12.12〜18日記

12.12月
9時半に3泊とまったドヤを出て、荷物だけちょっと預かってもらい、飯田さんと二人で天下茶屋の方へ繰り出す。一昨日アオツキ書房の店主から教えてもらった喫茶なかのというところに行きたくて、天下茶屋にきたのはいいけど、ガーン、まだ開いてない! ちょっと待てば開くかなあと思って天下茶屋の町を飯田さんとふたりで散歩する。天下茶屋、西成からほんの一駅の場所やけど、ちゃんと来たのは生まれてはじめて、しかしお散歩してみるとすごくいいところで、小さい商店街も可愛い看板がついてて、昔ながらのオモチャ屋さんがあったり、喫茶店もたくさんあって、西成区ではあるから西成感はちゃんとあるんやけど、釜ヶ崎ほど強烈ではなくてもちょっと牧歌的な感じ、大阪で住むならこの天下茶屋、いいかも! ちょうどいい! と、「もしもここに引っ越して来たら…ぽわぽわぽわぽわわわん…」シリーズで勝手にシュミレーションして遊ぶ。喫茶なかのは13時まであかないことが発覚したので、あきらめてチンチン電車の出口にあった「コーヒールンバ」に入ってモーニング。飯田さんはホットドックモーニングわたしはチーズトーストモーニング、真っ赤なお子様ランチみたいなプレートに乗ってきて可愛かった。常連と思しきおばちゃんとママさんの会話がおもしろくて「虫歯でえらい歯ぁ腫れて顔もこないなって恥ずかしからしばらく来れなんでん」「虫歯こわいなあ、わたしも歯間ハブラシはめて綺麗にするやろ、でもそれがこないだ歯に刺さってもうて、それが虫歯でしてん」みたいな、まあ普通の会話といえば普通の会話やねんけど、それを大きな声でやってはるからいちいちおもしろい。ちなみに歯腫れてたというおばちゃんは限りになくスキンヘッドに近いほぼ坊主頭でした。喫茶店を出て、ドヤへ引き返しがてら散歩しながら歩く。変な謎のお店が多くて、あと肉屋の看板もイカれてて(下の思い出のアルバムにいくつか載せた)ほんまにこの町気に入った。ドヤへ荷物を取りに行く道中、横断歩道の真ん中へんで見ず知らずのおっさんが突然わたしの隣で「しゃぶい〜」と大きな声で叫んで、胸きゅん。すると信号の先では地べたに座った一服中のねえちゃんがものっそいメンチ切ってきて、こえええ! 西成はおもしろい町やけど殺伐とした怖い町でもある。なんばから近鉄特急、今日は愛知高蔵寺でライブ! アーバンライナーに乗って2時間ちょい。大阪〜名古屋間は意外とあっちゅう間。名古屋について、入り時間までちょっと時間あったので、ごはん屋さんへ入る。きしめんとミニ味噌カツ丼セットみたいな欲張りセットを頼む。きしめんのお汁をほぼ全飲みしたら飯田さんに引かれた。味噌カツ丼は上の部分だけ食べてごはんまるごと残しちゃった。まんぷくでJRに乗り換え、30分ちょい、高蔵寺、本日の会場カフェ花音に着く、やいなや、マスターのお子さんRちゃんが大きな声で出迎えてくれて、ずっと走り回って歌いまわって本当に元気でおてんばな女の子。来月で2歳とのことでまだ1歳やのに、マイクもって歌うし、ギターもべちべち触っててもうすっかりミュージシャン。やんちゃに走り回ってたのやけど、そろそろわたしたちのリハって時間になっても走り回ってるので、マスターに「こらっ」と叱られ、そしたら、急に下を向いて、おへその両手をあててフリーズ、反省のポーズで黙る。たぶん泣きそうになるのを我慢してるポーズなんやけど、これがめっちゃ健気で可愛くて心臓ぎゅんっとなった。音のバランス問題でちょっと難航したけど無事リハもを終わり、準備して本番。昨日の西成の客層とは180度違う感じで、すごく穏やかでほっこりした紳士的な方ばかり(女性はゼロやった)、しかもマスターの奥様やRちゃんもいる中で、我らのネタは家族的なものを真っ向から否定して下ネタにしてるものばかりなので、やっててなかなかきつかった。けど温かく見守っていただいて、なんとか終了。コントDVDも買っていただけてうれしかった。会場でまかない晩御飯をごちそうになり、今日はわたし三食しっかり食べたからずっと満腹や。しかしツアー中一回もうんちが出ていない! なのでそろそろ腹部がパンパン。片づけて泊めていただく2階のゲストハウス部分に移動して、飯田さんはもうちょっとビールを飲んで、ふたりで2時ぐらいまでおしゃべりして、布団を並べて寝た。

12.13火
飯田さんはとっても気持ちよさそうによく眠っており、わたしは2時間でおめめぱっちり冷めちゃったので、シャワー浴びて、パソコン開けてちょっと特選小説連載を書き始める。半分くらい書いて筆が止まり、だらだら本読んだりゴロゴロしてたら9時、飯田さんを起こす。帰る用意をしてたら、外は雨! ガーン! 雨具をもってなかったので、前のドラッグストアでビニール傘をおっきなゴミ袋を買って、飯田さんは紙芝居を梱包。これでいよいよ段ボール集めのおっさんに近づいた笑 しかし梱包し終わて外に出ると雨はほぼやんでいた。マスターにご挨拶して、名古屋駅へ。おみやげと駅弁を買って、ぷらっとこだまに乗車。飯田さんと旅を振り返りながら、しかし途中でさすがに疲れたのかうたたねしてしまった。夕方東京に着き、5日ぶりの足立区。西成がたのしいとはいえ、やっぱり帰る場所はわたしはもう東京で、今はこの足立区のアパートやなあと思った。IKAZUGOKEツアー、ほんとに終始たのしい良い旅やった。各会場お越し下さったみなさま本当にありがとうございました。

12.14水
たまった洗濯物を干して、トランクを片づけて、夜、ちょっととあるオーディションにお声かけていただいてそれに行った。わたしはオーディションてもの自体やったことがないので、スリーサイズとか書いたエントリーシート持って、カメラの前で「北村早樹子、31歳です」とか自己紹介するのも全部が初体験でなかなかおもしろ体験やった。 

12.15木
朝から普通に労働。一緒に働いてるおじいちゃんが昨日68歳の誕生日やったので、ワンカップをプレゼント☆ このおじいちゃんは68歳やのに、もうこの1年ぐらいずっと週6で毎日10時間ぐらい働いててほんまにすごい。えらいおじいちゃんや。ところで天下茶屋に引っ越し妄想が止まらなくて、気が付いたらネットで天下茶屋の物件検索して遊んでいる。飯田さんに、「サクセスしてお金持ちになったら、ドヤひと部屋借りて別荘にしたいわ〜ほんで時々缶詰的にこもりにくるねん。最高じゃない?」とかゆうてたのやけど、家賃4万とかで天下茶屋なら風呂トイレ付きで部屋も二つあるようなアパート借りられるから、天下茶屋に別荘説も悪くないわね。

12.16金
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。帰りに、2017年のノンタンの手帳を買った。ノンタンの絵本の装丁とすごいそっくりで一目ぼれした。2017年は32歳で本厄やので、手帳で気分だけでもハッピーになりたいね☆ 楽しい予定が増えますように。帰って、特選小説の連載の続きを書く。

12.17土
朝、特選小説の原稿を編集O高さんに送って、昼から目黒の元競馬場のあたりにある六家道具商店という家具屋さんへお芝居を見に行く。目黒、6年ぐらい前に半年ほど住んでいた時期があって、ちょっと懐かしい。六家道具商店は古い日本家屋の二階にオシャレ家具の展示兼販売もしていて、その家具を舞台美術に、客席の椅子も商品って感じでそのまま家具屋さんがお芝居の会場に。演出の木村健三さんはこういう変わったところで場所ごとおもしろい演出をしはる。小林麻子さん、金子清文さんという、わたしが初めて演劇をやったときにご一緒させていただいた先輩役者さんがメインで、金子さんは今年『女中たち』でもご一緒にさせてもらっていたし、大好きな役者さんたち。お芝居の内容は『欲望という名の電車』が元になっているそうで、アメリカの話やのに、麻子さんと金子さんがやるとすごく親しみやすいお芝居になってて、翻訳劇って言葉が入ってこなくなりがちでむつかしい(『女中たち』をやってみて痛感した)のやけど、やっぱりこのお二人はお上手やなあ。金子さんは女中たちのときに引き続き、またしても女形! このお話、落ちぶれた娼婦のブランチちゃんが、家賃も払えなくなって大家に追い出されそうになってて、どんどん身も心も病んでいくしんどい話なんやけど、終始明るく愉快で、全然しんどくならずに見れた。麻子さんはキチガイ女をアッパーに演じたらピカイチやと思う! ブランチちゃんの客であり作家の役で直蔵さんて方が出てて、なんか顔みたことあるなーとおもったら、柴田剛監督の映画にいつも出てらっしゃるバミューダバカボンドてバンドのボーカルの人やった! 今回が演劇初舞台やそう。真っ赤なバスローブが似合っていた。昼公演を楽しく拝見して、阿佐ヶ谷へ移動。K井さんとおち会って、夜は鷺宮の奥の方にある古民家の中でハムレットをやるお芝居を見に行った。ハムレットといえど、脚本はまるごと作演出の樋口ミユさんが書いてらっしゃるので、別物としておもしろかった。先月みた、K井さんも客演ででてらしたお芝居も樋口さんが作演出で、今回は内容も役者さんも全然違うのに、全体の言葉のリズムがすごく似ていて、不思議やね〜と思って、終わってK井さんと話していたら、それが文体なんだよ〜とおっしゃってて、なるほど! 勉強になる。確かにセリフって文体大事やなあ。終わって初日乾杯にちょっとだけお邪魔し、その後近くの四文屋で飲む。途中からK井さん仲良しのGさんも呼んで3人でワイワイ飲んでとっても楽しかった。面白い本の情報をたくさん教えてもらった。冬休みの課題図書をたくさんゲットした気持ちでわくわく。終電で帰宅。

12.18日
おひるにI田さんがおうちにやってきて、30日の円盤でやる新コントの練習をする。これははじめてわたしが台本を書いたやつで、自分の書いたセリフを人が発するっていうのもはじめて体験なので不思議な感じ。でもおもしろい。わたしは演出するってことまではできないので、I田さんが色々新しい提案を重ねてくれたりして、おもしろい感じのコント、いや、これはコントと呼べるのかわからんけど、寸劇?になりそう。でもI田さんがこういうキャラクターやってるだけでおもしろいから笑えると思うぜ☆ 30日、高円寺円盤で飯田×北村組は17時頃から出演します。チャージフリーで出入り自由のイベントなので、ふわっとふらっと遊びに来てね。ちなみにこの日は15時からひとりできたむらじおもやります。練習終わって、近所の韓国料理屋さんで飲む。つい5日前までツアーでずっと一緒におったのに、まだまだ話すことがある! たのしく飲んでバイトへ行くI田さんを見送り解散。