1.23〜29日記

1.23月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。

1.24火
朝から普通に労働。I田さんが一昨日貸した『夫のちんぽが入らない』を早速読んでくれてブログに感想文まで書いてくれていて、おなじ本を読んでも観点が違うなあと色々おもしろい。ちょうど次号の特選小説連載の原稿の件で、担当編集O高さんと、イラスト担当I田さんとでメールやりとりしていて、O高さんが、そういえば『夫ちん』読みましたよ! と興奮気味に書いておられて、そこから3人でものすごく踏み込んだ性の話で盛り上がる。わたしはこだまさんの夫さんの情けない感じがちょっとイラっとする部分があったのやけど、ふたりはわりと夫さんの気持ちもわかるという感じで寛大。ほかにもかなり踏み込んだ、というかわたしがなんでも包み隠さず綴っているように見えるんであろうこの日記にも書けないレベルの性の話で熱い三者メールが弾む弾む。(ちゃんと連載コラムのやりとりもしています)

1.25水
実は心配事があって気持ちが沈んでいる。けどそれはこんなところにぶちまける話でもない。昼から渋谷の映画美学校試写室で守屋文雄監督の映画『まんが島』のマスコミ試写会に伺う。わたしはマスコミの人間ではないのであんまり試写にお声かけていただけることもないのやけど、この『まんが島』は宣伝のH谷さんにもメールいただいて、それから偶然労働中にこの『まんが島』会議をしている役者さんたちに遭遇して試写状をいただいたりしてて興味深々やったのやけど、いやはや素晴らしかった! 待ってました〜という感じの映画やった。髭も髪も伸び切った汗臭くて泥臭いおっさんたちがこれでもかってぐらい肉迫してくる107分、たいへん元気が出た! おっさんたちは無人島で、蛇やヤギに原稿汚されたり食われたり身体も噛まれたり、食べ物もないし紙も墨汁もなくなって、石を叩いて削って煮て墨汁を手作りするという原始人のような暮らしをしながら、命がけで漫画を描いている! その漫画執筆シーンの迫力というか臨場感もすごかったし、おっさんたちは汚いのにすごいまばゆく輝いていて、人生を棒に振ってでもやらないといけないことがある! と信じて疑わないそのまなざし、情熱、ああ、わたしには全部ないけどすごくまぶしくて、これはきっと男の子にしかないものなのやろうって羨ましくもあって、この興奮は30日夕方発行の北村早樹子メルマガ(http://www.mag2.com/m/0001664038.html)でこってり書くので、そちらをお楽しみにです。映画は3月25日新宿ケイズシネマから公開はじまるそうです。予告編↓

1.26木
『まんが島』に元気もらったはずが、朝から心身ともにあかん。痛い痛い病が左手にどーんと出てお薬もなかなか効かないし、ひさしぶりに頭痛もぎんぎんやしどうしてくれよう、うーんって電車を何本も遅らせてこれ以上遅いのに乗ったら遅刻っていうぎりちょんのやつに乗って労働へ。痛いわ〜ってでも出勤してみるとそんなんもゆってられず、新人さんとタッグでランチのラッシュを乗り切らないとあかんという試練。いや〜がんばった、わたしがんばったで。よぼよぼと帰宅して、頭痛をとばすために寝たろと思うも寝転んでいても眠れず。起きてメルマガの原稿を書いたり、くたばったりしながら、夜、やっぱり眠れず。ひさしぶりに3時ごろ、深夜徘徊に出る。めっちゃ寒いけどどうせ家の中も寒いし布団かぶってても寒い。でも拘置所のまわりを歩きながら、独房はもっと寒いんかな、布団もぺらいやろうし、塀の中坂口弘さまも眠れぬ夜を過ごしているかもしれへん、とか思って、あと麻原も、木嶋佳苗ちゃんはきっと男から差し入れられた良い毛布にくるまってるやろうからよく寝てることでしょう。そんなことを思いながら、しかしこの辺はこの時間、誰もおらへんしほんまに真っ暗。ちょっとわたしですら怖い感じ。びびりながら帰った。

1.27金
メルマガ用の原稿二種をしこしこ書く。結構はかどる。曲も作ろうかとピアノ触ったけどあんまり乗らなくてあかん兆しやったのであきらめる。最近漬物にはまってて、元から漬物は好きやねんけど、スーパー行ったら漬物コーナーで目がランランになって散財し、常に冷蔵庫にタッパ3つ分くらいストックしている。去年までは一人の時はお菓子ばっかり食べてたけど、今年からは漬物ばっかり食べる予感。大根1本分とか一回で平らげてしまうからね。塩分すごそうやけど、お菓子ばっかり食べるよりはましかな? 一応野菜でしょ。自分で漬けたりした方が経済的やったりするんかもしれんけど、ぬか床とか育てられる気がしないし、市販のやつの方がケミカルな何かしらのうま味成分がきいててやっぱりおいしいし。眠れぬ夜に漬物をかじってyoutube見るという腐った夜の過ごし方をしている。すごい気になるyoutuberを発見し、自らを金髪の異端児と名乗っている、自意識過剰の兄ちゃんなのやけど、わたしの好きな西成の、ずっと気になってるけど潜入する勇気はなかった場所にがんがん潜入していってて、某キチ〇イ教会の日曜礼拝とか、無料シェルターとか、炊き出しに並んでおかゆたべたり、釜ヶ崎相撲大会に出たり、空き缶拾いしたり、活動はなかなかおもしろくて、でもいかんせん喋りがめっちゃチャラいギャル男な感じでむかつく、見れば見るほどイライラする、のやけどなんか見てしまう、というスパイラルに陥って、夜な夜な漬物かじりながら見ています。ああ腐ってるねわたし☆

1.28土
お昼に池袋でC子せんせいと待ち合わせして、デパ地下へ。今日は最近ご出産した漫画家DショックT下さんのおうちへこんにちは赤ちゃんをしにいくので、お乳によさそうなお土産をふたりで選ぶ。調べてみると授乳中のお母さんはお乳が詰まるから食べられないものが結構あるみたいで、バターや生クリームなどの油分はよくないからケーキとかは×、もち米あかんから和菓子もむずい、とかで悩んだ挙句、ちょっと高級そうなドレッシングとジャムを購入。それから綺麗なフルーツゼリーも買って、C子せんせいはお寿司も買って、西武池袋線に乗る。某駅でおりてとことこ歩いて、Dさんちに到着。ちょうどお風呂上りにお乳をあげているところやった。赤ちゃん、小さい! まだ生後10日なのに、髪の毛がすんごいふさふさ。髪の毛だけじゃなく、背な毛もふさふさで可愛い。知らんかったけど赤ちゃんは生まれたての時は背な毛とか結構色んなところに産毛がしっかり茂っているらしい。そして次第に抜けるらしい。どうでもいいけどわたしはもう三十路ですが結構背な毛があって、というか20代後半くらいから突然背な毛が濃くなって、しかも抜けていかないし、結構コンプレックスなのです。赤ちゃんはとっても大人しくて、どきどきしながら「大阪のおばちゃんですよ〜」とか言いながら抱っこさしてもらった。赤ちゃん、あったかい! Dさんから妊娠中のおはなしや出産時のおはなしを聞いたりしつつ、でも結構ひさしぶりに会ったけどDさんは赤ちゃん産む前も、産んだ後も、変わらず今までの面白くてかっこいいDさんのままでなんだか安心した。数か月前にM下Kみさんちにこんにちわ赤ちゃんしに行ったときも、Kみさんは以前と変わらずいつものKみさんのままでとっても自然に母親をしていて、そうか、わたしのまわりのかっこいいおねえさんは、自然現象として孕み、産み、育てていらっしゃるんやなあと思うと、自分がこんな、「産まず嫁がずのIKAZUGOKEです☆」とか名乗ってるのがちょっと恥ずかしくなった。けど、わたしはきっとこれからもIKAZUGOKEでしょう。Dさんが搾乳をするところを見せてくれて、搾乳というのは搾乳機というちょっとオトナのオモチャ感のあるお乳搾りマシンをおっぱいに装着し、哺乳瓶にためていくことで、搾乳前・搾乳後のお乳まで触らせてくれて、すごくパンパンやったおっぱいが、搾乳後はふわふわのやわらかおっぱいになってて、すごーっと感動した。ところでDさんは昔、牧場で牛の搾乳をするバイトをしていたらしいです。にゃんこのフジくん(実は写真集デビューもしている)にもはじめてご対面。とても凛々しい顔立ちで、身体がとっても長かった。4時間ぐらいおしゃべりして帰路。

1.29日
昼にI田さんと一緒に高円寺円盤へ。T口さんのところへ行って今年出る本の特殊装丁のミニチュア本を見せてもらい、文字稿のゲラをいただく。わ〜ミニチュアでみると可愛い! これは本当に形からすごくおもしろい本! もう堂々と発表してもいいらしいので書きますが、3月25日についに出ます! 飯田華子・北村早樹子 共著の小説『裸の村』(リクロ舎)。呪いの歌のCD付です。去年飯田さんと往復書簡のように書きっこしていた小説がついにやっと、出まーす! 装丁は本当に超特殊版(T口さんが長年あたためていた企画らしい)で見たことがない形の本だと思います。中身もきっとおもしろいはず! わたしたち自分で作ったお話なのに、書きあがったあとふたりとも魘されたり金縛りにあったりして、ホラーってわけではないのやけどちょっと本当に怖いお話です。乞うご期待!! 円盤を出て、いや〜やっと出るね、うれしいね〜ってことで近くのタイ料理屋さんにぷらっと入って乾杯。タイのおでんを食べた。不思議な味やった。『夫ちん』の話などもしたりして2時間ぐらいおしゃべりし、もっとしゃべりたいことはあったけどわたしは夜渋谷に行かねばやったので今日は泣く泣くお別れ。夜は渋谷の映画美学校試写室(今週来るの二回目)で去年劇伴音楽&主題歌を作らせてもらった映画『息衝く』の関係者初号試写会に行った。上映前からなんかすごい緊張感で、これから深刻な裁判でもはじまるんですか……って感じのピリピリした雰囲気。木村文洋監督がいつもの上ずった声で「どうも、監督の木村です」と挨拶。(知ってるよ! 全員関係者やねんから!と心の中でツッコむ。)上映時間130分。なかなかに長い一大巨編やな〜と改めて思った。音楽作る上でDVDで見ていたときと全然印象が変わった(実際編集で変わってるからもあるんやけど)ものすごく登場人物が多くてそれぞれにドラマがありまくりの群像劇なのやけど、寺十吾さんだけ別格で出てきた瞬間に見てる者みんなの心をわしづかんでいくあの存在感、すげーと思った。そして笑いの出る感じの映画ではないと思ってたんやけど、寺十さんのところですごく笑いが起きていた。わたしも声出して笑った。あと最後の直前の衝撃の展開も笑っちゃいけないの? て感じやけど声出して笑ってしまった。劇伴曲は、去年の秋千本ノックばりに作ってはボツ作ってはボツで絞りに絞ってレコーデイングした曲たち、の結局使われてたのはさらにその半分ぐらいやって、あっれれ〜という気持ちもあったけど、まあ監督の判断ならしょうがない。なにはともあれ、無事8年がかり?ぐらいの映画が出来上がってよかったね、てことでみんなで打ち上げへ。主演3人も寺十さんもいなくて残念やったけど、西山真来ちゃん(前作『へばの』の主演で今作も出ている、しかもわたしと同い年)と久しぶりにあっておしゃべりできてうれしかった。撮影のT橋さんやプロデュ―サーK原さんと裏話がおもしかった。川瀬陽太さん(やり手やけど嫌味な政治家役)とも最後おしゃべりできてうれしかった。終電で帰宅。