3.19〜25日記

3.19月
午前中から飯田さんが我が家にやってきて、今週金曜のライブの打ち合わせ&練習。演目を決めて練習練習。午後から飯田さんは横浜へ、わたしは都内の某所へ。友人から、遺品整理を手伝って欲しいという連絡がきて、友人の亡くなった友人のお宅へ。亡くなられた方は女性で、友人は男性なので、女物の遺品を引き取ってほしいとのことで呼んでくれたらしい。お宅は閑静な住宅街にある綺麗なマンションで、女性はマンションを購入していてローンが終わったタイミングで癌がみつかり、そのまま一気にステージ4まで進んで半年の闘病期間を経て亡くなったとのこと、神さまはいじわるだとしかいいようがない。お宅には既に昨日遺品整理にきた方がいるとのことで、クローゼットも引き出しも棚も全部が開いていた。使えそうなものなんでも持っていってといわれた。友人から亡くなられた女性の思い出話を聞きながら物色する。女性はたいへん女前な方で、みんなから番長とよばれて親しまれていたらしい。豪快な暮らしぶりはなかなかで、家の鍵は閉めないどころか扉さえ閉めない人だったらしい。しかし遺品をみさせていただいていたら、随所に番長の乙女が発見された。手編みの毛糸のパンツや、ぬいぐるみ、ピクニックへ行くようなバスケットなど、実は番長はわたしなんかよりずっと乙女だったのでは?と思われた。途中で友人が、最高なDVDが発見されたから見よう! と言われ、『丹波哲郎のジキルとハイド』という、昔テレビドラマで放送されていたものを見ることに。丹波哲郎は医者なんだけど、夜な夜な自作のLSDをバキバキにキメてハイドになっては夜の街へ繰り出し、強姦、殺人を繰り返している話なんだけど、強姦シーンで局部も見えまくりだし、LSDを賛美しまくりだし、こんな危険なドラマが夜8時に堂々と放送されていたと思うと、なんていい時代だったのや、と感動。丹波哲郎のかっこよさもさすが。監督五社英雄。演出や音楽の使い方とかドアングラなんやけど、ドストライクで好みで素晴らしかった。そのあとは『やくざ残酷秘録 片腕切断』という安藤昇さん総指揮のドキュメンタリーをちょっと見た。こちらはまじもんのやくざの親分さんがうようよ出てくる映画。全部見たくなる強烈さだったけど、開けっ放しの窓から夜の冷たい風が吹き込んできて雨も降ってきたのでそろそろっつって宅急便の仕度。ふと、この家でこんな風に友人と番長はふたりでよく映画を観たりしていたのかなと思って切なくなった。なんだか不思議な日だった。

3.20火
朝から労働。電車のダイヤが若干変わっていて動揺する。卒業式帰りのよな袴の女の子を何組か見た。帰りに紀伊國屋で花房観音さんの『恋塚』と神蔵美子さんの『たまもの』を購入。

恋塚 (講談社文庫)

恋塚 (講談社文庫)

たまもの (ちくま文庫)

たまもの (ちくま文庫)

帰って、明日のライブの練習。配布する早樹子のてきとう新聞の原稿を書いて寝た。

3.21水
朝から極寒で雨だなあと思っていたら、昼頃には雪になっていた。今日は円盤月例ワンマンの日で、おまけにせっかくの祝日なのに。今日はお客さん少ないやろうなあと思いながら、曲順決めて練習練習練習。もう春かと思っていたのに、ここにきて暖房をつける羽目になるとは。しかし極寒の我が家、暖房なしでは過ごせない。手かじかんでピアノ弾けない。夕方家を出て高円寺円盤へ。店主田口さんと、今日みたいな日に来るのはどうかしてる人しかいないんじゃない、と話す。早めに着いたのでちょっといつもよりしっかりめにリハをやらしてもらって、終わって上の倉庫兼控室へ。控室きっと極寒であろうと思っていたら、なんと田口さん、いつの間にか暖房をつけてくれていた! やさしい。とはいえ、やっぱり寒い。貼るカイロが余ってたから持ってきて、貼らないでにぎにぎして手あっためるように使ってたのやけど、貼るカイロは振ってもにぎにぎしても全然温かくならなくてガッデム。時間になって円盤に降りていくと、なんと! この天気にも関わらずお客さんがぎっしり! 先月はお客さん超少なかったのに。みんなどうしちゃったんだろう。でもありがとうございます。1時間ノンMCでみっちり歌って、最後に今月の報告を少し。わたし的にもなかなか集中していいライブが出来た。終わって、店主田口さんと店員M村さんとタイ料理屋さんでご飯を食べた。タイ料理屋さんで食べたパッタイという麺がおいしかった。タイ料理やベトナム料理、辛いのとパクチーは苦手やけど、おいしいものもあるね。

3.22木
朝から普通に労働。休憩時間&電車の移動時間でコントのセリフ覚え。放送禁止な内容ばっかりなのでうっかり声に出したりしたらたいへんなのでコソコソ。電車で台本覗かれても恥ずかしいのでコソコソ。昨日まで極寒の低気圧から急激に気温が上がって、昼すぎから高気圧頭痛にやられる。低気圧頭痛の方が有名だけど、実は高気圧頭痛というものも存在しており(本当にあるんです)、わたしはめちゃそれで、だから春先とかだんだんあったかくなってくる季節はきつい。一度頭痛に襲われると、治まる方法がないので、帰って睡眠薬ドーピングして無理やり今日という日を強制終了した。

3.23金
昨日無理やり強制終了したので、朝起きたら頭痛は去っていた。よかった。先週対談したテープ起こし原稿が届く。今日はIKAZUGOKEライブの日。衣装や物販を準備。昼から飯田さんがやってきて、2時間ほどうちで練習し、ふたりで下北沢へ。途中電車の中で、めっちゃ柑橘系の匂いするな〜と思ってふと隣を見たら、おばさんがおみかんを剥いてむしゃむしゃ食べていた。下北について、ちょっと歩いて本日の会場THREEへ。ついたら本日の主催ニーハオ‼‼さんがリハをしていた。ニーハオ‼‼さん、かっこいい。はしっこで息子くんがお寿司を食べながらゲームをしていて可愛かった。こんなかっこいいおかあさんいるってどんな気持ちなんやろうか。準備をして、次にわたしたちのリハ。やっぱりライブハウスは音がばっきばきで気持ちいい! ラップのテンションが上がる。わたしたちがリハをしていたらテンテンコちゃんがいらっしゃる。テンコちゃん、ひさしぶりにお会いしたけれど相変わらず可愛い。そして赤い。物販を並べさせてもらって、お化粧をしに、近所のバーミヤンに入る。ドリンクバーの中国茶飲んだら謎の味でまずかった。お化粧しつつ、飯田さんとネタのセリフ合わせを小声でやる。(周りに聞こえるとこれまた大変なことになる内容なので)開場時間に会場にもどる。すでにDJさんがごりごりにプレイ中。今日は出演者全員女子というイベント。まずはテンテンコちゃんのライブ。テンコちゃんがソロでノイズプレイをしているのははじめて拝見。こんな可愛い子がこんなイカついノイズ出すんやってそのギャップに惚れる。ラストでは歌もうたっておられて、可愛いダンスつきで可愛かった。なんでもできる子だなあと感服。そして2番目が我らIKAZUGOKE。ライブハウスで、音楽のイベントで、殆ど音楽じゃなくしゃべりというわたしたち、シーンとなったらどうしようとおもったけど、お客さんたちは温かくてすごいどかんどかんウケてくださってありがたかった。ラストは本日の主役ニーハオ‼‼さん。実はわたし、大阪でまだ北紫子と名乗っていた時代に、ニーハオ‼‼さんと対バンしたことがあったのだけど、もう10年以上前のお話で、それから時を経て、ニーハオ‼‼さんは編成も変わり、フロントふたりが一緒にドラム叩きながら歌う、そしてメンバー4人ステージに横並びという色々見たことがない構成になっておられ、音楽はゴキゲンで最高だった。わたし、ライブ見ていても基本棒立ちで冷めた感じで見てしまうことが多いんだけど、ニーハオ‼‼ではすごい楽しくって踊ってしまった。いや〜めちゃくちゃかっこよかった。素晴らしい方に素晴らしいイベントに呼んでいただけてたいへん感激な夜でした。終わって地上に上がったら雨。やっぱり天気予報で夜雨ってなってたもん、と飯田さんにいう。そういえば「今日雨やで」とかわたしは普段から天気予報のことばっかり飯田さんによく言っていて、というのも、アイホンで一日に何回も天気予報を見ている。これは癖みたいなものである。あと電車の乗り換え検索。何回も乗り換え検索しては、何時何分発とか乗り換えは何番線とかそんなのばっかり調べている。これも癖、というか趣味。天気予報&乗換案内おばさん。足立区に帰って、魚民で軽く打ちあがる。春で歓送迎会の季節なのか、チャラい若者がいっぱいいて絡まれて鬱陶しかった。2時半頃帰宅。

3.24土
寝たのが朝だったからか、目は覚めてるのに身体がだるくて起き上がれない。布団でごろごろ。昼くらいにやっと起き出して、パソコンつけて原稿とにらめっこ。10000字ある原稿を4500字にしなくてはいけなくて、どう削ればいいか全く見当がつかなくて途方に暮れる。夜までにらめっこするも全然進まず。これ、仕上げられる気がしない。ああーーーーー! という気持ちで夜は池袋の新文芸坐に行って小林勇貴監督オールナイト上映へ。入ってすぐ、少し前にインタビューしてくださった某誌のHさんが見に来ておられてばったり会う。Hさんは昨日のIKAZUGOKEライブも来てくださってたのでお礼しつつ入場。一本目は『全員死刑』今回で見るの3回目だったけど、新文芸坐のでっかいスクリーンで見ると改めて爽快で気持ちよかった。このオールナイト上映、舞台挨拶が何回もあり(結局5回出てきた)小林監督と、ウメモトジンギ先輩をはじめとする俳優陣が4人と、プロデュ―サーの西村監督が始まる前にも終わった後にも何度も登場。中には酔っぱらってるでしょって人もいて楽し気。2本目『逆徒』から、同僚のH田くんが到着して一緒に見る。『逆徒』ははじめてみたのだけど、全員死刑とはまたがらっと芸風が変わって、終始暗くて富士の不良VS富士宮の不良の潰し合いなんだけど、ラストが意味不明とも摩訶不思議ともとれる謎の終わり方だった。監督曰くこれはホラーらしい。で、そこから3本目が『ヘドローバ』これはアップリンクで1回見たんだけど2回目でも十分楽しめた。スーパー銭湯の乱は相変わらず最高だった。ヘドローバ終わったのが4時頃で、監督たちがわらわら出てきて、謎のお歌の時間がはじまり、お客さんもみんな200人ぐらいでヘドローバ主題歌を歌った。なんだこの映画館。後にも先にもこんな上映はないでしょう。そこからラストは『孤高の遠吠』。新文芸坐の大画面で見ると、夜の絵がすごく綺麗だった。小林映画どの作品もそうなんだけど、音楽の付き方がかっこいい! 映像と一緒に音楽が迫ってくる感じ。これはたいへん勉強になるなあと思った。わたしも映画の音楽作らせてもらったりしているけど、なかなかここまで映像とともに迫っていけるような音楽って作れない。全部終わったら時刻は6時すぎ。映画館をでたら外が白くて朝。H田くんは仕事終わりなのに眠らずに全部見ていたらしい。楽しんでくれてよかった。H田くんは宇都宮の不良あがりの青年なのだけど、宇都宮不良事情を聞いていたらこっちもこっちで怖かった。H田くんもなかなかの体験をなさっていて慄く。北関東の不良もなかなか闇が深そう。おつかれさんといって駅で別れた。

3.25日
完全に朝帰り。7時半くらいに寝て10時すぎにゆうパックのおじさんに起こされた。寝起きでぼんやり出たらゆうパックの配達員、例のじろじろ見てくる、伝票の個人情報大きな声で読み上げてくるきもいおっさんで寝起きから最低な気持ちに。ああまじであの人クビにしてくれないやろうか。ていうか他の人から苦情が出ていないのやろうか。気持ち悪い。ゆうパックが届くたびにびびらないといけない。たまった洗濯物を洗って干して、特選小説の原稿の直しを送って、もう一個の原稿とにらめっこして一日が終わった。