいつ何時でも罪悪感なく優雅に遅刻されるものなのだなあ〜。全員揃ってリハがスタート。わたし以外、映画やテレビでよく拝見しているプロなお方だから、リハから迫力がすごかった。出だしからH岩さんの話し方が凄まじく、本物や〜って感じで慄く。M澤さんと合間に喋っていて、もうはじめてだらけで緊張っすーと弱音を吐いていたら、役者は居るだけで大丈夫だから、と言っていただき救われた。そんなM澤さんは普段めちゃくちゃ腰低くて頼りない感じなんだけど、芝居に入ると人格が変わり、これまた本物感に震える。緊張だったけど、衣装をきて小道具などを使いながら動くと結構たのしかった。わたしは演劇経験も少ないし、映画なんてほぼはじめてだけど、みんなでシーンを盛り上げたり盛り下げたり、そうやって空気を共有して作っていくのって、とってもたのしい。これは病みつきになるわ〜って感じ。2時間半くらいやって終了。終わったあと、クリスマスとゆうことでなんとケーキやパンやお寿司が!お菓子は好きだけど意外と甘党じゃないわたしは実はそんなに生クリーム系ケーキが得意じゃないので、しょっぱいパンを食べた。衣装室でH岩さんと一緒になって、池袋まで一緒に帰った。お芝居では怖いけど普段はとってもやさしくて可愛いおねえさんで、なんと地元がお互い大阪の北摂地区と発覚し、ローカルトークが弾んだりして楽しかった。病院の門限には間に合わないので今日も自宅へ帰宅。部屋が汚くてこんな状態で年越すとか嫌すぎる。けど、どうしようもない。冷蔵庫の掃除だけして、流しのカビ取りだけしてゴミをまとめて寝た。久しぶりの我が家、病院じゃ全然眠れないけど、自宅のマイ布団だとすーっと寝れた。

12.26水
4時起き。部屋が寒すぎて泣く。病院はあったかいとゆう意味では過ごしやすいなあと思う。着替えてゴミを出して始発で病院へ。千駄木駅から歩いていたら寒すぎて鼻水が垂れまくって涙も出てきて顔ぐちゃぐちゃになった。気温2度。そらさぶいわ。病院の裏口から朝帰り。なんかへんな気持ち。暗いベッドに帰ってパジャマに着替えて点滴。眠いから寝ようと思ったら向かいのベッドのおばあさんに、旦那さんが遊びに来ていてしかも大声でちょっと喧嘩してて、早朝6時からにぎやかすぎて寝れない。おばあさん声可愛いから最初好印象やったのやが、最近独り言怖いし、旦那さんうるさいし、若干鬱陶しいのが正直なところ。結局眠れないまま一日をすごすことに。朝食は、卵とじ、キャベツのおかか和え、みそ汁。コメントなし。午前中、パソコン開いて某書評のお仕事の原稿を書く。なんとかひと段落したので編集さんに送った。が、返事がくるまでこわい。昼食はからあげだった!が、世の中にこんなしょぼいからあげってあるの?ってくらいしょぼくて泣けた。昼の点滴のあとはこまどりに本を返しに行ってまた借りた。今日は文京区図書館からの出張本棚があったので、ついている。といってもそんなにいいセレクションではなかったが、沼田真佑『影裏』多和田葉子『雪の練習生』を借りた。午後からコーヒー飲みながら読書。してるのだが、なんか病院きてこのかた、何故だか読書に集中出来ず、目がつるつるすべって内容に入り込めない病になってしまっている。文字は追ってるのな追ってるだけな感じ。困った。今まで読書ってどうやってたんだっけ。晩ごはんはおでんだったけどこれまた味が激薄で、からし全然好きじゃないのにからしでもつけないと食べられへん気がしたのでからしつけるもよけいまずくなって泣いた。途中でやめてじゃがりこを食べた。夜、運動不足を危惧して、階段で9階から売店ある3階まで降りて、また3階から病室の9階まであがるとゆう謎の運動をした。意外と登れるもんだね。こうベッドに軟禁生活していると、時々走り回りたい衝動に駆られる。久しぶりにテレビをつけ、「家、ついて行ってイイですか?スペシャル」をみながら寝落ち。目覚めたらテレビカードの度数が3になっていてガーン。

12.27木
6時起きで点滴&血液検査。今日も足から採血したのだけど、看護婦さん超うまくて全然痛くなかった。やる人によってこんなに違うもの?朝食はウインナー、野菜のソテー、みそ汁。9時から先生の回診。検査結果も良好とのこと。ホッ。午前中、僕のマリさんがお見舞いにきてくれた。お花を持って!うれしい。可愛いチューリップ。ベッドの上、視界の中に花があると気分があがる。マリさんと小一時間おしゃべり。みんな忙しい師走に、こうやってわたしごときに時間割いて会いに来てくださる方がいるって、幸せなことだなあとしみじみ思う。そうこうしてたら京都の花房観音さんから小包が届く。ご本とお菓子。うれしい。病室にこんなに宅急便くるの、わたしぐらいちゃうかな?みなさんの愛に生かされている。お昼ごはんはビーフシチュー、ビネガーサラダ、パン。木曜のおひるだけパンが出るので楽しみ。食べていたらナックルズH川さんから電話。ゲラが届いて送り返す。ネット環境の脆弱な病室でなんとか一仕事できてひと安心。末井昭さん神蔵美子さん夫妻から、末井さんのご著書『自殺会議』が届いて早速読む。

自殺会議

自殺会議

坂口恭平さんの見方が変わった。日本一自殺の多い村、少ない村のリポートが興味深かった。今度の映画をやる上で節々勉強になるなあと思いながら読了。夜、書評仕事の編集さんからお返事がきたのでちょっと直して返信。よかった、全部やり直しかもとびびっていたけど、概ねそのままで通った模様。ホッ。これで年内に絶対やるべき仕事は一応終了。仕事納めってほど働いてないけれど、病床で一応仕事納め。晩ごはんはおろしハンバーグ、かぼちゃ、菜っ葉のお浸し、きのこ汁。まあまあ頑張ってる方かな。食べたあと、また3階の売店まで階段で降りて登った。いい運動。夜、斜向かいのババアが夜通し独り言をずっと結構なボリュームでぼやき続けていて、うるさくて眠れず。看護婦さん曰く、眠剤の副作用で仕方ないらしい。寝言だから本人は寝てるからどうしようもないんだって。ああきつい。静かな我が家に帰りたい。

12.28金
6時起床、点滴。朝食はボイコットしてコーヒーをいれ、榎本さんにもらったクリスマスツリーのチョコをかじる。チョコってコーヒーが進んであっとゆう間に飲み干してしまい、2杯目をいれた。午前中暇なのでまた階段で3階〜9階を往復。あほみたい、わたし、なにやってるんやろ〜。昼食は炊き込みご飯、吉野煮、酢の物。珍しく色ごはんが出たのでもりもり食べた。午後の点滴後、シャワー。後、暇なのでこまどりに行ったり、デイルームでテレビみたりうろちょろする。NHK発達障害の番組をやっていて、なんかわたしADHDに当てはまり過ぎていて怖くなった。精神疾患って、どう診断するんやろう。映画に備えてちょっと勉強したのだけど、わたし色んな疾患に当てはまりまくり。まあ正常と異常の境界線ってほんまに紙一重やしなあ。うーむ。夜ごはんはしょぼいカツとサラダと菜っ葉のからしあえ。コメントはなし。ごはんのあと、こまどりで借りた沼田真佑『影裏』をさらっと読了。

影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

えっこれが芥川賞?とちょっと思ってしまう、静かで淡白な小説だった。わたしの好みじゃなかっただけで、静かな中にも描写の丁寧さとか色々いいところあるんだろうけど、そしてこれぞ純文学ってことなんやろうけど、わたしにはちょっと地味すぎた。(えらそうにすみません)

12.29土
6時起床で点滴。朝食は今日もボイコットして、コーヒーいれてアツ子さんにもらった食べっ子どうぶつを食べる。土曜だけど午前中に先生の回診。たぶん今日が最後の回診で明日からは4日まで先生もおやすみ。花房観音さんが送ってくれた『紫の女』を読む。

紫の女 (実業之日本社文庫)

紫の女 (実業之日本社文庫)

このところ読書不感症気味だったのだけど、花房さんのを読んでいたらするする入ってきて不感症が解けた。読みやすい文体と関西弁のおかげかな。花房さんの小説を読んでいると、世の中年男女はみんな浮気してるもんなんやなあ、そして、その浮気はだいたいばれている。花房さんの官能小説は、局部の表現が蝶や小菊などに例えられていて美しい。昼ごはんは焼き魚、きんぴらごぼう。しょぼい。おひる、飯田さんと編集者Hさんがきてくれて、デイルームでおしゃべり。飯田さんから、こないだのIKAZUGOKEワンマンの投げ銭とみなさんからのお見舞いの数々を受け取った。みなさん、本当にありがとうございます。これで入院費が払えそうです。飯田さんとHさんに、病室話を色々きいてもらう。いやまじで我が病室カオスで、斜向かいのベッドのババアは夜中の独り言がやばくて、寝言を朝までずっとかなりの音量でしゃべり続けているんである。で、その寝言がうるさいから、向かいのベッドの声可愛いけど口悪いババアが「うるせえんだよババア」と小声で罵り続けている。そしてそんなうるさいのにとなりのババアは爆睡してイビキガースカガースカかいててこれまたうるさく、もう毎晩夜がくるのが恐怖。入院してるのにわたし寝不足ってどうゆうこと?はやくこのババアの豚小屋脱出したい。飯田さんとHさんが帰って行き、再び豚小屋で暇を持て余す。夜ごはんは、焼き豚(ぱっさぱさで味なし)、サラダ、すまし汁、りんご。豚小屋の餌にしては頑張ってるけど(共喰いだけど)、人間の餌にしてはお粗末すぎる。夜はデイルームでテレビを見てだらだら。久々にご長寿早押しクイズを見てひとりで笑い転げ、9時からは南海放送杉作J太郎さんのラジオを聴く。先週に、引き続き、今週もわたしへの励ましメッセージを話してくれて感激。杉作さんも20歳頃に年末年始を病床で過ごしたことがあるらしい。「おめでとうございます」ってことばが辛かったって気持ちすごくわかる。こちとら病床で何もめでたくない!ああ、お正月が憂鬱。

12.30日
6時起床で点滴。朝ごはんは、パン、ウインナーと野菜トマト煮、コンソメスープ。あたりの日。しかし病院はすっかり年末年始シフトに入っていて、先生はこないし明らかに看護婦さんが足りていない模様。時間通りにお薬や点滴がこない。ごはんの配膳も遅い。先が思いやられる。午前中、予約をとってシャワーに入る。今日は午後荷物の一陣を持って一時帰宅するためその準備。ありがたいことにみなさんが色々差し入れてくれたり送ってくださった本、食料があふれていて退院一日では持って帰れない量になっているため。ほんの一部なのにトランクぱんぱん。お昼ごはんは、かに玉、煮物、すまし汁。しょぼい。そうそう、昨日飯田さんが言ってたんだけど、もし、「ごはんおかわり!」とかゆったら、おかわりしてくれるんであろうか?まあわたしはごはん嫌いだからおかわりどころか毎回残してるけど、でもねえ、食べる人は食べるやろうし。しかし病院のおかずは全部味薄くてとてもじゃないけどごはん進む感じちゃうよね。午後の点滴後、着替えてシャバへ。寒いけどシャバの空気はおいしい。重い荷物を引きずって、帰宅。こんだけ重いの持って帰ってもまだ半分以上余裕で残っている。自宅に帰って荷物の整理をし、ちょっとだらだらして門限があるので病院へ帰る。帰り道、またしても日高屋さんへ寄って、野菜たっぷりタンメン少なめを食べた。やっぱり化学調味料はうまい。食べながらふと、なんで病院帰らなあかんのやろ?このまま脱走できるんちゃうん?と悪魔の囁きが脳内で響いたけど、なんとか悪魔を殺して病院とゆう名の豚小屋へ帰った。