12.5〜12日記

12.5月
朝から普通に労働。特筆すべきことはなし。段ボールの保温効果に感動する日々。木造アパートの1階はしんしんと床から冷えるので、おうちの床に段ボールを敷いてから室温が2度ぐらいあがったきがする。

12.6火
朝から普通に労働。テレビで見た愛子さまがすごくお痩せになっていて、みんなアナウンサーとかは「お綺麗になられた」とかゆってて、皇室研究家みたいなおばさんも「健康には問題ないのですが最近は少しふらつきを訴えてらっしゃいます」とか「完璧主義で凝り症な愛子さまは徹底的に炭水化物を抜いて大好きなアイスクリームもおやめになったようです」とかゆってて、顔つきも別人みたいに細長くなっちゃって愛子さま、わたしはとても心配である。病気はじまってるようにしかみえない。実はわたし、眼鏡外した顔は愛子さまに似てると言われたことがあって、なのでなんか勝手にシンパシー覚えてて、だから心配心配心配。

12.7水
今回のIKAZUGOKEツアーで新たにやる「足立区の片目」の曲を作る。飯田さんの書くセリフはとってもリリカルでリズムもいいのですごく歌にしやすくて、しかもわたし節がハマりやすいのでなんの違和感もなくしっくりぴったりくる曲がどんどん出来て、これは我ながらいい! 名作に仕上がったきがする!(まあ飯田さんの書いたもともとの台本から既にめっちゃ名作やのやけど)そんな飯田さんは風邪真っ只中な様子でちょっと心配。明後日からのツアー、間に合えば飯田さんとわたしの合作の、特殊装丁の歌つき小説本を持って売って周りたかったのやけど、デザインや印刷や組み立ての工程が全然間に合わないことが発覚。がーん。わたしが先週、書けなくて悶えていたコントというのはこの小説にまつわるコントやったので、本が出来てないことには披露してもトンチンカンになるので今回は諦める。夜、テレビっ子してたらマツコの知らない世界が鳥特集で、かわいい小鳥やでっかいいかついかしこい鳥まで色々登場してて、わたしの中の鳥熱が急上昇。そう、わたしは動物を愛でる習慣が基本的にない人間なので、猫やら犬やら見てもそんな心は動かないのやけど、なんでか鳥だけはめっちゃ好きで、18歳で一人暮らしをはじめて一時期水色のセキセイインコを飼っていて、その子がすっごいなついてくれててかわいくて、基本ワンルームのアパートで放し飼いしてたのやけど、わたしが帰ってきたらパタパタ飛んできて頭にとまり、基本ずっとわたしの体にとまって暮らしててすごいかわいかったのあーる。しかしまあそのおかげでわたしの体は常にインコの糞だらけやったけどね☆ その後、知人のお宅で誰からも可愛がられず放置されていた灰色のオカメインコをもらってきて飼いだしたのやけど、この子はもう大人でしかも愛を知らずに育ってるから全然全くなついてくれなくて、最終的にはわたしが上京するときに公園に放すという鬼畜なことをしてしまった。それ以来、鳥は飼ってないし、飼う資格ないなあとか罪の記憶があるのですが、久しぶりに鳥を手の乗せて撫でたい欲が沸いてしまい、アイホンでいっぱい鳥の画像検索をした。最終的に猛禽類の顔のカッコよさに惹かれていって、ツミという名前の、日本でいちばん小さい猛禽が飼いたいっというところに結論が落ち着いた。名前からかっこいいよね、ツミ。罪! 顔は凛々しくて体は灰色の雀みたいな形でちっちゃくて強くてかっこいい。ツミ! あ〜鳥ちゃん飼いたい。

12.8木
昼から飯田さんが来訪して、おうちでコントの練習をする。「足立区の片目」は本当にすごく名作になった! みんなに見てほしい〜! そのほかのコントも一通りおさらい練習をして、衣装の打ち合わせなどもし、ツアー明日からやし支度もしないとあかんから今日は飲みはなしで解散。今回某コントでミニスカサンタの恰好をすることになり、数日目にダイソーで買ったのやけどすごいくしゃくしゃやからアイロンあてた。ら。一瞬で布が溶け出して中断。こわー! まあ安い布やのでしょうがなんかもしれへん。10時半頃、したくもだいたいできて、ちょっと寛いでたら急に隣人宅にお友達かと思われる団体来客があったらしく、しかもなんかトランプか花札か麻雀的なことをしてものすごく盛り上がってどんちゃん騒ぎをはじめファック! 宴は夜中3時くらいまで続き、むかついたのでわたしも11時くらいに堂々とピアノ弾いて歌歌ってやった。

12.9金
IKAZUGOKEツアーのはじまり。飯田さんと東京駅のホームで待ち合わせて、ぷらっとこだまに乗っていざ大阪。普段は駅弁なんて高いし買わないのやけど、今日は飯田さんと一緒なので駅弁を買ってみた。飯田さんは崎陽軒のシュウマイ弁当、わたしは横川釜飯弁当。立派な壺みたいなんに入ってておいしかった。しいたけとごぼうがよくしゅんでていい味やった。ごはんのあと、飯田さんがなんでか今日はおかんモードで、ヤクルト買ってあげましょうか、とか、トントンしてあげるからお昼寝しなさい、とかゆってくる。ふざけたりしながら、途中、コントのセリフ合わせなどもやって、4時間ちょいの新幹線有意義に過ごして、新大阪着。御堂筋線で動物園前。飯田さんは巨大な緑の風呂敷に包んだ段ボール(紙芝居)をすさまじい量ガラガラに括りけてなんかゲバ棒のような棒も飛び出してるし(絵描き歌の小道具)、マスクしてるし、わたしはいつも通り全身真っ赤っかやし、過激派二人組みたいやでーと笑いあう。でも西成に降り立つと、似たような大荷物のおっさんいっぱい歩いてて違和感ゼロになる。ホッ。ドヤに入って荷物おいて、明後日ライブさせてもらう難波屋へ飲みに行く。ここは手前のスペースはザ・大衆酒場て感じの立ち飲み屋で奥にグランドピアノがあるライブスペースがある。立ち飲みスペースで、飯田さんがお知り合いの元ボクサーの方と合流する。と、この方は、『アンチェイン』という豊田利晃監督の映画に出ていた方やって、この映画はボクサーがメインで4人出てくるドキュメンタリーなんやけど、タイトルにもなってるアンチェイン梶さんという人がいて、なんとそのアンチェインさんも呼んでくれることになり、ちょっとしたらほんまにあのアンチェイン梶さんがいらした! ぎゃ〜! わたしはこの『アンチェイン』を高校のときにみて衝撃を受けたのやけど、西成の町でこうやってあのとき見ていた方と飲める日がくるなんて。。。と感慨深くなった。ふたりとも今は肉体労働などをしてらっしゃるらしく、映画の中ではなかなか危ない人やったのやけど、こうやって飲んでいるとおふたりともすごく目がやさしくて、温厚で、でも体一個で生きてきた感が漲ていて、手はぶあつくてごつくて、指は太くて、爪は汚くて、かっこよかった。難波屋で2時間ぐらい飲んで、そのあと近くの釜晴というお店に移動。ここにはS苗さんというおねえさんがいて飯田さんが前回ライブしたときにお世話になったそうで、お話してたらすごく頼れるおねえさんて感じ。このお店のお客さんはたぶんS苗さんがやさしく受け止めてくれるからか、めっちゃしゃべくりまくる地元のおっちゃんおばちゃんら。でも話をきいてたら面白すぎて、おばあちゃんは77歳で、46年極妻やってるらしく、でもこのお歳でも今は清掃員として朝3時起きですごい働いてるらしくってえらい。そしてこのおばあさん、歯が一本もない。入れ歯を外してるおばあさんってみんな口もと窪んでるけど、このおばあさんは窪んでもないし、でも確かに歯は全くない。どういうことかというと、このおばあさんは入れ歯なんかない、歯茎だけでかみ砕いて暮らしてるらしい。歯茎は鍛えると固くなるらしい。すごいなー。このお店は、壁とか扉とかおはし立てとかティッシュケースとかにマジックで書いたアバンギャルドな絵がいっぱい書いてあって、これらはお客のおじいさんおばあさん、あるいは子どもたちが落書きしていったものらしい。のやけどどれもこれもすごい天才的なセンスと画風で、漫画風に描いてるやつとかも、今まで見たこともない吹き出しの書き方やたりして超前衛的でおもしろくて感動する。S苗さん曰く、この店は天才ばっかりくるらしい。「これ俺が描いてん」と、アンチェインさんもやかんの口を鼻に見立ててゾウさんとか、おはし立てには女体とか、味わい深い画風やった。さっきの極妻おばあさんも、みんな帰るときは普通に「おやすみ〜」と言って帰ってく。いいなあ。なんか心が温まる町。9時半ぐらいにわたしたちも出て、お次は味園へ繰り出す。飯田さんは難波屋のトマト酎ハイ(通称ヤバ酎とよばれて、普通の焼酎ではなくすごく強烈なきっつい劇物焼酎らしい)でかなり酔っぱらったのか、なんばの駅前のどうでもええストリートミュージシャンの音楽聞いて踊りだしたりして愉快。味園についてまずは銭ゲバ。偶然相席した、味園には似つかわしくない(失礼)すごく美人さんでキラキラしたお嬢様風女子大生ふたりとしばらく飲む感じに。ふたりは22歳で大学4年。恋に進路に悩んでて、ああ〜若いなあ〜まぶしいなあ〜と三十路のふたりでお話聞きながらなんの参考にもならなそうなことを吹き込みまくる。銭ゲバ混んできたのでその後、赤犬リシュウさんがやってるマンティコアへ。リシュウさんが豆から挽いてくれたおいしいコーヒー飲みながら、リシュウさんがコレクトしてる昔の紅白の映像の鑑賞会をやる。1990年とかでもう26年前なんやけど、バブルの香りが画面の中ぱんぱんですごくみんな生き生きしてて、演出などもすごく面白くて、宮沢りえがバスタブの中で泡まみれでデビットボウイの『GAME』を歌うんやけど、これがものっそい可愛くってときめきまくる。あとシンディ・ローパーがめっちゃ可愛くて、やんちゃな小悪魔な感じなんやけどダンスとうか暴れてるだけというか、なんともいえないたまらん動きをずっとしててゾッコンになった。あと吉田栄作の足が長すぎたのと、植木等の小粋っぷりが最高やって惚れた。あんなおじいさんと出会いたい。ところで司会の三田佳子のノリが変すぎて、ひとりだけずっと小芝居してる感じでほかの人と会話があんまり成り立ってない。完全にぶっとびおばちゃんて感じやけど、リシュウさん曰く当時の三田佳子は国民が選ぶ理想のお母さんベスト1とかやったらしい。まあ子育ては失敗して息子シャブ中なってたよね笑 そんなこんなで3時まで飲んで、とっても楽しかった。飯田さんとタクシーでドヤに乗り付ける。一泊1000円のドヤに、タクシーで帰宅するって贅沢☆ (でももうこの帰り方するの何回目かやけど)部屋帰っても興奮しててなかなか寝れず。

12.10土
4時ぐらいに寝てでも6時には起きてしまう。ちょっとパソコン開けて文書いて、朝の西成散歩にひとりで出かける。どっか喫茶店入ろうかとおもたけど結局玉出に吸い寄せられるように入って100円のたこ焼きなんかを買ってしまった。ドヤに帰宅して、シャワー浴びて用意して、お昼、起きてきた飯田さんと合流して近くにお菓子を買いに行く。今回のライブでお客さんにくばるおやつ袋を作る。ドヤで袋に詰めてラッピングして、コントの練習をしばらくやって、準備していざアオツキ書房。はじめて行ったけどすごくいい本屋さんやった。ラインナップがすばらしい! わたしの好きな殺人鬼もんも豊富。でもお店自体はすごい綺麗でタイルとか壁とかもこだわりが響きまくってて、電気傘もぜんぶ可愛いくてすごいいいお店。近くにあったらめっちゃ通いたい。普通に本読んでコーヒー飲みに来たい。本棚に気をとられながら準備して入念にリハ。だいたい通しもできて、いざ本番。北堀江は大阪でもお上品でアカデミックな土地やからかみなさん温かく見守ってくださり、でも笑うところで笑っていただき、とてもやりやすかった。おやつ袋も作ってた数ぎりぎりまでお客さんきてくれてうれしかった。お越し下さったみなさん本当にありがとうございました。自分用に『犯罪地獄変』というイケてる本を購入。飯田さんと西成に帰って、汚い安い中華やさんでラーメン食べた。隣のテーブルのおじいさんがひとりごとかしゃべりかけてるんかわからんテンションで、ひとりでずっとしゃべってたけどこれがこの町のデフォルトやと思うと、愉快なBGMになる。ラーメン食べて満腹。ドヤに帰って読書しながら寝た。

犯罪地獄変

犯罪地獄変

12.11日
朝、近所のダイソーへライブで配るお菓子を買いに行ってから、いざ西成難波屋へ。ついたらPAをしにリシュウさんが来ていて、リハ。そう、あの赤犬のリシュウさんが裏方でPAしてくださるなんて、超贅沢☆ グランドピアノを弾けるのもうれしい。リハでも、コントの動きなども一通り色々やってみて、この町でやるのはなかなか色んな意味で危険な行為である(内容が)けど、本番、どかーんとやった、ら、お客さん、すごく爆笑してくれていて、うれしー! 大阪の、特に西成の方は反応が素直なので助かる。一昨日お会いしたあのアンチェイン梶さんもいらしてくれた!感激! そしてカオリーニョ藤原さんもきてくれた! リーニョさんはわたし、高校生時代にアメ村のサンホールてところでお世話になっていて、15年前に見ていただいてて、おはなししたらそのことも覚えてくださってて、そして、そこからこのような芸風になった今をご覧くださって、最高やったと言ってくれてうれしかった。保山さんもいらしてくれて、保山さん(モダンチョキチョキズ)にもわたし、13年ぐらい前にお世話になってて、昔の、ベアーズの隅で小さくトイピアノ弾いて歌っていたころのわたしをよく知ってくれてるので、そこから今のあのように飯田さんとあんなことやこんなことをやっているわたしを見ていただけて感慨深かったし、そしてすごく褒めてくださってうれしかったー。昨日来てくれたMちゃんも、わたしのことを10年前から知ってくれてて、「早樹子、いい相方みつけたな!」とゆってくれて、そうやねん、そうなの、飯田さんはすばらしい最高の相方なのです!お越し下さったみなさん本当にありがとうございました! すごく楽しく本番を終え、難波屋で飲む。アンチェインさんが高校生の時に描いたという漫画『げっぷの香り』を持ってきてくれて(一昨日そういう話になったのです)これがほんまに、ちょっとまじで見たことがない天才的なおもしろさで、大学ノートに雑誌のように色んなお話を書いてらして、ものすごい色んな情報量で、画力で、構成力で、高校生でこんなん書けるとか天才としか思えない! 非常に感銘をうけました。難波屋の立ち飲みカウンターでお客さんやリシュウさん飯田さんと6時すぎまで飲んで、その後一旦ドヤへ荷物を運んで、なんばへ出る。金券ショップで明日の名古屋行切符のやすいやつを買って、千日前、法善寺横丁らへんを飯田さんとぶらぶら。相生橋筋の正宗屋という大衆酒場へ入る。安くておいしい、おでんがすごくおいしかった。大阪のおでんはおいしいな〜。おつゆの味が東京と全然違う。途中からHさんが合流して一緒に飲む。スタバと某ライブハウスの店長がむかつく話で盛り上がった。11時前に出て、味園へ繰り出し、マンティコア(リシュウさんのお店)にお礼がてらのいいに行こうかなって行ったけどまだ開いてなかったざんねん。大人しくドヤへ帰ることにして、でも結局ドヤの小部屋で飯田さんとふたりで飲んだ。1時半ぐらいに自分の布団に戻って就寝。