6.18〜24日記

6.18月
11時に駅でI田さんと待ち合わせ、二人仲良く浅草ロック座へ。わたしが3月に川崎で見て素晴らしくて忘れられなくなった踊り子さん、みおり舞さんを見に行くのである。この1年でいくつかのストリップ小屋に行ったけれど、総本山の浅草ロック座は実ははじめて訪れる。ついてびっくり、ステージが広い。客席も広い。しかし平日の昼間っから結構な客入りであった。ロビーも広くてカフェでモーニングなんかも食べられるらしい。色々充実のストリップ小屋。全部で7人の踊り子さんがそれぞれ10分ずつくらい踊るのだけれど、浅草はレビュー仕立てでバックダンサーがいたりとてもゴージャス。そしてとにかくみなさん、踊りのレベルが高い! 今季の演目は全体がブロードウェイの催しになっていて、お目当てのみおり舞さんは4景担当でCATSをやってらっしゃった。真白希実さんという踊り子さんと一緒に、バレエのパ・ド・ドゥのように踊っておられ、なんとフェッテまで披露しておられた。フェッテというのはクラシックバレエのいちばんの見せ場で女子が見せる大技で、めっちゃむずい。(一応わたしも昔ちょっとかじっていたのでわかる)そんな大技を、ストリップ小屋で見られるとは! みおり舞さんはローザンヌにも出ておられたほどの本当のバレリーナのストリッパーさんで、3月に川崎で拝見したときはボレロと牧神の午後を踊っておられて、わたしはめちゃんこ衝撃を受け大感動したのだけど、今回はフェッテが見られて感服。いや〜まじでストリップってすごい。7景のCHICAGOでもみおり舞さんはバックで踊っておられて、こちらもめちゃくちゃセクシーでかっこよかった。1回目をフィナーレまで見て、一旦外出券をもらって外へ出て、近くのサンマルクで一服。I田さんと感想を言い合い、再び劇場に戻って4景から2回目を観た。2回見ても惚れ惚れするかっこよさ。なのにも関わらず、休憩時間中にアナウンスで演し物の解説があるんだけど、たぶん劇場のスタッフのおじさんがアナウンスしてるんだけど、それが衝撃的アバンギャルドな解説で、とりあえずおじさん、漢字が全然読めていない。涙腺を「なみだつきせん」と読み、横隔膜を「よこづな」と読み、女囚を「おんなにん」と読んでいて爆笑。おまけに基本的に全編ズーズー弁。あまりの衝撃に席から動けず。しかし爆笑していたのわたしたちくらいで、他のお客さんはスルーしておられる感じだった。踊り子さんのステージパフォーマンスはめちゃくちゃレベルが高いから、そのギャップに腰抜けって感じ。2回目もフィナーレまで拝見し、外に出る。今まで行ったストリップ小屋はもうちょっとこじんまりとしていて、踊り子さんひとり終わるごとにチェキタイムがあったりしたのだけど、浅草はそういうのは一切なしで、みんな純粋にパフォーマンスのみを楽しむスタンス。それにこんなにたくさんのお客さんが集結しているって、なんか、日本も捨てたもんじゃないなあと思った。ストリップは日本が誇るべきエンターテインメント文化や。雨の浅草をI田さんとしばらくお散歩し、タリーズでコーヒー飲んで帰路。いい一日だった。夜は家でひとりでストリップのポーズをベッドの上で真似っ子したりして遊んだ(バカ)

6.19火
朝から普通に労働。先週に引き続き、写真家で文筆家のU本さんがいらしてご挨拶。こうやって会いたい人に会えるからこの労働やめられない。夕方仕事上がって新宿東南口、なんと元旦那と8年ぶりくらいに会って飲みに行った。離婚してから一回も会ってなかったので、変な感じ。お互い白髪増えたなーなんて言いながら、三平で飲んで、この8年間にあったことを報告しあった。わたしは基本的に過去にお付き合いしていた人とはお別れしてからは会わないタイプなので、元旦那とこうやって再会して飲みに行くなんてね。でも会うと全然普通に楽しく話せた。元旦那は仕事もプライベーツも充実してはるようで順風満帆なようやった。他人の幸せを喜べるようになって、わたしもオトナになったなあなんて思った。

6.20水
朝から普通に労働。帰って、特選小説の原稿とにらめっこして夜、編集さんに送信。その他は特筆すべきことはなし。

6.21木
朝から普通に労働。今週は珍しく三連勤であった。わたしは飽きっぽいし基本怠惰な人間で愚の骨頂なので、こういうザ労働は三連勤が限界やなあと思った。みんな世のお勤め人は当然のように5連勤していてまじで尊敬する。夕方、お客さんに「早樹子さんですか?」と話しかけられ、なんと柴又の喫茶セピアのマダムがいらっしゃっていた。わたしがこんなところでバイトしていることは当然知らなかったと思うのでお互いびっくり。しかし覚えててくださってうれしかった。三連勤がんばったので、帰りになんか本でも買ってかえろうかなと紀伊國屋に寄るも、欲しい本が見つからなくってなにも買わずに帰路。欲しい本がみつからないで帰るときの気持ち、なんかうまいこと表されへんもんかな。モヤモヤというか、ホトホトというか、チーンというか。とぼとぼ帰った。

6.22金
朝から病院。この病気も長くなってきて投薬期間も長くなってきてるので、呼吸器科にかかるように主治医に言われ、はじめて呼吸器科の先生に罹る。見た目が岸野雄一さんにそっくりの先生であった。今日はレントゲン技師が休みやから次回レントゲン撮るように言われた。1、2分しゃべっただけで1050円も取られたぜ。プンプン。病院終わって銀座線で渋谷に出て、ちょっと時間があったのでひさしぶりにスペイン坂のカフェ人間関係へ。ひさしぶりにきたらコーヒー200円から230円になっていた。(とはいえ安い)しばし読書していたら斜め前に座った女性が、堂々とコンビニ袋から持ち込み食料を出して食べ始めた。しかもコソコソお菓子食べるとかならまだしも、カップのヨーグルトのようなものを出してきて、堂々とスプーンで掬って食べているのであーる。店員さんからも目に付きにくい席だったので野放し状態。わたしも飲食店で労働している身で、持ち込み飲食をときどき注意する側なのでわかるんだけど、まじでこういう常識ない大人が多すぎるぜ。人間関係を出て、映画美学校試写室へ。脚本プローデュ―スのふるにゃんからお誘い貰って、鈴木卓爾監督の『ゾンからのメッセージ』という映画の試写を拝見。予告編を見たときはホラーなやつかなと思っていたのだけど、異界のお話なんだけど何故かほっこりと牧歌的な気持ちになる不思議な映画だった。終わってロビーに出るとふるにゃん(古澤健監督)がいてひさしぶりに談笑。ふるにゃんとはわたしが産まれてはじめて出た劇でご一緒だったのです。帰ったらポストに特選小説の送本が届いていた。今号は一緒にミュージカルやったこともある漫画家山田参助さんのインタビューも載っている。特選はドルショック竹下さんも連載仲間だし、わたしのページイラストは飯田華子さんだし、ミュージカル二十四の瞳ちゃんメンバーが揃っている。もうあのミュージカルも3年前か。なつかしい。またミュージカルやりたいな。夜、ふるにゃんに映画のコメントを書いて送った。

6.23土
おひるにお友達で元同僚のAちゃんがはるばる足立区にやってきてくれて遊んだ。まずは喫茶蘭蝶でおランチ。ハンバーグを食べた。柔らかくておいしかった。それからうちに来てもらって、夜までコーヒー飲みながら談笑。ひさしぶりに会ったので色々な報告など。Aちゃんとは元同僚というのもあるけど、それ以外の共通点もあって(Aちゃんはカメラマンで、アーティストのアルバムジャケットなども手掛けておられる)なんとここにきてAちゃん、H澤さんと仕事で会ってしまったらしく、ひさしぶりにH澤さん話で盛り上がったりもした。夜ごはんの時間になって、もつ焼き大松に行ってカウンターでふたりともソフトドリンクで飲んだ。大松はいつきてもうまい。そのあとデニーズに行ってコーヒー飲みながらおしゃべり。結局11時前まで、10時間以上ふたりで会っていた。Aちゃんは何時間いてもしんどくならない数少ないお友達。わたし、お友達の数は少ないけどみんな粒ぞろいのイカしたお友達ばかりってことには恵まれている。

6.24日
なぜか唐突に部屋の模様替えがしたくなり、朝から机の配置を変えたりなどする。それから冷凍庫の霜取りをやる。もう冷凍庫殆ど入る場所がないくらい分厚い霜がついていたので、これからの季節わたしアイスは必需品なので、アイスを入れる場所を作ろうと奮起。でもやりだすと楽しくてヘラでごりごりバキバキやったった。おひるにテレビでローザンヌがやっていたので見た。ひさしぶりに、何年かぶりに見たけど、解説が現地の強烈おばちゃんじゃなくなってたり、色々番組のやり方が変わっていた。しかし改めて、外人のダンサーってめちゃくちゃ手足が長くてスタイルがいいね。おなじ東洋人でも中国韓国人と日本人は全然違うなあという印象。あとわたしはダンサーたちの、さあこれからステージに上がりますよっていうときの舞台袖でのアップで映る顔つきがすき。緊張してる顔とか、もうステージ用に口角あげまくってる顔とか、色々で面白い。みんなめちゃくちゃうまかったけど、イ・ジュンスという韓国の男の子のコンテンポラリーが淋しくて暗くてよかった。ローザンヌコンクールは唯一日本でテレビで放映される世界コンクールで、この最終選考に残る人々はまじで選ばれし精鋭たちなわけなんだけど、全員に輝かしい未来は約束されているはずなんだけど、どうしてもその先の向こう側の残酷な未来をわたしは想像してしまい、バレエって素晴らしいけれど本当に儚いなって思ったりした。