7.9〜15日記

7.9月
朝から普通に労働。出勤すると冷蔵庫にお世話になっているOさんから梨のお届けものが。わたしは洋服もみんなにもらえるし、食料もこうやっていただけて、たいへんうれしいけどわたしって乞食なのかな? と時々不安になります。でもうれしいです。仕事中、とあるおじさんとやけに目が合う。どこかで会ったことあるような、と思っていたらおじさんから話しかけてくださって、某お芝居のあとに打ち上げでお話したことあるおじさんで演劇の先生をしておられる偉い人だった。ちょっと打ち上げでご一緒しただけなのに、もちろんわたしがこんなところでこんなバイトしていることは知らないのに、覚えててくださってうれしかった。辻さんのおはなしをする。今日はお通夜。

7.10火
朝、出勤前にセブンイレブンで僕のマリさんの文章を印刷。今週は旅日記だった。読んでいたら急にわたしも旅に出たくなり、家に帰るのが嫌になって、仕事終わって夕方、電車を最寄り駅で降りずに無駄に遠くに行くというプレイをしてみた。東京を突き抜けて千葉、松戸を超えて、聞いたこともない駅、北小金という駅で降りてみる。常磐線は東京を突き抜けてもずっと灰色が続くんやと知った。BGMはiTunesさんで豊田道倫さんの『しあわせのイメージ』を聴いていた。改めて名曲ぞろいで、夕暮れの景色と相まって危うく落涙しそうになる。豊田さんの歌は夏の歌が多い。ひとりで過ごす夏の、鼻の奥がつんとなる感じにマッチしすぎる。北小金ではなにもせず、常磐線を引き返して帰った。最寄り駅についたら日が暮れていた。

7.11水
朝イチ郵便局、北村直販の発送を2件。そのまま目的もなくぼんやり駅に行って、豊田さんの曲「ビスケットの歌」の
♪明日わたし何をしよう 明日起きて決めよう 
 明日わたしどこへ行こう 駅に行って決めよう 
を実践することにする。とりあえずパスモで改札入って、北千住で乗り換え、三河島という降りたことのない駅で降りてみた。前情報では大阪の鶴橋みたいな町、と聞いていたのだけど、降り立ってみたらほぼ人がいなく、商店街も殆ど閉まっててたいへん静か。ふらっと散歩して、喫茶ふじという喫茶店に入る。あいてたので入ったら、おじさんが出てきて「ちょっと姉がまだ来てないんですけど、中で待ちますか」と言われる。どうやらママであるおねえさんが寝坊中でまだ来ていなく、弟さんが対応してくれた模様。15分くらいすると「あーらすみませんね〜」といってママさんが登場。ママさんがひとりで切り盛りしているちっさい喫茶店なんだけど次から次にお客さん、というか近所のおじいちゃんおばあちゃんたちが集まってきて満卓。店内テレビがついていて、みんなでテレビにちゃちゃを入れているんだけど正直何をしゃべっているのかわからない。わからない言語のまま気づいたらママとおじいちゃんが口論をはじめていた。愉快。しばらくしたらママがコーヒーとモーニングをはこんできてくれた。コーヒー、トースト、ジャム、ゆで卵がついて全部で250円。ここ本当に東京だろうか。おじいちゃんおばあちゃんたちの会話があまりにも聞き取れないので不思議におもってたのだけど、30分くらいたって気づいた、おじいちゃんおばあちゃんたち、韓国語と日本語を混ぜてしゃべっているんである! そらわからんはずや。それにここは鶴橋みたいな町らしいから当然や。ピンクの電話がリリリーンと鳴り、ママが「うちは株はやってません!」とぴしゃりとひとこと。色々合わせていい朝やった。店を出て、ちょっと三河島を散歩。昼間やから閉まってるとこが多いけど、確かに焼き肉屋が何軒もあって、でも鶴橋みたいにキムチくさい感じは全然なく、とにかく人がいなかったけど嫌いな町じゃないなあと思った。帰ってクーラーをつけてピアノの練習をし、明後日の円盤ワンマンで配る新聞の原稿を書いた。

7.12木
朝から普通に労働。昨夜また僕のマリさんのネットプリントが発表されたので行きしなにセブンイレブンでプリント。60円で毎回たのしませてもらっている。労働は特筆すべきことはなし。珍しく無性に眠たくて、帰ってベッドに転がったらいつの間にか寝ていた。12時頃に起きたけどゴロゴロしてたらまた寝ていた。

7.13金
朝からピアノの練習。今日は円盤ワンマンで新曲をやるので新曲をメインに練習。しかし暑い。ピアノ弾くときは窓全部締め切らないとあかんので(楽器不可物件のためこそこそなの)、ほんまはあんまりクーラーつけたくないのやけどさすがに暑くて死んじゃうわってクーラーつける。昼に郵便局、北村直販の発送1件し、ライブで配る新聞を印刷しにコンビニ。帰ってまたピアノの練習。夕方、ちょっと早めに家を出て高円寺。ミスタードーナツ跡が日高屋になっていた。セブンイレブンを見つけて、今日はネットプリントで溺死ジャーナルの新刊をゲット。リハ前になかむら珈琲店という住宅街にぽつんとある喫茶店に入る。麻雀ゲーム卓がテーブルになっているいい喫茶店。しかしここもコーヒー250円という驚異のお店。地元のおばちゃんが入れ変わり立ち変わりママとマスターとおしゃべりしに来ている感じ。時間帯的にちょうどお相撲をやっていて、みんなテレビのお相撲に夢中で湧いていた。ワールドカップとかをスポーツバーなんかでみんなで応援しながら観戦してる人たちを見るとファックな気持ちになるんやけど、お相撲をじいさまばあさまたちが一生懸命応援してる絵は微笑ましくていい。好き。6時半頃にお店を出て、円盤入り。リハをしてしばし店主田口さんと談笑。書けない話で盛り上がる。8時から本番。今日も蚊との戦いであった。しかし勝った。どこも刺されなかった! 蚊と戦っていてふと思ったんやけど、わたしの声ってもしかして蚊の周波数と似ているのかも? 特に高音域。高いキーの声を出したら蚊は顔の周りに寄ってくる。仲間と思われてる説が濃厚。ぶじライブを終え、しばしお客さんと歓談して、見に来てくださったK井さんと馬力で飲んだ。辻さんのことがあったばっかりでおつらい時期なのにいらしてくださって、歌の感想もくださってうれしかった。K井さんとお話していると、ほんとに歌詞をしっかり聞いてくださってるんやな〜と思う。たのしい時間はあっとゆう間に過ぎ、終電で帰宅。

7.14土
朝イチからもう暑い。洗濯をどばっと干す。アパートの外壁をゴキブリが張っていてびびる。ちなみに我が家はゴキブリは湧いていない(今のところ)。昼から広尾のギャラリーへ、友人の写真家隼田大輔くんの個展『Golden Sheep』を見に行く。広尾という駅に降り立つのははじめて。オシャンティな町並みにびびりつつ、グーグルマップを見ながらギャラリーに到着。隼田くんの今回の個展のテーマは羊。ということで、隼田くんが羊をおっかけている写真展であった。幻想的な森の中の風景、映画のよう、羊はおしりがかわいい、うーん、写真の感想を言葉にするのはとてもむつかしい。隼田くんは写真だけじゃなく色々達者なお方で、展示の額縁も全部木をカンナで削るところから手作りで作ったそうな! それから展示の一部に金塗りの羊の頭蓋骨があって、これも死んだ羊の頭蓋骨をひらってきて金に塗ったのやって。すごー。夕方から隼田くんと、風景デザイン家の杉浦榮さんという方のトークショーがあった。最前列でかぶりつきで聞くも、トークの内容はわたしの低能なおつむには難解だった。専門用語が飛び交うと、わたしは思考がショートしてしまう。終わってみんなで恵比寿の中華屋さんでごはんを食べた。有名雑誌の編集者さんやデザイナーさんなど錚々たるメンツ。作家のU沢めろんさん(もはや伏字になっていない)もいらしていて、ひさしぶりにおしゃべりできてたのしかった。めろんさんはわたしなんかのおつむにもわかる平易な言葉で隼田くんの作風を分析しておられてさすが小説家だ! と目から鱗の思い。ちなみにめろんさんはわたしの『ガール・ウォーズ』というアルバムのキャッチフレーズを書いてくれたり、IKAZUGOKEアルバムにもコメントを寄せてくださっています。みんなでたのしくごはんを食べて帰路。

7.15日
朝から労働。ひさしぶりに日曜出勤。貧乏なので稼がねば。