12.31月
6時起床、点滴。朝食は白身魚、青菜お浸し、麩のみそ汁。感想はなし。病院はすっかりおやすみモードだから、先生もいないし看護婦さんも少ない。昼ごはんはカレー。前もそうだったけど、病院のカレーはカレー粉が少ないからまずい。まずいカレーは本当に食えたもんじゃない。ベッドで読書。ジョーン・リンジー『ピクニック・アット・ハンギングロック』
- 作者: ジョーン・リンジー,井上里
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1.1火
病室、初日の出が見えるらしいんだけど、わたしは窓際じゃないしおまけに点滴タイムだったので動けず初日の出は見れず。となりのババアはカーテンあけていたから見ていたのであろう。となりのババアは先生からはいつ退院してもオッケーといわれてるのに、家族が引き取れないからといって入院長引かされているらしい。ちょっとかわいそうだけど、いびきと読経が毎日鬱陶しいのであんまり哀れとは思わない。朝食はおせちもどき。かまぼこ、伊達巻、黒豆、八頭。お雑煮は餅なしのお吸い物だった。チーン。なんか食べられないとなるとお餅って食べたくなる。かまぼこと伊達巻だけ食べてあとは残し、コーヒーいれていただきもののアルフォートをかじる。元旦、テレビもつまんないし、やることが本当にない。お昼ごはんは赤飯、ぶり照り焼き、栗きんとん、紅白柿なます。甘いものがごはんに出ると急激に食欲なくす。わたしはお菓子好きだけどジャンクな味が好きなだけで決して甘いのが好きってわけじゃないなあと思う。栗きんとんとか一口も食べられない。なますになんで柿なんかいれんねん!ってむかつくし。そして赤飯はすごいべちゃっとしていて、もー給食のおばさん料理下手やろ!昼の点滴をキメながら、こまどりで借りた道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』を読了。
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
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1.2水
6時起床、朝食はシャケ、キャベツの胡麻酢和え、みそ汁。もう正月モードはゼロな模様。ああお餅が食べたいな〜。となりのベッドのばあさんが退院していった。やっと息子さんがお迎えにきたらしい。よかったね。午前中、シャワー。向かいのベッドの声可愛いけど口悪いババアの旦那さん、腸閉塞で下の階に入院してたけど年末に29日頃に退院していってたのだけど、なんと、元旦の夜中に再び救急車で運び込まれ、また入院したらしい。点滴ガラガラを引きながらババアに会いに来ていた。看護婦さんたちに、また戻ってきちゃったの?と言われていた。夫婦揃って入院、仲睦まじいようで。昼ごはんは、炊き込みごはん、卵焼き、さつまいもりんご和え。さつまいもとりんごを和えますか?甘いものをおかずにごはん食べるのが理解出来ない。昼の点滴後、立岩真也、杉田俊介著『相模原障害者殺傷事件』をパラ読み。
- 作者: 立岩真也,杉田俊介
- 出版社/メーカー: 青土社
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役に立つか立たないか、という物差しをもしも使うならば、誰の役にも立っていない人生はある。他人に迷惑をかけ続けて終わっていく人生もある。それはある。そう言わざるをえない。
けれども、役に立たなくても、別に構わない。あるいは、その必要がない。社会や国や他人のために役に立たなくても、あるいは誰かに負担や迷惑をかけていても、生きていることはいいことである。なぜなら、生きることは、比較や線引きの対象ではなく、そのままでよいことだから。
―――――――『相模原障害者殺傷事件』より引用
晩ごはんはまたもやぱっさぱさの焼き豚。4日前とおなじ献立でげんなり。正月やからって手抜くなよ!ファック。夜はデイルームでだらだらテレビを見たけど正月番組ばっかりでこれといっておもしろいのはなかった。
1.3木
6時起床、点滴。朝食は小さい魚、白菜のおひたし、みそ汁。午前中、よるのひるね店主のK田さんと、編集者S川さんがお見舞いに来てくださる。K田さんからブルータスの危険な読書特集号、それからS川さんからはお年玉をいただいてしまった!恐縮だけどありがたい。3人でたわいもない話をして和む。入院してると本当に誰とも血の通った会話をしないので、おしゃべりに飢えている。お昼ご飯になっておふたりが帰っていった。お昼ごはんはクリームシチュー、サラダ、白米。シチューに白米はきつい。とゆうか毎週木曜のランチはパンに決まってたはずなのに、しれっとごはんが来て萎える。もともと白米嫌いやったけど、この入院で更に白米嫌いに拍車がかかった。午後の点滴をキメていたら、今度はN釜さんとR子さんがお見舞いにきてくれた!N釜さんからは犯罪ものの本と、やっべえ煎餅屋、播磨屋のおせんべを、R子さんからはお年玉をいただいてしまった!入院してると本当にみんなのやさしさに涙ちょちょぎれる。N釜さんとR子さんと3人で、2時間半ほどおしゃべり。ブラックな話やゴシップ話なんかをしてたいへん元気が出た。やっぱり悪い話をしていると元気が出るものやね。おふたりが帰って行き、N釜さんが持ってきてくれた『その時殺しの手が動くー引き寄せた災・必然の9事件』を読む。
その時、殺しの手が動く―引き寄せた災、必然の9事件 (新潮文庫)
- 作者: 「新潮45」編集部
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1.4金
6時起床、点滴&採血。またしても前回とおなじ採血下手くそ看護婦がやってきて、ぶすぶすやった挙句に失敗。結局違う看護婦さんと交代してやる羽目に。もう無理なんやったら最初からうまい人よこしてよ!無駄に針穴作らんといてほしいんだけど!痛いし!と怒りたい気持ち。朝食は、温泉卵とみそ汁。しょぼー。何度も書きますが、これで一食450円。ぼりすぎにも程がある!朝から主治医の回診で、退院が明日に決まった!!やったー!うれし〜!やっとこの豚小屋から出ていける!午前中、感染症科の先生がきたり、薬剤師さんが退院処方の相談にきたり。お昼ごはんはシャケのムニエル、オニオンスープ、サラダ。このまずいごはんともあと二回でグッバイ出来る。もーこの白米地獄からも抜け出せる。退院したら好きなものだけ食べるもんね。ごはんのあと、シャワー。病院で最後のシャワーや〜といちいちありがたみを噛みしめる。シャワー後も読書。『その時殺し…』読了。子どもの虐待死、日頃のいびられていた姑の嫁殺し、電ノコで姉をバラバラにした妹、などなど。知らなかった事件がたくさんあった。日本中のどこかで今日も密やかに事件は起きている。夜ごはんはぱっさぱっさの豚肉、しいたけ、酢の物。最後の晩餐だったのだか最後の最後までしょぼかった。ところで寝言を夜通ししゃべりたくる斜向かいのババアは信じられないぐらい屁をこく。咳をしながら同時に屁がぶーすかぶーすか出ていたり、もう毎日毎日人間てそんなに屁でますか?ってくらいこきまくるんだけど、それに声可愛い口悪いババアが反応して「ぷっぷぷっぷ屁ばっかしやがって汚ねえなあ」「咳したり屁したり忙しいババアだなあ」などと小声で戦っていて、この豚小屋劇場、なかなかこれ面白いんじゃね?ひとりで声殺して爆笑した。夜はテレビカード余っていたので、風の谷のナウシカを生まれて初めて見た。が、全然乗れなくて、結局西成のシャブ密売人追跡の番組を見てしまった。わたしジブリはトトロしか好きじゃない。
1.5土
6時起床、朝食はさつま揚げ、青菜のお浸し、みそ汁。ラスト病院めしを食べて残して歯磨きして、退院の準備。トランク+トートバッグ+紙袋ふたつ、というなかなかの荷物量。9時すぎに看護婦さんがきて大量の退院処方のお薬を持ってくる。抗生剤の量が半端やない。点滴の代わりだから仕方ない。お薬受け取ったら今度はクラークさんがきて、支払いの明細が渡される。想定内ではあったが、2ヶ月にまたがってたので限度額適用認定証があんまり効力を持たず、結局9万ほど、1階の窓口にならんでお支払い。みなさまからカンパやお見舞いのおかげでなんとか支払えました。ほんとにありがとうございました。病室にもどると母親が。そう、なんか、今回、母親がわざわざ上京してきたのである。母親とは込み入った攻防関係があるので、ちょっとなんとも複雑な気持ち。だがまあ、ありがたい。荷物多いし。ベッドに戻って看護婦さんを呼び、忘れ物チェックをしていざ、退院!ああうれしい!荷物多いのでタクシーで帰宅する。久しぶりの我が家、とりあえず大量の荷物を置くだけ置いて、今度は電車。隣町のアリオさんに行くことに。とゆうのも明後日からの映画の撮影が長野ロケなため、長野極寒だろうけれどわたしそんなあったかいコート持ってないので、ダウンを買いたかったのである!アリオさんに着いて、お店をうろうろする。ああ、シャバはなんて楽しいんだ!しかし母親を連れそってショッピングなんて、20年ぶりとかじゃね?と不思議な感じだった。結局ダウンはユニクロさんで買いました。真っ赤なやつ。レストラン街で担々麺を食べて、上島珈琲でお茶をし、相変わらずやばい北村家の近況をきいたりして、15時頃には帰路。母親は渋谷に遊びに行きたいとゆうので(完全お上りさんだけどミーハーな母親は東京が大好き)さすがにそこまで付き合う元気はないので乗り換えだけ教えて最寄り駅でばいばい。帰って荷物の整理もそこそこに、夜はI田さんと待ち合わせて足立区飲み。もつ焼き屋と居酒屋をはしご。久しぶりのシャバ飲み、最高に楽しかった。お新香とぬか漬けを両方頼んでぼりぼり食べた。ああしょっぱくて夢のようにおいしい。シャバは最高。I田さんと積もる話をしまくれて、ずっとずっと楽しかった。やっぱりI田さんと飲むのは最強楽しい、ああシャバに戻ってこれて本当によかった。6時間くらい飲み続け(といってもわたしはずっと烏龍茶やけど)1時ごろにお開き。寒い部屋に帰宅して寝た。
1.6日
ひさしぶりの我が家のマイベッドでの就寝。ぐっすり眠れた。病院ではあんなに毎日眠れなかったのが嘘みたい。9時に起きて、薬を飲んで、入院中のパジャマやらの洗濯をどばっとやった。洗濯を干していた扉がどんどんと鳴り、無視しようか迷ったけど出てみたら、大家のおじいさんであった。我が家のピンポンはもうずっと前から壊れていて、宅急便屋さんたちに知らせるように「ピンポン壊れています、ノックしてください」って張り紙をしていたのだけど、それも見て大家が直しに来てくれたらしい。年末から何回も来てたんだけどずっと留守だったから、といわれ、昨日まで入院してたんです、と伝える。ピンポンはなんのことはない、ただの電池切れで、電池変えたらすぐ直った。大家が帰っていき、自転車の空気が全部抜けていたので、自転車屋さんまで持って行って空気を入れる。それから図書館に予約してた本を取りに行き、スーパーでおもちを買って帰宅。レンジでチンして、しょうゆと韓国海苔で食べた。あんなに食べたかったおもちなのに、食べてみたら全然おいしくなかった。まあそんなもんだよね。家は極寒なのでこたつに肩まで埋まってテレビをぼーと見る。ほんとは部屋の片づけをしたいのに、寒くて動けない。月の砂漠が聞こえてきたので、急いで外に出たら、一瞬の差で灯油屋さんは通りすぎていってしまい、灯油買いたかったのに買えず。がーん。石油ストーブ出したのに、去年残りの灯油があとちょっとしかない。どうしよう、この冬越冬できるかな。部屋は散らかり放題。とりあえず大量に増えた本を仕舞いたいのだけど、もう本棚はとっくにぱんぱんだから仕舞う場所がもうない。明日から長野に泊まり込みで映画のロケなので、準備をしようにも、何を持っていったらいいか悩む悩む悩む。まず長野ってどれくらい寒いの? あと着替えはどれくらいいるの? トランクあけたまま呆けていたら陽が暮れた。