10.2〜10.8日記

10.2月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。帰ってとある文章を書く書く書く。原稿用紙10枚分は書いた。まだ全然途中やけど、とりあえず疲れたから今日は終了。

10.3火
例の文章を書く書く書く、書きまくる。夜、どみゅーんの溺死ジャーナルイベントを見に行こうと思っていたのだけど、文章の方が止まらなくなって、書き終わるまで家出ません! とか思てたら、結局仕上がらずどみゅーんもいけず。でも配信は見ていた。溺死ジャーナルの最新号にわたしも寄稿さしていただいてるのだけど、あれは100名さまにだけに配られる前提で書いた、わたし内でも激しく危険領域のおはなし(あくまでフィクションとして!)を書いたので、ネットで、しかも試聴者の多いどみゅーんなんかで検証されだすとたいへまずい。だから結果的に現場にいたら赤面して死にたくなっていたであろう。。。 あ〜まじで怖ろしいことを亀吉さん、なんのためらいもなくやらはるわ〜、だからこそおもしろいし好きなのですが。カメキチミュージックフェア―の時間帯になるとネットがぶつぶつ切れだしてみる気がなくなり、でもシークレットゲストの靖子ちゃんだけは見た。これがプロか! と思い知らされた。靖子ちゃんはかっこいい。実はわたしは何度かお客さんから「北村さんも早く大森さんみたいにメジャー行って売れてくださいよ」とかってたぶん嫌味のつもりもなく言われたことがある。わたしは靖子ちゃんと昔はよく対バンさしてもらってたし、ツーマンして曲を変えっこして歌ったりもした。靖子ちゃんに対しては本当に純粋にリスペクトの気持ちしかない。だけどそもそもわたしと靖子ちゃんは弾き語りからはじまっているということぐらいしか共通点はないし、それも楽器が違うし、歌ってる内容も違えば、趣味も全然違う。わたしはアイドルは全然好きじゃない、相反しておっさんが好き。影響うけたものも全然違えば、活動のベクトルも全然違う。でも、心の底から靖子ちゃんはかっこいいとおもうし、尊敬している。そして、わたしは永久に靖子ちゃんのようにはなれないでしょう。勝ちか負けかでゆうたら、永久に負けのままでしょう。たまたま二十代のある時期、おなじ土壌で歌っていた、ということだけが同じで、そこから靖子ちゃんは自分の力で登りつめていかれている。わたしは昨今、もはや音楽の人かどうかもわからないようになっている。けれど、彼女がメジャー音楽という畑で勝負しておられる間に、わたしは怠けていたつもりはなくて、わたしはわたしでわたしにしかできないことを色々やっているつもりで、とりあえず止まっているつもりはない。そうは見えないかもしれないけれど、わたしはわたしでいつでもどの分野でも命がけな気持ちでやっている。もちろん靖子ちゃんだって命がけやろうとおもう。てゆうかみんな命がけやろう? と信じたいけど、実際は命かけんと保険ばっかかけて世を渡ってる人が成功する世の中かもしれへん。けどもそれでもわたしは命かけて地獄を見る人の方を尊敬する。なんの話でしたっけ。熱弁は向いてないからこのへんでやめますが、「北村さんも早く大森さんみたいにメジャー行って売れてくださいよ」といってきた奴の顔はもう忘れた。別にわたしはそいつに歯向かう気持ちも湧かなかったけど、デリカシーないやつはもっと大事なところで痛い目を見て立ち上がれないぐらいぼこぼこになってくださいと心底思いますし、嫌味やったらもっと下品に上手にゆえや。

10.4水
アップリンクで『ダンサー セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』というドキュメンタリー映画を見た。ひさしぶりに映画館で涙がとまらんようになって困った。ええ話みたいに一応なってるけど、これは全然きれいごとではない、バレエという危険なものの犠牲者たちの話やと思った。セルゲイ自身が何よりの犠牲者であるし、それによって引き裂かれた家族たちも全部犠牲者やと思う。なんでわたしなんかがそんなことをいうのかというと、セルゲイほどの天才ではないにしろ、バレエの犠牲者たちを間近で見てきたからで、そしてそれは未だに続いていて、なんならわたしもその犠牲者だからです。わたしのことは置いといて、なにより残酷なのはセルゲイ自身がまだ死んでなくて、死んでないどころがまだ27歳ぐらいで、人生まだまだ長いということ。それをこんな形で切り取って、世界中で上映されて、世界中の人々が感動しました、とかいっていたなら、なんて悪趣味な映画なんや! と思ってしまう。わたしも悪趣味ですが、これはつらすぎてつらすぎて見ていられなかった。だけどわざわざひとりで見に行ったのは、もしかしたらわたしの受けた犠牲のヒントがこの映画のどこかにあるのかもしれないと期待していたからなのかもしれない。目から水はたくさん出た。だけど、これは感動から来た水ではない。怒りのようなところから湧いた水やと思う。こんなん美談でもなんでもない。セルゲイはこれからも生きて行かないとあかんのやから。ずたずたでひとりぼっちで、それでも踊ること以外を組み込まれていない生き物は、どうやってこれから生きていくのやろう。残酷やけど、彼の刺青だらけの傷だらけの身体はマッチョ嫌いのわたしの目にも美しく映るのは確か。

10.5木
朝から普通に労働。特筆すべきことはない。ところで、IKAZUGOKEのアルバムのPVが出来ました!監督は飯田華子さん!撮影はスーサイドララバイでおなじみ、そして「わたしのライオン」のアートワークでもお世話になった市川力夫さん!危険区域でがんばって撮りました!見てください!

10.6金
昼間は、渋谷の美学校試写室で切通理作さんの初監督映画『青春夜話』のマスコミ試写に伺う。‛青春のやりなおし’というのがテーマの映画で、見た目はぱっとしない地味な男女が偶然街でばったり出会い、意気投合して夜の学校で色んなプレイをして遊ぶ、片やこの学校の用務員さんは残業で職員室に残っている女教師に花束を持っていって告白。夜の校舎を舞台にそれぞれが一度きりしかない夜を過ごす、という映画やったのやけど、切通さんのフェチズムがでまくりでおもしろかった。夜は高円寺円盤で、ペンペンズのモタコさんと黄倉未来くんとトンチさんの、放送も配信もしないラジオ番組「ラジオ菊次郎」のゲストにお邪魔。いや〜すげ〜おもしろかった!! 涙でるほど笑った! わたしはモタコさんは大阪時代にベアーズでライブ拝見したりしてて普通のファンだったので、そしてわたしの知る限りステージの上でのモタコさんは強烈なスター感が漲っている唯一無二な方やので、こんな気さくに、いや、気さくどころやない、こんな一緒にふざけてはしゃいでくださる方やと思ってなかったので感激。偶然、下のカレー屋さんにテニスコーツのおふたりがいて、さやさんが登場し、かなり豪華なメンツで、全員で変なセッション? というかフリースタイルラップ? みたいなのをやって遊んだ。そのあとも嫌いなバンドをディスったり、でもそんな嫌いなバンドもバンド名を一文字二文字変えたらおもしろくなるんちゃうって勝手に変なバンド名にして、その架空のバンドマンをモタコさんと未来くんが演じだして、なんかわからんけど未来くんはずっとミノ(ホルモンの)をくちゃくちゃ噛んでいるというわけがわからない設定で、とにかく3時間半ぐらいずっとはしゃいでいた。全員関西出身ということもあり(未来くんは出身は北海道やけど大学時代京都にいたらしい)もうノリが完全に関西で、てゆうかここベアーズの楽屋なん? て感じで、めっちゃおもしろかった。これは絶対放送も配信も出来ない内容やから、もっとみんな見に来ればいいのに! ペンペンズのファンとかいっぱいおるやろ! ライブでは見せへんモタコさんがいっぱい見れるのに! もったいないで〜と思った。さんざんはしゃぎ散らしてたらきずいたら11時半くらいになっており、まだまだはしゃげるけどそろそろ終電がって感じで終了して帰った。帰り道でも色々思い出し笑いしそうで危険やった。

10.7土
昼イチに飯田さんと御茶ノ水明大の紅テント前で待ち合わせて、今日は唐組の秋公演「動物園が消える日」初日! チケット引き換えて、久保井さんに綾瀬のからあげを差し入れにお渡しし、飯田さんと神保町の方へいって、喫茶さぼうるで3時から某誌のインタビュー。インタビュー以外にも台割をもらって特集のラフ案ももらって、これはこの雑誌は我らIKAZUGOKEにとってかなり貴重なものになるでしょう。意外とはやくにインタビューは終わっておつかれさまっと店を出て、飯田さんとドトールで、レコ発ライブや後家新聞の相談した。それから夜は明大裏の紅テントで、唐組の公演を最前列のかぶりつきで見た。今回の出し物「動物園が消える日」は、にぎやかなどんちゃん芝居にも成りかねない、部分的には大人数でどんちゃんするんだけど、しっかり泣かしにかかってくるお芝居で、久保井さんと藤井さんの関係性がめっちゃせつなくて、うるっときた。どちらもあの役は若いぴちぴち俳優には絶対出来ない、このお二人やから沁みる、観客はドラマチックな背景を色々想像して泣けるんやなあと思った。このおはなしは、もう閉園する動物園の飼育係たちやもぎりの女の子たちの物語で、一度も登場しないカバのドリちゃんについてみんなで語っていて、実際には登場しないのに、みんなのお芝居で本当にドリちゃんが見えてきて、いや、あの舞台の上に確かにドリちゃんはいたね! それからこれはわたしが今までに見た唐組さんのお芝居だいたい全般についていえることやけど、ブルーカラーとホワイトカラーの戦いがいつもあるなあ。そういうところも好き。わたしは社会ではたぶんブルーカラーよりの人間やから、そういった人たちの讃歌をいつも演ってくれる唐組が好き。あ〜何回も見たいけどこの秋はわたしもなんやかやですごい忙しくて、来週末は軽井沢の山小屋合宿やし、その次の週末は大阪ライブ。次はいつこれるかな〜。足立区に帰って、安い中華屋で飯田さんとまた会議。IKAZUGOKEは遊んでるだけのように見えて、結構ミーチングにミーチングを重ねて作っているのやで。

10.8日
昼からひさしぶりにC子せんせいと花代さんとやるお芝居の稽古。本番は大幅に延期になったのだけど、実は来週末から軽井沢の山小屋へ合宿に行って、その最終日に山梨のトラックスというところで開催中の花代さんの展覧会のクロージングパーティで「灰色エチュード」という出し物をやるのです。でもエチュードなので、カッチリ台本があるわけではなくって、しかもおしゃべりは禁止の身体表現でのエチュードなので、たいへんむずかしい。今日は衣装合わせ? というかみんなで灰色の洋服を持ち寄って着せ替えっ子しながら色々やって衣装が決まった。わたしは灰色の洋服というのをそもそも殆ど持っていなく、灰色でも大きいうさぎさんがついてたりして使えるやつはなかった。C子せんせいのワンピースを借りることになった。衣装が決まったあとは、今日もエチュードをたくさんやった。たくさんやったけど、なんかを掴めたような実感はなく、不安は募る。何が不安って、わたしは声を出せないことが不安なのやということに気が付いた。でも最後にちょっとだけ歌も歌うエチュードをやって、そしたらその回は急激にたのしかった。わたしは声が出せないことが不安なのらしかった。そもそも身体つきに自信がないし、痛い場所もあるから人より耐性がない。それにダンスもIKAZUGOKEとかの面白い踊りやったら色々おもいつくけれど、オモシロに走ってはならない場面でどう動いたらいいんか、考えても出てこない。考えるから出てこないのかもしれない。合宿の中の稽古で、何かしら答えがでるのかなあ。お稽古のあとはS井さんとベローチェで北村公式サイトの会議。アイホンの使い方まで色々レクチャーしていただいた。わたしは全然アイホンを使いこなせていない。。。ところでこのベローチェ、後ろに変なカップルがいて、なんかずっと身体を触り合っている、堂々と、触り合ってるというか、揉み合っている? 感じ。あらあら若いカップルがお熱くなっちゃって、とか思ってたら、帰りしな顔を見たら明らかに男女とも中年であった。。。びびりますね〜といいながら、渋谷駅までS井さんと歩いてたら、今度は道端で堂々と抱き合って抱きしめあって離れないカップルがいた。みんな自由なこと。更に歩道橋を歩いてたら、早くもハロウィンみたいなコスプレして自撮り棒で撮影しながら(配信もしてるんかも)歩いてるアホどもがいて、歩道橋の下からは別のやかましいウーハー音が聞こえてきて、見たらイルミネーションみたいなのを巻き付けたバイクを先頭に、後ろの変な車を連れて行進していた。日本人アホばっかりである。