8.24〜30日記

8.24月
昨日からの探偵業務で疲れ果て(前回の日記参照)、そして憤怒がおさまらず一日苛々していたまま労働。一日遅れで新たに情報が入ってきたりして、さらに怒り心頭。ちょっと本当にこの人と仕事するのもう無理だわってなる。なっている。労働後、今月で辞める子のお菓子を買いに伊勢丹地下に行ってガラスケースに入ったきらびやかなお菓子たちを眺めるもなにひとつ心踊らない。帰っても色々心配事山盛りで、だからって何が出来るねんて感じでもあり、こういうとき人はお酒を飲んだり女を買ったりして気を紛らわすんであろう。わたしはそういう手段を持たないのでこういうときどうやりすごせばいいのか本当にわからない。というかここまで怒りの沸点超え状態が続くことはわたし史上相当稀な例である。とはいえ、そういえばわたしは数年周期でわりとおっきめの揉め事に巻き込まれ激しく憎しみあって決裂、というのをやらかしており、あーこれあれか、ひさしぶりのあれか、みたいに思わなくもない。基本的にへらへらと生きることを心掛けているわたしだけれど、一度許せんと思ってしまったらもう止まらない。薬飲んでも眠られないので夜な夜な過去に決裂した人々の近況を調査。みんなそれぞれの分野で楽しくやってらっしゃるようではないか。原点をたどって考えていたら、わたしが最初にCDを出させてもらったときに、発売前に蒸発したレーベル担当者Iという男を思い出し、あーあの人なにしてるねやろって思って更に調査。そしたらそんなに遠くない界隈で、しかも東京で、元気に活動してはることが判明。あーこれあれやなーばったり会う可能性もあるなー。

8.25火
本来ならレコーディングの歌録りがはじまっているはずなのやけど、某氏のおかげでいったんすべてがおじゃんになり、その話し合いのために某スタジオへ、失踪していたH氏と、今回のプロデューサーであるN村さんと3人で話し合い。大量の矛盾点を一個ずつ突きつけて説明を求めるも、もう全部が一貫して、自覚なく罪悪感なく嘘をこきまくっている、というだけの話なんやと早々に気づいてしまい、だんだんア然としてきてもう怒る気力もなくなる。というか、怒るという行為は本当にしんどい行為でありめんどくさい行為であり別に好き好んでやりたくはない! だいたい、言い訳が全部小学生と一緒で、なんやねんわたしは学校の先生か! ひと回り以上年上のおっさんに向かってなんで、嘘はついてはいけませんよ、とか言わなあかんのじゃボケ! 今回はN村さんがわたしの言わなあかんことの半分は言ってくださったので(同じ境遇で被害をこうむっているので)たいへん助かったけど、これでH氏にちゃんと響いてるのかが問題。もう全部やめましょか、という結論に至ってもおかしくない事態なのやけど、N村さんが本来のプロデューサーて仕事を超えて色々と今後の進行を考えて段取りを組み直したりしてくださり、なんとかもう一回がんばりましょって話に落ち着く。わたしも正直もう無理やわってなってたけど、思いの外N村さんが心の広いご理解ある方で相談しやすい方やと発覚したので(今回の事件が起きるまではもっと気難しいおっさんやと誤解していた)なんとかがんばれそうな気がしてきた。色々スケジュールはずれずれですが、仕切りなおしてがんばりましょうとスタジオをあとにし、駅まで歩いたぐらいのとこでHさんが、今からMさん(レーベルの上層部)に電話するから例の件直接確認してくれ、と言われ電話変わられる。正直、こんな内容を直接アーティスト側が上層部にでしゃばって確認するなんておかしな話なのだけど、だってH氏が信用できひんのやからしゃあないやんけ。しかし電話してみて正解やったのが、やっぱりMさんに話は通っていなくて、なんやねんH氏、もう勘弁してくれやって更に駅でも怒る羽目に。この件をちゃんとN村さんに伝えて確認しといてくれよと再度釘を刺して別れる。本当に疲れた。なんと無駄な疲れ方。

8.26水
今週はレコーディングというスケジュールだったので労働は休みを出していて、しかしポカーンと飛んだので突然予定があいた。とはいえ、こんな最底辺のメンタルでは遊ぶ気にもならんしいや、そもそも何して遊んだらいいの? て感じ。よし、無理矢理ポジに捉えて、じっくり国語の宿題をやることにしよう! わたしったらえらい! と自分をなんとか良い子ちゃんに仕立てあげて鼓舞し、宿題に取り組む。怒りスイッチが入っている方が筆が進む場合もある。いや、だからって許さへんけどな。せっかく労働休みをとっていたのに一週間無駄にしてしまったら勿体ないねってN村さんの計らいで明日再度スタジオ行って、できそうやったらキーボード録りやってみましょうってゆってくれたので準備。しかしピアノの前に座るとまた怒りが沸々とわいてきてファックな気持ちに支配されあかんあかんあかん。

8.27木
昼間、新宿でTディスクのN島さんと落ち合ってミーティング。結局なんやかやで自分の労働先でお茶をしばきながらミーティング。今のこの大変な状況を聞いてもらったり、Tディスクの近況を聞かせてもらったり、秘蔵映像を見せてもらったりしつつ、ちょっと昔話をしたり(なんせもう12年くらいのおつきあいなので)、今後の話をしたり楽しかった。N島さんとお別れし、ちょっと店長と労働の事務的な話をして、銀行で用事を済ませて紀伊國屋に寄ったらミランダ・ジュライの新刊が発売日らしく、どーんと並んでいてパラ読みしたけどちょっと思ってたのと違うかったので買うのはやめた。その後京王線で柴崎、時間あったので各停でちんたら行ったら結構かかった。夕方からPミュージックで、またN村さんと話し合いつつ、キーボードの録音をする。今回、プロデューサーに編曲はまるっとお願いしているので録音の仕方もほんとにはじめてな感じで、そもそもわたしは今まで、自分のテンポでピアノと歌同時録音、みたいな録り方ばっかりしてきたので、クリックやトラックに合わせて鍵盤を弾く、ていう体験がほとんどなく、N村さんにご指南いただきながら録音していくのやけどこれが結構たいへんなミッションで改めて自分のリズム音痴っぷりにガチョーンて感じだった。3時間ぐらいやって、続きは明日にしましょうかってなって終了。なんやかやでわたしの1週間が無駄にならないよう、気を取り直しプラン立て直し計らってくれたN村さんにほんとに感謝である。帰ったら朝送った国語の宿題についてメールがきていて、わたしがあまりいもキからはじまる4文字を連発しているのでアウト宣告される。そうかー、そんなにタブーな4文字なんかー。わたしは日常生活からこの4文字を比較的よく使ってしまっていて、ウンコと合わせて二大声に出して言いたい日本語なのやけどなーざんねん!

8.28金
朝からピアノの練習をして、またまた柴崎のPミュージックへ。昨日できなかったぶんを録音。しかしむずかしくて弾けない! あー何回やっても弾けない! ア〜! ってなるも、N村さんがうまいこと緊張ほぐしてくれたりナイスな助言してくれたりで、なんとかノルマ分録りおえる。しかしほんとにわたしはN村さんをつい1週間前までは誤解していて、気難しくて冷たくて怒らせたらやばそうな、そしてわりと怒りやすそうな、怖いおっさんやと思っていて、だけどもいざご一緒にお仕事させてもらうと、とっても捌けた気さくなお方で、臨機応変にわたしがやりやすい状況を作ってくださるし、本当にN村さんがいてよかった! としみじみ思った。なぜならば、わたしが弾けるか弾けないかみたいな瀬戸際でがんばってレコーディングしているすぐ後ろのソファーで、なんか喋ってる声が聞こえて、ハ? て振り返ったら、H氏はなんと居眠りしている上に寝言を漏らしているんである! いや〜もうここまで来たら怒る気にもならない! あんなけ我ら二人に怒られて、反省しているそぶりを見せていたにもかかわらず、この有様ですよ! 寝言ですよ! もうホラーですよ! なんかもう笑けてきて、色々全部あきらめることにした。この人に普通のことを期待しても一切合切無駄や。H氏はほっといて、N村さんと来週や今後のレコーディングプランを打ち合わせて、あと仮歌も1曲録ったりして作業終了。雨も止んでいたので隣の駅のつつじヶ丘て駅まで歩いてみた。調布とよばれるこの界隈は今までほぼ足を踏み入れたことがなかったけど、庶民的な空気をかもしだしつつも我らが足立区とは真逆で、人々の顔付も服装も落ち着きが感じられて優雅よなあとおもった。しかし何気に東から西へ東京をぐいーんと横断しているので、通うには遠い。わたしはもう新宿から西側は全域外国やと思ってるやけど、実際この辺と足立区とは生活水準も全然違うやろうなあ、とかなるべくどうでもいいことを考えながら帰宅した。油断するとまた脳みそを怒りに支配されてしまうので。

8.29土
妹から心配なメールがきていて、昼間からまた長電話。妹は色々わけあって今は外国におるのやけど、なんといとも簡単にLINEで電話が出来てしまう昨今! すごい世の中やな〜て思いつつ、時々なんかが混線してるみたいな、明らかに妹が発してるのではない変な音声が混ざってちょっと怖かった。新潟に行く前に奥歯がとれて、そこの治療を中断したまま放置していてそろそろ心配になってきたので歯医者へ。そう、おばあちゃん入れ歯にするしかないと宣告されていた例の歯をどうするか問題で、でも結局この歯はいちばん奥なので無きゃ無いで一応は暮らせそうなので、もう入れ歯もいれず抜いちゃってくれとお願いする。しかし抜くなら抜くで切開したりなんやり結構大ごとな施術になるので、今日はやめときましょう、抜く覚悟が決まったら来てくれ、て言われて帰された。結構覚悟決めて行ったのやけどな〜。先生の覚悟が決まってなかったのかな。夜は渋谷へ出てnestで豊田道倫さん率いるmtvバンドとあらかじめ決められた恋人たちへのツーマンを拝見。あら恋はそれこそわたしがまだ大阪時代、10年前とかによくベアーズで見ていて、当時はひとりぼっちで地団太を踏みながらピアニカを吹きまくる池永さんが、夕日を浴びながら帰宅する鍵っ子小学生のノスタルジー満開な感じで泣きそうになっていたのやけど、すんごい久しぶりに拝見したら完全にロックバンドになっていてちょっと狼狽えた。だけど池永さんの吹くメロディは絶対的にノスタルジックで、それもなんか変な話大阪の子供の郷愁を体現してらっしゃるように聴こえて、それはなんかわたしの勝手な思い入れや、あと実は実家が近いので育った環境も近いのかも、みたいなんもあり、いくらロックバンドになっていようとも胸がぎゅうんとなる。mtvバンドは今日は予想外にカラっとしたセットリストでちょっと思ってた感じと違うかったのやけど、豊田さんは時事的なテーマをリアルタイムで取り入れる方なので、わざとそういう感じに持って行ったんかなー。MCもおとなしめやったね。終わってひっさしぶりに池永さんとたくさんしゃべって、主に実家付近のローカル話で盛り上がったりして、ベースの劔さんともしゃべったり、ライターKくんともしゃべったりして、ここ東京かーなんか変な感じってなった。宇波さんにレコーディングに纏わる多大なるご迷惑をおかけしたことをお詫びし、見に来ていたT沢さんに愚痴を聞いてもらったり、劇団SのNちゃんやTちゃんにも会えて、Nちゃんから接吻を求められまくったけど、なんか逃げてしまった。そう、ここは東京。妻有では接吻しまくっていたわたしたちだけど、あれは新潟の森の中だけの秘め事。ここは東京。気づけば終電1本前で、最寄り駅降りた途端のホームで線路に向かって堂々と放尿しているおっさんと、勢いよく嘔吐しているヤンキーを同時に目撃し、さすが足立区やわ〜て思った。改札出てもヤンキーが湧いていて、またややこしいやつに捕まったら嫌やので速足で帰宅した。

8.30日
朝、洗濯干してまたちょっとごろんしてたらしとやかに雨降ってて急いでとりこむ。なんかぼんやりツイッター見てたら今日はだいたいみんなおんなじ場所にいてるぽくて、この蚊帳の外感はなんやろう。全く興味が湧かない。しかしタイムリーなことでいえば山口組が割れているらしい例の動向はとても興味深くてこっそり情報チェキって追っている。ところで最近わたし気絶癖が復活してしまってて、顔面からピアノに落ちてまたメガネが曲がり鼻を地味に負傷。しかし寒いな〜って家でわたしヒートテック着て毛糸の服着てそれでも寒くて、熱計ったら普通に熱あった。平熱が35.3とかやのでわたし、37度こえたら結構ぶるぶるしてしまう。あかんわ調子悪いわ、まじで本気だして寝よう! と勢いこんで眠り薬ばきばきで寝るも1時間で目覚め、そしてすさまじい涎を垂らしていたことに衝撃をうける。気絶しまくるし、涎だらだらやしってこれわたしまじでアウトな人なんちゃう!? それもこれも怒り過ぎているせいや。DVDで副舎長おすすめの『読書する女』て映画みた。どストライクで好みやった!


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