5.7〜13日記

5.7月
午後から雨の予報だったので、朝からはりきって仕度して池袋。今日はひとりで池袋パルコで開催中の超くっきーランドに行くんである。くっきーランドって? そうです、野性爆弾のくっきーのアート作品が展示されている展覧会なんであります。わたしはアートごとは苦手というかあんまりよさがわからないのですが、野性爆弾のくっきーのことはくっきーになる前の、くうちゃんの時代から大好きで、悲しいことや落ち込むことがあったときはYouTube野性爆弾のロケ番組を見ては元気をもらっていた。あのくうちゃんが今ものすごく売れていて、しかも若者たち、それもギャルたちなんかにも人気で、去年原宿のラフォーレで個展をしていたときはちょうどわたしツアーに出ていて行けなかったのだけど、それが再び今度はパルコギャラリーで、ということで行かないわけにはいかない! るんるんと電車ぽっぽに乗っておでかけ。パルコという建物自体に入ったのは、その昔タワレコ池袋店にアルバムの営業に来たとき以来。エレベータで8階に降りるや、さっそくおもしろくっきーの展示がお目見え。入場料を払うとお面が渡される。ファンシーなようで気色悪い顔面ギブスおっさんのお面なんだけど確かこれはくうちゃん流スヌーピー。「お面被ったままでご覧ください」とおねえさんに言われる。被るとメガネがかけられないので斜めに被って入場。くうちゃん自らが被写体となり、アート作品の一部になる森村泰昌的な写真作品や、大きく立体のセットになってて可愛い気持ち悪い人形が何体も立っている展示、あと巨大な指の木や、顔面白塗りモノマネの数々、それから架空の殺人鬼の似顔絵&その人物の経歴が細かく書かれたやつが地味にすごかった。館内でベンジャミンボーナスのときの音楽がずっと流れてて、まるでカルト映画のオープニングみたいな曲なんだけどこの音楽もくうちゃん作で、そう、くうちゃんは作る音楽も抜群にいいのです! 来場者みんなきゃぴきゃぴした若い盛りのボーイズ&ガールズで、ひとりで来ているおばさんはわたしくらいやったけど十分楽しめた。物販コーナーで、くっきーの顔面ポシェットとか指文字のキャップとかあって欲しかったけど全部5000円以上するので諦めて、250円のステッカーを1枚だけ買って帰った。外に出たらもう雨が降り始めてて、ほんまは東急ハンズでちょっと買い物があったのやけど、くっきーランドの興奮が冷めやらず全部忘れて電車に飛び乗って帰ってきてしまった。

5.8火
朝から普通に労働。終わって、東横線に直通の副都心線で元町中華街までぴゅーんとひと旅。今日は神奈川芸術劇場KAATへ、サンプルの新作お芝居『グッドデスバイブレーション』を見に行くんである。KAATは数えるほどしか来たことないけど、何故か来る日は毎回雨。入口で傘を畳んでいたら「さっちゃん!」と声をかけていただき、わたしの大好きな女優F井さんにばったり。つい一昨日F井さんのお芝居に感動したばっかりだったので不思議な気持ち。F井さんもサンプルを見にきたそうで、一緒にエスカレーターに乗って入口へ。チケット引き換えたら、F井さんの方が整理番号がはやく、「席とっとくからきてね」とゆってくださり、やさしさにこれまた感動。整理番号150番台だったけど、会場に入るとすごく広くって、300人くらいは入りそう。F井さんが真ん中のいい席をとっていてくださり、並んで観劇。目の前に劇中もずっといちゃこらしているカップルが座っていた。お芝居は、近未来、恋愛や歌や文字が禁じられ、マッチングという国に決められた相手としかセックスをしてはいけない国で、元ポップスターだったツルオ役の戸川純さんと、その娘ヌルミ、孫のバイパス、そこへマッチングで嫁としてやってきたザラメは人里離れた森の中で、廃棄物で作った鳥の巣のような家で暮らしている。ツルオはもともと男で若かりし頃はスターだったので歌えばモテて、たくさん恋愛をしていたのだけど、ある日それがすべて禁止になったので、声帯かおちんちんのどっちか切らないといけなくなり、おちんちんを切ったので、現在は性別がない、おじいさんのようなおばあさん。そして貧しさ故に高齢者は「船出」と称し海へ流されることになっていて、まもなくツルオは「船出」する。マッチングで決められた以外の相手とセックスすることを野良交尾と呼んだり、端々に松井さんのやりたいことがつまっていて、たのしいお芝居だった。サンプルのお芝居は、わたしが出演者側だったときは、なんかすごくお洒落で芸術ちっくだわ〜と思っていたのだけど、外側から見ると全然そんなことはなく、しっかりエンターテインメントとしておもしろかった。終わって、ザラメ役だった野津ちゃんとおしゃべりしてたら、見に来ていたT夢さんとばったり会ってご挨拶。松井さんにもご挨拶して感想を伝え帰路。F井さんと帰りもご一緒させていただいた。F井さん、中華街で買ったという可愛いお花やドライフルーツが入った中国茶の葉っぱをおすそわけしてくださった。うれしいすぎて大事すぎてたぶん飲めない。渋谷でF井さんとお別れし、足立区まではるばる帰ると2時間弱くらいかかった。

5.9水
家で作曲デー。宿題の例の曲を仕上げて録音する。斜め向かいの家が取り壊し工事をやっていて、朝からずっとキャタピラの音と建物がガラガラ崩れる音が結構なボリュームで鳴り響いてて集中出来ずイライラ。ときどき軽い地震までくる。この工事、もう1週間以上やっている。いい加減そろそろ終わってくれ。結局録音もノイズが乗りまくるので夜になって工事が終わるまで録れず。宿題曲とは別に、しばらく寝かせていた新曲を本腰入れて作って、明後日の円盤ワンマンで披露できるように練習練習練習。ひさしぶりに一日ピアノを弾いたり歌ったりしていた。

5.10木
朝から普通に労働。帰って、明日配る新聞の原稿を書いたり、6月1日のレテワンマンのチラシを作ったりした。昨日ピアノ弾きまくったからか、労働で使いまくったからか、右手がずっとうっすら痺れている。健康健全な人ならこんなくらいでは痺れないやろうから、自分はやっぱり病気なんやなあと思い知る。
5.11金
円盤ワンマンの日。朝から曲順を考えて、新曲やなつかしの曲を中心に練習し、その後通しで歌ってみたり練習練習練習。夕方家を出ていざ高円寺。円盤につくと、イトケンさんがいてらして、「火曜日サンプル見に来たでしょ!」といわれる。イトケンさん、今回のサンプルのお芝居に宇波さん率いる音楽隊として出演しておられるとのこと。確かに、ぽこぽこぽこと鳴る打楽器の音はイトケンさんぽかった。今日は休演日で、円盤で田口さんと打ち合わせに来られていて、今度円盤で壊れたレコードプレーヤーをお直しするイベントをやるらしー。イトケンさんは楽器演奏もなんでもこいな万能な方だけど、そんなことまで出来るんですね! イトケンさんがおかえりになり、軽くリハをして、4階の控室で待機。先月まではここで待つのが寒かった記憶だけど、今月はちょうどよい気候。春ですね。20時ぴったりから本番。今回は、アルバム『明るみ』からの曲多めに演奏し、新曲もやりました。毎回だけど、新曲演奏するのはいつも恥ずかしくて緊張する。地味で暗い曲だけど、わたしの正直な気持ちが現れている曲だなあと思います。終わってみなさんをお見送りし、田口さんとしばし歓談。たいへんありがたいお言葉をいただいた。田口さんはわたしのことを長年、もう10年以上見てくださっているので、色々お見通しなんやなあと思った。だから怖いけど、ありがたい。見に来てくださった方、ありがとうございました。

5.12土
いい天気なのでたくさん洗濯して干して、仕度して新宿へ。今日は先週に引き続きまたもや唐組の『吸血姫』を見に行くのです。整理番号を引き換えて、久保井さんにご挨拶し、まだまだ時間があるので今日はベローチェさんじゃなくもうちょっといいところに行こうと、新宿五丁目の方にある喫茶アルルへ。ここは猫カフェではなく、普通に店内の猫ちゃんがうろうろしている喫茶店。はじめてきたけどなかなか好みのよい喫茶店だった。お豆とバナナがお通しのように出てくる。コーヒーも380円と東京にしては安い。パソコン持ってきていたので、特選小説の下ネタ連載の原稿をやる。休日の昼下がり、猫ちゃんのいる可愛い喫茶店で自分は何を書いてるねんという内容ですが、お仕事ですのや。居心地がよいのでとても仕事がはかどりました。夕方になって花園神社に移動。す、すごい、今日はめちゃんこお客さん多い。350人ぐらいはいる気がする。いやもっとかも。整列して、入場。「ゴザの目が見えなくなるまでお詰めください」というアナウンスを聞いてにんまり。今日は残念ながら最前列はとれず、下手はしの2列目を確保。2回目の『吸血姫』、すばらしかった。わたしはこの日記はもう自動筆記のように書いているのやけど、特別大好きなものについて書くときは、考えてしまって言葉が出てこなくなってしまう。唐組のお芝居はわたしの求めるときめきが詰まりまくっていて、はじまって早々から胸がいっぱいになる。唐組はとにかく言葉の、セリフの掛け合いの畳みかけが独特のグルーブになっていてやみつきになるんだけど、今回特にそのグルーブ感の熱量がすごい。1幕からわたしはなんかもうその熱量にやられて感極まってお目目うるうるになっていた。美仁音さんが「おかあさーん」と叫ぶところはもう号泣。美仁音さんの不滅の乙女な佇まいはめちゃくちゃすごい。今日は最後の美仁音さん演じるさと子と久保井さん演じる川島浪速のシーンが特にぐさぐさ来た。「血の濃さが身体にこもるように、やさしさとは臭いものです」というセリフが頭から離れない。感動しすぎたので今日は終わってさささっと走るように帰ってきた。ひとりで余韻に浸りたかった。こんな気持ちにさせられることはそうそうない。

5.13日
雨。家で読書したり、明日のナックルズ連載の対談の準備をしたりする。夕方テレビっこしていたら、モヤモヤさまーずが綾瀬周辺。へー藤原組長て綾瀬にいるのかー。セルロイド人形のミーコちゃんが気になった。意外と知らないことが多かった。お店も最初のパン屋以外全部行ったことなかった。