2.27〜3.5日記

2.27月
朝から普通に労働。出勤前に某案件の情報解禁の件で、K賀さんに相談メール。すぐお返事&対応くださって、しかしオトナの世界はそんな単純明快ではないので、逆に面倒なお仕事を増やしてしまって申し訳ない気持ちに。その他には特筆すべきことはなし。

2.28火
朝から普通に労働。帰りに村上春樹の新刊を買う。わたしは春樹の小説、決して好きではない、だいたい登場人物どいつもこいつもいつもむかつくし読んでて絶対イライラする、そのくせに毎回新刊が出るとちゃんと定価で買って読んでしまう、要するに春樹の良いカモなのであーる。今回も買ってしまった。くそう。帰って、夜はメルマガの原稿と最後までにらめっこ。一旦もう編集M井さんに出してはいたのやけど、なんかずっと、腑におちひんところがあって、最後の最後まで悩んでしまい、最終的に人称ををごろっと変えた。でもそれによって自分ではよしって感じになった。とはいえ、そんな細かいとこまで読んでくれてる人がいらっしゃるかわからんし、そもそも1円にもならない仕事なんですけどね。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

3.1水
今日は映画の日かー。ひさしぶりに映画見にいこう計画を立て、まずは昼からテアトル新宿富田克也監督『バンコクナイツ』を見た。3時間越えでめちゃ長かった。けど全くたるくはならない、ギンギンギラギラ褐色の肌とどぎついメイクの極彩色の娼婦のおねえちゃんたちと、元自衛官役の男前(富田監督自身が熱演)がセックス、暴力、裏社会な感じで全然飽きなかった。まずバンコクの娼館の絵から結構衝撃的やって、ソファーが並んだ狭い部屋に煌びやかなオネエチャンたちがぎゅって並んでて、「おにーさん、おにーさん♡」とかカタコトでそれぞれ自分をアピールしてて、それを男どもは生で見て品定めしていくっていうものすごい露骨なシステムで、日本の風俗って一応パネルとかで選ぶでしょ! 飛田とかの遊郭だって、「おにーさんおにーさん」て呼び込みしてるのは女の子じゃなくて客引きのおばはんやし。うわ〜とその時点で結構衝撃やった。富田克也監督は前作(前々作?)『サウダーヂ』もとっても素晴らしかって、『サウダーヂ』は肉体労働しながらHIPHOPをしているラッパーの男の物語って感じやったけど、今回は女の肉体労働者の物語って感じで、一貫して肉体で労働している人間が焦点の作品やのでわたしはやっぱり好きやなあ〜と思った。しかもこの富田監督とチーム空族って、制作から配給まで自分らで全部やってる自主なんよな! すごくないですかこれ! こんな規模のもんを自主でやってのけるって、あっちでかなり長期滞在して作ってはるわけやし、その間の生活とかどないなってるん? どでかい会社やスポンサーがバックについてるわけでもないのに、とか余計なことまで考えちゃうけど、菊池成孔が個人的になんぼか出資したという話は胸アツだったね! 映画の日ということもあるんやろうけど、立ち見までいる大盛況やった。3時間超えを立ち見で見るのはなかなかきついと思うけど(しかもお客の年齢層結構高かった)、そうしてでも見たいのが納得できる力作やった。終わった後、しばしベローチェで余韻に浸りながら、かばんには春樹が入ってるけど、あまりにも世界が違う話やから開く気にならなくてぼんやりして、夜はKsシネマに今泉力哉監督の『退屈な日々にさようならを』を見に行った。さっきのバンコクナイツの原色・褐色の世界とは正反対の、パステルカラーが似合う色白で髪がふんわりしててナチュラルメイクの日本のかわいこちゃんたちがいっぱい出てくるのが今泉さんの作品の傾向やけど、でもこんなけかわいこちゃんいっぱい出してるけど、実は主役はいつも徹底して男で、今泉さんが描きたいのは男の物語なんやなあとか思った。でも、かわいこちゃんを柔らかいタッチでかわいく撮らしたらピカイチなのも事実で、今回も殆どのキャストはワークショップで決めたらしいけど、今泉さんにかわいく撮ってもらいたい女子は後を絶たないのであろう。わたしも一応2012年にムージックラボって企画もんの一環の『nico』て映画で撮っていただいたのやけど、でもわたし級にブスやと今泉マジックにかかってもブスやったよ。て、これは自分の醜形恐怖の病のせいかな、客観的にはかわいく映ってたのかな? わからん。今泉さんはそんな、淡い色味とふんわりタッチで女子ウケしそうな芸風と思われがちやけど、実はかなりゲスやと踏んでいて(←これ誉め言葉ね)自虐と卑屈の今泉印とわたしはこっそり呼んでいる(←これも褒めている)そういった部分が好きです。マヒトゥーの劇伴音楽もよかったなあ勉強になった。終わって電気ついて立ち上がったら、客席に同い年の女優のN山M来ちゃんがいた。N山さんは今日は映画3本立てしているらしく、最後の一本へ足早に向かって行かれました。映画の日は勉強家の映画関係者によく映画館でばったり会う。

3.2木
雨。ひさしぶりに赤い長靴でおでかけ。今日はK蔵Y子さんとデートなのであーる。今日もまずは映画。武蔵野館でグザヴィエ・ドランたかが世界の終わり』を見た。Mちゃんの影響でドラン好きやし、今回もおもしろかったはずやのに、せやのに、わたしは何故かラスト寝てしまった! ガーン! 映画に罪は全くなくて、わたしが不眠症で夜寝れないくせに、電車の中とか映画館の椅子とかやとすやすや寝れてしまう傾向があり、特に新装開店した武蔵野館の椅子が気持ちよくて快適すぎただけです! K蔵さんの横で恥ずかしかった&すいませんって気持ちやった。最後大事な部分寝てしまったのでなんの感想も言える資格がありません! ああ! 映画終わって、らんぶるでコーヒー飲みながらおしゃべり。わたしもともとK蔵さんの写真集持っててファンで、俳優K子さんと仲良しだそうでわたしがはじめて出たお芝居を見に来てくださってて、それから去年の『女中たち』も来てくださってたり、ほんで今年年明けに撮ったK蔵さんの初の映画監督作品に役者として声かけていただいて出演させていただいて、そんなご縁でこうやってデートしてもらえるなんてもともとファンなのできゃ〜って感じやった。K蔵さんは写真集や文章でもしっかり描いてらっしゃるけれど、女としての生き様がとてもかっこよくって、わたしはついつい女子的な相談に乗っていただいたりしたら、とても心強い言葉をいただいて、自分の卑屈っぷりを心底反省しました。その後、K蔵さんと伊勢丹へ。わたし伊勢丹は誰かへの差し入れとかでデパ地下部分に行ったことぐらいしかなかったのやけど、はじめてちゃんと婦人服フロアに登った! さすが伊勢丹、可愛い上等の洋服がいっぱいあった!(当たり前)K蔵さんがご試着中、ぷらぷら高級ブティック見てたら、どう見ても地下足袋がショーケースに乗ってて、それも婦人物の。地下足袋が最新ファッションなんですか!? びっくりした! でも伊勢丹地下足袋は16万円の値札がついてました。こわい! 伊勢丹を出て、K蔵さんと天ぷら屋さんに入って晩御飯を食べた。わたし、目の前で揚げてくれる天ぷら屋さん、生まれてはじめて入った! そして、わたしエビを今まで毛嫌いしておりましたが、天ぷらやったら食べられた! 意外とおいしかった! この天ぷら屋さん、そこそこ高級な感じのお店なのに、ごはんとお茶と大根おろしを無限にわんこそば方式で持ってきてくださるサービス。とはいえ白いごはん苦手なので残しちゃったけど、大根おろしもいっぱい食べたし、天ぷらもいっぱい食べたらとっても満腹になった。K蔵さんと色んなお話をした。色んな意味で、センパイ! と呼びたくなるかっこよくて美人でぶっ飛んでておもしろい、素敵なおねえさんが出来た気持ち。うれしい。生きてたいいこともあるなあと実感。雨だけど一日たのしいデートやった。

3.3金
朝から普通に労働。なんか映画関係者さんがたくさん来店する日やった。帰りに紀伊國屋で『騎士団長殺し』の下巻を買った、わたしは春樹のカモなので。たぶん今晩か明日あたりに上巻終わるので。帰って漬物かじりながら、読む。わたしの春樹の嫌いなところ、根本的にベーシックがかっこつけなのがまず腹立たしく、だいたいこれといって労働もしていないのに何故かそこそこいい暮らしをしてたり、離婚したてでハートブレイク中と見せかけて、手ごろな女といちゃこらしていたり、そしてその女たちはだいたいちょっとみんな心を病んでいて、でも性欲はすごい、みたいなメンヘラの典型みたいな女で、あとやたらにジャズ音楽とかオペラとか文学や美術やおゲージュツ、オシャンティな記号ばっかり出してくるやん。あー苛々する!! ほんなら読むなやって感じですが、あかんねんでも読むねん! わたしは春樹のカモやから。ほんでまだ高値がつく時期に早々にブッ〇オフに叩き売ったるねん! そういうプレイをしてるねんいつも! ねえ、ほんまにみんな春樹が好きなの? えっそれ本気で好きなの? ギャグじゃなくて?

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

3.4土
この土日はミュージシャン気取るぜって決めて、家で曲作り。こたつに電子ピアノ置いて、その上にカシオトーン置いて、タスカムレコーダーにちんぽで繋いで、これでこたつに居ながらにして曲作りが出来る。I田さんとやる宿題の曲を作るつもりやったのやけど、想定外の全然違うまぬけなラップを思いついてしまい、乗ってきたのでそっちを歌詞書くところからはじめて作った。ださいラップもまじめに作るのは楽しい。早速I田さんに送る。それからとある映画について書いた文章をその映画のパンフに載せてもらえることになり、それ用に文を推敲して送った。あとは苛々しながら春樹の続きを読んだ。

3.5日
眠れないので夜中にネットで確定申告についてちょっと勉強して、朝から支払調書とか領収書をかき集めて計算計算計算。すると恐ろしいことが発覚した。わたし、一応ちゃんと労働も行ってるし、家でも文とか書いて、去年からはちょっとお金になる連載とかもいただけるようになったりしてて、せやのに、計算すると年収の1/4が医療費という結果がはじき出された! 年間医療費およそ40万円(3割負担でこの額)、となるとわたしの年収も自然とバレますが、一応これでも、全然裕福ではないけど、好きな本買ったり(嫌いな春樹まで買ったり)映画見たり、友達(I田さんしかおらんけど)と楽しく朝まで飲んだりできるし、一応問題なく暮らせている。安上がりな女でよかった。いやよかったのかな? なんか、医療費のために働いている=医療費のために生きてるんかなわたし、とか思ったら生きていく気力が失せてきて堕ちた。そんなタイミングであれですが、急遽5日後の3月10日金曜日に、渋谷のサラヴァ東京というグランドピアノがあるオシャンティなところで流しをやることになりました。『ソワレとゴクミの音楽居酒屋』て企画の中で、スペシャル流しとして歌いに行きます。チャージはお通し代500円のみで、あとは飲み代と、わたしへの投げ銭にぎりしめて、フライデーナイトふらっと遊びにきてください。医療費貧乏のわたしに銭投げにきて〜(切実)