1.4〜10日記

1.4月
労働初め。毎年1月は2日か、下手したら元旦も労働やったりしたので、今年は遅め。とはいえ、世間はまだお正月休みモードなんか、朝の電車はガラガラで快適やった。特筆すべきことはなし。

1.5火
朝から虎の門の方の病院。先生が一服しにいってるのを診察室で待ちながら、看護婦さんがカルテの情報をみて、あれっ北村さんもしかして今日……といわれて、苦笑い。診察では、右手がずっと謎の鈍痛で握力がほぼないむねを訴えたのやけど、何故か結果的に薬が減る、という、これでいいんか?大丈夫なんか? て、相変わらずの不安になる診察&処方。やっぱり今年は病院変えたい気がしてくる通院初め。しかし今週はなんと週3で病院の予約があるという、気が重い一週間。お財布も一気にすっからかん。帰りに又吉の『火花』を今更購入して読み始めたらすごくおもしろかって一気読みした。思ってた感じと全然違う、意外とふるくさい感じの文章で古典的な純文学の匂いがくんくんのおはなしで、これが200万部越えとかで、200万人の人が読んでちゃんと世間に受け入れられているのかと思ったらなんか世の中まだまだ明るいやん、文芸業界もまだまだ明るいやんかーと思った。主人公徳永の、めんどくさすぎる煩悶がしつこいぐらいねちっこく繰り返されるおはなしなのやけど、そのしつこさ、粘着さ、あ〜又吉信用できるわ〜と思った。いい小説でした。わたしは好き。

火花

火花

1.6水
朝からひとりでポレポレ東中野に映画『ヤクザと憲法』を見に行く。本物のヤクザの組事務所の内部がこんなにしっかり見れるなんて♡ て感じで、わたしのミーハー心ときめきまくりの素晴らしい映画やった。大阪の東組清勇会が舞台で、そこの川口親分がま〜かっこいい、わたし的にどストライク100点満点の男前で、御年61歳とは思えないダンディなナイスガイ、当然容姿も抜群男前やねんけどやっぱし何がかっこいいって生き様やよね! わたしが男を計る尺度、かっこいいの定義はすなわち生き様! そして人間力! なのやけど、この人はキャッツアイ事件ていう尼崎のスナックで起きた発砲事件で、部下の起こした不祥事をかぶって冤罪で22年も獄中におったような人で、この本にも何度も出て来るエピソードなのやけど、「川口親分のことを悪くいう人は誰もいない」とみんなに言われる人格者でもあって、あとこの映画の中でも、西成のきったないおばちゃんがひとりでやってるようなお好み焼き屋さんに一人でぷらっと飲みに入って、そこのおばちゃんにカメラむけて「この人何者か知ってますよね? 怖くないんですか?」て聞いたら「なんもこわいことあらへんよ、困ったとき助けてくれるんがこの人や、警察なんか助けてくれへんワ」とかゆってて、そういう普通に町にいる感じ、ヤクザ気取り過ぎてない感じ、一般ピーポーも信頼しちゃう感じ、強くてかっこいい男の象徴やわ〜て新年早々心踊りまくった。

冤罪・キャッツアイ事件―ヤクザであることが罪だったのか

冤罪・キャッツアイ事件―ヤクザであることが罪だったのか

1.7木
自分でとある映像を撮ってみるというミッションが発生していて、今週はちょびちょび色々実験的に撮っている。今日は午前中ちょっと近所の公園で撮った。おひるから都会に出て、今日は大学病院の日。正月明けというのもあるのか、いつも以上に待合室がカオス。ものすごくスタイルがよくて、ちょっと前の浜崎あゆみ的なファッションに身を包みトンボ仕立てのグラサン着用した女性が、甲高い声で看護婦さんになんらかをすごい剣幕で訴えていて、見たらあかん見たらあかんと思いつつも気になってしゃあない。待たされまくって苛々しているのはわかるのやけど、まだ他の人が診察されてる部屋の扉を勝手に開けて入って行って仕舞いかねないデンジャラスな予感。メンタルに異常をきたしておられる方が結構いらっしゃる科なので、看護婦さんもたいへんやな〜と思いつつ、しかしここは東京、しかもまあまあでかい都内有数の大学病院であるので、ゲーノー人とかが来ててもおかしくないよね、あの奇抜な人ももしかしたら……なあんてあり得ない想像に耽って待ち時間を潰した。診察後の会計待ち&お薬待ちがまた地獄で、だいたい200人待ちとか300人待ちとかで、わたしぐらいの通院プロになると普通に待合ロビーでは待たない!(座る場所もないぐらい人おるからな)どうせ最低でも1時間ずつは待たされるので、一回外に出てスタバに行くorナチュラルローソンに併設の机と椅子あるところで本読んだりして楽しく過ごすことにしている。本日も待ちぼうけの刑になんとか耐え忍び、その後新宿。ゴールデン街某所でC子せんせいと読み合わせ。後、ゴールデン街の裏の方にある韓国料理屋さんにC子せんせいとごはん食べに入ったら、入口で、北村さん!?って声かけられて振り向いたら労働先のAちゃんとYさんがふたりでしっぽり飲んでいた。こんなお店でばったり会うとは! 韓国料理屋さん、頼んでもないおかずがタダでいっぱい出てきて、キムチとかもやしナムルとか甘辛いこんにゃくとか、全部で5皿もきてそれだけでおなかいっぱい、C子せんせいともりもり食べたけど食べきれなくて残しちゃった。C子せんせいはその後ハニーへ出勤。わたしは明日も早いので帰路。

1.8金
朝、寝起きからちょっと某案件でまた苛々、眉間に皺寄せてメール返信しながら出勤。でも一旦忘れたことにしてちゃんと労働。夕方、上がってマッハでらんぶるへ行き、某CDJ取材でO村さんにインタビューしてもらった。今回の新アルバムリリースまわりでインタビュー1個目やったので、経緯やらを説明してて、意外と自分でも忘れてることが端々にあって、己の記憶力が不安になった。その後、RレコードMさんが合流、O村さん&CDJのK田さんは帰って行かれて、MさんとH澤さんとで某計画の打ち合わせ。Mさんがぱぱっと描いてくれたジャケット案がすでにすごいかわいくってテンションあがる。今回のアルバムについても、Mさんが心強いことをゆってくださって、わたしのひそかな不安をそっと拭ってくれて感激。たのしみが一個増えてにこにこと帰宅。

1.9土
またまた某大学病院、の違う科の受診日。さすがに週3で病院くると、ほんまに自分は病気を各種取り揃えた病のデパート状態の人間なのやと自覚せざるをえなくて、余計に気持ちも病むわ。でもでもその後、今日はおたのしみもあって、某U川さんのお宅でお寿司パーリー! U川さんは去年の夏に新潟でお芝居したときにお世話になった舞台音響さんであり、実践派の美食研究家でもあられて、まじでお寿司を握れるお方、新潟でもたいへん盛り上がったお寿司パーリーやったのやけど、その第二弾が突如企画されたとのことで、実のところわたしは生魚が食べられらないのでたぶん企画段階で予選落ちして今回お声かかっておらず知らなかったのやけど、K井さん経由で情報を入手してしまい、なんか調子こいてうっかりお邪魔してしまった。サンプル界隈の人が集結する大所帯の宴を想像してお邪魔すると、K井さん、サンプル制作Tミーちゃん2号、サンプル俳優H屋さん、そのご子息Tくん、という片手で数えられる超こじんまりした会やった。U川家は品川の夜景がめちゃんこ綺麗なオシャンティなマンションで、家具やステレオやレコード棚やら観葉植物、全部がハイセンスで素敵なおうち。夕方から乾杯。みんな日本酒をぐびぐび飲んでおられ、下戸のわたしにはU川さんがなんと土瓶でお湯を沸かしてお寿司屋さんのお茶を作ってくれて感激しつつ、お寿司パーリースタート。といっても生魚NGなわたしはほぼ見てるだけなんやけど、U川さんとK井さんというコンビを見ているだけで愉快でハッピーな気持ち。そう、去年の夏、新潟越後妻有での、なんの娯楽もない自然しかない過酷な場所での3週間の合宿生活。不眠症のわたしは夜な夜な食堂でスナック早樹子というのを勝手に開店して遊んでいて、その遊びにつきあってくださっていたのがだいたいK井さんとU川さんで(というか夜更かしして飲んでいるのがだいたいこの二人やった)、酔っぱらった愉快なお二人にたいへん支えられ救われていたのです。それが蘇って、見ているだけで楽しい時間。といえども、かっぱ巻きとかかんぴょう巻きとかあなごとか卵とか、生魚以外のも色々出してくださったのでなんやかやでたくさん食べた。最後にはU川さんが最近研究しているという、自分で打ったお蕎麦まで出てきて、この方の食に対する意気込み、気が狂ってるワ〜と思いながらおいしくいただいた。蕎麦湯まで出てくる本気ぶり。H屋さんのご子息Tくんとウノをしたら、わたしなんかは知らない新世代ルールができててたまげる。K井さんが突然、観葉植物の葉っぱの先っちょを食べたいといい出して爆笑。4時にお邪魔したのに、気づけば12時とかで、8時間くらい飲んでいた。楽しいおいしい夜やった。しかしこういう会にも、1年前の、お芝居をしたことがない時代のわたしやったら絶対参加していないであろう。去年1年で本当に変わったなあと思う。けど変わってよかったゼ☆ だってこんなにたのしいんやもの。

1.10日
新アルバムはジャケ写やアー写もあんな具合のグラサン北村仕立てなので、この際度付きのグラサンを誂えよう(自腹で)と思っていて、意を決して北千住の眼鏡屋さんへ作りに行く。でもグラサンはレンズを染めないとあかんから出来上がり10日かかるらしいので持ち帰れず。まっすぐ帰って、家で今週ひとりでこっそり色々撮っていた映像をパソコンに入れて編集。こういう作業、2012年の円盤映画祭用に『ドメスティック!門外不出』作ってたとき以来やから4年ぶりとかやので、やり方を完全に忘れててかなり難儀するも、思い出したらなかなか楽しい作業ではあるね。そんなことをやりつつも、5日後に締め切りの文章の宿題もあって、こちらはまだ全然おもしろ閃きが起きてないので書けておらず、何度もワード画面開くも真っ白のまま。やばい。非常にやばい。